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雪解け採集 [日昆 採集記 【2011年】]

皆さんお晩で御座います。
今夜は今年初となる採集記事をお送りします。が、
記事を書く前に昆虫専門店ファーブルハウスのサイトを見たら
さり気に『会長が採集に行くようなのでブログでいい成果がもうすぐ云々…』と予告が…

しっ、知らぬ間にハードル上がってる!!!!?




気張らずサクサクッとお読みください……いやァ…ぇッと、まぁ…その…そういう事で(汗)



  4月17日(日)

午前9時にNo.2No.6の2人を車で迎えに行くと云う段取りでしたが軽く寝坊。
ちょっと出遅れました。

それでさらにNo.2とNo.6が家から出てくるのがちょっと遅いというのも
まぁいつもの事なのですが、結局3人揃ったのは9時半過ぎ。
午前中の出発と云う事を考えるとまだ良いほうなのかも…


時間が少々遅れ多少イライラしつつ、車を山へと向かわせます。


今回の採集は、材割り
ターゲットは、「主に」ルリマダラは勿論
県内に分布するクワガタムシ中で自身がまだ未採集であるツヤハダが本命。


なにより、今まで数度この2人を連れて材割り採集を体験しているのですが、
不甲斐ない事に材割りメインで採れるルリ・マダラ・(ツヤハダ)を、
未だ2人とも成虫で確認していないのです(汗)

これでは、ただでさえ集中力に乏しいこの2人だとテンションも集中力も駄々下がりなハズ。
どうにかこうにか成虫で出したい、
そしてあのルリの鮮やかな色・輝き、マダラの有り得ない小ささ、ツヤハダの滑らかな光沢を
この2人に感じてもらいたい。と考えていたのです。


…………………


この日は前日の影響からか、朝から風が強く
木も大きく揺れています。


…………………


焦る気持ちが、ただでさえ危険が付きまとう俺の運転に一層危険度が増します。

No.2 「ちょっっッ!!!! アブい!!」
No.6 「おィィ~あぶさん!!!」


…………………………


まず、個人的に前から狙っていたとある原生林地帯に踏み込む事にしました。


しかし、不遇な事に雪がまだまだ残っており原生林に続く道がストップしていました。
雪止まり(行き止まり)です。

結局道を引き返す事に…
ちょっと期待していた場所なだけに、ガックリきました(見通しが甘かったァ…)

時間をロスしてしまい、ますます焦る俺とマイペースなNo.2とNo.6…


………………………


続いて2番目のポイントへ到着(実質1番目ですが)。


車を停め、サァ行くぞ! と云うと、この2人はだるくなるのか…車外に出るのを渋るんですね。

そんなこんなで約1分後ようやく重い腰を上げ外に出る2人。

「寒ぃ~寒ぃ~」と悪態をつく2人を後ろに連ね、
林の中へと歩を進めることに。

去年のこの時期ならほとんど溶けていた雪も、思いの外厚く残っていました。
それでもまだ、スノトレで十分歩ける雪の固さだったのが幸いでした。

まず何よりも、この2人にあの輝きと美しさを見せたいと思い、
ルリの産卵痕を探していく事に。

我々3人が歩く林の中を、強風が音を立てて通り抜けていきます。
この音は本当に『山がないている』ように聞こえてきます。

いままでの経験から、ルリの産卵痕は木の幹の表層だけでなく、
樹皮が覆っていて隠れている場所や、割れている木肉の内側や隙間にも付けられている
という事が分かってきて、
案外そっちの方が『居る』確率が高いのでそれらを狙って行きたいのですが、
なかなかそういった場所が見つかりません。

産卵痕自体は歩いて見ていくたびに山のように見つかるのですが
どれも『終わった材』でボロボロのカスッカスな物ばかりです。

そして歩いていると先頭を歩く俺は、雪が解けて開いた天然の穴に次々と足を取られます。
おまけに後続のNo.2とNo.6が遊び出し、
雪をぶつけてくるわ道草くってその場を動かなくなるわでなかなか進みません。


俺 「誰か先に行ってくれ~


起伏の激しい森の中、傾斜の激しい雪面を登り下り、沢をいくつも渡り
漠然と「あっちの方向から来たはずなのは大体分かる」と、帰り道の心配を最小限にとどめ
山深くへと歩みを進めます。



たまに鉈を振るい産卵痕の周辺を叩いていきますが狙いの虫は出てきません。
流れがおかしい…と思い始めたのはそれほど遅くはありませんでした。



結構歩いたその先に、傾斜45°(以上)のが現われました。

この光景を後ろの2人が無視するはずがありませんでした[ふらふら]

沢に沿ったその谷はその先も続いており、
一旦遊ばせないとこの先(コイツら)変わらないだろうな、と諦めることにしました。はぁぁ…


No.6転落(という遊び)

↑↑分かり辛いですが見た感じよりも全然傾斜キツイです。
体が持ってかれるんですよ、体感速度結構速いです。

大自然に翻弄された後、すっきりした2人はようやく先へ進む気になったようです。

意外と雪が深いため、結構産卵痕が埋まっているようでなかなか出てきません。

本当なら見切りをつけて別ポイントに向かうところですが、
優柔不断と云うか決断力に乏しいと云うか、ズルズルと森の奥へと誘い込まれていきます。





ようやく少しはNo.2・No.6もやる気になってくれたものの、
以前ルリはその姿を見せません。
持ってきた鉈もだいぶ砥いでいないので材への食い込みも弱く上手く叩けません。
もしかしたらと言うか多分、吹っ飛ばしてしまっていたかもしれません。

遂に進行を諦め、引き返すしかなくなりました。
いい加減別ポイントに行かないと今日は何も収穫の無いまま終わってしまう気がしたのです。
と言うか、「今日ってコレ多分ダメパターンだろうな……」と薄々感付いていたのです。

ここからNo.2が先導しながら来た道を戻ることに。

何気に昔からNo.2と言う男は「地理は苦手」とか言いつつ
フィールドに出た時の立ち回りは一番頼もしいと云うのが何とも不思議なんですな。






かな~り歩いてきた上だいぶ彼方此方寄り道してきた筈なのだが、
「GPSでも埋め込まれているのかこ奴は!?」と疑いたくなるような感度で
先へと次々歩を進めていくNo.2。
そしてこの頃には結構足にキテいる俺。
特段目立った行動を見せないNo.6。





意外と早く林を抜けることが出来ました。

時間を確認すると既に午後の1時を回っていました。

正直、昼過ぎにはチャチャッと採集を済ませ
家に帰って今日届く荷物を見る予定でしたがサラッと打ち砕かれました
(見通しが甘過ぎるんだよ!)


車に戻り少々休憩をはさんだ後、
続いてのポイントへ向かう事に。




……………………………………




もはやこの時点で新しいポイントを開拓しようなどと云う余裕は微塵もなく
去年マダラやルリを採集したポイントへ向かう事で頭の中は一杯でした。

勿論運転はそれまで以上に荒れ……。



……………………………………………



到着、本日ようやく2ヶ所目の散策。

このポイントは去年No.2と探索したポイントで、その時はルリを採集したのですが、
ルリ材と言うよりはツヤハダやマダラが好みそうな赤枯れ材の方が
多く転がっている印象を受けたので、
本来の目的であったツヤハダにターゲットを絞ることにしました。

そして、先ほどのポイントとは一つ大きな相違点がここにはありました。

雪が格段に少ないのです。
所々に残雪が見受けられる程度で、
地肌も露わで転がっている材も普通に顔を出しています。


しかしここで、車に載ってしまったためかNo.2・No.6の集中力がパッタリ途切れ
その場を動かず遊び出してしまいました[もうやだ~(悲しい顔)]

林の中には入り、赤枯れを探していくのですが、
この2人は何かちょっとクワガタ採集の方向に気持ちが載ってきていないような…


No.2 「俺らちゃんと探しちゅぅヤ゛さがしてるぞ~?
No.6 「俺らちゃんと探しちゅぅヤ゛~?



叩いても叩いても出てくるのはボロクズのように繊維ばかりが残ったカスカスの木肉だけ。
表面がフカフカで刃が入れやすいと思った材でもその数cm下は行き止まり。

マダラ材のような細い枝には居ないだろうと考えるとやはり太めの物、となってしまうのですが
意外とそういった材は見つかりません。
根元が残った様な切り株の赤枯れ材もツヤハダにかなり好まれそうなのですが
ほとんど「終わった材」「他の採集者に割られた材」ばかり。

ツヤハダって一体何なのさ!!? と何が何だか訳分からなくなってきたその時 ! !





2011 04 18_1786.JPG

遂に幼虫が直径15cmほどの材から姿を現しました!

確かこの瞬間一気にテンションが上がって色々興奮していたのですが忘れました。
しかしこの幼虫が今日の採集に一筋の光を照らしてくれたのは言うまでもありません。

「やっとツヤハダ出たァ――――!!!!!!!!」

しかし随分と小さい、1令か2令でしょうか?
回収する気になれなかった自分はその後1頭だけ同じような大きさの幼虫を割り出した後、
リリースする事にしました。



「間違いなくこの周辺には生息している!」
と確信したのもつかの間、他の材を探そうと先へ進むとその先はもう針葉樹林でした。





ぇええ~~~っ!?? これからだって言う矢先にこれかヨぉぉぉ!!

この時2人は俺と同じくガックリきていたのか、はたまた
「これで帰れる[るんるん]」と内心喜んでいたのかは、俺には分からないが…


このまま普通にもと来た道を引き返すのもちょっと癪だったので、
ちょっと今まで来た道とは別の方向から車へ戻る事にしました。

その道は傾斜が少々急になっていて、いわゆる坂道になって危険ですが、
見渡してみると、意外とこちらの方が枯れ木が多く転がっているようです。

足早に坂を下っていく2人を尻目に、良さそうな材とはどんな材かを考えながら
枯れ木を探していました。
この時、林の中には主に『ブナ』『よくわからない広葉樹』『針葉樹』が生えており、
自分は、樹種で不朽具合に違いがあってブナが一番(居る)可能性が高いと
このとき勘ぐってしまっていて、
「ブナ以外の材ではツヤハダが採れないんだろう…」と勝手に解釈し
「一目見てブナだと分かる材」を探していました。
(↑↑この時には疲労が蓄積し、思考もほとんど停止していたからです)






その中で一本の僅かに土に沈みかけた倒木に目がいきました。


「赤枯れ・・・赤枯れ・・・赤枯れ・・・」と頭の中でループしていたその時の自分には、
表面が滑らかで木肌が灰色に乾燥していたその倒木にはツヤハダが居るとは
思えなかったのですが、
ほとんど裸になったその幹に僅かに残っている樹皮がブナであることを物語っており
材の直径も40cm程と、結構太いので

開き直り半分で2人を呼んで例の如く鉈を入れてみる事にしました。






ドスッ。…





……堅ッてェ……………


刃が悪くてほとんど食い込みません。

ここで、今までなら「これもダメかなぁ…」と諦めていたところでしたが
なぜかふとその時
「地表に出ている部分は乾燥して堅くても、地面と接してる部分なら湿気て軟らかくなってる筈」

誰でもそれくらい最初から分かっているであろう常識的な部分に、
今更気が付いたのです(流石ゆとり世代。いやそれは関係ないか…)。


1人ではビクともしないので、3人で力を合わせ倒木をひっくり返す(と言うか「転がす」)。
なんだかんだでようやく3人の息が合わさってきたかな[ぴかぴか(新しい)]

ひっくり返してみると、やはり地面に埋もれている方は表面も湿気を含んで軟らかくなっていて、
容易に鉈の刃が入っていきます。

割ってみるとやはり中は綺麗に赤く朽ちていて
様々な昆虫やそれらの食痕が見えます。


今までになく一番『それらしい』材を相手に、一心不乱に無言で鉈とナイフを使い解体していく…





今までの疲労が表れてきたのか、息遣いも荒くなってきたその時声をあげたのはNo.6でした。







あっっ!!!!!





一心不乱にナイフで穿っていたNo.6が何かの幼虫を突き刺していたのです。
胴体だけとなったその幼虫は、
僅か2mmの大きさでしたが確実にクワガタの幼虫!






この木には居る! と俄然慎重になります。



間も無く続けてNo.6が同じ大きさの幼虫を割り出してきました。
「また1令幼虫かァ~…」と思いつつ、内心ロマンティックが止まりません。
はじめに幼虫が出てきた材とは違い、今度の材は結構 『太め』 。
個体数も望めそうです。






鉈もそろそろ材の中心部に入り込んできた頃。

今度は、それまで材の中をはしっていた雑多な食痕とは明らかに違う食痕が出てきたのです。
幅およそ10~13mmのそれは、間違いなく普段見慣れているクワガタムシ科のものでした。

この時、この食痕がツヤハダのものだとは微塵も思わず、
なぜか「コクワガタって赤枯れにも入るのか~」などとリアルに思っていました。




そして、遂にその時は来たのです。





2011 04 18_1787.JPG
さっきとは全く違い、約2cmのサイズの幼虫が出てきました。


この瞬間、俺は素直に
「なんかコクワが出てきた!」と思っていたんですから恥ずかしい話ですね(笑)



その後すぐに気付いたのですが
そうです、これが今日の本命ツヤハダクワガタの幼虫です。

それまでツヤハダの3令幼虫と云うのはもっと小さいものだと思っていました。
何故か。何でだろう。成虫のサイズを見れば幼虫が大体どのくらいなのか見当つくのに。


さらにややこしい事に、
さっきまで割り出していた『ツヤハダの初令幼虫』だと思っていた個体達は
よくよく考えたらフツーに『マダラクワガタの幼虫』だと、帰ってから気付きました。

【クワガタの幼虫=何が何でもツヤハダ】という先入観が支配していたからでしょうかねぇ…
マダラの存在をすっかり忘れていたんでしょうね(汗)



2011 04 18_1788.JPG
2011 04 18_1790.JPG



ようやく当たりの材を見つけた事に(静かに)歓喜し、
マダラ、ツヤハダ合わせて10頭ちょっとの数を割り出しました。
会長として嬉しかった事と言えば、
この作業で、いつもは見せないNo.6の本気モードが垣間見えた事でしょうかね。


しかし、結構太くてまあまあ長いので、
必要程度の幼虫を割り出した我々は、まだ成虫の姿を拝んではいないのですが
疲労困憊で今回はこれにて打ち止めとなりました。


2011 04 18_1789.JPG

作品名 『大自然に背中を預ける未成年』



意味不明。


さて、ツヤハダ素人の俺がツヤハダを採ったことで
改めて分かったこともあるし、まだ見ぬ成虫初採集の夢が大きくなりました。

そして今回もまた思い知りましたが
『仲間』って、良いものですね。

採集したツヤハダの幼虫は、
珍しくNo.6も「お持ち帰り」として受け取ってくれました
羽化出来るのか非常に心配ではあるけれどもね。




車に載りこみ、体力限界点の足でアクセルを踏み
今日一日通じて何ら変わらないいつもの危険運転を展開しながら俺の家へと向かいましたが、

いつの間にか一つだけ、変わっていた事があるのに気付いたのです。




 風は、もう止んでいました。




とっつぱれ





   ▼ あとがき ▼
   今回はなんだかんだで結構書きましたが、文章にすると結構内容が薄い事が分かります。
   成虫の画像も無いので盛り上がりにも欠けますけれども。
   そんなわけでちょっと文学被れの内容に仕立ててしまいました(恥)
   初期の頃より何だか採集記を書くのが下手になっているような気がして軽く困惑していますねぇ、
   と言うより、初期の頃より採集記みたいな長い記事を書くのがメチャクチャしんどくなってます。
   初めの辺りは採集から帰ってきてすぐ一晩でスラスラっと打てたんですよ。
   採集記を書くこと自体は結構楽しいんですけどねぇ~


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コメント 6

コメントの受付は締め切りました
Chi

良かったですね!

うちの近辺で材割をすると90㌫スズメバチです。
クワガタなんか2㌫くらいです。
まったく捕れません

まあちょいと遠出すればポイントは有るのですが・・・1箇所は採集禁止に
2箇所めは取っておきたくて材割に出れない状況です。

はあ~~(ノд-。)クスン

それより忙しくてブログ更新も無理だし
採集なんて出来るわけが無い!
by Chi (2011-04-20 07:19) 

ノホイネン

いや~やっぱりクワガタの醍醐味って採集にあるんじゃないかと思えます。
こういう記事を読むと、山に行きたくなってウズウズしますね。

青森県・・・十和田湖・・・奥入瀬渓流・・・
昔、景色が美しいので仕事中にさぼって、弁当を食べようと渓流に足をつけてたら、観光客(何処から出てくんねん!)に取り囲まれたことが・・・懐かしいネ~
by ノホイネン (2011-04-20 14:31) 

会長

チーさんお晩です。
ウチらもスズメバチが出てきたことはありますけど
90%は凄いですね~(驚)

採集にあたって、採集禁止地域が記されてる書物でも買おうかと迷っています。

ツヤハダは採れたと言えば採れましたがやはり成虫が見たかったです。
また少ししたら行こうと思います。
by 会長 (2011-04-21 02:26) 

会長

ノホイネンさんお晩です。
クワガタも昆虫ですからね~、飼育ばかりしていると
「クワガタって何だったっけ」と麻痺してきます(俺だけ?)
クワガタにもいろいろな生態がありますからたのしいですよね!

時期になると奥入瀬渓流にはホモサピエンスも生息してますからね~
自然が豊かって素晴らしいですネ(爆)
by 会長 (2011-04-21 02:32) 

chappu

ツヤハダって国産の中でもあまり意識しないです。
よく考えたら昔から色ムシばかり追いかけてたもんで・・・。
そして材割採集の経験もほとんどないんですよね。
その影響か、ツヤハダやマダラは採りに行こうと思わないです。
一度くらいは見てみたいものです。
by chappu (2011-04-23 00:15) 

会長

chappuさんお晩です。
超小型種は意識されないのが一般的なのでそれで正常ですよ(笑)
でもルリは色虫好きなら一見する価値有りますよ!?

マダラなら梱包の隙間に余裕で入りますねェ…(笑)
by 会長 (2011-04-23 01:58)