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ママチャリ野郎 ~辛走デスティニー~ [日昆 採集記 【2012年】]

なんかタイで世界最小のハエが見つかったとかで密かな話題になっているようですな。

さて、先日
去年から気になっていたエリアに
機会があったので行ってきました。


 6月末 某日

去年秋のヒメオオ採集と出発の展開は同じく、
某市町村に車を停めそこから自転車でポイント探索に行くことに。

今回は、出発地点の市町村から隣の市町村に移動後
山道に入っていくと云う順序。

午前10時前、出発

CA3I0915.JPG
天気いいなチキショーー!!!!

そう、この日の天気は晴れ、雲一つない憎たらしいほどの快晴なのである。

そんな中甘い見通しで
・リュックサック
・タオル
・ケース
・双眼鏡
・地図帳
伊藤園 充実野菜 1本

をチャリかごに積み、つなぎを着て自転車を漕ぐのである。
その姿はまさに「個性的」。笑ってはいけない。

昔の採集記を読んでもらえれば分かるが
乗っている自転車もMTB(マウンテンバイク)などと云う
山道の走行に向いた代物ではない。
中高年層に人気のMMC(ママチャリ)なのだ。

しかも名前まで付いている、
車体に英語で『Destiny』とプリントされている。何が「運命」なのだろうか。

取りあえず今まで苦楽を共にしてきた愛車「Destiny」をひたすらこぎ、
起伏に富んだアスファルトの上を全力で進み続ける。

天気が思いの外よ過ぎるので、
用意していた水分補給用の野菜ジュースも減りが早い。
(まぁ普通はスポーツドリンクを持ってくるんだろうけど、砂糖を控えてる身なんで)

ガタがき始めているからか、
ちょくちょくギアが誤作動を起こしペダルの調子が狂う。



……………………………………………………



あ 道を間違えた。



……………………………………………………



汗ダラダラになって漸く林道の入り口に到着。

CA3I0916.JPG
この時点で午前11時半、チャリで出発してから2時間掛かった。

ここからはお馴染みの「未舗装路」である。

ここからがママチャリの力の見せどころじゃぁァ!!!!  構わずこぐ。




マウンテンバイクと違ってママチャリなので
砂や砂利のせいでスリップしてばかりで労力を消費する割に大して進まない。





心が折れる音と苦しい息遣いと共に、あえなくペダルから足を降ろした………………




結局、チャリに乗ったり降りたりを繰り返しながら
緩やかな傾斜の林道を登る。
ハンドルを握る手も振動でだいぶビリビリと痺れてきたので
皮手袋を装着する。



同じ面子ばかりのチョウを横目に道なりにしばらく進んでいると、
目の前を先に飛んでく青黒く光る甲虫が…!!!


まさか…!!!?
ハンミョウか!!!!


着地したそいつを遠目で確認すると黒っぽいので、
まぁ大きさからしてニワハンミョウと云ったところだろうが
こう云う種類でさえ実は初めて実物を見るので土産に持って帰りたいと思うところ。
本来はクワガタのポイント探しを目的に来ていたのだが…


気付いた時にはもう忍び足だった。



感付かれないようゆっくりハンミョウに近づいている時、思わずにはいられなかった。

  (網持ってくりゃよかった…)

じりじり距離を詰め、両手を伸ばしてガバッとトドメに入る僅かな差で逃げられ飛ばれる。
そんな非効率的な攻防を数分繰り広げ、
4~5mの間隔で道を行ったり来たりした後

「はっ! こんなことしてたら林道の終点まで行くのに時間が無くなってしまう」
と我に還り、一旦ハンミョウは忘れようと云う事でまた道を進むことにした。



「いかんいかん、まだ山道をちょっとしか進んでないのに
 ハンミョウごときに貴重な体力持ってかれてたまるか!」


が、
しかしさらに数十m進んだところで、またあの青黒い飛行物体が。


2時間走り続けて意識的な余裕も無くなってきた自分の目の前を、
存在をアピールするかのように4~5m間隔で飛んでは止まり飛んでは止まりを
繰り返すと云う誘惑が続き。


   プチッ

自分の中で何かが弾ける音がした。


自転車を降り、忍び足で近づく・・・

両手を揃え、段々と距離を詰めていきあと10cmの距離まで手が近づいたところで、
電光石火で捕縛!

逃げられないよう注意して摘まみ上げ、
CA3I0918.JPG
初ニワハンミョウ採取。
牙でガリガリ齧ってくるが、豚皮にはそんなもん通じはせんわ!!!!

CA3I0925.JPG
動きが速い昆虫って大体気味悪さを覚えるんだけど、
こいつらに至ってはそれがまた魅力に感じるんだよな…


気分転換もしてスッキリしたのでまた新たな気持ちで林道を登る。

しかし、多いなやっぱ普通種なだけに…
等間隔で道端に止まっている。


………………


時刻は昼の12時半頃になり、
よくよく考えたら朝飯も摂っていなかったのでチャリを停め昼飯にする。

海苔を巻いたおにぎりを2個ほおばる。中身は…唐揚げだ。(昔から唐揚げは自分の代名詞でもある)

昼飯をさらっと終えひたすら道なりに進む。

スギの植林地帯と天然林地帯が交互に入れ替わりながら、
少しずつ道の傾斜もきつくなってきた。



ときおりケース内のハンミョウを見て和みながら、
山を登ること暫らく。
軽トラに載った老夫婦とすれ違った。
道の由来など少々話を伺った後、自分が林道の終点まで行く旨を伝えると、


老紳士 「かなり遠いよ?」


確かにその通りだった…


チャリだとなんと辛く遠く感じるものだろう…
文章にすると一瞬なのに(哀)

一定の標高まで行くと(とは言ってもかなり低いのだが)
灌木が目立つようになり、良い感じにクワガタが生息していそうな景色になってきて
遂に終点が来た。
終点とは言っても、道はまだ続いているのだが、
CA3I0923.JPG
道には鬱蒼と下草が茂り、道も委縮していて消滅しかけている状態だった。

なんか収まりつかなかったので、
クロサナエ.JPG
腹いせにトンボをすっぱ抜いてみた。何気に上手く撮れた(笑)
おそらくクロサナエではないかな? ダビドではない……と思う…。



………………………………………


さて、ここからは帰り道。下りなので一気に気が抜けてきた。

歩くのも疲れたのでチャリに載ってツィーーっと林道を戻る、が。

ゴロゴロ埋まっている石に翻弄されて終始乗り心地が悪かった…



  ガガガガガガガガガガガガガガッ・・・

                          ケツがァァッッ!!!!!!!!


と、サドルとハンドルの双方から攻撃を受け完全に気をとられていた次の瞬間、



バサッッ  ドドド… バサッッ


5m先の茂みから突然ドデカい獣が林道に飛び出してきて
反対側の茂みに飛び込んで行った…


顔面蒼白、ただその時自分の表情は目が皿のようになりポカーンと口を開けていた。


カモシカ(成獣)だったな…


あまりのデカさと至近距離での出来事に一瞬、クマかと思ったのはここだけの話。
まぢビビったぁ…


そんな一瞬の出来事を体験した後には、
もう疲れがどっと増してきて
ウグイスの声に苛立ちさえおぼえてきた。

「ほ~~ほけきょ! じゃねぇぇェーーーよ!!!!!!!!







いやぁ…あの日は、アツかったなぁ…。



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