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今年の本命? スラウェシ島産【ニシヤマギラファノコギリ】 [〆ギラファノコギリ (ニシヤマ亜種)]

今回の記事は中身が曖昧な割に、記事作成に久々にかなり時間を費やしました(疲)
サブタイトルが全てを物語ってしまっていますね…



この凍りそうな季節の節分の中、待ちに待ち焦がれた荷物が到着しました。


CA3I1582.JPG
特に何の意味も無いですがモザイクかけておきました。

まだ2月に入ったばかりにもかかわらずもう既にまた新しいクワガタを
仕入れてきている今年の自分が我ながら恐ろしいです。


さて、中身ですが…

サブタイトルを見ればもう分かりきっている事でありますね。




ギラファノコギリ(ニシヤマ亜種) スラウェシ島 中央スラウェシ州 パロロ




スラウェシ島近辺の亜種・ニシヤマイです。
去年からずっと入手の機会を伺っていた特に今年一番飼育に挑戦したかった種類です。
出来る事ならやってやろうと思って、今回2ペア仕入れてみました。

既に現時点で♀を産卵セットに投入しておりますので
後は♀の状態次第で祈ってゼリーを与えるだけ…非常にドキドキします。
CA3I1590-2565dkai.jpg




さて、2ペア買ったと云う事で♂の画像も以下に載せるのですが
ニシヤマを気合を入れて(←??)紹介する前に
もう一つ仕入れたクワガタの紹介をする必要があります。








そのもう一つ仕入れたのが、
今回新たに累代に挑戦するニシヤマと同じギラファノコギリの別亜種…。







ギラファノコギリ(ケイスケ亜種) ロンボク島





ギラファの中のスタンダードでもあるケイスケギラファです、
本亜種もこのブログでは初登場で御座います。

今回ニシヤマギラファと一緒に国内入荷が始まったので1ペア一緒に仕入れました。

ただし、こちらケイスケギラファは累代飼育目的で入手したわけではありません。
ある目的でニシヤマのついでに買ったにすぎません。

そのある目的というのは、
【ニシヤマギラファとケイスケギラファの♂個体の外見の比較】

ギラファノコギリは現在地域により9つの亜種に分けられており、
しかもまだその分類も煮詰まってはいないらしいんです。

亜種として分けられている以上その地域地域で独特の特徴が表れているはずなんですが、
個人的にこの9つの亜種の内特にニシヤマについては
他の亜種と線引きできるような特徴がどこにあるのかよく分かりませんでした。
(「でした。」というか今も実際よく分からないんですけど…)
ケイスケとはかなりよく似た印象があるので、もし自分の思考が変でないとすれば、
ニシヤマの飼育情報がネットでほとんど見かけないのは
流通量の絶対数が少ない事もその一因でもありますが
「ニシヤマもケイスケも見た目大差無いなら、より大きくなるケイスケを選ぶわ。」
と云う飼育者が圧倒的だからでしょうかね?


図鑑やネットで見ていても、
一見してケイスケとほとんど特徴に差が感じられなかった事もあって
今までは目もくれなかったんですが…
BE-KUWA43号の図鑑ページを見たのをきっかけにニシヤマを意識し出し
去年の後半からはもうニシヤマに首ったけ状態です。

と云うわけで自分で出来る限りケイスケとの相違点を見つけたいと思って
今回比較材料として一緒に仕入れてみたわけです。


それとあともうひとつ…、
実は今回本亜種を入手した所が関係していまして、本種ではないんですが
極たまに「付記された産地の種類の虫なのか少し疑わしい」虫が販売されているのを見たり聞いたりする事があるのです。
それが現地での集荷ミスによって間違った産地ラベルがついたのか、
それとも安価で大量に集まる産地のものを珍しくて高値が付く産地ラベルに意図的に変えて販売しているのか、
単なる自分の思い違いなのか、それは分かりません。

その事で、今回入荷シーズンが始まったばかりの大量のケイスケが輸入されたのと同時に少数のニシヤマが輸入され、
「大量に輸入されるロンボク産を、より希少なスラウェシ島産にラベル変更することで価格の上昇が期待できるから」と
ラベル改ざんを実行しているのではないかと云う余計な心配を抱いていたため
今回仕入れたニシヤマが本当のニシヤマと判断できるものなのかと云う意味も含め参考に1ペア仕入れてみたわけです。

ここまで心配になる理由が他にも少しあるのですが割愛します。


たった3個体ずつ(ニシヤマ:2ペア ケイスケ:1ペア)で亜種としての相違点など
確実に見えてくるわけがありませんが、
一応これらの個体以外でも図鑑・インターネットでニシヤマとケイスケの成虫画像は
出来るだけ多く探してそれぞれの外見の特徴の傾向を見出せないか観察しました。



まず、♂の特徴もそうですが
♀にも亜種間の違いが現れるのか(どのくらい現れるのか)見てみました。

次に3個体の♀を順番に載せてみます。
どれがニシヤマでケイスケなのか判りますでしょうか?




① 41mm 2.0g
gnf1-1kai.jpg
gnf1-2-kai.jpg



② 44mm 2.8g
gnf2-1kai.jpg
gnf2-2kai.jpg



③ 42mm 2.5g
gnf3-1kai.jpg
gnf3-2kai.jpg



元々クワガタの♀って同じ種類なら外見はまるっきり同じってのが普通ですから
亜種としての外見の違いはロンボク産とスラウェシ中部産では無いのかも知れませんが
どこかに無いものかと隅から隅までじっくり見てみました。
人間の♀よりもクワガタの♀の方がよりじっくり見てるんじゃなかろうか…








この3個体ですが、正解は
①=ニシヤマ
②=ニシヤマ
③=ケイスケ
です。


この3個体を見比べて、「ん!?」と思った部分が2点ありました。
一つ目は、前胸縁
二つ目は、頭部の点刻


giraffakeinishi.jpg
前胸縁ですが、相対的に見てケイスケはニシヤマより
前胸の幅が翅鞘に向かって広がっています。
そのせいかケイスケの方が太く見えます。


giraffakeinishi2.jpg
頭部の点刻は、ケータイで撮ったので光の当たり方や画質の問題で
だいぶボケていて見辛いのですが、の箇所を見ると
ニシヤマが少し点刻がまばらでケイスケは対してより密になっています。

頭の上げ方がちょっと違うため画像では判断が難しいのですがそのように見えます。
本当に微妙なので、個体差のレベルで済む違いでしかないかもしれませんが
ニシヤマ側とケイスケ側で分かれる部分でした。




♀はこの程度でこれ以上は何も考えられないのでこれにて終了です、
次は♂です。どれがニシヤマでどれがケイスケか判りますでしょうか?




① 94mm 7.0g
gnm1-1kai.jpg
gnm1-2.JPG
gnm1-3.JPG
gnm1-4kai.jpg



② 91mm 6.0g
gnm2-1kai.jpg
gnm2-2.JPG
gnm2-3.JPG
gnm2-4kai.jpg



③ 95mm 7.2g
gnm3-1kai.jpg
gnm3-2.JPG
gnm3-3.JPG
gnm3-4kai.jpg




こんな事を書いては本末転倒なのですが、
ギラファの亜種の中でもこのニシヤマとケイスケが同じ産地個体群の間で
体型や大腮の形状に激しい個体差がある印象も持っています。
そう云う事なので今回の考察で見極めに至るなど雲をつかむような話で
あくまでこの記事の内容が一個人の見解に過ぎないと云う事はまずおことわりします。
産地ラベルがもし本来のものであればと云うのが前提で






さて正解ですが、
①=ケイスケ
②=ニシヤマ
③=ニシヤマ
です。



♂の外見的特徴として言われている事は
【大腮】
 ニシヤマは横から見ると厚みが無く扁平で細め
 最大内歯はケイスケは非常によく発達して長く、対してニシヤマは短め
 最大内歯から先端側の鋸歯はニシヤマが多めで融合するものが多い

【体表面】
 ケイスケは光沢が無くニシヤマはそれに比べ少し滑らかで僅かに光沢がある

【♂最大体長】
 ケイスケは最大120mmを超え、ニシヤマは最大でも110mmに達しない

世界のクワガタムシ大図鑑ではニシヤマについての説明がほとんど無い…
(だから自分で見極めたくなったんだけど…)

なので上記の点も含めて両亜種を見比べてみました。


その1 大腮

ニシヤマの先端部の鋸歯は2個体とも細かい歯が4~5本付いていて、
ニルギリエンシスのように融合しかけているようにも見えます。
それに比べるとケイスケはシンプルで何となく味気ないです。
鋸歯が融合しやすい点ではケイスケも同じ事が言えるのですが
同じ体長だとニシヤマの方が鋸歯の並んでいる部分が長いようです。

大腮の根元から先端まで湾曲して長く伸びるのがギラファノコギリの特徴ですが、
次に気になったのはその湾曲の度合いです。
ニシヤマとケイスケ3.jpg
実物を見て改めて思うのですが、ケイスケはやはり湾曲が弱く真っ直ぐ目に伸びています。
世界各地の全9亜種中でもケイスケが最もこの湾曲が弱く
最大内歯の辺りからの外側への張り出しがなだらかで控えめに感じます。
対してニシヤマは、中にはケイスケのような形の個体もいるのですが、
ケイスケと比べるとカーブが強いように見えてなりません。

そして個人的に強く感じたのは、
書籍など文献では全く指摘されていないのですが、一番大きな内歯(最大内歯)の事。
ケイスケにも大体当てはまる特徴なのでケイスケとの大きな相違点とはならないですが
どこで見る写真でもほとんど、この最大内歯が伸びている方向が強烈に根元向きなんです。
大腮の直線部を左右並行になるように開かせて観察すると、内歯の付け根から頭部の方向に向かっているんです、解り易く言うと後ろ向き…?
ケイスケにもこの傾向はよくあらわれているのですが、
ニシヤマはそれ以上にこの傾向が見られると感じます。
ギラファ内歯方向.png
一応個人的な感覚で今まで見た事がある亜種を内歯の向く方向の傾向をグラフにしてみましたが、数値的なデータでは全くないので…
ニシヤマとケイスケ以外の亜種では、
逆にマキタが最も内歯の向きが前方に向きやすく、
ついでティモーレンシスがその傾向が強いです。



また、体長の問題もありますが、
先端部の鋸歯の配列が長い点もあってか最大内歯が生える位置が他の亜種と比べて若干大腮の基部に寄っているようにこの3個体を見た限り思うのですがどうでしょうか?
ヒラタでよく言われるところの『内歯中間』って云うヤツです。
ただ、収集したニシヤマの画像をいくつも見てみた限り、どちらかと云うとこの点は個体差による部分が大きい気がするのですが…
ケイスケも、90mm台ではこのような間隔ですが
110mmを超えると鋸歯の配列や部分部分の長さなどバランスが変わってしまいますので
やはり亜種としての特徴と云うより体長による変化と捉えた方がいいのかも…

そして亜種としての特徴として言われている(記載時の特徴の一つ?)
大腮が扁平になっていると云う点ですが…
原名亜種と比べないとこの点は精査出来ないんですが、
ケイスケとニシヤマを比べてみる限り、大腮の厚みに違いは全くありませんでした。



その2 体表面

BE-KUWA43号によるとニシヤマは若干原名亜種のように光沢を帯びる傾向にあると書かれています。
ただ、今回届いた2個体を見るに91mmの♂②は明らかにケイスケでは見られない上翅の光沢を持っているのですが95mmの♂③は、上翅に光沢は皆無で、♂①のケイスケとまるで区別が付きません。
↑↑の3個体の上翅接写は光を強く当て過ぎて皆テカテカして見えているので光沢度合いが全然判断付かないです…ね……(汗)

ギラファはフィリピン系亜種以外は、
大型個体になればなるほど体表面の光沢は消えて艶消しになるし
小さくなればなるほど光沢が強くなっていきます。
なのでここの特徴で判断するのは自分には少し難しいと感じます。



その3 体型

この点も個体差の関係が強いのですが一つ気になる事が。
ケイスケと比べると、ニシヤマは頭部が小さく(狭く)、
相対的に上翅が幅広く丸みがかっているように感じてなりません。
図で比較するとこんな感じです↓↓
giraffakeinishi4.jpg
なんとなくヘラクレスオオカブトを見た時に思い浮かぶ
『なすび体型』(上半身が小さく下半身が大きくなっている体型)なんです。
この体型は各亜種の中で随一で、「不細工な格好だなァ~」と思ったりしているのですが、逆にそれがこのニシヤマの個性でもあるのではと思うんですよ。
ただ最初に書いたとおり、この特徴は個体差による部分も大きく
ネットで見ていると全くそうでもない一般的な、バランスがとれた体型の個体もいました。

妙に大腮が細く見えてしまうのも、
頭部の間隔が狭くて左右の大腮がお互い近寄っている所為もあったりするのかも…




これらの気になる特徴を挙げてみても、
ニシヤマとケイスケに関しては同産地内でも非常に個体差が外見(形状)に現れやすい亜種だと云うことが原因で決定的な見分け方には至らないのが歯痒いです…
それにケイスケは中歯から長歯に移行する体長も個体差が激しく、
極端に言えば80mm台半ばで完全に長歯になるものがいれば
100mm近くなっても中歯のまま最大内歯が伸びていないものもいるわけで、
ケイスケのような特大亜種でない中型の亜種ニシヤマが90mm台で発達した長歯になっているからと言ってそれが必ずしも本物のニシヤマであるとは言えないわけで…

なので今現時点で両亜種の見分けに有用かと思える個人的な気持ちでは
・大腮の鋸歯の数・形状【★★★★】一番有効?
・大腮の最大内歯の形状・向き【★★★】ある程度有効
・大腮の湾曲度合い【★★★】多く個体数を見ていけば有効
・大腮の厚み・太さ【★】判断できず
・体の光沢【★★】一定以上のサイズならケイスケに光沢は無いのでそれで判断
・体型【★★】多く個体数を見ていけば判断の一つの材料にはなる
と言ったところでしょうか…


※因みに、ニシヤマは各島ごとに特徴が変わってくる可能性が高いですし
 更に今回の考察はあくまで中央スラウェシに絞ってと云う内容としておきます。
 スラウェシと云う島は各半島や山塊で特徴が変わる可能性が大いにありますからね…



そして気になるのは、
幼虫から飼育した場合その特徴はどのくらい色濃く表れてくれるのか?と云う所。
体型や歯形は人工的な飼料の影響が出やすいという点からも
これより先の飼育が楽しみでもあり不安な面もあります。
もしかしたらケイスケと特徴が似通った個体(ばかり)が羽化する事もあるかもしれませんからね…
その反面、ニシヤマの大型飼育個体の画像や飼育記録がほぼ無いので、
大型個体を羽化させるとどのくらいのサイズまで出るのか、どんな形で羽化してくるのか、
とても楽しみでなりません。
内歯が思いっきり下向きでブッサイクな体型が出てきたら新鮮で面白いでしょうね~(笑)




           新しく入荷した在庫   2種類
         ブログで紹介した在庫  79種類
               全ての在庫  12種類



さて、家に着いて当日中に産卵セットに入れたニシヤマ♀2頭でしたが、
到着時から擦れ擦れで軽くて今にも寿命を迎えようとしていた小さい方の♀①が
昨日マット上で動かなくなっているのを確認しました。
お~~ィ~~~~……

一方、後脚の付節が切れた♀②の方はと云うと、
有難い事に早速底面に卵が確認できました…!!!

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