インドシナからの奇襲 [〆ギラファノコギリ (原名亜種)]
数日前、とある虫仲間から電話が来ました。
『カンボジアからアレが入荷していますよ!』
それは、とあるショップのWILD入荷情報で、
カンボジア便が入荷していたという話。
『珍しいんで気になっているんですが・・・』と云う彼と共に2人の決断は早いものでした。
『やるっきゃないでしょう!!!!!!!』
翌朝ソッコーで(2人とも)注文入れて
9日、到着しました・・・
今か今かと到着を待っていました。宅配ドライバーの方が駆け寄ってくるのを少年のような目(?)で待ち構えていたのが
早速開梱し、何よりもまず♂の撮影を開始しました。
到着した時すでに辺りは薄暗く、綺麗に撮れる太陽光の当たる時間帯が限られていた為です。
今回仕入れてみたのは・・・
もう何度目だろうかギラファノコギリ、原名亜種です。
産地はカンボジアのカンポット州・ボコール山産。
原名亜種は、現在どの産地も野外品・飼育品共に流通・飼育数が非常に少なく、
飼育品ではタイ産・インド北東部~ミャンマー北部産あたりが割合多く存在し
野外品では、タイ産・マレー半島産が最近では僅かに見られる程度です。
昔は、現在もごくたまに見かける上記産地の他に、ベトナム産やミャンマー南部産等も僅かに現地から持ち込まれていたのですが、これらは最近生体を見る事が出来ませんよね。
特にこの現在では得難いベトナム&ミャンマー南部産は、個人的に好みの形状だったり大型化したりでタイ産と共に非常に興味深いのですが・・・・・・
・・・なぜそういうのに限って入荷が稀なんだ!
ちなみに、ごく一部の間で「特大が羽化」するだのしないだのとささやかれている
南ベトナム産は今回仕入れたカンボジアとは地理的には近いので、少し大型の期待も出来るかも知れないですね。
(「地理的に近い」と言っても原名亜種の分布域から見た場合の地図上での直線距離なので、事実上直線距離で間500kmは相当遠い上に山塊も別々とくれば、南ベトナムと同じようなポテンシャルは持ち合わせていないかもしれませんな・・・と云うか大腮の形状がなんか違う気がするのですが)
一応過去にカンボジア産の(おそらく同じ産地の)ギラファも入荷されたことがあったのですが、
マイナーな感じでひっそりと出回るにとどまったので、どんな飼育者がどのくらいまでのサイズを羽化させていたと云う情報がほとんど得られません。
この時、まだケースの中そして発泡スチロール箱の中で起きていたことに何も気付いていなかった・・・
♂単体で撮り終えたので、せっかく他の亜種が居ることだし
マキタのほぼ同サイズの個体を取り出して2ショットを撮ってみようと並べてみましたがおとなしくしてくれず断念・・・
続いて、マキタを元に戻し今度は♂と♀の2ショットを撮ろうとケースから取り出したその手に、♀が反応してくれない!!!?
えっ・・・
えっ。 ?・・・!!
え゛ぇ゛っっっっ!!!!!!!!
仮死状態だ・・・
体の芯がグッタリして爪が閉じて力が無い・・・
僅かに触角と口ひげ(小腮肢)が動くのみ。
しばらくしたら大丈夫だろうなぁ・・・
と普通なら今の時期柄度々起こる事なので仕方ないと思ったのですが、
不安になって梱包内容をよくよく確認してみると、愕然。
発泡スチロール箱には全く通気口が開けられておらず、
虫の入ったケースにカイロをべた貼りした事で直接熱しないようにとの配慮からか、そのカイロは新聞紙丸々1枚使って「純粋に」包まれていました。
ほとんど発熱が起きておらずだいぶ軟らかかったのです。
大柄な♂は開梱後緩やかに動き出しましたが、
それに比べて小柄で体積も小さい♀はひとたまりもない・・・
マットとミズゴケの水分も熱伝導に一役買って見事に冷え冷えでした。
これ、まずいんでないの・・・!!!!?
とりあえず、復活を促すべく22~23℃の温室に置いておくことに。
この間、一抹の不安を持ちつつも外出していましたが、
その後夜になり一度家に戻って確認してみると・・・・・・・・・・・・
状態変わ゛って゛な゛い゛!!!
そこから一気に抜け殻と化してしまい、溜め息ばかりつくようになりました。
もう色々、色々考えた後、
夜中になって帰宅してもう一度様子を確認してみると・・・
・・・なんとか蘇生してきた兆しが・・・
歩き回るような感じではないですが
神経も通うようになって爪にも力が入るようになってきました。
翌日(昨日)、さらに状態は回復してきたようで、
なんとか最悪の事態を回避できそうです。
状態を見つつ、数日中にセッティングしにかかります。
昨日今日で俺も寿命縮んだわ、疲れた・・・・・・。
= 11月13日 追記分 =
この記事の投稿後、
なんやかんやあって
13日本日♀を単独でコバシャ中ケースで組んだケースに投入しました。
今日から平地で積雪(!!!)があるので発送の時期的にもギリギリ間に合ったと云うところかな・・・
あと、話がちょっとずれるんだけど・・・
今回初めて注文した所のマットを産卵セットに使ったんだけど
マットの質感と匂いが、以前買って使ってみて「失敗した」と思った別メーカーのマットと同じなんだけど・・・(汗)
ご無事で何よりでした。
ショップさんからの発送で不備があるというのも珍しいですね?
僕もオークションからの入手個体で一度だけ仮死状態のものを体験しましたが、ああいうのはわざわざ温めてもいけないでしたっけね。
ちなみに常温放置で動き出しました、怖かったです。
ところで生息地を気にして気づくことですが、ギラファって生息域広いですね。
1亜種だけでも網羅するのは大変そうです。
by ベーグ (2014-11-11 08:15)
そう言えば家に到着した発泡スチロールにも穴は空いてませんでしたね(苦笑)
カイロも一応発熱はしてましたが結構…いや、大分柔らかかった気が(汗)
家の個体はとりあえず累代には何の支障も無さそうな感じで到着しましたが…多分2月とか3月だったらほぼ確実に死着コースなんだろうなぁ(苦笑)
一応こっちだと昨日の夜セットして
今朝確認したら、プラケ底面に卵2コ確認できたんで
とりあえず一安心した所です。
会長さんの所も最悪の事態は回避できるといいですね…
私も以前一度シムルエオキピで経験しかけましたが
到着して気付いたら終わってた…だなんて悲しい限りですから…
by Re:myon (2014-11-11 11:29)
ベーグさんこんばんは~
自分も最近ずっと危なげなく届くのが続いていたのですっかり油断していたのですが、ショップでも実は冬用の梱包がアレな所はざらにあるんですよ。
憶測も混ざりますが、「バイトが梱包している」「冬季に雪国(購入者側)が発注を控える」「死着の危険があるので店側が断る」「梱包方法が通常とどう違うか分からない」「季節の変わり目についうっかり夏梱包で」とかが主だと思います。
昔は自分はストーブで急激に暖めたりしたこともありましたが、基本は適温で戻すんですよね。
イイ点に気がつきましたね!
ギラファも個人的には分類が完全ではなく、原名亜種も日本国内のドルクスに対する分類熱(?)をもってすれば最近のオオヒラタ(ティタヌス)やアンタエウスのようにあと2~3亜種には分かれるはずです。
by 会長 (2014-11-11 20:48)
Re:myonさんこんばんは~
使い捨てカイロの問題として考えうるリスクを考えても、「むき出しにしたカイロが容器や発泡スチロールを溶かす」危険より「新聞紙に包み過ぎてカイロの発熱が止まる」ほうが確率ははるかに高いですからねぇ(汗)
同じ梱包でこの違いがあったと云う事は、やはり内容に確実性が無かったと云うことですね。発生シーズン後すぐの新鮮個体と云うことですがちょっと勿体ないです、この件がセット後に変な形で現れなければいいのですが・・・
即座に産み始めたんですね!?
こちらも早速組んでみます。楽しみですね(笑)
by 会長 (2014-11-11 21:01)
会長さん、こんばんは。
ちょっと記事とは趣旨がずれたコメで申し訳ありませんが、蘇生といえばどかかで栄養ドリンク(ユン〇ル?をゼリーに混ぜる)が効くなんて話しを聞いたことがあります。
まあ人間の場合は多少元気にはなりますが、虫にはなあ~と思います。まあ真偽はわかりませんが、藁をも掴む思いの時に試してみようかなあなんて思ったこともありました(笑)
by ガリガリ君 (2014-11-13 18:04)
ガリガリ君さんこんばんは~
栄養ドリンク、自分も聞いたことありますね。
(やった事あったかもしれませんが覚えてはいないです・・・)
使う時は原液でなく薄めないといけないようで、気がつかずに原液そのまま垂らしたのを食わせたら「(悪い形で)すごく効いた」と云う話を聞きました(苦笑)
ちなみに、自分自身が栄養ドリンクを飲んだ時の効果は今まできちんと感じたことはありません(笑)
by 会長 (2014-11-13 21:32)