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酒と泪と男と女と奄美大島と徳之島 [〆鹿児島県産 アマミシカクワガタ]

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ある夜の飲み屋街。
No.7オジさんに襟首を掴まれ
どこかへ連れて行かれる場面を目撃。






 虫屋達の年末
先日、青森県某所にて虫屋同士の納会が執り行われました。

去年もあったこの納会は今回が3回目(自分は2度目の出席)
ブログを通じて知り合った者同士、採集フィールド上で知り合った者同士、昔からの知り合い同士、専門店で知り合った者同士、同じ卓を囲んで虫の飼育や採集の話・それ以外の話など、とても濃密な時間がそこで流れていました。
「知り合いの知り合い」が「知り合い」になるというのは普段ではあまり多くはありませんが、15名がこの場で虫を中心とした話をするのは田舎の土地ではホントに稀有な事です。
昔はこんなことやってただとか、今年はこんな所へ採集に行って来てたとか、
あっという間に時間が経ちました。

図鑑や生き虫や標本を持ち寄り、一次会は中華飯店でワイワイやっていましたが
ここでNo.7が早々にアルコールが回ったようでした。





個人的な事件が起こったのは二次会のスナックでした。

席順も変わり、普段あまり酒を飲まない自分はソフトドリンクでつないでいましたが、大所帯で入店し他のお客も居る事もあって落ち着いて虫話と云う雰囲気ではなく、やがてテーブルにはカラオケの電リクが回ってきました。

(うっわー・・・ヤベェなぁ・・・)
↑↑と出来るだけ歌の話題に行かないようにと思っていたところ、
やや遠目の間合いから悪意マシマシのキラーパスが飛んで来ました。



No.7 会長さ~ん、
会長さんも歌ってくださいよぉ~!



おれは何も悪いことはしていない(泣)
ただちょっと彼には自分の助手席に乗せた時に怯えさせちゃったり脆い急斜面登らせちゃったり土砂降りの日にルッキングに連れ回しちゃったり材割りでヒバ林を散々彷徨ってヒバのトラウマを植え付けたりしちゃっただけなんだ!!!
おれたちは誰よりも平和を望んでいたはずだ!!!


このままではマズイ、と崖際まで迫られてきたところに
後ろから肩をトントンと叩かれファーブルハウスの鈴木さんが耳打ちで一言。

FH鈴木 悪・魔・が・来・た・り・て・笛・を・吹・く(=逃がさん)

俄然お酒が欲しくなってきた(汗)


この後、我が痴態をマイクを通して晒したのは言うまでもありませんでした。
(注:自分はヒップホップなど歌った覚えはないんだ!!
   あれはラップじゃなくてただがむしゃらに突っ走っただけなんだ!!!)


記事の最初の画像は、
二次会が終わった午前0時過ぎに解散してホテルに戻る際のワンショット。
千鳥足でフラフラになったNo.7を鈴木さんが介抱して歩いているところでした。

その後自分はと云うと、
二次会終了間際に鈴木さんに飲まされたカルピスの原液のせいで頭が痛かったです。





 我が家の鹿 《奄美大島》
さて、今回はアマミシカの現在についてです。

前回アマミシカの記事を書いたのは2年以上も前。
あまちゃんとかもうだいぶ懐かしいな・・・(←前回の記事タイトルが「あまちゃん」)

まず、2年前のその後の展開なんですが、
WF1のセットを組んで難なくF2幼虫を採りまして、行く先の累代障害の対策として同産地のCBF1幼虫ペアも専門店から調達
しかしながらブリードで得たF2幼虫はカップ管理が長引きすぎ結果的にどれも中歯の3cm台以下の♂しか羽化せず、さらに油断を重ねてそのF2の♀が気付けば絶滅していて、唯一生きていたCBF1の1♀と早くもクロスさせる羽目になったのです。
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この時のF2の♂達がコレ↑↑
カワイイのは良い事だけど物足りなさは否めない。

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セットを組んだのは10月終わりごろです。
マスターズの熟成無添加発酵マットに小さく切ったブナ材を埋め込んだセットでそのまま翌2016年を迎えました。

気が付けばケース側面には多数の3令幼虫が犇めきあい、
割出のベストタイミングはまたしても逃してしまっていました。

そして春。
いい加減に割出した方がいいなと思って手付かずのままにしていた産卵ケースを引っ張り出してみると、もういくつもの蛹室がケース側面に見受けられるようになっていました。
こうなってしまってはもう「このままいってしまえ」と放置を決め込みました。
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すでに手が付けられない状況。
このケースをひっくり返す勇気は自分には無かったのです。



冷やし虫家の中で放置を続け、季節は
県内各地を東奔西走し時間を採集にひたすら費やしていた中、様子見にケースを見てみたところ、マットの様子に異変が。

マットの地上部に穴っぽこやら壁際にのような物ができ始め、
日を変えて見直してみるとその穴や道の位置が毎回変わっています。

ついに出てきたか・・・

昼間や夕晩に確認しても何も居る様子は見受けられず、
どうやら真夜中に活動しているようです。
時間帯を見計らってケースを確認してみることにしました。


そして8月の終わり頃のある日の真夜中、
ケースを引っ張り出してフタを開けてみると・・・


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地表には亡くなって久しいF2親♂とCBF1親♀がバラバラになって散らばっています。

そんな中、マットがモゾモゾ動きだし・・・、


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新成虫が出てきました!! 小っちゃ!!!!
2cm余りの♂です。


羽脱してきた新成虫を回収しカップへ個別に移しますが、
この日以降10月まで同じ展開が続きました。

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多い日には一晩で6頭も地上に出ていることもありました。
どれも例外なく100%♂♀全て2cmちょっとの小粒サイズ。


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羽脱が終了ムードになってきた10月23日
最終確認としてケースをひっくり返して出てきた♀2頭をもって、新成虫が全て回収完了となりました。
組んだセットが無添加発酵マット+ブナ枯木と云う栄養価に乏しい内容だったため、変に幼虫期間が延びた個体は居らず、蛹や幼虫は出てきませんでした。
全てを食らい尽くしたと言ってもいい程に、マットの中にはブナ材のかけらも残っていませんでした。


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    結果

          25頭 (♂:15頭 ♀:10頭)

ちょっと興味深かったのは、
8月半ば~10月下旬にかけて羽脱してきた新成虫の内、
9月の間までは出てきたのはほとんど♂個体で、それ以降から段々と♀に偏るようになってきたことでした。
ミクラミヤマやマルバネ他、島嶼のクワガタの生態では
「発生初期に♂が多く、遅れて♀の個体数が増える」とよく聞きますがまさにそんな状況に見て取れた3ヶ月間でした。





 もう一つのアマミシカ 《徳之島》
さて、一旦奄美大島産は休題して時は今から約1年前になります・・・。
去年の12月に突入すると同時にまた別血統のアマミシカの幼虫を手に入れました。



しかし今度は今までのアマミシカとは違うものです。
自身初めてアマミシカ本種の飼育に挑戦しひと夏の思い出となって散っていった、
徳之島の個体です。

 【ひと夏の思い出となって散っていった、徳之島産】
   ⇒ 2010-09-18 『緑の恐怖』


アマミシカは国産クワガタ種の中でも人気が高い方で、分布する2つの島の内で
奄美大島産はよく出回っているのですが、徳之島産においては滅多に流通に乗らないため、6年前の前回徳之島産WILDのブリードを失敗した時にはもう次のチャンスは来ないだろうと半ば諦めていたくらいです。
そんな中いつも見ている某専門店で徳之島産初令幼虫の単品売りを見かけた時にはもうお財布事情など考える間もなく電話をかけていました(笑)

幼虫を4頭注文し、届いたカップのまま管理を続け、
今年の夏には全ての幼虫が羽化しました。



しかし今回もまた絶望的な状況に直面しました。

全部、♂。
あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・

幼虫は全部♂も♀もないような小サイズだから最後の最後まで希望を捨てずに見守っていましたが、結果としてわずか12.5%しかない雌雄偏りの危機にぶち当たってしまいました。

徳之島産という事でネットで探しても同産地が見つけることも叶わず途方に暮れていました。
入手元の専門店も、流石に半年も前の在庫があるワケもなく、
ここで徳之島産の飼育はまたしてもあの時のように急ブレーキでストップしたのです。






ええ、6年前ならそうなっていました。




絶望していた8月のある日、
電話でいつものようにNo.7と虫話をしていた時に徳之島産アマミシカが累代停止になった事を話したところ、
「知り合いの中で持ってる人が居るかもしれないんで片っ端から聞いてみます」
と同産地♀探しを手伝ってくれることになりました。
なんと良い人なんだ・・・
探してもらうにあたって、去年あたりから今年にかけて散々出品されていた詐称個体についても注意するよう伝えたところ「モチロンですよ!」との事。なんて頼りになるんだ・・・
(詐称個体:主に『アマミシカは"13年に採集禁止になったのでこの出品個体(WF1だかの出品)の価値は100倍! さらに徳之島産は珍しいので価値は1000倍です!』とかって書いてたヤツ。この出品者から結構買っている人が多いのでオークションでは今もうどれが本物か判らない)


数日後、No.7から「同産地を持っている人を見つけました」とホントに連絡が来ました!

かくして無事にその方から♀を確保することができ、
ブリードの目処がたったのです。




さて、無事に♀が到着したのですが、
また新たな問題が起こりました。


・・・いや。起こったと言うか、起きないというか・・・


その新たな問題とはつまり、羽化・休眠ズレのことです。
仕入れた♀が4月羽化で既に活動を始めているのに対して、
こっちで羽化させた♂達は冷やし虫家で低温管理して羽化したのが6月~8月、しかもその後盛夏を過ぎてもずっと20℃程度で管理していたせいで完全に休眠状態になってしまっていました。
9月に入り常温管理に移すも全く蛹室から出てくる気配なし。

このままでは♂は来年にならないと動き出さないし♀はきっと寿命が間に合わない。




・・・そうだ、こんな時は!!!




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ツルグレン法 (※違う)


ツルグレン法は一般的な昆虫採集ではほとんど馴染みがありませんが、
昆虫採集の中の一つの手段でして、土中の昆虫の嫌光性を利用し、採取した腐植質や土壌に強い光を当てて中に潜む微細な昆虫を抽出する方法です。
(これを初めて知った幼稚園当時の自分は、まさかこれを応用してクワガタに使うなどとは考えもしなかっただろうナ・・・)


以前もこのツルグレン法モドキでシベルートオキピとかを強制的に活動開始させ無事に交尾・産卵とこぎつけたので、
今回もそれと同様に、休眠中のアマミシカ♂を覚醒させることにしました。

やることは至って簡単。
♂が入っているカップに直近から200ワットの白熱電球を照らし続け、
主に熱によって強制的に蛹室から出してやるのみ。
蛹室の間近をずっと照らし続けると、カップが溶解したり肝心の新成虫が熱死してしまうので適度に休憩をはさんだり底面と天面を交互に照らし替えたりしていきます。

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最初はジタバタするだけの♂でしたが、次第に蛹室を掘る動作に移行しジリジリと蛹室を脱していきました。

完全に蛹室から抜け出したところでカップ内のマットを適度に減らし、
駄目押しでさらにカップの下側→上側→下側→上側→・・・と交互に照らしてマット上を歩き回るようになるまで続けます。



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方法はひとまず成功!
照射を終了してもマット上を徘徊するようになり、後日ゼリーを入れたところきちんと後食も開始していました。





そして今月、満を持して奄美大島産と徳之島産の2産地をペアリングさせ
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産卵セットを組みました。
さて、奄美大島産はさておき徳之島産は無事に次世代が採れるかちょっと目が離せません。
特に♂は高熱に晒したせいで精子が死滅したりしてないか心配です(・・・)

頑張れアマミシカ(♂)!!!
バイ〇グラ!!! 起立!!! 礼!!!


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