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北限のルリクワガタ [日昆 採集記 【2018年】]

 5月5日 この日は休み
ゴールデンウィーク後半3日目。
GW採集皆勤賞まであと半分・・・なのだが、布団の中で絶望に伏していた。

11時~~!!!!・・・・・・・・・


終わった・・・・・・どこへも行けず今日終わった・・・・・・・・・・・・


行こうと思っていたあの山は今から行っても着いた頃には帰宅時間だ・・・

のっそり起き上がり諦めて家に居ることにした。
休養日という事で納得し、ゴホンヅノのエサ交換やウズラの世話で日中の時間を潰した。


だが、この日はそれだけで終わりではない。
次の日の採集の為の大事な下準備が待っているのだ・・・。





その夜、いつものように仲間内での集まりへ。
採集道具の他に、怪しげなビニール袋を持って・・・


明日・ゴールデンウィーク最終日の予定は、No.2No.6を連れて3人で出撃する段取りだ。2人は今回がシーズン初の採集となる。
帰宅開始時刻の問題で、日中の採集時間を確保する為真夜中出発と事前に伝えてある。



パンドラ 「どこに(No.2とNo.6を)連れてくの?」

自分 「それなんだけどさ・・・こんな物を持ってきた↓↓ ・・・・・・ドーン!!!


GWクワガタ採集1.JPG
持ってきたビニール袋から取り出したのは・・・首枕


No.2 「ムダな物を・・・・・・(呆)」



そして、

eyemask.jpg

No.2 「ムダな物を~・・・・・・(呆)」

No.6 (笑)

No.2 「アホだなこいつ」

自分 「さぁ、何をやるかと云うと・・・」

パンドラ 「車中泊?」

No.6 「あぁー~~泊りに? 泊りに行くんでしょ?」

自分 「まず、道中君らには車の中で寝ててもらって」

No.2 「意味ワカンネー 帰るワ~」

パンドラ 「うん、危なくない? それ。
       お前(運転中)寝そうになったらどうすんの? 誰止めんの?」

自分 「そこ!?」

パンドラ 「だって寝てる時にさぁ、事故起こったら大変じゃない?」

自分 「そうなったら・・・寝たまま逝ける(笑)」

No.2&6 (笑)

No.2 「やめてくんねぇかなぁ(苦笑)」

No.6 「気づいたら、『アレ? ここ、ドコ??(あの世)(笑)」

自分 (採集の行先きは)着いてからのお楽しみ」

そう、今回の採集は現地に着くまで行き先を教えないブラインドツアー



パンドラ 「絶対ェ事件性疑われるわ」

自分 「ポイントに入る直前の街でネタばらし」

No.2 「いや・・・いいんだってそういう意味分かんないのは
     おまえがワクワクしてるだけだから俺らなんの得も無いから」

No.6 (笑)

自分 「そうだよ俺がワクワクするために考えたんだよ(笑)」






 5月6日 〇〇へ・・・
時刻は既に午前2時を回っており、出発準備を始める。
自分の車に各人の採集装備を積み込む、勿論、首枕とアイマスクも・・・


自分 「あれ? No.6、長靴は?」

No.6 「いいよ」

自分 「要らない?」

No.6 「うん」


いつものように普通のスニーカー。No.2に至っては、この歳になっても間違えたらサンダルで来ないとも言い切れないがスニーカーで来ていたのは幸いだ。相変わらず身なりを気にしない男達である。

比較的寝やすいシートのはずの助手席は当然のように避けられ、当たり前のように2人は後部座席に乗り込む。


自分 「じゃあアイマスク付けてくれー」

No.6 「うわぁーきたよ・・・」

自分 「・・・あ! もし今コンビニ寄るんだったらまだ付けなくていいけど・・・」

No.6 「あぁじゃあ結構遠いとかだったら、現地に近い所のコンビニに」

自分 「あ・・・駄目、そうなるとネタばれが中途半端になる」

No.6 (今寄らないと)ダメって事?」

自分 「うん。一応(コンビニ無い所だと)ある程度覚悟してほしい。 じゃァ一回寄るか」


エンジンを掛け、車はまずコンビニへ向かう・・・


No.2 「ハァ~~・・・・・・今年も始まっちまった・・・」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


出発した車は近所のコンビニへ。

そして買い出しも済ませ、駐車場にていよいよアイマスクを装着。


No.2 「なんかアイマスクchikuchikuする」

No.6 (笑)

No.2 「あ~chikuchikuする♪♪」

自分&No.6 (笑)

No.2 「あぁ~~・・・・・・・・・ヤバいな(何も見えない)

No.6 「あぁ、死にに行くんだよ多分(笑)」

自分 「隣の車の人、『この人達何やってんだろうね』って目で見てるよ」

あぁだこうだ言いながら、目隠しが完了した両名はお世辞にも快適と言えない後部座席のシートをいじり良いポジションを探り、車は遂に発進。ブラインドツアー本番である。


自分 「 じゃぁ出発します!! 」

No.2 「いやだぁ・・・」

自分 「どっち方面に向かってるか想像しながら――」

No.2 「あぁ寝にくい」

自分 「なんならこっちの助手席に座ればいいじゃん」

No.2 「なんで?」

自分 「シートの形状違うし――」

No.2 「一緒だって(助手席は怖い) 全部一緒だって(助手席は怖い)
     せめてさ、普通の枕ない?」

自分 「普通の枕!? ここで逆に普通の枕??」


発進した我々は、車通りの少ない深夜の道路をひた走る。
車内では懐かしの特撮番組の話で盛り上がるが、この車の行先がどこかと云う現在最も心配な部分について話題が変わる。



No.6 「あ~・・・んー・・・」

自分 「どうした~? No.6」

No.6 「えっと~、どこ行ってんのかなーと思って」

自分 「まぁ、色々と考え巡らせてくれ・・・
     今この所からすると大体方向は4つくらいだよね」

No.2 「4つぐらい!? 4つもあんの?」

自分 「うん、青森市内から動いてるってことを考えるとサ、4つぐらいじゃない? ルート、
     No.6なら大体分かんじゃないかと思うけど、方面・・・的な話」

No.6 「あぁ・・・~」

自分 「先に言ってはおくけど、青森県内だから」

No.2 「青森市内にしてよ」

自分 「市内って・・・!(困)」

No.6 「分かるけど・・・カーブ2回しか曲がってないからさ~・・・」


No.2 「会長ー・・・・・・


GWクワガタ採集3.png

自分 「・・・・・・」

No.2 「・・・・・・会長!!」

自分 「あのさァ(笑)」

No.6 「ニヤニヤしてる(失笑)」

自分 「あのさ、具体的な地名を出さずにちょっと会話を続けて頂きたい(笑)」

No.2 「アレ~? 会長、アレ~?? 乗せられちゃった~??」

自分 「かも知れないし、そうじゃないかも知れない(笑)


No.2 「だってさ~、目ェ隠すっていったらさ~そっちらへんだろ~」


あまりに寝心地が悪かったようで、
横になって寝るべくNo.2が後部座席の足元に、No.6がシートの上にと分かれて眠りだした。


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カフェインの力を借り夜を徹してハンドルを握り続け、
周囲はやがて白みはじめた。





自分の体力もいよいよ限界に達しようと云うまさにギリギリギリのところで、ネタばらしをする中継地点まで辿り着いた。

5時25分

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※なんか、画的に「危ないお仕事」でもしているような光景だが生きているので安心してほしい。



自分 「着いたよ・・・てかその前のネタばらし」

No.2 「・・・えぇ・・・いいよ後で楽しみに待っとく・・・」

No.6 「・・・(アイマスク)取っていいの?」

自分 「ここから目隠し解禁です。」

No.2 「い、いいよ 見ない事にしておくから・・・」


目隠しを取る2人。


No.6 「・・・ぅぇえ・・・?・・・?・・・んん・・・!! 眩し・・・!!」

No.2 「・・・!! なんも見えね・・・!」

自分 「そうかそんなに眩しいか」

No.6 「・・・・・・・・・・・・・・・んぇ・・・?(ここどこ?)

自分 「後ろをご覧ください」




No.6 「・・・ぅ~ん、うん、海・・・?」

No.2 「・・・ウワァ・・・ゥ、海ダァ・・・!」 →  眠

自分 「寝るな・・・(笑) 後ろに見えるアレ、何だか判る?


GWクワガタ採集5.gif

No.6 「北海道。」

自分 「うん北海道。」

No.2 「うん俺ナンも見えない。おやすみ・・・」

自分 「今俺らが居るのはさ・・・風間浦。」

No.2 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どこ そこ?」

自分&No.6 (笑)

自分 「ってなるわな・・・。・・・大間の手前。」

No.2 「・・・・・・・・・オオマ? どこ?」

自分 「下北です」

No.2 「え・・・、もう、・・・もう帰ろう」


下北半島・風間浦村。
ここが今回の小型種採集の目的地である。序盤で察知されていた所為でリアクションが薄いのが辛いところだ。

ひとまずトイレ休憩で外の空気を吸うが、ここまで不眠不休で運転してきたツケは大きかった。一度停まってしまったところから再びエンジンを掛ける気力も無く、今度は3人一緒にグッタリ車内で仮眠を取る事に。


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アラーム ♪♪~~~♪♪~~~

自分 「・・・。・・・~・・・・・・・・・・・んん・・・・・・・。」


ケータイのアラームで起きたのは、寝始めて2時間経った朝8時前
いつもならケータイのアラームでも目覚めない事が多い(!?)のだが、目を覚ますことが出来たのは寝苦しい体勢でいたからだろう。

この狭さでは二度寝する気にもならず、死んだままのNo.2と半覚醒状態で景色に目をやるNo.6をそのままに、採集ポイントへと出発した。


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林道手前の集落(と言ってもここが村の中心部なのだが)を横切り山へと向かっていく。

暫く走っていくといよいよ今回のポイントへと続く林道の入り口に到達
県内でも珍しい、入り口のクマ注意看板3連立がおちゃめな林道である。

去年の初冬に初めて入って以来約半年振りの場所だが、今日はその時以上にワクワクする。標高はみるみる上がり、道はガタガタになっていく。

GWクワガタ採集6.JPG
最初はスギ林も目立っていたが、次第に広葉樹とヒバが入り混じる混成林に変わってきた。

道質もそれなりだが、加えて落石もいたる所で見られるようになってきた。


そして間もなく、落石トラップに行く先を阻まれた。
サイドブレーキをかけエンジンを止める。後ろの2人は・・・寝てるョ~・・・。

手袋をはめ、通行の邪魔になる石をポイポイ脇に投げて退かしていく。落石の他にクラックも道に出来ており、朝から通りたくない道である。
1個1~10kgの石を何十個と延々投げていっても後ろを振り返るとまだすぐそこに車がある。全然進んでない。しかもさっきから何かハエっぽいのが自分の周りに集ってきてるなァ・・・
留まっている個体を見るとハエっぽいけどハエじゃないなこれ・・・ブユか・・・

いつまで経っても起きてこない2人をいい加減起こすことに。ドアを開けた瞬間ちゃっかり侵入してきたブユを一瞥し、脅かし混じりに
「ブユ入ってきたぞ~起きろ~」
と後部座席に呼びかける。最低のモーニングコールだ。

やっと起きた2人と一緒に石拾いを再開した。

No.2 「あ~~痛って。下(後部座席の足元)デコボコして寝にくかったからなコラ」

自分 「そうなんだ・・・俺の知らない俺の車の一面をお前は知ってしまったのか・・・」


GWクワガタ採集7.JPG
道路の邪魔な石も片付き、クラックもクリアして難所は無事通過。
↑↑画像は通過直後の付近で、石はいくつか転がっているがここまでくれば問題無し。


GWクワガタ採集8.JPG
運転する自分に先行して、落石や落ち枝を撤去する2人。
さっきの看板の存在を知ってか知らずか、クマについて一顧だにしない様子。


目標とするポイントはまだ先にあるのだが、残念なことにまた車は進めなくなってしまった。今度は人の手ではどうにもできそうにない。

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残雪である。車で通るためにラッセルなどしていたら採集どころではなくなりそうだし、周囲に残雪が目立ってきたところを見るとこの先さらに雪が残っているのは容易に想像できる。
転回場所もちょうどあるので、ここに車を停め徒歩で進むことに。


GWクワガタ採集9.JPG
周囲はまだまだ立派なヒバが目立つ、相対的に広葉樹はなんだか細く若い物が多いようにも見える。
天気は中々良く、林道の砂利もまあまあ乾いている。

この連休3回目のサウナスーツ、きっと無事には済まないであろう事はもう覚悟していた(笑)
対するNo.2&6の2人は、自分とは違う意味でヤバイ格好だ、
特にNo.6なんてのは『The・ちょっとそこのコンビニまで』である。

鈴をチリンチリン鳴らしながら緩く上りになっている林道を進む、3人と数十匹のブユ。
パタパタと手で払いながら3人でブユ話。
と云っても虫屋らしく「下北半島産の〇〇〇〇ブユは~」なんて話が交わされるワケもなく、

自分 「No.6の周りはほとんど居ないよな~」

No.2 「んだよな~」

No.6 「なんでだろ?」

自分 「誰の周りが一番多い?」

No.6 「会長の周り多くない?」

自分 「まじ!?」

No.2 「うん、スゲー多いよ、蠅の王みたいになってるよ(笑)」


こうして蠅の王ベルゼブブと呼ばれはじめた自分を先頭に、材を探しながら本命のポイントを目指す。
数回の空振りを経る事暫くして、この日最初のルリ材を発見した。

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倒木の表面は非常に少ないがルリの産卵痕が付いている。
このエリアでは初めて見たルリ痕である。

早速3人で注意しながら探りを入れていくがことごとくダミー。

最後の最後に幼虫が出たが、迷った挙句これはノータッチにしておくことに決め、元のルートへ戻り次の材を探す。


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しかし、なかなか見つからない。
材自体は太さも十分な物があちこちに残っているのだが、八甲田と比べるとルリ痕が付いている材の割合は低い。下北ならかなり低い標高でも採れそうではあるが、海沿いから少し内陸に進むといきなり山になり、津軽海峡の厳しい潮風にさらされ易い地形だとなかなか生息は厳しいのではないか、とも思ったりする。
赤枯れ材も、去年来た時は1本だけまともなのが有ったが、その時は不発。今回は全く良さげなのが見つからず、アレはっ!? と思えばヒバ材だ。ルリと違ってツヤハダはおろかマダラさえ生息の痕跡が見つからない。

斜面を登り、遠目には良いと思っていた材はことごとくハズレ。
そもそも昆虫採集ってこれが当たり前なのだが、多産地での手応えを覚えてしまうとなかなか大変に感じる。

標高をだいぶ上げたお陰でケータイにも電波が入るようになったが、
地図アプリを開くと真っ白、この辺は道も河川も地図にも登録されていなかった。



さらに数本のハズレを経て、これまでにないほどビッシリ産卵痕の付いた材を発見。
GWクワガタ採集13.JPG
これで何も出なかったら泣く・・・!!

最初に出した幼虫はやっぱりキープしておくべきだった・・・と後ろ髪を引かれここまで来たが、遂にこの材で大量のヒットを飛ばした。




  幼虫!!   ・・・幼虫!!   ・・・また幼虫!!


幼虫材に当たった。
幼虫飼育が面倒なのでいつもなら幼虫が続いた時点で見限って埋め戻すのだが、下北まで来て土産無しは痛いので、贅沢は言わずにこの幼虫達に狙いを定めた。
No.2にブユの捕殺を任せ、No.6と交代で食痕を追っていく。


 まだ出てくる、・・・また来た、・・・はい出た、・・・うん出た、・・・はい・・・


結構居るなぁ・・・

このくらい出てくるなら、幼虫じゃなく別のヤツ成虫とかも出てくれてもいいんだがな~



ケースに迎え入れた幼虫が2桁を超えて暫らくしたところで、
なかなか太めの食痕が奥から出てきた。

自分 「おっ!!」

この太さならばそのまま生きていればいずれ蛹室が現れるはず・・・
材の表面はキレイだった為、羽脱してしまっている可能性は低い。



自分 「出た・・・!!」

残念ながら成虫ではなかったものの、丸々太った大きな幼虫が出てきた。
この大きさなら確実にこの夏羽化する事だろう。



・・・・・・・・・と、一瞬感動しかけてすぐに冷静になった。

頭がオレンジ色だ。


本当に別のヤツオニクワガタだった。



No.6が代わって探り続けている他のいくつかある太い食痕も、なんだかそれっぽい感じがする。いや、もうこれ確定だろう。

No.6 「鬼が出るか蛇が出るか・・・」

No.2 オニしか出ないけどな


結局、太い食痕から出てきたのは全てオニで、ルリは成虫が出てくる事無く打ち止めになった。

時刻は既に正午を過ぎて久しく、すっかり忘れていた昼食を取り活動再開。
帰宅時間を考えると14時過ぎにはここから戻らなければいけないのだがもう時間はあまり残っていない。ツヤハダやマダラはダメでも、せめてルリの成虫さえ取れればそれで以て瞑すべしと云うところなのだが・・・

しかし、一向に本命のポイントが近づいている兆しが無い。ポイントは一帯が純度の高い広葉樹林なのだが、我々の歩いている周囲はまだまだヒバが多い。


もう道のほとんどが雪で覆われていて、やってることはほとんどスノートレッキングと変わらない。そして、さっきまでは曇りがちなだけだった空もいよいよ機嫌が悪くなってきたようだ、僅かながら雨粒が落ちてくるようになった。既に周囲にブユの姿は無い。



13時半頃
GWクワガタ採集14.JPG
多数の産卵痕が付いた材2本目。
ブログにまとめてしまうとそこそこ沢山あるんじゃないか、と思えてきそうだが、中身が無さ過ぎるんだ実際。
感覚的なところではあるが、ダミー率が高い・・・

前回の記事でも同じ事を書いたが、歩かずにじっとその場で作業していると体が冷えてくる。

自分 ヒィ――・・・今気温何℃ある・・・?(凍)」

No.2 「~・・・、9℃。」

自分 「ぇぇえ・・・!? そんなに高いノ?(寒)」

No.6 「俺らは普通だよ」

No.2 「寒がってるのお前だけだぞ」





さて材の方だが、ちょっと辛い体勢の所で黙々と産卵痕を暴いていく。


が・・・やはり期待とは裏腹に、成虫どころか幼虫すらなかなか出てこな

















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(出)たァァァ!!!!!!!!


No.2&6 「!!!」

No.6 「今日イチの声出たな」


この瞬間は絶対に興奮してしまう。
下北産のルリクワガタなんてネットでも図鑑でも見た事が無い。色は至って普通の褐色系の♀だが、心折れかけた退却間際に見ると女神には違いない。

場所を交代して確認したNo.6から♀を受け取り、ケース内で縮こまった初成虫を見て余韻に浸っていると、




No.2 おぁ!!

自分 「えッ!!? 何」



No.2が♂を掘り当てた。


自分 「おおおおおお!!!!!」


♀が出てきたところより30cmほど離れた位置。
美味しい、この展開は美味し過ぎるぞ・・・

No.2はこの直後、回収をしくじって地面に落としてしまったが即座に見つけ出し無事手中に取り戻した。一瞬ヒヤヒヤしたわ・・・それでなくてももう身体が冷え切ってるのに・・・


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回収した♂成虫。上半身が若干暗色がかっているがこれも♀と同じく至って普通の色である。


時刻はもうすぐ14時になろうと云う頃。
No.2に「上見てみろよ」と促され斜面の上の方を見ると、霧が段々こちらに向かって下りてきているのが確認できた。
渾身の2頭が出た事だし、断続的だった雨も弱いながらも降り続くようになっており、これで心置きなく「戻ろう」と口に出すことが出来た。


GWクワガタ採集17.JPG
斜面はこの通り、根開け穴以外はほぼ全体的に雪に覆われている。車を停めた場所とはだいぶ景色が違っている。


ちなみに、当初目標としていたポイントへは結局辿り着けずに引き返してしまったのだが、後で調べてみたところ、実は目的の純広葉樹林帯・本命ポイントは目前まで来ていたと云う事が分かった。

下山時は皆疲労困憊で一切無言、車まで帰ってきたのは14時半を過ぎた頃だった。
車に辿り着きサウナスーツを脱ぐと、中の服は水に浸かってきたようにビチョ濡れ。このゴールデンウィーク中で最もドロドロだ。
午前中と違い辺りは雨で黒っぽい景色になっている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


下山中もとりあえず車窓から材探しを続けるが、流石にもう時間的・体力的に限界が来ていると車を降りる気にはなれなかった。


ちなみに、ここまで来ていて今更遅い・・・と思うのだが、
今日採ったルリは分布の北限と云う事に気が付いた。

青森県 市町村色分け.png
ルリクワガタは、南は宮崎・鹿児島からこの下北半島まで分布しており、青森県に分布している12種類のクワガタの内では本県を北限とする唯一の種類である。
さらに、下北半島においても本種の生息範囲で最も北に位置すると思われるのがこの風間浦近辺なのである。 (地図上だと大間の方がさらに緯度が高そうに見えるが、大間町北部は平地なので実質ルリクワガタの生息限界の緯度は大間~風間浦間であまり変わらないと思われる)

スゴイだろ!! と自慢したいところだが、分類の細かいコルリクワガタ種群と違って本種は正確な分布北限なんて話題にされているのを一度も見た事も聞いた事も無いのが寂しい。勿論、見栄を張るために風間浦を選んだワケではないのでどうでもいい事なのだが。



この後、無事に体力が切れながらもどうにかむつ大畑のコンビニまで辿り着き、No.6に運転を交代してもらった後、お土産を買ったり、皆で飽きるだけチキンナゲットを食べたりしながら、小雨の陸奥湾沿いを南下。


帰ってきたのは夜20時と、予定していた帰宅時刻を大幅にオーバーしていた。



    結果

          ルリ成虫2頭(♂:1頭 ♀:1頭)
          ルリ幼虫多数

          オニ幼虫4頭


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難関辛苦の末に・・・と言い表すにはややドラマが足りないが、ともかく頑張った成果が今ここにあると思うと、たかが1枚の写真でもずっと何度でも眺めていられる。
風間浦産・・・ルリを初めて採り始めた頃の自分だったら理解の域を超えていたラベルだろう。


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裏返して見ても体色は全くの普通。しかしそんなことはどうでもいいんだなぁ。
翌日は自分の誕生日でもあるのだが、また一つ齢を取る前に最後の大物が採れたと云う風に考えればこれもまた格別である。



ゴールデンウィークもこれで全ての日程が終わり、結果としては3戦2勝1敗とまずまずの内容で終わることが出来た。
個人的には初日の田子でボウズで終わって勝率が6割6分になってしまったことよりも、雨の確率が10割だった事の方が残念(と言うかムカツク!!)でならない。ある意味完全試合だ。

しかもこの間の天気を振り返ると、
3日(出撃) ⇒ 
4日(出撃) ⇒ 
5日(休み) ⇒ 晴れ
6日(出撃) ⇒ 
おまけに連休明けの
7日      ⇒ 晴れ

自分でも「こいつヤバい奴だ」と思うような雨降ら師ぶりだ。狙い撃ちじゃないか。

材採集だから雨でも関係無かったが、次はいよいよマグソが待っている。
晴れてくれないと困るところだが、今はもうちょっとルリの余韻に浸っているとしよう。




・・・あぁ・・・明日からまた平日に戻るのか・・・


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