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スマトラ産を選びたい [〆モーレンカンプオウゴンオニ (原名亜種)]

寝る子も目を覚ます夏・・・と云う事で、寝ぼけ眼に目薬を点して採集に明け暮れ、記事を書くのも久し振り。こんばんは、会長です。

ちょっと前までは、PCのブラウザはインターネットエクスプローラを使っていたのですが、いい加減限界が見えてきたので観念して(?)グーグルクロームを使うようになりました。
それでこのブログに問題があることにようやく気が付いたのですが、画像の縦横が所々滅茶苦茶じゃないですか!! インターネットエクスプローラやサファリがご親切にも画像の回転を修正してくれてただけだったんですねぇ・・・
今後、暇あって気が向いたら、気になる記事から選んで画像の回転を修正していきますが、多分全部は無理じゃないかなァと諦めてますので、画像がおかしいのが気になる場合は違うブラウザを使ってもらえれば・・・


さて、前回まではずっとコクワガタ採集(←この字面だけ見るとなんとショボイことか)記事が続いていたので、ガラッと趣向を変えて今回は増種記事です。
去年から放置して温めておいた内容なのでまた長くなってしまいます。


外国産クワガタの中で、人気度は常に上位に位置しているグループ・オウゴンオニ
クワガタ飼育を多数やっている人であれば、一度は飼ったことがあるという人も多いはず。自分も、10年以上前の高校生時代に2度ローゼンベルグを飼育したことがあります。

しかし自分の場合、その記憶を辿ってみると決して満足する内容で終わったとは言えない恥ずかしいものでした。
最初の飼育が2007年、小サイズのペアを購入しましたが、当時は飼育法も本に書いてある通りに再現できず、産卵セットはしたものの幼虫1頭が得られ、♀が羽化したところで飼育は終了しました。
2度目はこのブログを始めた2009年、この時は失敗から学んでのリベンジとして産卵自体は16頭の幼虫を得ることが出来ました。しかし、カワラ菌床に必要なシビアな管理・交換タイミングなどを間違えた所為もあって羽化できたのは不全の♂2頭。この時の恥ずかしい有り様は当時の記事でも紹介しています。

 【この時の恥ずかしい有り様】
   ⇒ 2010年4月25日 『Oh! Gon!』

その後、ホソアカやシカに熱中し、次第に採集に出向くようになってきたこともあってオウゴンオニ飼育は遠い過去の記憶のものとなっていました。

しかし、記憶と云うのは古くなればなるほど色味を増してくるもので、
人気グループであるオウゴンオニはネットでも雑誌でもSNSでもクワガタを探していればしょっちゅう目に付くので、段々と「あァ~あの時ローゼンまともに飼育して終われなかったんだよなァ~」と云う未練がダムに溜まる水のように年々強まってきたのです。

そのダムも、一昨年~去年でついに決壊し、三度オウゴンオニの飼育に手を出す決意を固めるに至ったのです!
プロローグ長っ



ここで、普通なら
「2度やってダメだったローゼンを、次こそ一世代回してみせるぞ!」
と意気込むところですが、自分らしいというか何というか、
「オウゴンオニだけど、違うのをやってみよう!
と「ローゼンの再飼育」ではなく「オウゴンオニの再飼育」と云うスタンスで飼育種選びに移りました。

オウゴンオニクワガタと云うのは2種5亜種に分けられ、他の主だった人気グループと比べてみると種類としては多くないですが、面白い事にこれら5種類のそれぞれが人気(?)を持っているくらいに独立した存在感を持っています。
(違う喩えで言うと、人気アイドル歌手グループのメンバーそれぞれに固定のファンが付いているような感じとでも言いましょうか)

という事で、まずこの5種類のオウゴンオニの個人的所感と、結果的にどの産地に決めたかを書いていきます(記事タイトルでもう書いちゃってるけど)。あくまで個人的な意見ですから、現在飼育している人で気分を悪くする人がいたら先に謝っときます。

ローゼンベルグオウゴンオニ
Allotopus rosenbergi
さっきも書いたんですが普通なら同じ種でリベンジするものです。
・・・ですがねぇ~・・・他のオウゴンオニも飼った経験も無い状態でさすがに1種に絞るのは、さすがにやる気が湧かない!モチベーションが保てない!
他ではオウゴンオニでも同時進行的に複数種飼育している人も多いようですが、自分の場合は現時点で1種が限界、所有欲求を満たす為だけに最初だけ調子よくあれこれ手を出してた10代後半の頃の失敗はできるだけ繰り返したくない・・・でも違うオウゴンオニも飼ってみたい!と思ったら、きっぱりローゼンは諦めて別種のいずれかに鞍替えしようという話になるワケです。

それと、今さらになってローゼンをやりたくない(モチベーションが保てない)と思う理由の一つが、現地飼育品(幼虫採集品)だと云う事。「できればWILDが欲しい」というのが自分の飼育種を増やすにあたっての選定要素の一つで、他人の羽化させた虫と云うのはどうにもやる気が湧いてこないという自覚があります(これも昔と比べて飼育離れが進んでいる証左なのでしょうか)。現地飼育品も、完全に卵から人の手を借りて育っているわけでなくても、何か抵抗を感じてしまいます。それに、毎月のように大量の羽化個体をストックして日本へ輸出している状況も、なんかアジアの神秘みたいな虫に対するロマンが薄れて感じるんですね。勿論、そのおかげで低価格で手に入る恩恵に預かれるのも分かってはいますが・・・


ババオウゴンオニ
Allotopus moellenkampi babai
オウゴンオニの中でも国内では屈指のブランド力を持っている1亜種で、希少性を窺わせる採集事情・生息事情と、他の亜種に比べて飼育しやすくサイズも大きくなりやすい、そして光沢の強い「ザ・オウゴンオニ」と言える見た目、人気が出ないワケが無い虫です。今の飼育情報発信の主流はSNSアプリですが、それらをちょっと見ていてもババはクワガタ好きが繋がる名刺代わりのようなもので、「ババ飼ってます!」→「イイですね!私も飼ってます、繋がりましょう!」「羨ましいです!繋がりましょう!(仲良くなったら幼虫くれないかな)」「プレ(ゼント)企画やります何か協賛品ありませんか!?」なんて光景はよく目にします。虫仲間作りたきゃババを飼え!と言うくらい、ババが手持ちのカードとして強い存在である様子を感じます。

ただ、個人的にはババにはあまり食指が動きませんでした。
まず、ローゼンの時に書いた「飼育品にあまり手を出したくない」という事。今ババは現地ミャンマーからWILDが入ってない状態で、巷にあふれているのは何代も国内で飼育が回されてきた飼育品。人気種の為大型が出るものなどは血統物としても流通していて、そういうのが多い虫はあまり好まない性格の自分としてはそんな「国内で擦られまくった」虫はあまり魅力的には映りません。
そして、これもババの流通事情で以前から言われている、マレー産モセリとの交雑問題。今ではあまりそういう話をする人も減ったように見受けられるのですが、多分これって「交雑個体が市場から消えた」のではなく、「純粋なババと交雑個体の見分けがつかない(あまり交雑を気にしない)新しい飼育者が増えてきて、単純に飼育する楽しみとしてババを飼っている」のか「交雑問題を危惧する人がババ(もしくはオウゴンオニ全般)から離れていった」のではないかと個人的には思うんですよ。BE-KUWAやKUWATAのバックナンバーでババの写真を見てからネットでババの♂写真を多数見てると、なんか色や光沢具合が変なものが時折出てきます。カメラの性能や写真の色彩バランスが違えばたとえ本物でも混ざっているように見えてしまうんで、自分で判断する事も難しく、そう考えてしまった時点で自分の中では増種候補からは除外しました。


フルストルファーオウゴンオニ
Allotopus moellenkampi fruhstorferi
昔と今で最もイメージが変わったという印象を受ける亜種。まず、この亜種はボルネオ島に分布し、WILDの入荷数もババに次ぐ(もしくは同等の)少なさで希少なオウゴンオニと言ったところ。オウゴンオニの亜種中で最小の亜種で、マレーシア領の基産地周辺の山塊の個体群は♀が黒い事が特徴です。
さて、この亜種ですが自分の記憶では、昔はコアなオウゴンオニファンがモセリやローゼンの流れでコレクション欲求を満たすついでにブリードに挑戦していた・・・くらいのポジションでした。
その後、’00年代中期以降しばらくの間マレーシア側からの虫の輸入がほぼ止まってしまい、’10年代半ば頃に復活するまでの間、代わりにインドネシア側のカリマンタンからたまに入荷していました。このカリマンタン産のフルストルファーが、色形の特徴がやや別物で、市場からは「本当のフルストルファーじゃない!」とNOを突き付けられたような扱いになっていきました。
そして、入荷が再開したボルネオのフルストルファーの扱いは、入荷ストップ前とは大きく変わっていました。以前は「小さい、♀に色が無くてオウゴンオニらしくない、入荷が稀で存在感薄い、他の亜種の方が魅力的」なんて感じでしたが、今はそれがむしろセールスポイントみたいなもので、♂を自分の手で大きくして初の大歯を世に知らしめたい・・・とか、その特徴から交雑の心配をする必要が無い事(幼虫詐欺はありそうですが)、ボルネオ便再入荷ブームも相まってフルストルファーが再評価されることになりました。さらに極めつけは、オウゴンオニの中でもどうやらブリードは最も大変な亜種で、調子が良い♀親でも産卵数は少なく、血を入れ替えていかないとすぐに累代が止まってしまうと云う上級者向けのクワガタらしいと云う事。そこに、ちょっと珍しい虫だと生体価格がポポンと跳ね上がる今の流通事情が後押しとなって、入荷数の少なさで元々そんなに安くも無かった生体価格は常に高止まりで安定するような状況で今に至っています。
・・・無理だろこんな虫ーー!!!!
こんなのやれるんならとっくにウッディ飼ってるわ!!!!
一応ネット上で他の虫の入荷状況を見ている時にフルストルファーもチラッと見てはいますが、そうそう素人が手を出せる状況じゃないっぽいです、ごくたまにオークションに出ているWILDは入札者が殺到するのも当たり前ですが、それよりも入荷前の時点で予約で売り先が決まっている事がほとんどみたいで、新参が入手するとしたら、ウッディやボーリンとかを飼ってる高額種ブリーダーグループが出してるブリード品を入手するくらいでしょうか。結局ブリード品か、やだねぇ。


モセリオウゴンオニ
Allotopus moellenkampi moseri
前の3つは基本的にブリード品しか手に入らないワケですが、このモセリに関しては現在でもWILDが手に入る分ちょっと事情が違います。生息地のマレー半島からは毎年ある程度の数が安定して入荷があり、春から夏頃の期間限定ですがわりといくつかのショップで入荷します。人気種が本種以外にも多数入荷する産地なので、ネシア便の入荷情報更新を怠けているショップでもこのマレー便はきちんとお知らせしてくれることが多いので地方在住の飼育者でもWILD購入の足掛かりは作り易いです。
飼育においても、「似たフォルムながらババの方が人気は上」と云う状況なので、生体価格が異常に跳ね上がったり、流通で溢れかえって飽和状態になる様子もなく良くも悪くも健全なイメージ。飼育もクセがあると云う話も無く、WILD生体価格で予算を20,000~30,000円見積もる必要がある以外は抵抗はありません。

あと他に、モセリと定義するべきかは疑問に思いますが、マレー半島よりもババの分布域に近いタイ南西部から採集されたオウゴンオニも少数ながら国内のブリーダーの間で渡り歩いていますね。これも久しくWILDが入っている情報も聞きませんし、個人的に分類上あまりに意見が分かれすぎていたり謎な扱いの虫は飼育したいと思わないのでこちらは検討から除外。


そう云う事で、わりと購入直前までマレー産モセリと迷い続けていたのですが、最終的に購入したのはこちらでした。






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モーレンカンプオウゴンオニ(原名亜種) スマトラ島 ベンクール州


スマトラ島・・・と言うと、この界隈の地域で比べて言えば「たくさん虫が入荷している『普通』の島」と云う位置付け(?)さらに、スマトラヒラタなんかではアチェ州産や北スマトラ州産が珍重されたりする反面、南部のベンクール州は人気ランキングに入らせてすらもらえないような扱いだったりします。
(すごくスマトラのイメージ下げてるように見えますがそういうわけではありません)
モーレンカンプは、このオウゴンオニの中では一番の普通種とも言える亜種です。幼虫採集品を羽化させて大量に送ってくるローゼンも元々は野外成虫の採集数が僅かである事を考えれば、年間で最も多くのWILD個体が輸入されている事からそれが判ります。
発生時期も一年中なのか、時期によって細ることはあっても年間通じて入荷があるので入手時期も選びません。

ただ、他の亜種と一番違うなァと感じるのは、飼育でのその人気度。
フルストルファーなんかは、小さいくせに希少でブリードも難しいおかげか「そのブリーダーのステータスを表す虫」みたいに扱われていますが、本亜種モーレンは同じく大きくならないオウゴンオニのくせにWILD入荷数が多くて価格も手ごろな所為か「オウゴンオニ好きって言いたいなら一回くらいやっとけば」程度にしか見られてない印象があります。
なんとも不憫な・・・

逆に、そういう不人気種ばかりにあえてスポットを当ててブリードする人たちも中には居ますが、自分が今回モーレンを選んだのはそういう「ひねくれた」理由ではなく、この亜種の虫としての魅力・背景、そして「高額種が嫌」って事と「飼育品が嫌」って事に尽きるのです。(それは十分ひねくれていると言えるんじゃ・・・)

すらっと伸びたモセリやババの大腮もカッコいいのですが、あの図鑑で見る「長歯になっているのかいないのか」もどかしい中途半端な大腮が、ダイナミックさは無くとも面白い造形である事は事実で、長歯型になったら・・・と云う想像力を掻き立てられる見た目をしています。
そして、ローゼンやフルストルファーのような、もしくはそれ以上の寸胴短足体型は、重厚感が強く感じられるんですね。この視点で言うと、ババやモセリは「悪い意味で体型が良い」。完全に言い方と感じ方によるものですな。


また、「オウゴンオニの普通種」と云った表現で文章を書いていますが、コーカサスオオカブト・オオヒラタ・マンディブラリスフタマタ・エラフスホソアカをはじめとした多種多様な昆虫を産するスマトラ島も、我々日本人が思っているほど豊かな自然はそうそう残っていないようです。

ブラジルやオーストラリアではよく知られている大規模森林火災。インドネシア各島でもかなりの件数が報告されていて、かなりの面積が毎年消失しています。
また、産業としてパームオイルや紙の原料を採る為にプランテーションが行われているワケですが、その為の原生林が大規模に伐採されています。ゾウやトラが追い立てられて絶滅に向かっているという話は聞きますが、この話にクワガタなど昆虫は全く関係ないだろうと思う人は皆無でしょう。だからと言って、その恩恵も受けている我々が「森林伐採ヤメロ!」などと言う事は出来ないのですが、この大規模伐採も必ずしも政府や企業で主導した計画性のあるものばかりではないらしく、違法伐採も横行しているとの事。紙製品の産出国を見ると「INDONESIA」と書いてあるものは非常に多く、違法伐採で植えられた原木を使っていない証明として、製品に適法材を使っていますよと云うロゴを打ち込んだりしているそうですが、徹底できるものなのかなァ~と個人的に思ったりはします。
そんな事情を抱え、年々猛スピードで減少していくスマトラ島の熱帯雨林でも、果たしていつまでもこのまま普通種然としたモーレンが同じように存続していけるのか、心配にもなるのです。
(そうして現地環境を危惧する事と飼育する為に現地で採集する事は、若干の矛盾が生じるのですが)


そこから学びたいのは、
珍しくない虫だからと言ってそれを無下にしてはいけないという事です。















ここまで、長々書いてはきましたが、
ちょうどキリのよさそうなところまで来れたので一旦立ち止まって今ここまで記事を書いている段階での自分の正直な感想を述べますと、

なんか文章打ってる内に話がディープでヘビーな方向に逸れちゃってだんだん怖くなってきた・・・!!
今回の記事用写真、沢山有るのにまだ1枚しか出してないんだけど




飼育の話に戻しまして、
今の画像のペアを購入したのは去年10月の話。
勿論WILD個体、採集も落ち着いて生体輸送にも優しい秋の季節です。

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♂個体。
オウゴンオニは種類や産地によって色彩がちょっと違い、主にローゼン・フルストルファー・ババはゴールド系、まさに黄金と云った体色で、モセリ・モーレンカンプはちょっと白っぽいシルバー系の体色で、ちょっと緑色っぽさも混じったように見えますね、微々たるものですが。実物を唯一見ているローゼンと比べても、やはり色の風味?が違う感じです。

サイズは体長40mmとちょっとと云うくらいの小さなもので大腮も三角形です。ここからブリードで大きくしてやる訳ですからむしろこれが良いんですね。
ローゼンと違い、現地では灯火採集で採っていると言われているだけに体表には擦れが目立ちやつれて見えます。あと、残念ですが左前脚がフ節麻痺。こういうのを明記しないで平然と売るからこの業者から買いたくないんだよなァ・・・

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腹側から見た「顔」は、黒ではなく明色だからか、表情さえ見えてきそうな錯覚もしてしまいます。実物を飼っている人であれば、きっと皆この下から頭部を見た時のかっこよさを知っている事でしょう。まァ、これに関してはもうちょっとサイズが欲しいところですけど。

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横から見ると、オウゴンオニの独特な重厚感に見惚れてしまいます。クワガタならではの大腮の迫力とはちょっと違った、純粋に「大きい」と感じさせてしまうものがこれにはありますね。他の大型種と比べても短足な点が、さらに虫を大きく見せているようにも感じます。これぞまさに黄金体型ですね。

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腹側。当たり前ですが真っ金金です。
色虫って意外と背面だけ派手で腹側は地味だなんてパターンもよくありますが、オウゴンオニは表側だけでなくきちんと裏側まで気を抜いていない(?)あたり、「看板に偽り無し」ですね。

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そしてこの後の主役、♀個体。
♂と違って透き通った感のある色味をまとっています。この点で言えばボルネオのフルストルファー以外はほとんど似たり寄ったりなので、特にモーレンだからこうであると云うポイントも無いのですが・・・

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上から見ると、♂にも負けずこの大柄な体型で存在感の強さに見入ってしまいます。


さて、こうしてまじまじと♀個体を見ると、
やはり♂同様に擦れが目立ちます。
WILDの擦れた♀個体を入手する場合に心配なのが、野外で産卵をどのくらい済ませているのかという事。

特に、産卵飼育にあたって見た目上で気になる箇所を注視すると、大変心細くなってきます。その要素を、ピックアップして書いていくと以下の通り。
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①大腮先端の摩耗
画質がイマイチなのにズームにするとかえって判りづらくなってしまったような・・・
背面写真と併せて見てみても、大腮先端の形=擦り減り具合が左右で違うのが判ります。これを見ると、産卵もほとんど完了しているのではないかと不安になってきます。実際には、もっとボロボロで丸くなってるWILD画像も見ることはあるので、これだけでもう空の♀だと判断するのは早計ですが・・・

②頭部~前胸背~上翅の擦れ
多分これが一番見た目で判りやすいところです。オウゴンオニは腐朽材に全身で穿孔していってその中で産卵する虫なので、体表が擦れて黒い部分が多ければ多いほど野外で産卵を多数終えているのではないかと云う指標にできます。
頭部~前胸背板にかけては、元々黒い模様も入ってるので判り辛いですが、光沢が剥げてちょっと灰色っぽい艶消し状になっています。

③前脚脛節先端の棘の摩耗
材内へ坑道を掘る際には前脚で木屑を押し退けたり、掻き出したりするのでかなり負担がかかる部分です。新成虫との比較画像はありませんが、新成虫はもっと長く鋭くなっています。それが、これほど丸くなっていると云う事は・・・不安・・・



オウゴンオニのセットを組むのも久し振りなので、本来であれば自分の考えうるベストな資材を準備して臨むべきなのは言うまでもないのですが、
そこのところが甘くて、一番使いたかった砂埋め霊芝材はこのタイミングで手に入らなかった為に、あり物で済ませることにしました。

・・・休日の昼飯みたいな話になっていますが、使う材は2種類
まず一つ目は、余り物の植菌霊芝材
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見ての通り、鹿角霊芝矢印部分がニョキッと伸びてしまっているほど期間が経っています。
被膜が硬くなってしまっているため樹皮を一部分剥いでみましたが、軟い・・・ほぼスポンジになってる・・・
めちゃくちゃ不安ですが、このままケースに仕込みます。

そして二つ目ですが、今度は産卵木ではなく菌床を使用してみます。
ただし、これも霊芝材と同じく難点が・・・

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使うのはこの430ccのプリンカップですが、これも買ってからかなりの年月が経過しています。捨てずに保管してるのがおかしいレベルです。
カップを掴んでみると中身がフニャフニャ・・・

このカップを単品で産卵床にするのにはあまりに小さいので、ちょっと工作。

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カッターでカップの底を切り抜きます。これを2個用意して、

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2つのカップの底をくっ付け、セロテープで固定します。
そして、これを横置きでセットするのですが、その中へ♀が入っていけるよう3cm四方に壁面を切り抜いておきます。
(出てこれなくて体力を浪費してしまう事態は出来るだけ避けたいと思って、一応それぞれのカップに1ヶ所ずつ作ってみました)

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コバエシャッター中サイズに、埋め込みマットをやや乾燥気味のまま敷き、そこへ植菌霊芝材とカップを並べて入れ、転がらない程度にマットにうずめます。




それから2ヶ月が経ち、年末12月15日
ケースはどうなっているのか、暴いてみました。
(まァそれまでの間ちょくちょく見てはいたけど・・・)


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外から見ていた限りでは穿孔した痕跡も無く、ある時期からは♀の姿が見えなくなっていたので、・・・おっ・・・まさかもう力尽きて死んでしまったのかな・・・と半ば諦めていたのですが、ひっくり返してみるときちんと材を齧っているみたいです。
俄然楽しみになってきました(笑)



CA3I0844.JPG
あ、あれっ!?
大失敗。3個ほど産んだ形跡があるものの全部真っ黒になっていてトビムシのエサになっていました・・・

原因も触ってみて納得でした。
水分が多くてグズグズに軟らかい。
そうだよな~これ随分前の残り物だしなァ・・・
中からは、力尽きた親♀がバラバラになって出てきました。


なお、工作したカップの方ですが、興味を示してちょっと入り口を散らかしたところまでいったのですが結局それ以降見向きもしませんでした。
・・・工作時からちょっと思ってはいましたが、時間が経ちすぎてる所為か菌床からちょっとアルコール臭?と言うかアンモニア臭のような香りがしていたんですよね。


   結果


       古いのは使うな!!!!



これにて、初めてのモーレンカンプの飼育はなんとも味気なく終了したのです。




そして、冬をまたいだ翌2020年3月のある日・・・

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この箱に何が入っているかは、今更言うまでもないでしょう!


あのままで終われるかってンだ!!!!
あの悔しさを忘れない内に早々にリベンジです。

それに、新型コロナウィルスによって海外への渡航が規制された事もあって、今月の入荷個体を逃すと次のWILD便が入ってくのはいつになるのか先行きが分からなかったですしね。


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勢いよく今度は2ペアです。
年中発生していて季節モノでは無い為、卵を持ってない産卵後の♀に当たる可能性も低くありません。前回の♀だって望みはかなり薄かったので、産卵してくれただけでも有り難かったくらいですからね。

それと、
「飼育で大きいの羽化させたいから♂は小っちゃくていい」とか言っといて、ちゃっかり大きめの♂買ってるじゃないか・・・
とか画像を見て言われてしまいそうですが、
まァこれはですね、♂が目的じゃなくて、大きい♀が欲しかったからペア売りで大きい♂が付いてきてしまっただけなんですよ~別に痺れを切らしたワケじゃないんですよ~(笑)


でも、せっかく2ペアも買ってしまったので、管理の為にそれぞれサイズを測ってみることにしました。

KIMG0280.JPG
まず小さい方のペア。
この販売業者はその時の入荷個体のサイズに応じて、大きい順にペアを組んで売り、値段は♂を基準にしている感じです。そうなると、♂のこのサイズにしてはまあまあのサイズの♀かなとも思います。

そして、次は大きい方のペア。
KIMG0282.JPG
いやいやちょっと何これ!?!?

カップにちゃんと46mmって書いてるくせにこの♀39mmしかないんだけど。7mm分どうなっちゃったの? 「多少の計測誤差はお許しください」って7mmはその範囲か!? スプーンおばさんか!?
明らかに検品時の仕分けミスですよね、まさかそう来たか・・・
販売元に連絡しようとも当然思いましたが、この業者はちょっとしたことで取引停止(ブラックリスト入り)にされるところだからなァ・・・泣き寝入り決め込むしかないです。
アルバイトにテキトーな仕事させてるからこういう事が頻発するんだよ!

サイズについては目を瞑るとして、産卵してくれればこちらとしては問題ありません。
参考までに体重を量ると
KIMG0310.JPG
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心折れそう(泣)
参考になるものはないかと、同じWILDの♀体重を量っている情報を漁ってみましたが、3g以上あったりするんですよね。
46mm(笑)の♀なんて2g切ってますからね(↑↑下の個体)


KIMG0309.JPG
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今回はしっかり反省してきちんと準備。
・砂埋め霊芝材
・カワラタケ菌床カップ(新品)
をそれぞれケースを分けてセットしました。


この後、少しの間様子を見ていましたがなんだかしっくりきていない雰囲気(ケースをぐるぐる徘徊して潜っていかない)だったので、1週間後に
・♀個体を入れ替える
・霊芝材は縦置きから横置きに、また水苔ではなくマットで半埋め
と云うやり方で再セットしました。




それから約3週間後。

どちらのケースでも♀は姿を現さなくなっていました。
霊芝材の方については、外から見えている所には全く齧った形跡もなく、またもや地中から材に穿孔したかもしくは本当に死んでいるかなので不安は拭えないのですが、
カップの方は見たかったものを遂に見ることが出来ました。


KIMG0391.JPG
矢印部分、複数箇所に卵が見えています。
黒く死んでしまった卵もありましたが、産卵数も少なくないし、これから隣のカップへ移って産卵する様子だったのでこのまま放置します。


そして、時期もそろそろかなと思った5月21日
全滅していないか心配しつつも菌床産卵のケースを暴きにかかりました。
KIMG0422.JPG
居る居る♪♪
幼虫が見えていますね。左右のカップともボロボロです。

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テープを剥いでカップを分けて覗くと、中にはまだ存命の♀の姿がありました。
(なお、その後この♀にまだ埋めるかな~と期待して、もう1個新しいカップに入れてみたのですが、もう限界のようでそのまま亡くなってしまいました)


割り出しの結果ですが、
まずはじめに産卵を始めていた方のカップからは
KIMG0429.JPG
どれも初令幼虫。

そして、残るもう片方からは
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この内、残念ながら卵は5個中2個は孵化せず死亡、孵化した3頭も常在菌が取り込めなかった所為かマットが食えず後日全滅しました。


そして続く霊芝材ケースも、静かすぎて手を付けるのも怖かったのですが、
KIMG0673.JPG
あぁ、よかったぁ~。
見えないところでこんなに派手な事やってらしたのね。
こちらはもう親♀は力尽きていましたが心なしかとても爽やかな顔つきに見えるよ。

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こちらも満足な結果を得ることが出来ました。
それもそうだけど、霊芝材だから割るのが楽で非常に助かる♪♪
(これに限らず使ってるのはいつも軟材だけどサ)




 最後におまけで… 後日談。

割り出したところで記事を終わっておけばいいんですが、
1度目のビン交換もしてしまったのでそこまでサラッと書いておきます[たらーっ(汗)]

身体の大きさに似合わず意外に成長が早いオウゴンオニは、
これからの時期、早い内に大容量のビンに移しておかないと大きくならないと書かれているので、貧乏ブリーダーなりにちょっと気合を入れて2リットルクラスの容器を多数用意。今はほとんどギラファが居ないのでデカい容器が使い放題です(ちょっと切ない)
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合計8個のブロックを詰め替え(疲)
久し振りでだいぶ手間がかかりました、なんか詰めただけで満足してしまいそう(笑)
以前、銚子オオクワガタ倶楽部から菌床詰め用のガイドパイプを買っておいたんですが、結局使ってない・・・ホコリかぶってる。まぁ今回ほとんどガラスビンだったから形状合わなかったんだけど。

菌糸が回ってちょっと期間を置いた後、
カップや古い菌糸の中で苦しそうにしている幼虫を順次交換していきました。

KIMG1031.JPG
「苦しそうにしている」って時点でダメなんだけどね。
この様子、完全に手遅れだもの・・・

KIMG1029.JPG
ステージは2令後期~3令初期の段階。
同じくカップの中で行き場が無くてのた打ち回るオオクワを尻目に、ひとまずオウゴンオニの交換が完了しました。


ひとまずこれでミニマムサイズになる事は回避できた・・・のかな・・・?
ブログのカテゴリーを一つ増やしてしまった以上、今度こそきちんと羽化まで持っていきたいと思います。




ちなみに、今回記事でここまで使った画像を振り返ってみると
画像合計.png
うわぁ。
ブログのメディアストレージが満杯になるのも時間の問題だな・・・



入荷した在庫 1種類
ブログに載せた在庫 89種類
全ての在庫 14種類



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