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挑む!ハルマヘラ島 -ネブト初攻略への道のり(後編)- [〆プラティオドンネブト (原名亜種)]

 ― 前回のあらすじ ―
2020年2月、インドネシア便の入荷産地として極めて少ないハルマヘラ便が入荷しました。その中からプラティオドンネブトクワガタを2ペア発見、いつかワイルドの外産ネブトで産卵を成功させたいと思っていた自分は思い切って入札へ参加。〈?*?*?***〉氏との競争の末にどうにか1ペアを落札し、多層構造のマットで産卵セットを組んだのですが――・・・





月分のインドネシア便の再出品がまだ行われていた、3月初めごろの事。

島内の詳細産地を知った例のツイッターにて、興味深い「やり取り」が行われているのが目に入りました。
それは、前記事で抱いたある疑問を解くヒント・・・考え方の一つを暗示するものであったのです。


「やり取り」――その内容は、
この輸入業者が、自分のところから生体を落札した人の投稿をリツイートしていて、その中で見ることが出来ました。

今回のハルマヘラ便で、ペア入荷がわずか4件だった【ある高額種】を1ペア落札した人に対し、
「当社で今回ペアで入荷したのは4つで、内2つは中国人と思われる人が落札した。おそらく国内でブリードされるのはあなた含めて2人だろう」
と云う内容をリプライ(返信)していたのです・・・!!

物申してきた相手に対し、自分の手落ちから来るクレームであれキチ〇イや死着詐欺師の口撃であれ即時ブロック、もしくはアカウント公表など派手な事を長年してきただけあって、落札者のプライバシーを守ろうなどと云う配慮は一切無いのでしょう。

しかし、そのおかげで判ったことがありました。
実はその【高額種】、自分も金額の動向をチェックする為に4ペアともウォッチリストに入れていたんですね。言うまでもなく、誰が落札したか確認しましたよ。



――そうです。察しが良い諸兄ならば既にお分かり頂けたかと思われます。

その2ペアを落札していたのが、
〈?*?*?***〉氏だったのです。

生き虫界隈で、風の噂でこんな話を聞いたことがあります。
「日本国内で出回っている外国産生体(日本産含む)を大量に仕入れ、台湾・中国・タイなど生き虫需要が伸びている国へ送る」
防疫の問題や航空路線の問題など、同じ事は日本でもやってはいます。ただ、日本から虫を調達する場合においては数々の利点がある事が想像できます。
その最たる理由は、日本が昆虫飼育&採集&輸入大国であることに尽きます。世界中から虫を輸入している日本ただ一国から虫を持ち出せば、わざわざインドネシアからカメルーンからペルーからと、原産国からチマチマと入手ルートを開拓する必要は無いワケです。日本の虫も人気無さそうに思えて、実はカブトムシとオオクワガタなんかは国外へ結構な量が持ち出されているらしく、この場合においても他国と違ってブリーダーもしくはキャッチャーを見つける事は大変容易。その人口が多くSNSもネット販売も共に盛況ですからね。

これを勘案すると、〈?*?*?***〉氏に対して浮かんでいた疑問――「なぜあんなに様々な種類の虫を落札していたのか?」――その動きはまさに、輸出用生体収集そのもの。
飼育用ではなく販売用だから、入札している種類も数もやたら多く、市場が成長中だから高額生体でもバンバン入札出来ると云うワケ。
勿論、推測の域を出てはいませんが個人的には納得できる理由です。

そうなると、今回のプラティオドンも我が家にいる1ペアを残してもう国内には残っていないと云う事になってしまうのですが・・・怖わっ・・・


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そんなこんなで、
かくしてハルマヘラ便は、この4,000円台にまで落ちたアエノミカンス&最初からそんなに高くなかったテルナテヒラタを以って終了するかに見えたのですが――・・・




第4章 第2次 入札戦争
れ残り追加再出品のハルマヘラ産生体が無くなってからまだ数日しか経っていない、3月第2週の事でした。



  「今月もハルマヘラ産入荷」



前回の1便こっきりでハルマヘラの生体は終わりかと思われていた事もあり、SNS上では様々な反応が見られました。
特に、2便目が来たことで前回より価格が落ち着くことに関する話が多く、1便目で大枚はたいて買った事を後悔した人、高くて手が出なかったハルマヘラ便を今度こそ手に入れようと意気込む人、入荷が連続した事で希少性が薄れ興味が薄れてしまった人・・・

久し振りとは言え、2回目の入荷でやや食傷気味になってしまったハルマヘラ島産生体でしたが、輸入業者の説明ではどうやら今回の目玉はそこではないとの事。
なにやら、また別の珍産地が入荷したのだそうです。

バチャン島
カシルタ島

いずれもハルマヘラと同じモルッカ諸島の中にあります。
(地理的な位置関係については前記事にあります)
2つとも小さな島で、ハルマヘラ島以上に生体で虫が入荷しない産地。入荷した種類を見ると、
・テルナテヒラタ
・メタリフェルホソアカ(アエノミカンス亜種)
・ウォレスノコギリ
・トラグルスノコギリ(原名亜種)
と、先月のハルマヘラ単便のメインと同じです。
違う島とは言え、メタリやトラグルスも現在の分類上ではハルマヘラと同じ亜種。

果たしてこれらが市場でどういった目で見られるか気になるところではありますが、自分はそんなことよりももっと大事な虫に注目していました。


そう、今回もハルマヘラ島のプラティオドンネブトが入荷していたのです。

③ハルマヘラ産WD ♂31mm ♀22mmペア [3月18日 13時48分 開始]
④ハルマヘラ産WD ♂29mm ♀21mmペア [3月18日 14時5分 開始]
今回も同じく2ペアが入荷しました。少ないとは言え入荷してくれただけでも有り難い事ですね。
ペアと云う事は、多分材割ではなく樹液採集でしょうね。同じく樹皮やウロに居るテルナテヒラタを採り集めている最中に、副産物的に得られているものだと推察できます。(ハルマヘラ以外の島からはプラティオドンの入荷はありませんでした)

ただ、前回あれほどの金額が付いた事で味を占めたのか、開始価格が今回は20,000円スタートとちょっと上がってます。「どうせこのぐらいでも入札するんだろ~?」ってか!?
・・・しますよ・・・入れてやりますよ!


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それから数日後。

2回目と云う事もあって、ハルマヘラ産の価格帯もやや抑え気味で、
・メタリフェル・・・5,000~8,000円ほど
・トラグルス・・・・11,000~13,500円
・ウォレス・・・・・18,000~20,000円
今回は前回にも増して多数のペアが入荷した事もその一因でしょう。

そして、バチャン&カシルタ両島の虫も、
・メタリフェル・・・6,000~10,000円ほど
・トラグルス・・・・9,000~12,000円ほど
・ウォレス・・・・・20,000円ほど
とハルマヘラよりはやや注目されていたものの、入札者各氏も冷静に落ち着いていてこの辺の価格帯から飛び出すことなく終了していきました。「ある虫」だけを除いて――


大本命、プラティオドン。
前回の落札額を知っているからでしょうか、今回の入札者は始めから自分とヤツの2人のみ。
そう、ヤツ――〈?*?*?***〉氏はやはり今回も参加してきました。

向こうもきっと、前回と同じ相手であることを意識しているはず。
前回55,000も出して1ペア落札してるんだから、今回はそれほど執着無いだろう・・・


終了間際の展開も前回と同じ、延長、延長・・・その末に――
③♂31mm ♀22mmペア・・・3月22日 1時00分終了 38,000円(税抜)
④♂29mm ♀21mmペア・・・3月23日 1時40分終了 56,000円(税抜)

どっちも負けた・・・
今回もタイミングギリギリで入札していたのですが、集中力の欠如か、目を離した隙に2件ともうっかり時間切れになると云う凡ミスを犯しました。この間抜けめ。
前回に引き続き、〈?*?*?***〉氏の財力には手も足も出ません。前回の一番最初の1ペアは、氏がムキになる前に偶然落とせただけなんでしょう。多分③のペアも、こちらがしくじらなければ6万くらいまではいったと思われます。
中国か香港か台湾か分からないけども、そんなに今ネブトがアツいのか??


こうして、ハルマヘラ第2便は終了、結果的にここまで4ペア入荷したプラティオドンの内3ペアは〈?*?*?***〉氏の手中へと収まったのです。
(そして一方自分は、プラティオドンの代わりにリベンジ用のモーレンカンプオウゴンオニに手を伸ばしたワケです)

こうなったら、自分としてはこの1ペアを大切にすることと、3回目のハルマヘラ便が来る事を願う他ありませんでした。





ころが、翌4月には絶望的な展開が待っていました。

まだ記憶に新しい、新型コロナウィルスによる空港の出入国制限及び停止。
これにより、インドネシアからのワイルド生体の入荷が停止してしまいました。
3月当時、「まだハルマヘラ周辺での採集は継続されている」との噂があったので、この事態にはただただ嘆息するほかありませんでした。
メタリやウォレスもすっかり安くなってしまったので、今年の便が終わってしまえばもう暫らくはハルマヘラから虫は来ない――自分でなくとも、そう思う人は少なくなかったハズです。


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て、国内外の情勢はひとまず置いといて、
貴重な1ペアの産卵セットも1ヶ月半が経過していました。

KIMG0346.JPG
♀は健在。しかし、外観から判断するにこれはうまくいってなさそう・・・
度々様子を見てはいましたがあまりしっかり潜っている感じには見えませんでした。おまけに、恐れていた事態――コバエが内部で発生、原因はおそらく食べカスのマットに幼虫が残っていたものと思われます。

ひっくり返してみてその予感は的中。
マットの深い層には一切潜っておらず、浅い部分だけちょこちょこ潜ってすぐ出てきていた模様です。
夢の大プラティオドン帝国はあえなく破綻しました。
手間を掛けて仕込んだだけに、精神的疲労は大きい・・・


しかしそうは言っても、これで燃え尽きてはいられません。
KIMG0348.JPG
今度は、1400ccクリアボトル底部にコバエの発生していない別の食べカスマットを、そして上にはNマットと赤枯れマットを混合して、内部に赤枯れ材をブロックのまま入れてみました。
最後に転倒防止材とゼリーを入れて完成。

前回のセットでは潜らなかった事が一番反省点として大きかったのですが、その他に、意外とゼリーを食べなかった事が気になりました。
ネット上で調べてみると、それはどうやら産卵モードに入っているから・・・と云うワケではなく、自分のよく使っているゼリーが実はネブト好みではないからなのだそうです。

そこで、ウェブ上のヒントを基にあるゼリーを発注して与えてみると・・・
正解! 人が違ったように(虫が違ったように?)ゼリーにむさぼりつきました。

次こそ産んでくれよ・・・!




第5章 3度目のハルマヘラ便
回の3月便を最後に輸入がストップしてから約3ヶ月。



  「インドネシア便再開」



6月下旬、日本全国?の生き虫屋がこのニュースに沸きました。
普通種のアルキデスヒラタやセアカフタマタでさえこの時ばかりは眩しく見えた人も居たようです。

個人的に最も嬉しかったのは、輸入停止期間中に終了してしまったと思っていたハルマヘラ便がまた入ってきたという事でした。今回も、目的のプラティオドンが含まれています。
さらに、前回同様にまた違う島――モロタイ島からの虫が入荷。これが今回のハイライトでした。

ハイライトと言っても、前回のバチャン島&カシルタ島よりもその衝撃度合いは遥かに上。
何故かと云えば、それは

・メタリフェルホソアカ(オオタニ亜種)

メタリの別亜種がこの島に居るのです。
過去の入荷量を推察しても、圧倒的にアエノミカンスより少なく、今回のこれに関しても入荷は僅か4ペアと2♀♀。

また、今回はプラティオドンもモロタイ島産が入荷してきました。
こちらは、別に亜種が違うと云うワケではありませんが、ハルマヘラ産と違って飼育品が長らく国内で出回っています(あくまでネット調べですが入荷したのは2005年頃らしいですね)。その血の入れ替え用にと考えると、ハルマヘラ産より注目度は上と思われます。
その他モロタイ産&ハルマヘラ産としてテルナテヒラタ、トラグルス、ウォレスなども入荷してきて、輸入再開も後押しとなって盛り上がるのは必至です。


個人的には、ハルマヘラ便も本島産はだいぶ価格がこなれてきて、そろそろ入荷は終了するのではないかと不安でした。
そろそろ・・・と言うか、
実際は現地での採集は何ヶ月も前に終わっていて、今回の入荷分は「現地で長期間ストックされていた見切り品寸前の虫」ではないかと推測。
つまり、今回がラストチャンスその可能性が極めて高いと睨んでいました。


今回入荷してきたプラティオドンは、

⑤ハルマヘラ産WD ♂31mm ♀B品21mmペア [6月30日 0時35分 開始]
僅か1ペアと云うギリギリの入荷。しかも♀は左前脚フ節が欠けています。

そして、自分はノータッチですが片やモロタイ産はと云うと、
⑥モロタイ産WD ♂20mm ♀23mmペア [6月30日 0時39分 開始]
⑦モロタイ産WD ♂27mm ♀23mmペア
⑧モロタイ産WD ♀24mm単品
の3件。

今回は、入荷停止期間の負担等もあってか、毎度お馴染みの安価な種類でもスタート価格がやや上がり気味。
プラティオドンに関しても同じ事が言え、スタート価格がさらに暴騰。
・ハルマヘラ産・・・25,000円スタート
・モロタイ産・・・・30,000円スタート
新型コロナではないにしろ、そろそろこちらも血を吐いて倒れそうです。

――何にしても、結局今回も入札はかけるのですが、
おかしい事に〈?*?*?***〉氏が反応を見せません。


そして3日目、終了時刻が迫るにもかかわらず、最初の25,000円のまま誰一人として入札に参加してきません。

やがて所定の終了時刻、7月2日 22時32分がやってきて――



おめでとうございます!! あなたが落札しました。



あっけなく終了。
そのまま落札できてしまいました。誰も来なかったのはもしかして、♀がB品であることに忌避感を覚えたからなのでしょうか・・・?

何はともあれ、こうして2ペア目を無事に迎え入れることになりました。
KIMG0850.JPG





方、モロタイ産のプラティオドンですが、
意外な展開を見せていた事がその後判りました。

3件出品されていた内、入札があったのはなんと⑥のペアだけ。
しかもその⑥の落札者はかの〈?*?*?***〉氏、しかも初回入札による落札でした。ハルマヘラは3ペアも落札したのでこちらにはもう満足したのか、はたまたモロタイ産ならばメンドくさい競争もしなくて済むと踏んで切り替えたのか・・・そこは定かではありません。

残った⑦と⑧は後日再出品で半額スタート。
しかしこの時に至っても入札による競り合いは起きず、⑦のペアだけをまたしても〈?*?*?***〉氏が一発で落札。15,000円でした。

さらに再出品のまま1ヶ月経ち、⑧の♀単品は見切り品として1円スタート
5,000円ちょっとまで上がり、今度は〈?*?*?***〉氏ではない別の人が落札すると云う寂しい終わり方を迎えたのです。
モロタイプラティオドン、皆そんなに累代品で満足なのかねぇ? 幼虫出すとも限らないのに・・・ 日本人の体力の無さが垣間見える出来事でした。(俺も他人の事言えないけどさ)


また、その他のモロタイ産生体は、
・オオタニメタリ・・・ペア20,000~23,000円ほど、♀単15,000円
・ウォレス・・・・・・最初30,000円ほど、再出品で約20,000円以下へ
と、やや高めですが思っていた以下の金額で終了していました。特にメタリ。
やはり、長期ストック品ではないのかと不安視されたせいか、また次が来てもっと価格が下がると思われたか、・・・それとも、前回までの入荷数により皆ハルマヘラ熱が沈静化したとか・・・


ここまでを集計すると、今年ハルマヘラ便として入荷したプラティオドンは、
・ハルマヘラ島 2ペア
・モロタイ島 1♀
しか日本国内に残ってないって事じゃね!!?
モロタイ産1♀を落とした人が何者かも分からない以上、それすらも国内に残ってない可能性だってあるワケですが・・・




最終章 最後の切り札
て、落札した2ペア目をどうやってセッティングするかが悩ましいところです。
実は、1ペア目の方の1400ccボトルは、壁面から眺める限りマットが動いている気配が無いんですよね。

♀がハズレである可能性も大いにあるのでセットの問題とは言い切れないのですが、1回目と2回目のセット内容も材料自体は変わり映えしていません。
もっとドラスティックに、違う産卵材を使ってセットを組む必要性を感じていました。


そこで、前々からうっすら考えていた「ある可能性」に焦点を当てることにしました。
クワガタ飼育としてはかなりイレギュラーな物ではありました。
しかし、調べてみれば「絶対にありえない」と云うワケでもない。


どこで調達しようかと、ヤフオクで検索してみると
・・・・・・おおォ、あった!

こういうのを買うのは初めてなので、
出品者と質問でやり取りし、詳しい内容を聞いた後、購入!
入金作業のためコンビニへ行きます。












KIMG1225.JPG
「ヤマトシロアリ 500匹以上」

ちょッ[あせあせ(飛び散る汗)] ハッキリ書くなよ(恥)
あ~ローソンの店員さんに見られたなぁ~
こんな事なら家から遠いトコでやるべきだった~


・・・と云う事で、
産卵材として「ある可能性」に賭けて調達した物とは、シロアリでした。

正確には、シロアリではなくシロアリ材ですね。
自然界においてネブトクワガタは好白蟻性。野外でシロアリが営巣している(またはしていた)倒木下もしくは内部に幼虫や成虫が発見されています。
(ネブトクワガタにおいて、完全にシロアリに依存しているとは言えないので「好白蟻性」と呼ぶのが相応しいか疑問に思ったのですが、荒谷邦雄氏が「日本産クワガタムシ類の特性と外国産種の定着可能性・影響予測について」の中でそのように位置付けている為、本記事でもそれを踏襲することにします)
プラティオドンネブト自体についてはシロアリの関係性を示すものが見つからなかったのですが、日本国外においても他種のネブトクワガタでシロアリ材から観察されたものが少なくありません。少なくとも悪い方向には働かないだろうと思ったワケです。

そうは言っても、ネットで探してもシロアリ材なんて単体で売ってません。
苦肉の策として、爬虫類用のエサとして売られているヤマトシロアリを買い、その管理材として少しばかり付いてくる端材を使うしかありません。
(ちなみに、一般的なシロアリとしてヤマトシロアリとイエシロアリの2種類がありますが、両種は生態が違い、ネブト飼育に向いているのは前者のみと思われます)
出品者は、常時出品しているプロ?の方らしく、こちらの「ちょっと材を多めにお願いします」と云う無茶振りにも応じて頂きました。


ただ、ここからが大変です。

伝票の品名をうま~く誤魔化して送ってもらい、受け取って開封。
KIMG1176.JPG
おお。シロアリだ・・・
どっからどう見てもシロアリだ・・・

この瞬間から、家人には絶対にバレてはいけないのです。絶対に。


梱包形態として、ヤマトシロアリ500匹が200ccカップ×2個に材と一緒に詰め込まれているのですが、さすがにこれをそのままベースのマットに混ぜ込んで♀を投入するワケにはいきません。
ネットで調べてみると色々情報は出てくるものの、ネブトの個体数に関しては
「シロアリが多く居る材より、少ないかもしくは放棄された材の方が多い」
と書かれているのが気になったからです。
これは、
シロアリが多いと、クワガタの卵や幼虫が攻撃を受ける危険が高い
食べ尽くしたために材からシロアリが減り、クワガタの栄養源とするシロアリ分解後のフンが豊富
などといくつかの可能性が考えられるのですが、
初めての試みでもあるので念のために大事を取り、材とシロアリを分ける事にしました。

KIMG1178.JPG
空の200ccカップと、マットと材を入れた1400ccボトルを用意し、
シロアリはボトルへ、端材はカップへ入れていきます。
タライの中でやるのは、うっかりシロアリをこぼして部屋の床に落とさない為です。
(大害虫イエシロアリほど危険性は高くないですが、念には念を・・・)

KIMG1205.JPG
端材は細かい上にベトベトなのでピンセットで摘まみ、くっ付いているシロアリを筆で掃いていきます。この作業、とにかく根気が要るので辛いんですよ。
筆使いはやさしく撫でるようにやらないと、軟らかいシロアリは潰れてしまいます。と云うのも、まだこの後も頑張って産卵材を生み出していってもらう為。そう易々とゴミにはしませんよ。
その上、ピンセットで木端を摘まむと、警戒してシロアリが木の中に引っ込んでしまい出てこない。出てくるまで待ってみますが、どうしても出てこない場合諦めてそのままカップへ移してしまいます。
底の方に溜まったカスも、ティースプーンで少しずつ掬い取ってカップへ移します。

そうしていって、2個のカップを実に2晩かけて処理しました。
数はそう多くはなかったものの、兵アリも何頭か見つかりました。クワガタを攻撃するのかは不明ですが、幼虫(職蟻)よりは有害そうなので取り除いて正解でしょうね。

KIMG1206.JPG
これを、1500ccブロー容器へ純粋なNマットと一緒に混ぜ込んで軟詰めします。
混ぜ込むと言っても、♀親へのシロアリ材アピールとして純度の高い場所を作る必要があると考え、

シロアリ材セット.png
地上付近中央部に集中的にまとめました。
これでマットの仕込みは完了です。


KIMG1208kai.JPG気になる今回の♀の状態。
フ節が1本欠けているのでヨボヨボの個体かと思いきや、動きもわりと機敏、他の脚は爪の先までよく動き、擬死行動もガッチリ固まります。
1ペア目の♀と比べても、頭部にグラつきが無いように感じます。



KIMG1210.JPG
しっかりエサも食わせ、満を持してさぁ、行ってらっしゃいと♀を投入。






と、順調そうにセットまでの経過を書いたのですが、
白状しますとこれ今月8日の話なんですよね。

はい、7月初めに到着してからここまで実に2ヶ月の期間を無駄に経ていたのです。
到着時のカップに入れたまま、常温で放置していました。
記事の前編で偉そうに自分が書いた事をいきなり無視しましたね~
飼育者としての質が――って、真っ先に自分に返ってきましたね~
いやぁ、なんせこの時は完全に採集モードでしたからね~

(あの暑い中を耐え忍んだのは「さすがネブト」と言ったところですね)





んな事で大丈夫なのかよと、またしても諸兄の失笑を買う羽目になるかと思っていたのですが、
セット後わずか2日目にして事態はいきなり進展したのです。



KIMG1223.JPG
!?☆?Й!@#%?!?!!
産卵のサイン、円い坑道がしっかり出来上がっています。
しかも、その中心には白く光る卵まで見えています。

そして、さらに驚くべきは、


KIMG1221.JPG
もう既にそれが360°全面に出来ていた事。


・・・勝った・・・!!!



それからわずか数日で、親♀が頻繁に地上に出て歩き回る行動が目立ってきました。
これは、新たな産卵場所を探している行動ではないかと思われます。


--------------------------


現在、このボトルは親♀を取り出し、そのまま保管して様子を見ています。
そして、これから2セット目へと投入するところで、今回の記事はこれにて終了。
次回はその産卵結果を報告したいと思います。


――それらが全部、シロアリに成り替わらない事だけを祈りつつ。



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