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青森県産コクワガタ市町村巡り 2020年総集編 [日昆 採集記 【2020年】]

新年1回目通算701回目の記事となります。

今年の冬は全国的に積雪や暴風雪に見舞われていますね。去年の暖冬小雪が恋しくなります、これが同じ国かと疑いたくなるほどです。
・・・とは言っても、青森に関して言えば昔はこんなのが毎年普通だったワケで、特別厳しいってほどじゃないんですよね(苦笑)

さて、2021年一発目の記事は、タイトルの通りコクワ採集です。
近年、冬場は専ら飼育ネタばかりを取り上げていましたが、去年は盛夏から秋にかけての採集シーズンにインドアな記事ばかり書いていました。その調整・・・と云うワケではありませんが、コクワについては書きたい採集(と言うか、後々自分が忘れてしまわないように遺しておきたい)が多々溜まっていたので、冬の間にまとめてから2021年つぎ へ進みたいと云うふうには去年から考えていました。
ちなみに、オオクワヒメオオについては、新規開拓も失敗し内容も薄いのでスキップします(恥)
なお、2020年の目標に掲げていた佐井のヒメオオに関しては、次回の記事で書くことになるでしょう・・・!(多分)


そのコクワ採集2020総集編ですが、今回取り上げるのは以下の場所に限ります。

♀は採っていたが、♂が未採集だった市町村
♀も含めコクワガタ未採集だった市町村

これら以外の市町村でもコクワが採集出来た所はありますが、
そこまで書いたらこの記事きっとフリーズすると思います。

そして、♂が採集できた順及び♀初採集順で市町村ごとにまとめたのですが、
当時から期間が空いてしまったので、詳しい状況や行程を忘れてしまったものも多々あります。老いでしょうか・・・

各市町村ごとに、

地域の概要:地理的な特徴や自然環境、他に郷土の特色についての説明です。青森県外の方にも出来るだけ分かりやすい観点で、時に俗っぽい内容も織り交ぜたつもりです。
採集:その市町村で、主に生体が採れた日の採集行程を書いていきます。それ以外でも複数回当地へ行っている場合がありますが、それらは割愛します。また、本筋から脱線した部分もありますがご愛嬌。
採集を終えての感想、その後:目的を達成して(もしくは採集を終えて)から、その市町村での採集に関する感想や現在に至る経緯、難易度についての所感を簡単にまとめます。また、幼虫採集分のその後の羽化報告も書いています。

の3つの項目に分けています。


ご 注 意
本記事を一度に最後まで読むと、あなたの健康を害する恐れがあります。次の人は、数回もしくは数日に分けてお読みください。
 ・長文記事を読むと気分が悪くなる方
 ・じっくり読む時間がない方、または長い記事だと流し読みする方
 ・どうせこの次は暫らく更新しないことを悟っている方

「地域の概要」の項では一部失礼で不適切な表現が含まれておりますが、一個人の意見であることを前提としてお読みください。

主にコクワガタしか出てきません。
どこかでオオクワガタとか出てくるかもと期待しないでください。

時折、あたかも苦労したことを強調するような表現をしていますが、実際苦労しました。「〇〇産?コクワなんて普通に採れたよ(笑)」などと報告しないでください。凹みます。コクワなんだから採れて当たり前なのは分かっています。



三沢市
地域の概要
人口39,259人(2020年11月時点)
上北地域(県の中東部)に含まれ、太平洋に面した平地と少々の台地から成り立っています。
北部には、ラムサール条約に登録された湿地帯・仏沼(ほとけぬま)があり、貴重な生物が多数生息し保護されています。

また、三沢市と言えば、アメリカ軍駐屯地が在ることも特徴で、県民でなくても軍事マニアの方ならよく名前を知っているのではないでしょうか。前記の人口に加え、8,000人ほどのアメリカ人が居住しています。


採集
この時の内容については、全容を既に書いてありますので以下にリンクを貼っておきます。

 【2020年3月8日 三沢市コクワ採集】
  ⇒ 2020年6月13日 『2020年の挑戦 ー青森県産コクワガタ・上北地域2編ー』


採集を終えての感想、その後
この採集では当時、7頭の幼虫が採集できて安泰だと思ったのですが、実はその後も暫らくの間は安心できませんでした。

なにしろ、
1・2令の♂♀分別の為に様子見で入れていた120ccカップの中で、あっという間に小~さな小ぃ~~さな蛹室を作ってしまうヤツが続出したワケですから。
えぇ、採ってきた幼虫の中に多数のスジクワガタが混じっていたのです。

その中で、幸いにもコクワサイズの3令幼虫が2頭残りまして、菌床430ccカップに投入したのです。食痕は出ていましたが中が見えないまま年が明け、つい先日掘り出した結果がこれです↓↓
三沢市産コクワガタ
2頭とも羽化しており動き出していました!
うまい事♂♀ペアになってくれました。残念ながら♂は完品ではありませんでしたが、標本として残す分には大きな問題ではありませんのでギリでセーフです(翅パカだったらヤバかった=また今年採りに行かないとダメになる)



これまで三沢市には、夏場に地図を頼りに何度も挑んでは、惜しい結果だけ抱えて空しい帰路に就く事を繰り返していました。まぁ、指折り数えられる程度ですけども・・・
地図上で目途をつけても、カブトムシしか居なかったり・・・「ここで採れる」って外灯は地元では有名になっているので、自分が来たときにはもう採られた後だったりするんですよね。

市部で競合者も少なくなく(多くもないとは思いますが)、土地も狭く限られているので簡単ではなかったです。



横浜町
地域の概要
人口4,389人(2020年12月時点)
上北郡。下北半島の「のど」の部分に位置し、陸奥湾に面しています。
町の東部は下北丘陵の山岳地帯で、町民の居住は専ら陸奥湾沿いに集中していて、人のいない内陸部には風力発電が行なわれていたり農地が広がっています。
横浜町の農地の話から繋がりますが、この町で一番有名なものと云うと、思い付くのはアブラナ。春には菜の花畑の黄色い絨毯が町内の所々で見られます。

「横浜」と聞くとまず神奈川の横浜市が思い浮かぶと思いますが、
こっちの横浜もまたイイ土地だと思いますよ!
(冬場は幹線道路がしょっちゅうホワイトアウトするけど)
(人口減少で次々に小学校が無くなっていってるけど)
(大きな買い物する時はむつ市か野辺地町に行かないとダメだけど)


採集
この時の内容については、全容を既に書いてありますので以下にリンクを貼っておきます。

 【2020年5月23日 横浜町コクワ採集】
  ⇒ 2020年6月13日 『2020年の挑戦 ー青森県産コクワガタ・上北地域2編ー』

さてこの時の採集には続きがありまして、
コクワ採集が一区切りした後そのままルリクワガタ採集へ突入した事を記事内でも書いてあります。

「その件については、またいずれ書くので・・・」みたいな濁し方で記事を結んでおきながら別に続きを書く気は無かったんですが、画像もけっこう残してあったし、ある程度書いてもマネする人は居ないと思うのでこの際ぶち込んでみます。
(コクワの話はどこへやら・・・)



  5月23日

なんとかコクワが採れて緊張が解けて燃え尽きてしまったのもあって、ターゲットを変えてこの時期らしくルリ狙いにする事にしました。
時刻もまだ午前10時半過ぎ

この横浜町には前々から興味を持っていた山があったので、
薮の薄い今の時期をチャンスと捉え、車を走らせました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


下北丘陵には、高い山と言えるものはありません。
地図を開いてみると、月山(▲419m・六ヶ所村)、石川台(▲339m・むつ市-東通村)、吹越烏帽子(▲508m・横浜町)などとこのくらいの標高の山ばかりで、最高でも金津山の520mまでです。

ただし、実際のところその山が下北丘陵最高峰と云うワケではなく、
地形図を読んでみるとそれ以上の地点が数ヶ所存在しているんですね。

これらは、一部の特殊な地図には参考として記された名前が載っていたりするんですが、それすらも付けられていない地点もあるんですね(実は下北丘陵最高地点がそうだったりします)
いずれも、登山道など整備されておらず人の存在を拒むような場所ばかり。

話が行きすぎましたが、
今回はそんな、「普通の地図に(名前が)載ってない山」に挑もうと考えたのです。

載ってないとは言っても、狙いは勿論520mの金津山より高い山。
向かった先は、無名同然の山・百目木川台

横浜町・吹越烏帽子
国道からそこそこ内陸に進み農作業道を通っている時点での写真ですら山が見えません。画像左の山のさらに裏ですよ(画像右に見える突出した山が吹越烏帽子で、横浜町民の「お山」。もちろん登山道がしっかり敷かれています)
そりゃぁ名前もつかないワケだよね。

登山道は無いにせよ、林道を進めばある程度は山に近付けるので、
位置を確認しながら少しでも標高を上げていきます。
なお、この林道は入り口に辿り着くにも少々ややこしい迷路のような農作業道を抜けなければならず、林道に入って以降も起伏の激しい長距離ドライブが続きます。
何かを期待して、マネして行くのはおすすめしません。



11時半に到着、
車のエンジンを切り、道具を背負って上がって行けそうな茂みを見定めます。
さっき採ったコクワは、日射による車内の温度上昇で蒸し上がらないよう、車体の下に隠すように置いておきます。

横浜町ルリクワガタ採集1
斜面が緩い場所を見つけ、踏み込みます。
この付近でさえスギやマツに囲まれていて、山奥に入ってきた実感は湧きません。

横浜町ルリクワガタ採集2
新緑の季節、低山地の5月ともあって既に灌木類は葉を出して草本類も出始めているので、見通しも悪く歩きにくいです。

横浜町ルリクワガタ採集3
登り続けていくと、景色が変わりヒバ林に突入。
写真の平衡感覚が狂っていますが、木々の曲がり具合からそれなりに傾斜のある場所だと分かりますね。前日まで雨だった事もあって木肌が濡れて赤みが増しています。

横浜町ルリクワガタ採集4
ヒバ林も数十メートル歩いていると無くなり、針広混交に変わります。
ヒバ林に変わる前の環境と違って、草木が密に生えて非常に進みにくいです。

横浜町ルリクワガタ採集5
それから、進むにしたがいますます進み辛くなっていき、いつの間にか痩せ尾根に沿って一直線に歩いていました。
画像はその痩せ尾根で四苦八苦している最中に心が折れて立ち止まった時のもの。写っている先は急転直下の長い斜面。

痩せ尾根で歩ける場所も狭いと云うのに、大小の倒木が複雑に重なる所が続けざまに待ち受けていて、まるで進みません。

横浜町ルリクワガタ採集6
そんな地形なもんだから、本来展望も期待できない場所なのに大径倒木の上に上がるとそれなりに遠くが見通せます(笑)
むつ市が霞んで見えるよ・・・

残念ながら、ここまで来た時点で時刻は14時をとっくに過ぎていたので引き返すことにしました。
自然地形の厳しさの前に踵を返す時の無力感は筆舌に尽くしがたく、初めて来た場所とかは特にそうなのですが、登頂が目的ではありません。


下北丘陵ルリクワガタ1
発見!
本来の目的はルリクワガタです。

実は、青森県の各山塊の中で、下北丘陵からだけはルリクワガタの正式な記録が出ていないんですね。
青森県でしかも北限近くなので、それほど標高を上げなくても生息しているとは思います。しかし、一帯の地理を見ても植生が採集向きでなおかつアクセスがしやすそうな場所がほとんどありません。

また、仲間内でもこのエリアで実際採れた話はありません。
唯一、八戸のY氏からは産卵痕を発見したと云うのを聞いているだけ・・・
(他に採れたって話もあるかもしれないけど、まぁ出所しっかりしてないと信じられないわな)
過去にも、別の場所では自分も産卵痕までは確認できていました(これは青森自然誌研究No.25にて報告済み)

下北丘陵ルリクワガタ2
発見!

下北丘陵ルリクワガタ3
発見!

下北丘陵ルリクワガタ4
発見!

発見!

発見場所も様々で、倒れた大木は勿論、直径5cmもない細枝などでも見つかりました。しかし、産卵痕はハズレばかり。探せた範囲も広くない中でなんとかこれだけの数見つけられましたが、これで採れなかったら次回別ポイントに入ってリベンジする気が起きるか自信ありません。

とは言え幸運にも、
どうにか僅かな数の幼虫が採集できました。

周囲に群がってくるブユによって集中力を欠きながらの採集でしたが、
無事にこの日の目的をダブルで達成することが出来ました。


採集を終えての感想、その後
採集したコクワ♂幼虫は、帰宅後菌床カップに投入し大事に大事に放置しました。
そして秋になり、無事に完品で羽化。
横浜町産コクワガタ
45mmで見栄えのするサイズの、細くスラッとした大腮が美しい成虫になりました。絶対に失敗できなかった産地なので感無量です。
(春に採ったのに秋にならないと本当の意味で安心できないってのが幼虫採集の厳しいリスクですね)


そして、おまけのルリクワガタですが・・・

こちらはまだ結果が出ておりません!
コクワと違ってこっちはもしかしたら・・・なんて事も現時点では十分あり得ます。いやだなァ・・・全滅したら・・・



おいらせ町
地域の概要
人口25,288人(2020年12月時点)
旧 下田町と旧 百石町が合併して2006年に施行しました。県南東部に位置し、八戸市及び三沢市のベッドタウンであり、県内の自治体の中でも珍しく人口が微増している稀有な町。
地形は、ほとんどが平野で僅かに台地が混じる低標高地。土地の多くが農耕地で、森林は非常に少ない。

4分の1スケールの自由の女神ガンダムの床屋など、インパクトのある像が建って(?)いる不思議な町です。


採集
この時の内容については、全容を既に書いてありますので以下にリンクを貼っておきます。

 【2020年3月14日 他 おいらせ町コクワ採集】
  ⇒ 2020年6月28日 『青森県産コクワガタ市町村巡り 最難関!?「おいらせ町」』


採集を終えての感想、その後
6月に採集した成虫の他、3月採集の幼虫も無事に全頭羽化しました。
おいらせ町産コクワガタ
小さいカップだったのでサイズも大したことがない(その所為で「♂が居ない」と思い込み6月にも採りに行くことになったワケ)ですが、苦労が形に残ったことの気持ちよさは変わりません。



この2020年を振り返ると、市町村別ではこのおいらせ町に一番よく通ったかなという記憶があります。

当時、南部地方でコクワが最も薄いエリアだと認識していましたので、2019年以前にも時間を見つけて採集できそうな環境の下見を行なったりしていました。採れた時の感動の大きさも、そういった「自分の中でのハードル」やら「下準備」やら「採集を続けた期間」によって跳ね上がるもので、それがオオクワガタのような虫のみならず、コクワガタであってもルリクワガタであっても当てはまるものと思っています。
この時代、クワガタ界隈も採集に関しては全国的に相当成熟していると感じます。それは良い事でもあるんですが、影響としていわゆる「大物」と呼ばれる種類の情報ばかりが増えていくきらいがあります。
それに対しての挑戦と云うワケではまっっったくないのですが、
たとえ大物ありきの採集内容でなくともきちんとしたドラマが展開されていると云う事をどうにか伝えたいと思ったのが、コクワ採集をブログで書く理由の一つです。
(あんまりこういうのを自分から言うのもどうかと思うのですが)

その意味で言えば、おいらせ町での採集はこれまでの市町村採集の中でも特に記憶に深く刻まれるものでしたね。



つがる市
地域の概要
人口31,413人(2020年12月時点)
津軽平野の北西部、旧 木造町、旧 柏村、旧 森田村、旧 稲垣村、旧 車力村の5町村が合併して2005年に新設しました。
ほぼ全域が平地で、ほとんどが住宅地と水田地帯。また、水生昆虫の調査が盛んに行なわれる屏風山(びょうぶざん)湖沼群が散在しています。
この地域の特産はスイカ、メロン。夏になると他市町村でもここの産品が多く売り出されているのが見られます。現地に行けば、道端で沢山の露店が立ち並んでいます。

個人的に思うところとしては、合併してちょっとつまらなくなってしまったような場所です。採集ラベルの字面的に。木造(きづくり、「もくぞう」ではない)、車力(しゃりき)など個性的な町村ではあったんですが、合併後のこの字体の弱さ・・・「つがる」て・・・
合併から15年経ってまだそんな事言ってんのかよって話だけど、津軽だから「つがる」ってちょっとさァ・・・もっとなんとかならんかったのかよと。市内を車で走っていても、なんだかまとまりが薄そうな印象と云うか、今でも「森田」「柏」などと元の土地それぞれで昔の共同体を意識している様子をどことなく感じてて、自分もその感じのままの方が好きなんですよ。

現在でも、合併前の町村名が大字として使われているのでラベル的に全くの無特徴になったワケではありませんが、場所についてのやり取りの時に
Aさん 「つがる市です」
Bさん 「ツガル市? の、どごサ?」
Aさん 「稲垣あたりですね」
Bさん 「あァ!稲垣だガァ~!
って結局なるのが苦笑いモノなんですよね。


採集
  6月11日

そろそろ市街地のコクワが発生し始める時期と云う事で、
この日は夜の外灯回りに出発しました。

夕方、家に帰ってきてから採集小物をテキトーに助手席に放り込み、蓬田方面へ。
反時計回りに津軽半島をぐるっと一周しながら、点在する外灯ポイントを順に見回っていきます。しかしやや気温も低く、成果に繋がりません。

つがる市に入ってもしばらく同じ状況で、日本海から吹く風で肌寒い・・・
いちいち車から降りるのも億劫になってきました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


つがる市はほぼほぼここで最後!と云うようなポイントにまでやってきました。

そこの外灯では前の年でもコクワが採れていたのですが、♂が全く得られていませんでした。市街地近くで外灯を回る場合、時期が遅れると♀しか採れなくなるので早めに来たワケなのですが、目当ての外灯に駆け寄ってみると居たのは1♀。
外灯の周囲を隈なく探してみても他にクワガタがいません。

一番可能性のある外灯が惜しくも空振りしてしまい、いよいよ厳しくなってきました。

一応周囲に自販機や違う種類の外灯は点いているのですが、あまり期待が出来ません。横のサクラ並木を歩いていき、その外灯群をチェックしていきますが、予感的中で全くクワガタは発見できません。
外灯は全敗。もう時刻も遅いし、ここから新規の外灯を探したとしてもおそらく何も居ません。


そこで、
開き直ってやり方を変えることにしました。

「そういえば、ソメイヨシノとかのサクラに
 コクワの産卵痕付いてたりするんだよなァ・・・」

以前にも青森市内で何度かコクワの産卵痕や新成虫を発見することがあったので、環境の似ているこの場所でもサクラで採集できるのではないかと思い至ったのです。

ただ、その為にはそのサクラがどの程度管理されているかなどに大きく左右されます。
例えば、弘前公園みたいにメチャメチャ厳しくサクラの健康状態を管理され、枯れ枝や幹枯れが逐一処置されているような所だと生息はまず見込めません。まァ実際弘前公園でコクワを探したことは無いので、探してみれば「もしかしたら」が起こるかもしれないんですが(笑)

ここのサクラは1本1本見てみると、それぞれが結構な大きさに育っていて、剪定はされているものの枯死部が随所に残っています。
コクワが周辺に生息しているのは事実なので、これは期待できそう・・・

そしてすぐに発見!!!
黒い虫が幹を這っている!!!

たくさんいる!!!

・・・・・・・・・ヤマトゴキブリ。

幹に開いた洞もコクワが潜んでいたりするんですが、
居るのはどれも触角が長い・・・


周囲には誰も居ないので、繰り返し往復しては1本1本下から上まで見て回っていきます。
そんな中、アリの巣状に枯れて複雑に隙間が出来た幹枯れを注視した時のこと。

「そういえばこの部分、大雑把に表面を見ただけだったなぁ」
ライトを当てて、際の方から隙間を一つずつ奥まで丁寧に覗いていくと、

つがる市産コクワガタ
いました!!! !!!
大きくもない38mmの傷物でしたが、粘り強く見て回った末の大事な1頭と云う事で、この日は大満足で家に帰ることが出来ました。


採集を終えての感想、その後
つがる市のコクワも、地元の人から見ればただのどこにでもいる虫と云う感覚なのでしょうが、宅地や農地も多くて入れる所も限られる中では大変だったと言わざるを得ません。

しかも、この時点で標本として採ることが出来たのはまだたったの1ヶ所です。つがる市(笑)とかさっきボロクソ言ってはいましたが、合併してなかったらあと4町村回って採らないとクリア出来てませんでしたからねぇ。そう考えるだけでゾッとします。


そして、この日の経験を基にして2日後においらせ町での
サクラ巡回採集へとつながっていくのです。



階上町
地域の概要
人口13,232人(2020年12月時点)
青森県の東南端に位置しています。海岸部は三陸復興国立公園に含まれていて、北上高地の北端部でもある階上岳の北斜面側を有しています。
八戸市のベッドタウンともなっていて、隣接する岩手県との往来も盛んです。
養殖漁業、タバコやソバの生産が主要な第1次産業です。

個人的には、県内40市町村の中でも最も縁遠かった場所です。
津軽方面からアクセスしようにも、ただでさえ遠く感じる八戸市を抜けて、さらに向こう側なワケですからね。逆に、階上からだと深浦町や三厩へ行くのに相当遠く感じるんでしょうね。
ちなみに、階上は「はしかみ」と読み(かいじょう、ではない)、町を「ちょう」と読むのは青森県でここ階上町とおいらせ町だけです。


採集
  6月13日

先日のつがる市での手応えに後押しされ、それまで億劫に感じて踏み入る事の無かった階上町へ意を決して出発。
外灯に飛来する時間を考慮して青森市を発ち、
八甲田を抜けて十和田、八戸と走り抜け、19時半ごろに階上入りしました。
当時この周辺の市町村はコクワ未採集のエリアも多かったので、
この日は巡回のプランを練り、採集出来たら早々に場所を移して別市町へ移動する算段で道を辿りました。それでもし2ヶ所以上回ることが出来なかったとしても、今回の階上だけはなんとか今日の内に採ってしまいたいと思っていました(遠いんだもん・・・)

これまで、岩手に行くのに通り過ぎる事はあってもきちんと採集用の下見をしたことが無かったので、期待の持てる外灯を探すところから始めなければなりません。


外灯探しを始めるにあたりギリギリまで悩んだのが、
1.山の方へ行くか
2.低地の方へ行くか
と云う事でした。
山の方へ行けば、生息数は多いものの有用な外灯が見つかるかどうかの望みが薄く、もし外灯が無ければ大幅な時間ロスに繋がります。
低地の方だと、有用な外灯はおそらく複数見つかるはずですが、周囲に生息環境が残っているか、そして生息しているのか不安な面があります。
なお、樹液採集も手段としてあるワケですが、
夜に来ていきなり下見無しで発見できるのかと考えると外灯の方がまだ確率が高いと思えたので、それは無いだろうと考えていました。

結果、街の中を走って低地の外灯を探すことにしました。

地図を見ながら外灯のありそうな場所に目星をつけていきます。
細い小道に入って、また違う小道に入って、
とりあえず有望そうな最初の外灯を発見しました。

ハンディライトとケースを持って外灯の下まで来ると、周囲にはコガネムシやカメムシが来ています。

しかしクワガタは1頭も居ません。
この時期からカメムシが多いという事はやはり環境がイマイチなんだろうか・・・
周囲には同じ種類の外灯が奥に3~4本立っているので、順に見回っていきます。


しかし、残念ながらどの外灯も1本目ほど虫が集まっていません。

同じ所で粘っても時間の無駄になってしまうので、
「ここはとりあえず諦めて次を探そう」と気持ちを切り替え車へ戻ろうとした時でした。


誰も居ない、車も通っていない無音の中、30mほど遠くから

 パチッ

小さくもはっきりした、コンクリートへの軽打音が聞こえました。
音は、最初に見た1本目の外灯の方向からしたように思えます。

一瞬息が止まったのと同時に、駆け足に変わりました。

そして戻ってきたその外灯の下で、
今日の夕方からドライブ中ずっと思い続けていた瞬間に出会ったのです。


階上町産コクワガタ
20時10分。まさに今来た直後の♂個体。
今日初めて採集に来た階上町で、こんな光景がこんなに早い内に見られた・・・
採る人や事情によっては、「なんだ楽勝じゃねぇかあっけなさ過ぎ(冷)」と思えそうな展開ではありましたが、この瞬間自分は感動と安堵と爽快感に奮えていました。
採れなかったら次はライトトラップに来ないといけないかも・・・とか思っていましたからね。

目的の♂が採れたので、長居は無用。
時間帯も早いので今夜の内に他の市町もクリア出来るかもしれないと期待し、階上町を後にしました。


採集を終えての感想、その後
外灯回りと云うのは本当にタイミングと運次第だなと思わされた日でしたね。
近場で何度も来ているのに一向に♂が採れない町村もあるんですから、今回のように一発攻略、しかも遠方の産地でとなると本当に気持ちがいいですね。

体長は40mm。大歯ですし悪くないサイズです。
内心、1ラベル1頭だけでは少ないので追加であと1~2ヶ所欲しいとも考えましたが、そこまでいくとキリがありませんね。まずは全市町村制覇を目指さないと・・・

ちなみに、この後八戸市で玉砕、六戸町で玉砕、そしておいらせ町での採集へと繋がっていきました。もう書いてる話ですけど、またそこからが長かったんですよ~(疲)



蓬田村
地域の概要
人口2,687人(2020年12月時点)
津軽半島の入り口、陸奥湾に面した場所で青森市の経済圏に含まれています。
村の東部~中部は平地で田畑が多いです。西部は山林で、主な山は市町村境の赤倉岳(▲563m)、袴腰岳(▲628m)、大倉岳(▲677m)などです。

個人的には、津軽半島へ行く時に10分ぐらいで通り過ぎる場所・・・ですね。
あとは、
海水浴場!
トマト!
以上!!!


採集
  6月15日

前日(一昨日)は南部方面(=おいらせ町)へ行ったので、この日は津軽側で採集しようと蓬田方面へ車を走らせました。

蓬田のコクワは、♀は何度か採れていたものの♂はまだ採れていない状況でした。
外灯ポイントは何ヶ所か把握していたものの、どれも薄かったり人通りが多かったりでどこも簡単ではありません。また、青森市の隣と云う土地柄、他の市町村より優先順位が低かったのもその要因です。
また、なんだかんだで去年以前は6月のコクワ発生初期に探しに来ていなかった気もします。

望みが薄い数ヶ所の中でもまだマシだろうと云うポイントへ到着。

外灯下に近寄ってみると、何といきなり黒く大きなあの虫が路上にいます!


これはショックだったー勿体ない
居た!!! ・・・けど・・・アレっ!?

死んでる・・・
どうやら車か何かに踏み潰されたようです。何日か前の個体のようで、中には既に死体回収班が作業しておりました(アリですね)

惜しい・・・なんとも悔しい・・・
蓬田で初めて見つけたコクワの♂がまさかのロードキル個体。
自分で踏んでないだけまだ諦めがつきますが、サイズも40mm台後半っぽかったので本当にもったいない。

外灯の周囲を隈なく探しても、他にクワガタは影も形もありません。

あの潰れた♂を持って帰るべきかとチラチラ見ながら、
ちょっと周囲の環境を見直してみることにしました。
外灯周辺の舗装路上は何も居なかったものの、外灯の明かりが届く範囲には大小の木々も生えて(植わって)います。

チェックしやすそうな木から順にライトを当てて見ていきます。
すると・・・


蓬田村産コクワガタ
正解!!! 樹木の幹に場違いそうに張り付いていました。
死んでいた♂ほど大きくはありませんが、4cmを超えていて見栄えも問題なし。

この木は樹液も出ていないし隠れる洞もありません。
おそらく、外灯に寄せられたものの逸れてしまったか、近づく途中の個体だったのか。いずれにしろ外灯の引力にあてられたものでしょう。


採集を終えての感想、その後
青森市からそう遠くない産地でもあるので、正直もっと楽に採れる場所だと以前は思っていましたが、採れた時には「あぁ、長かったなァ」と云う安堵感が大きかったです。苦しくはなかったのですが、いつになったら採れるんだろうとやきもきしていて、かくなる上はやはりライトトラップか、というところまで考えていました。

山でライトトラップすればそりゃ採れるかもしれませんが、
そればっかりでは普通種としてのコクワ採集の面白みが無くなってしまう気がするので、そうなる前に平地=人間の生活圏でこれが採れたのはコクワ採集者としての冥利に尽きますね。



中泊町(小泊)
地域の概要
人口2,769人(小泊地区・2021年1月時点)
津軽半島北西部に位置していて、旧 小泊村と旧 中里町が合併したのがこの中泊町ですが、それぞれが隣りあっておらず飛び地関係にあります。内陸の中里地区に対して、小泊地区は海岸に面していて特異な地理を有しています。北部には岸壁や砂浜、東南部は植林が多いものの原生林も残っていて、西部には日本海へ突出した小泊岬(権現崎)があります。

2つの漁港が在る事からも、主な産業は漁業。
イカやメバルが水揚げされ、地域振興に活かされています。
魚はよく分からないのですが、釣りをする人などはこの土地には結構来たりしていて馴染みがあるんでしょう。アクセスも、隣りの三厩か市浦から海岸伝いに向かう必要があり、小泊を目的地として行かないとまず来ることは無い場所です。

なお、中里地区のコクワ♂は自分は採っていませんでしたが、
No.7から採集品を貰ったのでクリア済みです。
(日昆メンバー内で採集していればクリアとしてカウントしています)


採集
  6月30日

アクセルが重い。

今日は、今期初めてのライトトラップです。
メンテナンスを終えた機材を車の荷室に積んで夕方に出発。ハイワット機材満載のドライブは久しぶりで、加速も遅く感じます。

この小泊へは、早春に一度採りに来たのですが徒労に終わっていました。
そのリベンジを夏に果たしてやろうと、初っ端にここを選んだワケです。

ここでやれるのではないかという所に目星を付け、
20時過ぎには到着しました。
周囲には人も車も無し。
近場の施設も、新型ウィルスによる自粛なのか営業しておらず電気も点いていません。

現地に到着した際、
1ヶ所だけ照明が点いているので見に行ってみると、

中泊町小泊産ミヤマクワガタ
幸先よく小さなミヤマクワガタ♂が来ていました。

これはいけるかもと、期待しながら設営を開始しますが、
海からの風がやや強く、不安もあります。

中泊町コクワガタ採集
令和2年、夜の初日の出!!!
(一体俺は何を言ってるんだろう・・・)


・・・とまではイイのですが、
風が強く、気温もいま一つ上がってなくて肌寒さも感じます。

当初の狙い目だった方向を諦め、風向きの相性が良い方向を照らし直してみますが反応はまるでダメ。小さな子虫は全く来ず、飛んできているのは中型のガ類だけ。しばらく経っても数えるほどしか来ていません。
あまりの手応えの無さに21時半の時点でもはや諦めかけていました。


ふと冷静になったと言うか、熱が冷めてしまったと言うか、
今採集をしているこの現場の中を何気なしにとぼとぼと歩きまわっていると、奥に遊歩道がある事に気付きました。

ハンディライト片手に遊歩道を見回る事に。

樹種もよく分からないのですがとりあえず道脇に生えている樹を一本一本見ていきます。
何も考えず、ただただライトで照らして樹幹や枝を舐め回すように見ていく、ある種の刷り込み行動のようなものです。遊歩道はライトトラップもすぐそこに見えるような距離、小さな空間をぐるっと一周するだけです。


その、もうすぐで全部の樹を見終わりそうな所まで来た時でした。

1本の枯れかけた木の2.5mくらいの高さに黒い虫が!
まさしくそれは、コクワガタの♂
枯れかけとは言え、所々黒く滲むものが見えています。

驚かせて逃げてしまわないよう、一瞬照らしたライトをすぐさまパッと逸らします。
このままでは手が届かない。

急いでライトトラップの現場まで駆けつけ、
置いていた網を掴んで樹の場所へと戻ります。

再びライトで照らすとそれは居なくなっていましたが、焦らず静かに数分待っていると、幹の裏側からまたのこのこと這い出てきました。

よし来たとばかりに網のロッドを勢いよく伸ばしたところで、
予期せぬハプニング。
伸ばしたロッドがすっぽ抜ける(焦)

蝶研出版のスーパーアルミ棒ですが、継ぎ目のストッパーがただビニールテープを巻いて太くしてつっかえにしてただけだったとは・・・
メチャクチャ焦るも、どうにか挿し戻してコクワをキャッチ!
この採った瞬間の記憶は、今は思い出せません(苦笑)


トラップの方は、その後結局何も来ていないままだったのですぐさま撤収。

中泊町小泊産ミヤマとコクワ
この日採れたのは
・外灯に飛んできていたミヤマ♂
・枯れかけの樹で採れたコクワ♂
の2頭。

小泊ラベルはこれにてどうにかクリア!
ただ、ライトトラップの意味は無かったよな・・・


採集を終えての感想、その後
ライトトラップをしているその後ろで樹液採集により目的を達成する。
勝負に勝って試合に負けると云うのはこんな感じの事なんでしょうか(笑)

その後、帰り道に同じ中泊の中里地区に戻ってくると風は無く、
ラッキーな事に外灯で46mmの♂が採れました。
内容としては非常に薄かった採集ですが、振り返ってみるとこのように中泊町2つの地区でコクワの♂を採ったと云うのは、かなり充実しているように思えます。
帰りに自販機で買ったジュースはとても美味く感じましたね。



外ヶ浜町(三厩)
地域の概要
人口5,264人(町総数、2020年12月時点)
津軽半島北西部、最奥地にあたる場所です。外ヶ浜町はこの旧 三厩村と、旧 蟹田町、旧 平舘村が合併して新設された町ですが、中間にある今別町が合併に反対したためにこの三厩地区だけが飛び地になっています(町の中心部は旧 蟹田地区です)
津軽海峡に面した港町であり、大間町と同じくマグロの漁場にもなっています。
住民の居住地はほぼ海岸部に集中していて、内陸部はほとんどが山林となっていてヒバの試業林などもあります。自然度は高い方ですが、低標高地では結構植林も多いです。

青森市からは車で約1時間半ほどと言ったところで、さすがに津軽半島最北端だけあってなじみが薄い土地ですが、青森市からの距離だけで言えば三厩よりも小泊の方が遠く感じます。それでも、小泊とは少し違った町並みで、現地に行くと「僻地らしさ」を感じることが出来ます。
まず、海岸沿いに沿って圧迫感を覚えるような家の並び。場所によりけりですが、目の前は海・背後には岩壁・・・みたいなギリギリの(?)場所に民家が並んでいます。同じく下北の風間浦村でも、海岸沿いにばかり民家が並ぶ風景が見られますが、こちらの方が極まっているように感じます。
そして竜飛崎周辺の、「端まで来た」って感じがする独特の景色。同じ青森北端部である大間崎の方は、たくさんの売店や真新しい新築住宅が並び、「ウルオってる感」がありますが、こちら三厩は、はっきりとは言いませんが「その感じ」はありません・・・。個人的な好みで言えば、大間崎周辺と竜飛崎周辺で比べるならばこちらの方が趣を感じられてイイと思うんですよね。


採集
この時の内容については、全容を既に書いてありますので以下にリンクを貼っておきます。

 【2020年7月9日 三厩コクワ採集】
  ⇒ 2020年7月12日 『青森県産コクワガタ市町村巡り 「外ヶ浜町・三厩」』


採集を終えての感想、その後
三厩もコクワ狙いで来たのはこの日が初めてだったと思いますが、ギリギリとは言え採れたのは本当に感動的でした。平日でしたしね(笑)家族にライン送りましたからね(笑)

ただ、後になって悔やまれるのは、実はもっといいライトトラップのポイントがあったのを忘れていた事です。苦労して採った今回のラベルよりもずっと北端寄りの場所だったので、いずれは大歯狙いでそっちにも行ってみたいですね。



黒石市
地域の概要
人口32,530人(2020年12月時点)
県中央部に位置し、津軽平野中東部から八甲田山西部を擁しています。
旧 黒石町(現在の市中心部)あたりは昔ながらの「こみせ」の町並みが風情をかもしていて、イベントや祭りも毎年多く開催されています(黒石ねぷた、黒石よされ、黒石こみせまつり、黒石さくら祭り、黒石りんご祭り、旧正マッコ市、他多数)
全国唯一のリンゴ試験場があり、青森りんごの心臓部と言っても大げさではないでしょう。
他に特色のあるコンテンツとしては、こけし(伝統工芸)つゆやきそば(B級グルメ)にゃんごすたー(ゆるキャラ、最も過小評価されているドラマー by Ultimate-Guitar.Com)なんかがありますね。また、温湯、板留、落合、そして基本的に一切電気が使えない事で独特の空間を作り上げている青荷と云った山間部の温泉地も有しています。

そんな黒石市ですが、実は昆虫系研究会において地方発の出版物を全国で一番最初に出したとされる「青森県昆虫学会」の本部が在った町でもあります。当時の会報は幻の存在であり、今なお県内の各昆虫・自然関連団体が入手の機会を切望しています。


採集
  7月10日

三厩で津軽最北のコクワをクリアした、その翌日です。

三厩で目標達成したとはいえ、ライトトラップまで仕掛けておきながらあまりに寂しい夜だった為、反動で安全策を採る事にしました。「安全策」と言うと解りにくいですが、地元でクワガタを採ってる人達なら半島部での採集は面倒でやりにくい事を理解してもらえると思います。
そういう点で、この黒石と言うのは未だコクワ未採集地域を多数残している半島部よりは、下手打つリスクが低いのです。

とは言え、
難易度の低い中央山地なのにまだ♂を採れていない市町村である事も事実。

他地域でライトトラップしている知り合い達の報告を聞いても、まだクワガタの飛来が始まったばかり程度の手応えらしく、コクワですらも採れるかどうか自信が持てません。

しかし、この時期と云うのは皆、
「今夜から夏の本番が始まるんだ!」と云う期待を膨らませて山へ行くんですよね。


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19時過ぎにポイントへ到着。

まだなんとか明るさが残る現場の中、ライトの置く位置や照射方向を確認し車を停めます。
はい、この現場での採集は初めてです。

しかし、このまま夜を迎える為には1つ問題がありました。

それがこれ↓↓
黒石市産クズ
ライトを置く場所の脇をびっしりと覆っているクズと、高く伸びて茂るオオイタドリ
侵略的植物の2大巨頭が路上に迫り出ていました。
これらがあっては、光が反射して悪影響が及びます。

鋸を握りしめ、点灯開始までの間ひたすら除草作業に没頭する事になりました。

30分以上雑草と格闘。ハンディライトで足元を照らしながらオオイタドリの束を崖下に放り込み、ガードレールに絡まるクズの茎を切っては押し込みます。
時間的妥協点を見つけて、やっとこさライトを点灯したのは20時を過ぎてからでした。
既に汗だくのドロドロです。

温度は約22℃、昨日と比べ上々ですが湿度が70%で低いです。

スタートから間もなく、アカアシクワガタ、ミヤマクワガタと云った面々が飛来します。
シーズン初期でミヤマの♂もきれいな個体が多いのですが、体長60mmくらいのものしか飛んできません。

汗をかいた所為か、やたら群がってくるカの相手をしながら本命を待ちますが、一向にその姿は見えません。
微妙に光軸をずらしたりして刺激を与えていきますが飛んでくるのはミヤマばかりです。


そうして時刻も21時を過ぎて久しい頃、
某メジャー産地で採集していた仲間から「雨、撤収します」との知らせが入ってきました。
通知に気付いてケータイで雨雲レーダーを確認してみると、このポイントももう少し経つと雨雲の下に入る模様。

21時半近くなってからはミヤマも飛んでこなくなり、カが血液泥棒しにくる以外は静かになってしまいました。
勿論、このまま続行。撤収はしません。
始めから湿度の低かったこの状況を、雨が変えてくれる事を期待していたからです。


21時45分

アスファルトに一つ、また一つと黒い点が打たれはじめました。
いよいよ雨雲が上空を覆い始め、「今雨だよな」と認識できるくらいには降ってきました。

すると数分後、
それまで反応が無かったクワガタの飛来が再び始まりました。
さっきまでは主にミヤマでしたが、今度はノコギリが立て続けに飛来。クワガタ全体での飛来頻度は落ちていますが、主役交代かと思うくらいの変わり様です。
地面からはもうもうと湯気が昇っています。

これは絶対流れが変わる!
(と言うかそう思いたい!)
と、湿気り気味だったやる気も熱気を取り戻し(ややこしい言い回し)、ライトの後ろから森を見据える事暫らく・・・


・・・だんだん飛来が細ってきた・・・
一旦は増えた飛来も、時間経過と共にまた細り始めてきました。
既に時刻は22時を過ぎ、やれる事はやってるし雨も降ってるし、これ以上は劇的な変化が起こりようもありません。

これはちょっと敗走準備に取りかからないといけないかな?と考えるようになってきました。


そんな中22時15分。いきなりの出来事でした。

前方上空から

なだらかに滑空してきて

左手に

黒石市コクワガタ採集
着地!!!?!?

!!?!?!?? コっコクワ来たッッッ!!!!!!!

息が止まりましたね。
画像はその瞬間即座にカメラを起動させて撮ったところです。着地した瞬間そのままの体勢。


黒石市産コクワガタ
黒く光る新物の♂。大腮も細く鋭く好みの形、46mmとなかなかの大きさです。

いつ止めようかとモヤモヤしていたところで、最後に本命が左手に直飛来。
登場がカッコ良すぎます。


ここまでくればもう長居は無用、雨もやや激しくなってきたので早々に撤収です。23時過ぎには車に全て積み込み、ドロドロの体と清々しい気分で帰路に就きました。


採集を終えての感想、その後
2020年のコクワ採集としては、この日が初めてライトトラップでのクリアと云う事になりました。この先週、理由は忘れましたが一度黒石まで来て採集を断念していたので今期2度目の黒石挑戦だった事になるんですが、早々とクリアする事が出来て大変ラッキーでした。

難易度が低いはずの八甲田周辺の市町村だったので、やっと気分が晴れましたが、♂♀併せてまだ山岳部とその麓の産地しか得られていません。青森県産昆虫研究の歴史を持つ土地だけに、行く行くは街寄りのラベルのものも採りに行きたいところですね。

ちなみに後日このポイントに来た時、
整備業者によるものか、道脇から迫り出していたクズやオオイタドリ他雑草類がキレイさっぱり刈り払われていました。



鶴田町
地域の概要
人口12,604人(2020年3月時点)
津軽平野中部に位置する狭域町村で、廻堰大溜池(津軽富士見湖)と云う大きな溜め池があります。
岩木川が町内中心部を縦断し、米作りに大いに活かされています。津軽平野の他市町村と同じく農業中心の町で、前述の米とリンゴの他に、ブドウの生産が盛んなのが特徴です。これについては、県内各地に出荷されている他、地元道の駅などで各種加工品が味わう(入手できる)事ができます。

また、鶴田と言えば、町名の通りツル(タンチョウヅル)が有名で、町の中にはいたる所でツルをモチーフとしたオブジェ、イラスト、その他造形物が目に付きます。また、丹頂鶴自然公園では実際にツルが飼育されていて見る事も出来るそうですが、情報があまりにひっそりとしていて現在の状況などがよく分かりません。

また、もうひとつ鶴田の話題として度々メディアで取り上げられるのは、輝かしい頭部を持つ有志で構成される「ツル多はげます会」が座敷で吸盤綱引きをするシュールな画(笑)
「頭がツルツル」だから「ツルタ」とかけているのはいかにもオヤジギャグなんですが、調べてみると意外にもモウちょっとは洒落っ気の利いたセンスが感じられる会だと云う事が見て取れます。


採集
  7月14日

この日は、一度ライトを車から降ろし平地での採集へと向かいました。
目的地の鶴田町は、現時点で津軽平野産コクワで唯一未だ採っていない市町村。コクワ攻略マップの中で、黒石も塗り潰した事でここだけ白くやたらと目立つようになり、今度のターゲットに決めたのです。


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平地採集と云う事で焦らず準備を整え、現地に到着したのは20時過ぎでした。

鶴田町のタンチョウヅル像
鶴田らしくタンチョウの像が岩木川河川敷に建っています(奥の大きな点は月です)

なかなかコクワにありつけず、数年間の狭い当地での調査でやや追い詰められていた感がありました。悩んだ末、やはりココしかないと云う事で町内ではまだ探していなかった河畔林に的を絞る事にしました。

岩木川は、この2日前(11日~12日午前)の大雨によって一時増水した痕が残っていて、河川敷の公園の芝生はグチョグチョ。

ヨシ原をかき分け、ヤナギ類の群生する河川敷林に潜り込みます。
鶴田町コクワガタ採集1
探索の現場となる川の淵近くの河川敷林は、一度濁流に浸かった為に乾いた泥で真っ白になっていて、貧弱な草本類はなぎ倒されていました。
個人的には足元が見やすくなった事と、不快なクモの巣も無くなっている事で非常に気は楽でした。

しかし、一度周囲が水没しただけあって、林の中が必要以上に静かです。
ムシっ気が感じられません。
コクワガタ流されちゃったんじゃないだろな~(汗)

区画内の目ぼしい樹を見終えて、次のポイントへ向かいます。
虫自体はともかくとして、その他の手応えも感じられず焦燥感を覚えます。川沿いを外して探した方がいいんだろうかと迷いつつ、場所をずらしては探す・・・を繰り返します。


・・・と言うほどまだ時間が経過していない時刻21時04分

コクワガタの♀が発見できた瞬間は不意打ちと言うほかありませんでした。

鶴田町コクワガタ採集2
ポツンと幹にとまっています。
暗中からこっちをジッと見ていた心霊とふと目が合ってしまったかのような衝撃。
・・・イヤ、体験したこと無いので想像で言ってみたんですが。

虫の居そうな気配がほとんど無い中でポツンと佇むこの無神経さみたいなのが、いかにもコクワガタって感じですね。これがこの虫の独特な魅力の一つであり、その反面、有り難味に欠けて虫屋にあまり見向きされない理由の一つでもあるんですよねェ。

鶴田初コクワをケースに収めた後、林から出てヨシ原を抜ける途中に今度はヨシの草の上に付いている♀を発見!
どういう状況? バッタかお前は(笑)


そして最後は、環境を変えて小さな神社にお邪魔します。
青森県民としては見慣れないレベルのおぞましい数のゴキブリが木々を徘徊していたことにドン引きましたが、樹液の出ていたハルニレにこっそりコクワ♀が紛れ込んでいたのは見逃しませんでしたね。

そういったあたりでこの日は時間切れ。
平日であまり遅い時間まで粘るのはマズいので、不要な個体は逃がして採集を終えることにしました。



  7月16日

この日は一昨日の鶴田町コクワ採集から続く2回戦目
今度の狙いは、まだ得られていない♂成虫。

クリアまであと一歩のところまで迫っている確信は持てていたため、今回は1人ではなくNo.2No.6の2人と共に鶴田へ攻め入る事にしました。
2人共仕事で翌日朝早いにもかかわらず、ありがたいもんです。
なんせその理由が「コクワガタ採りに行く」ですからね。


現地に到着し、前回と同じポイントを回っていきます。
早めに帰宅しなければならない為、新規のポイントを探している暇はありません。

そんな中、前回♀が2頭採れたポイントにて。
鶴田町コクワガタ採集3
歩き回れる範囲が比較的広い場所なので、見落としが無いよういろんな角度で注視していきます。


ばらけて探していると、No.2の呼ぶ声が。

どうやら、見つけた木の上の方にカブトムシが付いているとの事。
前に来た時は気付かなかった樹です。こういうのをパッと見つけてしまえるNo.2の眼力には、自分のような凡人は毎度驚かされるばかりです。

その樹の前に全員集まり、そのヤナギの細い枝を確認してみるのですが・・・

自分 「どこ?」

No.2 (指をさして)あそこらへん」

自分 「・・・あァ、樹液出てるな」

No.6 あ~・・・

鶴田町コクワガタ採集4
(↑↑画像の感じだと、当時実際に目で確認した時よりずっと判り辛く見えます)
採りに来たのはカブトムシではねンだけども(汗)
それでも、ムシっ気の薄い今日この地でとりあえず昆虫採集の気分を上げようと思い、カブトも一応採ろうと云う事にはなったのですが・・・

自分 「居なくね?」

居るらしいカブトが付いているように見えません。
我々を呼びつけている間に、樹の裏側かどこかへ移ってしまったのか・・・

しかし、3人で照らして様子を窺っていると、枝の陰になった方からもそもそとまた姿を現わしてきました。
ナ~ンダ(笑)裏側に居ただけだったナ~(笑)


 ・・・って イヤ 違ウ!!!?

 クワガ、ぇコクワガタだオィ!!!!!

自分 「カブトじゃなくてあれコクワじゃんか~!!」

No.2 「ん いや

自分 「よし、3人居るから落として採るぞ」

全員で準備を整え、合図でヤナギに蹴りを一発。
落ちた!!!


鶴田町コクワガタ採集5
落ちてきたのはコクワの♂とカブトの♂。
どっちも居たのか(笑)

2晩かけた末、遂に手にすることが出来た鶴田町産♂。小ぶりで中型の35mm。
鶴田町産コクワガタ
この瞬間は雄叫びを上げましたね、自分だけ

その後、3人で♀を3~4頭ほど見つけることができ、♂のみを土産にして帰宅。
結局♂はあの1頭だけでしたが、これにてようやく鶴田町採集が完了しました。


採集を終えての感想、その後
鶴田町と云うワードだけ見ると、それまではなんかノーマークっぽそうにも見えてしまう市町村ではあるんですが、何かとここは仕事や採集で通る事が多くて、時間的な余裕がある時は外灯など見て回っていました。
しかし、この町の明かりは優しくなかったです・・・

生息しているにしても、外灯で採れる(採りやすい)環境になってるかは別問題で、鶴田の土地を隈なく全て調べ尽くしたとは言えませんが、「ここは集まりやすい」と期待できる外灯&周囲環境が無いと云う結論に達していて、住宅街や田畑に囲まれている事情も考えると、残る手段はほぼほぼ樹液採集しか残されていません。

川沿いの採集だけに、まさに背水の陣でもあったワケですが、
カブトムシを見つけたらおまけにコクワも付いてきたなどと、自分1人ではこの♂を見つける事は出来なかったでしょう。この日の体験は、鶴より貴重なものでしたね。



五戸町
地域の概要
人口16,679人(2021年1月時点)
県南東部、三戸郡に含まれていて、2004年に旧 倉石村を編入し現在に至ります。
十和田市と八戸市に隣接する内陸の土地で、平野部からなだらかに台地へと移行する地形になっています。
町内を縦断する五戸川、浅水川を主な水源として稲作が盛んに行なわれ、他にはリンゴやニンニク、ナガイモやタバコの栽培が盛んに行なわれています。また、食肉用の牛馬の畜産が有名で、青森県産ブランド黒毛和牛の筆頭格である倉石牛はここから生まれました。


採集
  7月17日

津軽民としてはやや勇気の要る、
平日夜の、南部平野採集と云う名の長距離ドライブ。
津軽民 とは言ってはみるものの、「青森市民」ってのは個人的に弘前や五所川原と云った津軽平野の「純・津軽人」とは違うコミュニティだと思っています。かと言って、「南部民」とも風土・言葉が違うので、地理的な位置関係にして悪い言い方をするとコウモリ野郎だよなと解釈しています。行政区分的には津軽で間違いないんですが、何かこう中途半端な立ち位置に感じるんですよね


次の日が休みと云う事で、思い切って行ってみる事にしました。
(今の時期はライトトラップシーズンでもあり、仕事が無い休日は昼から山奥へライトトラップに行きたい為、平地採集向きの市町村は平日に行っておきたいと云う考えがあったんです。効率的と言うか欲張りと言うか・・・)


まず、八甲田を縦断、十和田湖を抜けて第1目的地である新郷村に入り、外灯を回ってみるのですがコクワは採れず。居るのはアカアシとノコギリばかり。
ポイントを回りながらだんだんと平野部へ下り、八戸方面へ。

五戸町に入った時には既に22時を回っていました。

この五戸町では、過去2度ほどしか採集した事がなく、40市町村の中では階上町に次いで採集経験が乏しい土地。
知っているポイントも数少ないのですが、時刻も遅いのでそれらに頼らざる得ません。


しかし、時期は昆虫採集シーズン真っ只中。
以前見つけた外灯ポイントにまずやってきましたが、そこはどうやら地元では有名な場所だったらしく、既に2組(?)の採集者グループが懐中電灯を点けて歩き回っていました。
念のため、前の組が車に乗り込んでから自分も周辺を回ってみましたが、クワガタは♀1頭たりとも見つかりません。

その間にも新しい採集者の車がやってきて、例のごとく懐中電灯片手にウロウロし始めました。
私感ですが、津軽で採集してるとほとんど同業者と遇わないのに、南部に来るとな~んでか結構鉢合わせるんだよなァ・・・
だめだこりゃ。次行ってみよー。

次は、派手に煌々と明かりが点いているにもかかわらず誰も目を向けていない不思議なポイント。
「誰も目を向けていない」。なぜそれが判るかと云うのはそこを歩けば一目瞭然、外灯の周囲や地面などそこかしこにクワガタやカブトが歩き回っていたからです。
ただ、本命は辛くも♀1頭見つけただけに過ぎず、ほとんどはノコギリとアカアシでした。


さて、そろそろポイントの貯蓄が切れてきました。
元々ほとんど知らなかったので、地図を見ながら可能性のありそうな場所虫は来ていても不安定そうなポイントを回る事にしました。


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明かりに誘われてやってきた新ポイント。時刻は間もなく23時

ポイントとしてはなかなか良い場所で、
こっちのカブトはデカいな~
低地ならではの大型のカブトが複数飛んできていて、食べられた後の頭胸部もあちこちに落ちていました。

ゲンジボタルも見つかり、さらにニアミスでコクワ♂の頭部も発見しました。
蓬田の時と違ってこっち側へはしょっちゅう来ることは出来ないので、悔しさはあまり感じないのですが「これが今日のハイライトじゃないよな・・・?」と弱気にさせられます。


ともあれ、きちんとコクワが生息している事を確認できたので諦めずポイント探しを続け、次に着いたのは見通しの良い場所に設置されているジュースの自販機。
ここでは以前、珍しくスジクワガタの♂が飛来していました。

しかし、来てみるとガッカリ!
自販機の夜間照明が消えていました。無念。
ジュースの値段も安くないクセに虫も来なかったらここに在る意味無いだろ~(泣)


途方に暮れるも、ここには自販機以外にあとまだもう一つ
コクワが採れる可能性を秘めているモノが立っています。

 ・・・サクラです(笑)

ココまで来るとすっかりおなじみとなりましたね。
周囲の環境も生息のバックアップがとれていると判断、サクラを見て回る事にしました。
(生息のバックアップ:個人的感覚の話ですが、近辺にあるのが植樹のサクラだけではコクワの生息には厳しく、他の樹種も含めた林が存在している事でコクワの生息・個体数が安定して維持されると考えるワケです。想像してみれば別に当たり前の事ですけどね。おいらせ町の時は、この話から外れた珍しい例だったのでとにかく感動したワケです。)

しかし、これまでの経験上コクワが採れていたのはいずれも発生初期の6月でした。羽脱してしばらく経つであろう7月半ばになって以降、コクワは後食場所としての見込み不明なサクラの樹に居つく事が頻度としてどのくらいあるのだろうか・・・と、不安があったのですが

探し始めて、ほとんど直ぐの時でした。


ゴキブリじゃないよ
!!!!!!! 居・・・ッ!!?


五戸町産コクワガタ
しかもデカい!!! 50mmオーバーだヨッシャ!!!!
※47mmでした

クモの巣の内側でじっとしていて、一瞬死んでるものかと思いました。
何か食べていたワケでもなく、どういう経緯でそこにいたかは分かりませんでしたが、この後も別の樹で3頭ほど♀を確認出来ました。
♂は追加がありませんでしたが、この迫力のある1頭だけでガソリン代を消費した甲斐がありました。


これ以上はもういいや(疲)
・・・と云う事で、また新郷へ戻り外灯を漁って十和田湖経由で山越えして帰宅しました。


採集を終えての感想、その後
最初に書いたように、今まで来た事が少なかったので昆虫採集が楽しめるのか不安だったんですが、なかなか濃かったですね。
ちなみに、コクワの観察記録として個人的にとても見応えのあるものも今回見る事が出来たのですが、都合上その部分は割愛しました。

コクワ以外についても、カブトもこの年、他の産地ではこじんまりした小♂しか見てなかったので、改めて里の虫なんだなと認識しました。
また、ゲンジボタルも記念に撮ってみましたが、今フォルダ内の画像を確認したところこれは薄紋型かな? 五戸の記録がちょっと分かりませんが、まァ今の時代では貴重なものだと思いますし、この記事をもって報告としておきますか。



野辺地町
地域の概要
人口12,891人(2020年12月時点)
県中東部、陸奥湾に面した自治体です。地理的に、津軽地域と下北半島および上十三地域を陸路で繋ぐ要所の為、交通量が昼夜通して大変多いです。
細長い町域の中心部から東部にかけては低地で、西部は烏帽子岳(▲720m)の北東側に含まれています。
かつては農水産業が盛んで今でもホタテやナマコの水揚げ・加工で知られるところですが、市部と隣接していない地理的な事情(青森市、十和田市、三沢市いずれからも程々に遠い)もあるのか、現在では町を支える主要な業種は販売小売・建設系・製造業などに比重が変わってきています。意外に1次産業比率が低いんですね。


採集
  7月20日

この町では初めてのライトトラップ。

地図を見て目星を付けた地点に到着したものの、
下見無しの一発本番、そのクジは見事にハズレであった。

付近一帯は湿性の薮原で、車から降りてその場からでは光が通せない。
小高い位置にまで機材を手運びしなければならないが、その場所まで持っていくのも面倒極まりない。


まず、
機材を持って水浸しの薮の中をすり抜けていく。
野辺地町コクワガタ採集1

薮を抜けるとやや拓けた裸地に出て、一部乾いた箇所もあるので発電機安定器はそこに置いておく。

その先、大きな石が堆積して出来た斜面を垂直4mほど登る。
野辺地町コクワガタ採集2
登り始めの辺りには石の隙間から伸びる蔓などの草木が茂り、足の置き場がよく見えない。
大きな石が疎らに溜まっているので、不用意に踏み出すと足を捻りかねない。何より、転んだ拍子に投光器をぶつけて壊してしまう事が一番怖い。

足元が滅茶苦茶な為、トレッキングシューズに履き替えた方がいいだろうかと迷ったが、水場を歩く事の不快さに負け、横着してそのまま長靴で登っていく。

斜面を登り始めると積もっている石も細かくなるのだが、
大変に不安定で、足を踏み出す度にガラガラと崩れて下に石が転がっていく。

なんとなくイメージが付くと思うが、写真を見ればどういう所か一目瞭然。
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!
岩壁の直下。

息を詰めながら作業台を抱えてゆっくり登っていき、なんとか安定のとれそうな位置でアジャスターを伸ばして台を固定する。・・・いや、固定と云う表現は適切ではないのだが。
野辺地町コクワガタ採集3
続いて投光器も同じく荷揚げして、作業台が崩れないよう慎重に固定する。
なお、大小ある手持ちの投光器の内、今回は小さい方(400w)を使う事にした。

作業台、投光器と設置したら今度はケーブルを延ばす。
20mケーブルを2本繋げて使用する。普段は1本しか使わないが、40m程度ならおそらく電圧降下もおきないだろう。

約30分かけて運搬・設置準備が完了し、
20時を過ぎていよいよ待望のライト点灯。
野辺地町コクワガタ採集4
苦労して設置しただけあって光がよく通る。
樹相はお世辞にも良いとは言えないが、今日は質より範囲である。
(ちなみに、写真の右下やや中央寄りの辺りに小さな四角く青いものが見えているが、あれが発電機である)

さてここからがまた大変である。
暗くて足元が見えず、常にハンディライトで照らさないと動けない状況なのでできれば瓦礫を下りてしまいたいところだが、ライトの傍で待機していなければならない。飛来した直後に採らないと、コクワは瓦礫の隙間に潜り込んでしまい見失なうからだ。
さらに、待機中もあまり動くことは出来ない。そもそもガレ場なので動き回ろうにも億劫なのだが、問題は不安定な場所でなんとか保っている作業台の安全面である。当然のごとく大抵の獲物はライト=作業台の付近に着地する訳で、確認や採集の為に自分がちょこまかと動き回る内に作業台の足元が徐々に崩れていく。
やれる事としては、その場を動かない様に努め、ネットを持って待機するくらい。

狙いではないアカアシや小さなミヤマが来たらその場に放置し、
コクワに見えた個体や苦労代として持ち帰る大きめのミヤマ♂だけ拾いに行く。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


しかし、光源の選定を間違えた為か、飛来状況は全体的におとなしめである。

離れた位置に発電機があって現場が妙に静かなのが気味悪く感じる。
後ろからいつか落石が飛んでくるかも知れない・・・


結果としては、
この日コクワガタは辛うじて♀が1頭飛んで来たが♂は採れなかった。
また、この時初めてハチモドキバエ(フトハチモドキバエ♀)を採ったのだが、もたもたしている内にストックケース内で死んでしまった。報文に出すほど惜しいものでもないので、ここでの報告で間に合わせておく。

その後、23時ちょうどに消灯、
撤収を開始し全て片づけ終わったのが1時間後の0時過ぎであった。


採集を終えての感想、その後
青森市から片道概ね1時間と云う距離で交通の要所でもあるので、過去にも何度か外灯や公園を回っていましたが、一度も目にする事が出来ず、悩んだ末のライトトラップでした。
しかし、結局♂が来ず終わり時が分からなくなった上、最後は真っ暗な中で片づけ作業を行わなければいけない当時の状況は、今思い出しても苦しいものがあります。

大変な思いをして貧果に終わるなんてのは虫の採集してれば当たり前で、このくらいで心折れてちゃまだまだナマヌルいと言われても仕方ないとは思いますが、
今年はもう一度歩いて探してみる事にします。



東北町
地域の概要
人口17,154人(2021年1月時点)
県東部に位置し、2005年に旧 東北町と旧 上北町が合併して現在に至ります。
町域に含まれている小川原湖は水深が浅く、主にシジミ、シラウオ、ワカサギ、ウナギが獲れる事で地元では知られています。なお、湖としては珍しく地番が付けられていて、住所は「青森県上北郡東北町大字大浦字小川原湖191番地」。
キャンプ場、湖水浴場、運動公園などのスポーツ及びレジャー施設が各地に散在していて、外で遊ぶ為の場所がとても充実している自治体と言えるでしょう。

個人的には、町域の形や複雑に絡み合った道路の所為か非常に地理がややこしい町だなぁと云う印象です。さらに、旧 東北町の地区には「大字」が無いので、地名の把握が難しく、ケータイが無いと自分が今町内のどの辺りに居るのか分からず迷う事があります(恥)

それと、ちょっと前にNHKの某番組でも紹介された「ある事実(?)」、
ボーっ番組でね
実はこの町が日本の中心です。
・・・。


採集
  7月23日

この近辺の市町村は、平野~台地が広がっているのでそっちへ採りに行った方がやりがいがあるのですが、時期も時期と云う事で結局ライトトラップに走ってしまうんですね。

場所特定回避の為マスクしています
20時前に点灯開始、天候は小雨で20℃85%です。
(微かに降っているのが見えますね)

飛来はあまりよろしくなく、
一番多いミヤマですら10頭ちょっとと云う有り様。大きい♂もいません。

21時になるあたりで湿度は90%越えでしたが、本命のコクワは♀が1頭。

22時前に消灯して撤収しました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一応この後、心を入れ替えて(?)低地で外灯などを回り♂を探してみたのですが無念のリタイア。ミヤマ♀、ノコギリ♀くらいしか落ちていませんでした。


採集を終えての感想、その後
結局、野辺地に続いてこちらもライトトラップは2020年中この1回だけで断念してしまい、遂に♂は採れずじまいでした。野辺地といい三沢といいこのエリアの採集はどうも勝手が分からなくてやりにくいです。場所の当たりを付けにくいんですかね。

おかげでこの通り↑↑
採集記にすらなってない簡素な内容しか書けませんでした。
薄いですねぇ・・・当時の状況思い出そうにもほとんど覚えてないんです。
いくら普段長駄文の記事をUPしてるからって、なんでもかんでも長ったらしく書けるワケじゃないんだ!!



大間町
地域の概要
人口5,125人(2020年12月時点)
県北部、下北半島の北端に位置している漁師町です。
青森県の北の果てなだけあってアクセスするにも時間がかかり、青森市からだと車で約3時間。鉄道も高速道路も無いので、ドライブが苦手な自分は来るだけで疲れます。以前はよく、「買い物するにも病院行くにも函館に行った方が早い」なんて話を聞きましたが、今はどうなんでしょうね?

そんな大間と言えば希少な大間産本マグロで有名ですが、クロマグロの漁が解禁される期間以外は、主にコンブなど海藻類や貝類がよく獲られています。
また、ヒバの産地でもあるので、ヒバを使用した製品の開発や木材の生産も盛んです。漁業か林業か・・・地勢的にそうなるのは必然と云う感じですね。
また、本州最北端のブランドがあるので観光や宿泊業もそれなりに盛んです。

自分もここ数年でよく来るようになり、周辺3町村での採集の拠点としてもよくお世話になっています。
だからこそ言える、「大間に来たらココに行け!」なスポットが1ヶ所あります。
マエダストア。
(周辺にスーパーが無いので・・・)


採集
  7月24日

津軽や三八上北といった他地域と違って、下北半島は夏も気温が低く採集適期はとても短いです。ことにライトトラップや外灯採集に関しては盛夏しかまともに採れないとされています(知人談)
その点もあって、この日が今期初めての下北半島採集、
勿論メインの採集法はライトトラップです。

昼14時半に出発し、
津軽海峡を挟んで臨む北海道を脇目に風間浦経由で大間に突入。

時刻は夕方17時50分を過ぎたあたり。
マエダストアで夜戦糧食(笑)を買って山中へ潜り込みます。
大間町コクワガタ採集1
舗装路から未舗装路に移る瞬間は、車とは裏腹に気持ちのギアがグンと上がりますね。
空は薄曇りで、カラッと晴れてもいないし雨の降る兆しもありません。

ヤイッヤー暗くなってまるじゃ
大径倒木や通行止めの可能性を不安視しながら、
ライトトラップが出来そうなポイントがないか見ていきます。
(地図を見てみてもライトがかけられる確信が持てそうな場所が無いので、結局現地で探すしかありません)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


しばらく走って数ヶ所の候補を下見して比較したのち、
最終的に決定したポイントへ急行。候補地探しに時間が掛かってしまったので到着早々急いで道具を展開します。

選んだポイントは、ライトを射すには適していたものの、地面の雑草が邪魔。
点灯を開始する前後、とにかく草を抜いていました。


暗くなって、
いよいよクワガタの飛来が始まりました。
草取りに気をとられ、1頭目は近くに着地したものの見失いました。

最初はやはりアカアシが続きます。
その後次第にミヤマも飛んできて、着々と個体数が増えていきます。
お決まりの面子ですが、「ここが大間」ってだけで非常に楽しいし有り難味を感じます。
大間産アカアシクワガタ・・・
大間産ミヤマクワガタ・・・
青森で虫を採り続けていて未だかつてこんなものを見たことがあったか・・・?


草取りと虫採りで休む暇もなく、時刻は20時20分を過ぎたところでした。

「また来た!」
スウィーピングで採った獲物は、待ち侘びていた黒いダイヤでした。

大間町産コクワガタ1
終了条件達成。
ギリギリ4cmに達した程度の中歯の個体ですが、待ちに待った♂。
意外にもサクッと採れてしまったので「あ、採れちゃった。」とリアクションもありませんでした(笑)

手応えを感じ、そのまま採集を続行します。
コクワが飛んできてから僅か2分後、また変な飛び方の黒いナニカが飛んできて背後の法面に衝突しました。

またコクワか!? ひょっとして〈大きい方の黒いダイヤ〉だったりして・・・!!

落ちた付近の草を掻き分けてみると・・・

大間町産ヒメオオクワガタ♀
・・・たしかに〈黒い〉し、コ ク ワ よ り は 〈大きい〉な・・・
珍客、ヒメオオクワガタでした。


さらにその後も爆発的な数ではないにしろ次々と飛来が続き、
大間町産ミヤマクワガタ
ミヤマも65~67mmクラスが複数飛んできます。
ただ、地理的に北海道に近いのになぜ70mmオーバーが来ないんでしょうねぇ。まぁ今回初めてですけど、今までも北海道のように特大サイズがわんさか採れたって話を下北で聞いたことが無いんですよ。ブラキストン線じゃないけども、ミヤマにも青森と北海道を分ける決定的な違いが何かあるんでしょうか。

そして、嬉しい事にコクワも♀1頭と小さな♂1頭が続けて飛来しました。

上空には既に星空が広がっていたものの、気温も湿度も良好です。
時折り山肌の一部がガスってきますが、照射方向をずらしてかわしていきます。

クワガタ以外の飛来の特徴として印象的なのは、
・コンボウヤセバチ類?が大変多く飛んで来た事
・カメムシが一切来なかった事
でした。
今の時期に他の地域でやるとこうした事が無かったので、この地域の特殊性のようなものを垣間見た気がしました。


さて、時刻も22時近くなり、クワガタの飛来も減ってきました。
幾分手間隙が出てきたので、近くに落ちて隠れている個体や離れたところに落ちた個体を探します。

そんな中、さっきから特に気になっている箇所があるのですが、何やら黒い点が見えます。
大間町コクワガタ採集2
↑↑画像左側、地面の反射光の奥の方にうっすらと大きな岩が崖際に迫り出しています。ここにも目を凝らして見ると、数頭クワガタが引っ付いています。

ここはほぼ断崖となっていて、その崖にライトが反射してそっちにクワガタが逸れてしまったワケですね。

・・・で、
ちょっと身を乗り出してそのいくつかの黒い点を凝視してみると、何やら黒く光るそれっぽい大きな♂のシルエットが確認できます。

コクワ・・・!? いや、アカアシかな~・・・?

アカアシは要らないけども、ここまでで採れているコクワは小中サイズのものしか採れてないので、あれが大きいコクワなら絶対に採っておきたい!!!
と云う事で、選択肢は無し。慎重に岩に身を預けて網を伸ばします。
うっかり岩の凹凸の隙間から虫がポロリしないように網のフレームで虫体を掻き込みます。ついでに自分も崖からポロリしないように。全集中!ヤモリの呼吸!

多分明るい時間だったら崖下が見えて恐怖心に負けていたかもしれません。
大間町コクワガタ採集3
崖際から見た虫の位置関係。
採ってみれば、やはりそれはコクワガタ!!!
優に4cmを超える今日一番の大型個体でした。
ちなみに、青矢印の方の黒い点はアカアシ♀でした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


最終的に、
総数は30頭以上。数字上それほど多かったとは言えませんが、暇を持て余すことも無く大変濃密な時間を楽しむ事が出来ました。

 内訳は、
 ・ミヤマ多数:♂最大約67mm
 ・アカアシ多数:♂最大45mm
 ・ノコギリ1♂1♀
 ・コクワ3♂♂1♀:♂最大43mm
 ・ヒメオオ1♀

コクワ4頭、ミヤマ♂、ヒメオオ♀の他、滅多にない機会と云う事で最近は持ち帰る事が少ないアカアシやノコギリも土産としてケースに納め、山を下りました。


この後、深夜の外灯回りの為に佐井村へ移動し、
そのまま体力切れで車中泊。
賑やかな助手席を時折チラチラ見ながら青森へ帰還したのでした。


採集を終えての感想、その後
なんだかんだと彼方此方に行ってコクワ採集をしているのですが、
実は今回が初めて自力でクリアした下北地域コクワ。
2020年に下北をクリアしたところがこれ以降無いので、2021年1月時点であとまだ4市村採らないとこの地域を制覇できません(焦)

これまで、大間のコクワを狙ってバナナトラップを仕掛けたり、樹液を探してヤナギを探したりもしましたが、いずれもコクワに辿り着くことは叶いませんでした。
いずれも、本州最北を狙って平地近くを攻め過ぎた結果とも言えます。
外灯による採集も、町内を走り回った結果まず諦めるしかないと(町中心部でないと外灯が点いてなくて、低地付近はかなり乾燥していて周囲はマツ林ばかりです)
そこで、「残された選択肢」として拘りを捨てて山中に深く潜り込み(町域の南側)ライトトラップに賭けたワケです。
下北の市町村の中でだと、この大間産を採るのが一番面倒くさいと思われます。

そんな貴重な大間産だけに、持ち帰った個体をブリードしようかとも考えたので〆るまでちょっと抵抗がありました。大間産の養殖個体・・・なんか文字の並びを見るとロマンが失せるなァ・・・


最後に、転落の危険を冒して採った4頭目のコクワの写真で大間町編 完結です。
大間町産コクワガタ43mm
コクワに賭けた男たち



新郷村
地域の概要
人口2,359人(2020年12月時点)
県中南部、山間部に位置しています。
山と山の谷間に点々と集落が散在していて、村の中心部でさえ人は少ないです。
それを象徴するものが、以下の画像に写り込んでいます。

新郷村の信号
おわかり頂けただろうか。
画面右側、交差点を挟むようにして直立する電柱の上に、横にレンズが3つ並んだプレートのような物が写り込んでいる。
まさかこれは、信号・・・だとでも言うのだろうか?

・・・だから何や!? と云う話ですが、
実は村内に信号機が設置されているのは役場前のこの1ヶ所だけ。
新郷しんごう村の信号しんごう機・・・。どうしようもないダジャレですが、自治体がこれを高らかに公言しているので我々は黙るほかありません。
数年前まではその唯一の信号さえ無く、「しんごう村なのにしんごうが無い」だのと言われておりました。つまり、車通りも少ない村内において、本来そこまで必要なものではなかったのです。しかし、子供たちへの安全教育上必要だから設置したと云う、村の愛情が形になったひとつの象徴なんですね。この例は、人口が少ない他の過疎地や離島でも見る事が出来ますね。

さて、田舎らしい心温まる話だなァと思う所ですが
新郷村には信号機よりはるかに特別なモノが在る事で有名です。
それは、キリストの墓。旧約聖書のあのイエス・キリストですよ。
実は生きていたイエスが(?)この地に逃げのび(?)、妻を娶り(?)子供までつくり(?)ここで亡くなった(?)と言うのです。まぁ、なんてことでしょう。
村内には関連した地名や由来ありげな物事が多数存在し、観光地と化した(と表現するのが適切か?)キリストの墓ではキリストの墓タオル、ステッカー、缶バッジなどが売られ、お米にもキリストの文字。容赦ありません、新郷村。
死者への冒涜だとか、そんないちいち騒いだりするのはもはや野暮というもんです。
これもある意味、田舎らしさの一つですよね。

しかし、キリストの墓と言い日本の中心と言い、
青森県はナゼこうもやり過ぎてしまうのでしょうか・・・


採集
  8月20日

7月24日の大間町以降、ちょっと別のクワガタに寄り道していまして気が付けば新規更新が滞ったまま1ヶ月近く経ってしまいました。寄り道が過ぎましたね。

お盆の時期も過ぎてしまい、外灯採集はほぼ望み薄と云う時期です。
主要な外灯ポイントも、夏休み&コロナ休校で家族連れなどの採集者が毎晩のように来ている状況ですから樹液採集かライトトラップしかありません。
はい、ライトトラップですね。


採集ポイントに到着し、光が一番通る方向に向けてライトを点灯。
20時を過ぎた頃でした。

先頭のアカアシに続きノコギリ、そして8月の風物詩・オニクワガタといった面々がポツポツと飛び込んできます。
それらに混じり、アオカミキリモドキやモンスズメバチといった危なっかしい毒虫や、カブトやガムシといった音の大きいお邪魔虫の存在に心穏やかではいられません。

光軸を微調整してみますが、全くコクワは混じりません。

温度は22℃を保っているものの、ひとしきり向かっている方向の木々には当て終わってしまい、この状況のままでは流れは変わらなそうに思えてきました。

そこで、点灯開始から約1時間ほど経った21時のあたりで
思い切ってぐるっと後ろを向き照射方向を変えてみる事にしました。

あまり遠くを射せず一見イマイチな方向ですが、
21時08分に天からの贈り物が目の前に降りてきました。
新郷村産コクワガタ

向きを変えて少し経ったタイミングでした。
何でもやってみる事ですね。

そのまま30分経つも追加は来ず、貴重な1♂をしっかりケースに収めてライトを消灯しました。


この後、普段と別ルートで家に帰る途中、
初めての外灯で♀1頭を追加で拾うことができました。


採集を終えての感想、その後
新郷村も、中央山地の一産地として事ある毎に何度もコクワを探していたのですが、遂にクリアする事が出来ました。十和田湖周辺の市町村にもかかわらずまだ採れていなかったのが不思議なくらいでした。信仰心が足りないんでしょうかね。

もうこの時期になると、特にコクワ採集未経験の市町村ではライトトラップも難しくなってくるのですが、諦めてはいけませんね。アーメン。



五所川原市(市浦)
地域の概要
人口1,975人(旧 市浦村地区・2020年12月時点)
2005年に、旧 五所川原市に旧 金木町と旧 市浦村が吸収される形で合併して今に至ります。その内、この旧 市浦地区は飛び地となっています。
日本海に面していて、南部は岩木川下流の十三湖が占めています。中世は国内有数の港町として米やヒバ材を輸出していたようです。
産業は、漁業や農業及び林業で、十三湖から獲れるシジミ貝は村の顔とも言えますね。そういえばしじみラーメンって食べた事無かったなぁ・・・


採集
  8月22日

8月にコクワ採集再開した新郷で見事に(?)クリア出来たものの、ライトトラップシーズンの終わりを感じるようになってきました。

そんな時期に、
今年もう一度あの地へ挑戦したいと強く想う場所がありました。


それがこの市浦です。
この時点でコクワマップも未達成市町村が少なくなりつつありましたが、下北半島と並んで津軽半島北部もまだ空白が目立つのですが、その中で市浦には今年1回挑んでいたのです。

話は7月初めの、ライトトラップスタート時期に遡ります。



小泊で寂しい結果に終わって以降、月齢が悪さもあってライトトラップは数日間休んでいました。
同じ記事内なのに、小泊の話がはるか昔に思えてくる・・・

その間、地図を眺め次に行く場所を考えていました。

気になったのは五所川原市・市浦。
先週採れた小泊の隣りのエリアだし、今シーズンで順調に津軽半島エリアを攻略していたので、いい流れだと思いここに決定。

ライトトラップできそうな場所は、地図上で何ヶ所か目星は付けられるのですがどこにしようか迷うんですよ。この時間もまた、採集のひとつの楽しみですね。
すぐに行けて楽チンそうな場所もあれば、ココって車で行けるのか? と云う場所もあります。
その中で今回、興味をそそられたのは、

すぐ行けそうな場所、

ではなく、
山の最奥地とも言えるような場所(笑)
やはりこういう所にワクワクするものを感じてならないんですよね。
エリア内にはいくつかそのような場所がありますが、某地図を眺めて「ここって現場どうなってんだろう?」と興味が一番湧いたその場所は、国土地理院地図では林道がついていますが航空写真地図では木々に隠れて道が見えません。
こういう林道って、伐採や下刈りが入ってなくて道が自然回帰してる可能性もあります。


  7月6日

でも行く!

夕方。
市浦へ現地入りし長い林道に突入しましたが、薄暗い林道は幸い軽自動車なら通れるくらいには生きていて、垂れ枝や落ち枝に気を付けながら突き進んでいきます。

途中からだんだんとグーグルマップの読み込みが悪くなってきたので、念のために航空写真のキャッシュをとっておきます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数十分走り続け、
ついに目的の最奥地に到着!

全然光が通らない・・・[バッド(下向き矢印)]


想像していた地形とは似ても似つかないロケーションで、
目の前に並び塞ぐ樹々はブナやミズナラの巨木ではなく、スギ。

周囲も既に暗くなっていて、今日はもう発電機を回すことは出来ないのかと一瞬絶望しかけましたが、ここまで来る途中に1~2ヶ所、きちんと見ていなかったけど「ライトはかけられそう」な場所があった事に一縷の望みをかけてUターン。
林道を戻りました。


ほどなくして到着した場所は沢に掛かる小さな橋。

ハンディライトで照らすと、当初の理想からはかけ離れていますが全く芽が無いワケではなさそう。と云う事で、急いで機材を降ろして展開。
足元が水浸しで、乾いている所はほとんどありません。

五所川原市市浦コクワガタ採集1
大場所狙いの目論見が外れたので仕方ない事ですが、狭いこの場所で大型の投光器は大変不釣合いです。光源の真上にモロに木の枝が被っています。
車に積んである数少ない道具の中から使えそうなものを出してきて工夫しますが、そうこうしている内にライトにクワガタが今年初飛来・・・・・・
上空に吸い込まれていく~・・・
ハジきました。



しかし、それでも一応後続の飛来がポツリポツリとやってきます。

五所川原市市浦ミヤマクワガタ
ライトに落ちる大型のミヤマ♂も久し振り。


温度は約20℃、湿度も85%近辺。
しかし、来るのはミヤマかアカアシのみで本命は来ません。

さらに、絶望へ落としにくるかのように空から大粒の水滴が落ちてきました。
それはすぐに本降りの大雨になり、もはや採集どころではなくなってしまいました。慌てて片づけに掛かりましたが、雨ではねた泥によって機材は皆汚れてしまいました。


今期は順調だと舞い上がっていたそれまでの気持ちがフッと冷めてしまい、
「もうここには来ねぇや!」とテンション低く家路に就いたのです。



・・・とまぁ、こんな事があったんですよ。

話は8月22日に戻ります。
前回行ったのがまだクワガタの発生初期の頃だった事を都合のいい解釈にして、
「今行けば、また違った展開が待っている   はず!
と、馬鹿みたいにリベンジに向かったんですね。


今度は行き先の現場が分かっているので、道具も合ったものを選んでいけます。
前回は大型の投光器でしたが、今回は小さい投光器。
落とし場所の狭さを考えるとHIDハンディライトの方が良さげでもあるんですが、照射距離やその他諸々の戦法によりこうなりました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


現地に到着し、道具を展開。
この時期になると日が暮れるのも早いです。
緑色の夢の時間
緑色の夢の時間が始まりました。

前回来た時は、橋の一帯はグズグズに濡れてとても汚い場所でした。
今回は、数日前から雨も降ってないし汚れる心配もなく歩きやすいだろうと安易に考えていましたが、

残念でした♪♪

水浸しの夢
今日もグズグズでした♪♪
どうやらこのポイントは天気関係なく水っけが多くて濡れているみたいです。


しかし、

あの日とは

何もかもが同じでは

ありませんでした。


疎らに飛び込んでくるクワガタを1頭1頭網でスウィーピングして採っていってたのですが、20時36分にその瞬間が飛び込んできました。


五所川原市市浦産コクワガタ
市浦、攻略なる!!!

実に何とも言えない中途半端なサイズです。
35mmちょっと超えるくらいでしょうか。

わざわざこれ1頭を採りに来る為に、
たかが普通種のコクワガタを採るだけの為に、
こんなクソメンドくさい林道の奥まで2度も来させやがって・・・!


だけど、今この瞬間これだけは言える。

コイツ、
サイコーにカッコいいぜ!!!!!


採集を終えての感想、その後
あの後も少しの間待っていたのですが、結果的に追加を得ることは出来ませんでした。

市浦も、これまで蓬田や外ヶ浜、中泊などと同じ様にたまにドライブに来て外灯を回ってはいたのですが、アカアシやノコギリと違い滅多に採れることが無く♀しか採れた事がありませんでした。
かと言って、樹液採集をするくらいなら津軽平野か南部平野(三本木原)に行く方を優先していたので、どうにもしっかり採集する機会がありませんでした。個人的にはこの土地は好きなんですけどね。

そして、市浦から話は移るのですが、
ここをクリアしたことで、津軽半島も残り2つと云うところまで迫ってきました。
これまでの他のエリアと同じ様に、この半島での採集の一番のネックは気象条件(特に気温と風)。そこさえピッタリ合えば、津軽地方は全部クリアしたも同然なので、2021年も休日平日関係なく採集のチャンスを狙いたいと思います。





ここまで完読頂きましてありがとうございました。

・三沢市
・上北郡 横浜町
・上北郡 おいらせ町
・つがる市
・三戸郡 階上町
・東津軽郡 蓬田村
・北津軽郡 中泊町(小泊)
・東津軽郡 外ヶ浜町(三厩)
・黒石市
・北津軽郡 鶴田町
・三戸郡 五戸町
・上北郡 野辺地町
・上北郡 東北町
・下北郡 大間町
・三戸郡 新郷村
・五所川原市(市浦)
全16地域の記録を一記事でまとめました。

年を跨いだ今になって採集記を書こうとすると、なかなか打ち込み作業が進まないです。感動した場面や焦ってヒヤヒヤした場面などはよく覚えていても、その前後の詳細な展開や、個人的には意識してなくても記事の構成上説明の必要がある部分なども必要です。記憶を引っ張り出して文章に変換して推敲する道のりは途方もありませんでした。


その分、こうして書いて読んでみると
自分もコクワで色々な採集をしていたんだな~と俯瞰できますね。

書く側も読む側も飽きるって・・・[あせあせ(飛び散る汗)]
(記事編集中に何度も読み返すのですが、これだけ長々読むとたとえオオクワでもマルバネでもキツいものがありますね)
上手いブロガーなら、1個ずつ日別に更新していって読ませるのでしょうけど、自分としては記事が700も溜まってきたらあまり記事数増やしたくないんですよね。


この分をまとめまして次回、
「2021年の挑戦」にてコクワ市町村採集のクリア状況を書いてみたいと思います。


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