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ペレン島産復活へ [ドルサリスノコギリ (ヒロミ亜種)]

採集へのめり込むようになってからというもの、徐々に飼育規模が縮小の一途を辿っています。
一時期の大量絶滅期を経た後に無理のない程度に少しずつ飼育種も増えてきたのですが、ライト機材を入手した頃から今度は採集に熱が入り、今では飼育種も両手の指で数え切れる程度に減少しました。

2021年も、入手した外産昆虫はネブト1種(正確には2種)のみでした。
おまけに、年の後半は昆虫関連の資料収集や文書作成に追われ、採集はお休みした他、自分の虫の世話すらほとんど出来ていませんでした。この所為か、飼育棚はがら空きとなっています。

それまで追われていた作業も一段落し、ようやく他の作業に意識を向けられるようになった昨年末、ネットオークションにて偶然「その虫」を発見したのです・・・





さて、この正月期間中に飼育種とブログ記事を照らし合わせていた中で、ひとつ書き忘れていたものがあった事に気付いたので現在までの一連の流れをまとめたいと思います。


2020年末ペレン島産ギラファに混じってドルサリスノコギリを入手したことを以前書きましたが、なぜだか、その後日談を書いたつもりになってブログではそれっきりになっていました。

 【ペレン島産ギラファに混じってドルサリスノコギリを入手】
   ⇒ 2020-12-20 『750キロを突っ走れ! ~ ペレン島からの珍虫 ~』


ドルサリスはどうなったの!?
まだドルサリスは生きてるの!?

正月中、当時の記事を読まれた方からのそんな疑問が幻聴として聞こえてきました。
今回まとめるのは、ドルサリスノコギリ・ヒロミ亜種の現在までの流れについてです。



セットから僅か1日。
コバシャ中ケースの底には、なんといきなり卵を発見できてしまいました。
あまり飼育情報が見つかっていなかったのでちょっと心配していましたが、こんなチョロイとは思わず拍子抜けしましたが、希少亜種なので何より安堵しました。その当時は。

数日でケース底部には2個見えるようになりました。
マット産みだとするともうちょっと見えた方が安心するのですが、「まーどうせ見えない場所にも産んでるでしょ~」と楽観的に考えていました。


暗雲が立ち込めてきたのはその1ヶ月後あたりでした。
たまにケースを見ていたのですが、ある時卵の状態をチェックしてみたところ、卵が腐っているのを確認!
2卵見えていたその両方が黒く萎んでいます。
ひょっとしたらマットの所為か!?

実は、セットした際マットはガス抜き無しでそのまま詰めてしまったのです。
他の卵もこのままでは全滅してしまうと判断し、慌ててセットを解体しました。
ところが・・・



無い・・・

底面で見えていた分の腐敗卵以外に何も出てこないのです。

マットを細かく指で擦り砕いても、マット以外には何も異物が出てきません。
ボロッと出てきた親♀は、マットをこびり付かせながらもピンピンしています。

・・・まさか・・・なぁ~・・・??

脳裏を過ぎる不安にフタをして、
今度はちょっと内容を変えたセットを組んで♀を投入しました。
ガス抜き充分のマットに、ノコギリ向けの軟らかい産卵木を埋め込んでみました。

これで答えが判るだろう・・・



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夏。

セットの中身は時が止まったように静かでした。

KIMG2791.JPG
KIMG2788.JPG
親♀はとうの昔に天に召され、マット表面はカビが薄っすら生えて産卵木はきれいなバクテリア材になっていました。失敗です。
ケースをひっくり返しても産卵の形跡も幼虫も見えません。

1セット目を暴いた段階で覚えた不安は確信に変わりました。

未交尾だったのか・・・

たしかに体重も重く体表も無傷で、♂と一緒ではなかったから、発生間際にキャッチャーに見つかってしまった個体だったのでしょう。マットなどが合わなくて産まなかったワケではないので、これはもう運が無かったと言う他ありません。
国内ブリード品が出回っていなかった現在において、再登場を期待していたのですが・・・ひと時の夢を見せてもらっただけで終了したのでした。



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それからさらに時間は経ち、年末近くなりました。
記事の冒頭↑↑に書いた、「その虫」をオークションで発見しました。

勿論、「その虫」とは、何を隠そうペレン島産ドルサリスノコギリ
某輸入業者が1ペアのみ出品していたのです。
久しぶりに覗いたオークションサイトで偶然目に入ったので、それはもう運命の出会いに感じてしまいましたね。
(実際は、業者はその1ヶ月前にも1ペア販売していたんですけどね)

これはもうリベンジするしかない!
ドルサリスには心残りもあったしこの時には自身も忙しくなくなっていたので、意を決してオークションに参加する事にしました。

しかし、今回の出品内容はドルサリス名義で♂♀のペア、しかも1点物。
ギラファのドサクサ紛れで安価で落札できた前回とは状況が違い、あっという間に高額競争に・・・
神経をすり減らして入札に勝った頃には、5万円を超えていました。
(果たしてこれは勝ったと言えるのだろうか・・・?)

心配な事に、今回の販売業者は九州の方で、青森までは丸2日掛かってしまいます。前回買った所の業者が残念だっただけに、同時期の今回の輸送も大変心配です。
フトコロも寒くなりましたが、それ以上に輸送中の凍死リスクは深刻です。


  1月6日

豪雪による配送の遅れや、局留め配送でちょっとした手違いがあり、
順当に早ければこの日の午前中に到着していた荷物を実際に受け取れたのは午後6時半

持ち帰って開梱しましたが、内容はこの通り↓↓
KIMG3469.JPG
外側は保温シートで包んだ状態で、その下には段ボール。さらに内部の発泡スチロール箱には、直接外気に当たらないように布を巻いてガード。
カイロもそれなりに効いていて、仮死状態も無く生体は開梱時には動いていました。無事です!


1年振りの登場となるその姿ですが・・・

KIMG3483.JPG
♀。実際にはもっと黒いのですが、光の反射でだいぶ明色になっています。
体長は30mmで、身体もテカテカで美しいですが、一点気になるのは前右フ節が爪欠けで麻痺している事。原産のペレン島では今頃が発生時期のようなので、まだ大丈夫だと思うのですが、体重がちょっと軽いような気もする・・・ような・・・そうでもないような・・・

KIMG3479.JPG
そして今回初見となる♂個体。37mmの小歯型なのでカッコ良さも無ければ原名亜種との違いも見られませんが、体色は♀より暗く感じます。図鑑では、原名亜種の方が明るいという様に書かれているので、やはり本亜種はサイズを稼いでこそ真の?魅力があるのでしょう。


さて、早速セッティングですが、前回が未交尾による失敗だった事もあり、一応交尾させた方がいいかなぁと試しにペアリングしてみました。

KIMG3487.JPG
コルクボードの上で♂♀を置いて、上からカップを被せて暫らく様子を見てみますが動かねェ!!
かれこれ30分近く微動だにしません。

KIMG3488.JPG
試しに遮光板を被せて暗めにしてみても、一瞬動いただけでまた静かになりました。
5分・・・10分とまた経過。

KIMG3491.JPG
もうどうしたらいいか分からなくなり、やけっぱちにライトを当てて見る事に。
再び明るくしたから・・・ではないと思いますが、ようやく♂が動き始め、カップの周りを1周。そして♀に気付くと
KIMG3493.JPG
ゴキブリのような身のこなしで♀に覆いかぶさり求愛行動。交尾態勢に入りました。

KIMG3495.JPG
ただし、♀がなんだか♂を受け入れてくれない様子で、一向に♂の交尾器は右往左往したままです。♂は片方の中脚で♀をパタタタッと小刻みに叩いて促していますが、♀は腹端を開こうとしません。
5分程度経ってようやく観念?したのかチロッと腹を出して♂を受け入れましたが、きちんと交接したのか分からない内にまた♀は腹端をピシッと閉じてしまいました。

この感じからすると、環境が落ち着かないと云うよりはもう交尾に乗り気ではないのでは。
何より、今回1ペアだけ入荷した本種の事を考えれば、この1ペアは現地でもペアの状態だった事は容易に想像できます。

♂♀別々にして、早速セットに投入することにしました。
KIMG3503.JPG
今回は、きちんとガス抜きしてなおかつ熱処理も行なったマットを使用しました。
使用ケースはBeケース中サイズ。前日から仕込んでおいて温度も安定させています。
ゼリーを置いて、輸送疲れもまだあるでしょうから♀をゼリーにアピールしますが、♀はこれを固辞。口もしっかりゼリーに当たっていますが、無視してマットに潜っていきました。これはもう勝ったか・・・?


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そして今日現在。

一時はケースの最低部にまで潜っていた♀を確認しましたが、それ以降は全く様子が分かりません。ケース底部に卵も見えませんが、地上のゼリーも全く食べた様子は無く、どうやらずっと♀は潜ったままのようです。
前回と裏腹に、今度は産卵済みの空っぽ♀ではない事を祈りながら、様子を見守りたいと思います。
2022年、いい年になりますように・・・



再入荷した在庫  1種類
全ての在庫 9種類



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