ずぼら標本作製のすすめ 「針刺し標本用 脱脂容器」作成 [日昆 日常雑記]
半月以上更新してませんでしたが、死んではいません。
どうも会長です。
死んではいませんが色々と落ち着けない日々は送っております。
ブログもなかなか手を付けられずにいますが、
それ以上に・・・もう採集シーズン来てるのに展足作業が終わらない!!
針も足りなくなって注文してたらその間に山の雪はドンドン減ってきているし、
このままでは結構まずいです。
さて、死んでないだとか何とかと云う事で、
今日は標本についての内容を書いてみます。
そもそも自分は標本作製が得意とは言えないのでこれまでも標本関連の記事を書いた事は無かったのですが、これも一つの勉強だと思って今回は書いてみる事にしました。
標本作製については(飼育や採集もだろうけど)人それぞれで程度ややり方が異なってくるので、自分の書いたやり方のところどころに突っ込みどころが多々あるかもしれませんけど生温かく見守ってください(笑)
まず、前提として自分は標本作製についてはまぁまぁ不徹底な方だろうと思うワケです。
基本的に薬品殺虫後、(汚れの程度により水洗浄後)生展足してからの乾燥→マウントと
いかにもテキトーな流れで虫を箱に収めていましたが、
やはり時間が経った標本の中には、黒ずんできた色虫や脂が浮いてカビてきた虫も出てきました。殺虫後軟らかい歯ブラシで水洗浄を行っても虫体の処理としては高が知れてますね。
「脂抜きってやっぱやらないとダメか~」と悟ったのは、わりと最近です・・・(恥)
生体を採集してから箱に収めるまで、どのような手順を経ていくかは作成者の考えや経験は勿論、虫の種類によってもそれぞれ異なりますし、保管場所や時期・入手経路により臨機応変に対処するのは言わずもがなですが、
自分の場合は基本的に、殺虫→容器内でそのまま生状態で保管→(汚れ次第では水洗浄してから・保管状況によっては蒸気軟化後展足)針展足→1~3ヶ月以上常温乾燥→脂抜き→脱液→ボンドパック→マウント→保管
と云った具合です。
殺虫後ずっと毒ビンに入れっぱなのがまず突っ込みが入りそうなのですが、確かに虫によっては〆た後すぐ毒ビンから出して乾燥させて展足するまで保管した方がいいのでしょうが、自分は主にクワガタしかやってないので著しい変色の危険が伴う事は無いと判断してやってます(苦笑)、それに軟化作業は極力省きたいしねェ。
そんでもって多分一番突っ込まれるであろう展足後の脱脂、それ以降の順序。
仮展足は行わず一発本展足。
脂は抜いてもその後もう一度展足し直したくない!
ずぼら根性がこういう部分に現れてるワケです。
「じゃぁ先に脂抜きしてから軟化して展足すればいいじゃん」と言われる事受け合いですが、
・軟化作業がマストになるのでヤダ
・乾燥状態で触る回数は倍以上に増えるのでコワイ
・ゴム化が多くなりそうでメンドクサイ
などなど、虫屋としての熱意の欠片もない理由に阻まれやりたくありません。
何事も経験しないと上達しないんだけどね・・・
と云う事で、極力手間は惜しみたい自分としては、
「〆て軟らかい内に形を決めちゃって、脂落としてパックしたい」わけなんです。
容器になみなみと入れたアセトンなどの溶媒に虫をそのまま入れると当然ながら浮きます。
ちょっと見辛いですがこうなりますよね↑↑
このミヤマ、展足・乾燥後に一度アセトンにそのまま浮かべたんですが、
やっぱりダメでした。液面に接している境目で脂が白く凝り固まってしまいました。
寒い部屋に置いていたのも原因ですがやはり半身の液浸は不適です。
↑↑なので、虫体からしっかり脂を抜くためにはしっかり液内に沈めないといけませんが、
本来この後乾燥、軟化を経てまた展足するつもりならば
タトウ紙で包んで液に浸したり、むき出しで浸した虫の上からティッシュ等で落とし蓋をすれば済む話なのですが、展足標本を何かで押さえつけてしまうと結局展足が崩れてまた展足しないといけません、
・・・二度手間になってしまうワケですよね。
容器のフチまで満タンに溶媒を注げば、浮かんだ虫を蓋がある程度押さえつけてくれるけど、使用中も容器自体の扱いがシビアになるし、ただ浮かべるだけだと複数の虫を容器に入れると接触して破損する危険が生じ、
一つの容器に対して単数~ごく少数の虫しか入れられないのでコストがかかりあまり頭の良いやり方とは言えないですよね。
「溶媒が満タンに入っていなくても触角や脚に当たること無く虫体を沈めてくれる形状のフタ」が付いた容器なんてのも無いし、
デリケートゾーンを避けてなおかつ虫それぞれの形状に合うようになってる重しなんてあるワケ無ぇし、
虫の身体に金属棒かなんかの重しを糸で縛って沈める・・・とか
・・・もはや非現実的な発想に逸れてしまっています。
自分の場合は中型(3cm弱)以上のものは虫体に針を刺すので、そうとくれば早い話で
虫を容器の底に針を刺して固定すれば、虫も浮かばずに済む・・・
・・・と(針を刺す人なら)誰もが及ぶ考えですが、
(ちなみに針を直接刺さない3cm弱以下の小型種は浮かべてもきちんと浸るので、小ビンとかで個別に難なく脂抜きしてて問題ないです)
さァ一体何に針を刺すか。
自分が針を刺す展足板として使っているのは、
・温室作成で余ったスタイロフォームの切れ端
・100均で買うポリスチレン製カラーボード
の2種類なんですが、まさかこれを使うなんてのは無理ですしね。
接着剤は使っても意味を成さないし、そもそも有機溶媒に浸けたら一貫の終わりですからね。
溶解の仕業です。
(堅い消しゴム・・・)
まァ普通に考えれば、ペフ板を使うのが妥当な策なのですが、
容器の底にどうやって固定するか・・・。
で行き詰まるわけなんですな。
発泡スチロールのような材質だったら、容器に固くはめ込む事で固定できてしまうのですが
ペフ板は弾力性があって固定できません。先に書いた通り接着剤は不可。
この先繰り返して使うものだし随時用意を増やす事も考えて、手に入りやすいもので作らなければいけません。
そんな中、某雑誌の記事が大変参考になったので、
それを踏襲し思考錯誤した末、ようやく納得のいくものが出来上がりました。
前置きが長くなりましたが、
今回の記事の本題はその脱脂容器の作り方です。
自分のややこしい文章だと使えるものも使えなくなってしまうので
簡単に手順と道具を以下の表にしてみました。
では、順を追って紹介してみます。
材料として用意するものはこれだけです。
ペフ板と割り箸の説明は後に回すとして、まずは容器の説明です。
参考にした雑誌に載っている物とほとんど同じ物を使用しますが、
爪とパッキンが付いた密閉型のタッパーを用意します。
入れるのは水ではないので、溶けて変形してしまう材質は勿論避けます。
ガラス容器を使うのがベストなんでしょうが、この後ペフ板の固定で容器内壁を削る必要があるので加工が可能なポリプロピレン容器(パッキン:シリコンゴム)を今回使用しました。
ダイソーで売られているPLASTIC CONTAINER、
容量は750ml・表示寸法は横11.5cm×縦18.5cm×高6cm。
容器の寸法としては、底面(内側)の短辺が割り箸より短い物でないといけません。
他に、材料を加工する道具として
・カッター
・定規
・錐
・彫刻刀(あれば)
を用意します。
ペフ板は一般に標本道具を扱う店にある5~6mmの厚みの物がちょうどいいでしょう。
これを容器に入るよう裁断するわけですが、上記のタッパーに寸法を合わせると
18cm×15cmのサイズに切るのが望ましいです。
これを、長辺の両側を折って容器内にピッタリはめ込むと蓋の閉まる位置ほぼギリギリで止まるようになります(文だと解りにくいのでこれは後で図解します)。
ペフ板を一回タッパーに入れてみると分かりますが、それなりにペフ板もカタい素材なので、
ギリギリピッタリに押し込んだペフ板は折目部分に相当な負荷が掛かり反発して戻ろうとします。
参考雑誌の方の説明ではタッパーの角部分までペフ板を折り込まず緩やかに曲げて両端にストッパーを作り、引っかけ留めておくやり方が書かれていましたが、
このやり方だと、ペフ板の折り曲げが緩く大きくなってしまい虫を入れるスペースが狭くなってしまいます。
(この留め方だと、仮にペフ板をギリギリに折るとストッパーから弾けてしまう)
ペフ板の反発力を殺し、なおかつ作業の精度を高めるためにも
ここでペフ板の折り目部分に切り込みを入れて、折れやすくしておきます。
切り込みを入れるのは、タッパーに入れて山折りになる側です。
ここで【注意する点】
切り込みの深さは板の厚みの半分くらいまでにとどめます。
板の裏まで切って貫通させてしまうと、固定箇所が板の端であるため中央が固定されない事になり板の中央が浮力によって持ち上がってしまう危険が生じます。板の両側を折る意味が無くなります。
切り込みを付けたらもう一度容器にはめ込み、この後の作業のシミュレーションをします。
容器底面にピタッとあわせたら、その位置で板の両側を割り箸を突っ張るので
確認の後、ペフ板の折り目の両端(計4ヶ所)に穴を空けます。
(両端部分とは言っても、折って側面に位置する部分(矢印部分)になります)
工程としては実際、ペフ板を貫通して割り箸を渡すより
板の折目に沿って渡せばこの段階の作業をカットできるんだけど
一応、入れる虫の邪魔にならないように割り箸の占める場所を極力減らした結果がコレですよ。
さっきのシミュレーションで割り箸の突っ張る予定の場所(内壁)を、
下の画像のように1cm四方のスペースを刃物を使い溝を掘ります。
使う刃物の理想としては彫刻刀(三角刀)がベターです。カッターでもいいですが溝が小さい事と、力を入れ過ぎると最悪貫通してしまうので注意します。
これを相互の位置に気を付けながら計4ヶ所作ります(矢印部分)。
向かい合った溝にガッチリ食い込むように、割り箸を折ります。
折れて毛羽立った断面でないとしっかり溝に食い込まないので、きれいに切断したらダメ(きれいに折らなきゃならない)なワケです。
この真ん中の2本を使います。
(両側の断面が毛羽立っていないといけないので)
折る際ですが、寸法には気を付けなければいけません。
この容器の場合、寸法に0コンマ数mmの製造誤差は生じるとは思いますが、
96.5mmでバッチグー(笑)でした。(96.0mmでは緩かったです)
もし割り箸の長さが足りず固定が緩くなってしまうと、後で悲惨な事になります。
↑↑の画像は試作中の時の物ですが、最初は底にピッタリつっかえていても時間と共にペフ板の浮力と反発で上に持ち上がってしまいます(矢印)。
持ち上がってしまうと、特にタッパーの角部分にいる個体が圧迫されて、最悪は変形・破損してしまう危険が高いです(例:〇部分)。
勿論、この危険が極力無いようにしたのが今回の作成法なんですが、万が一にでもずれる事態に直面した時に、蓋でペフ板がつっかえて少しでもダメージを減らすためにStep.2ではめ込みギリギリになるようにペフ板の寸法をとったと云うワケです。
ここまできたらあとは組み立てるだけです。
ペフ板の両側の穴にそれぞれ割り箸を挿し通し、
タッパーにはめ込みます。
割り箸もしっかりペフ板を固定するように下まで押し込みます。
このように溝の位置でガッチリ突っ張らせます。
これで完成です。
容器が完成したら、入れる虫がしっかり浸かるくらいまで溶媒を適度にトプトプ注ぎ、
あとは至って普通の脂抜きを行えるはずです。
板底も割り箸も浮かぶことなく、フ節や触角も危なげ無しです。
因みに溶媒とは言っても、
このポリプロピレン製タッパーに入れるとしたら、自分が知る限り
基本的にアセトンしかありませんケドね。
今、脂抜きにはアセトン以外にベンジンも使用していますが、このタッパーで使うと
タトウにまとめて大量にやる方法と比べると流石に処理ペースは劣りますが、
展足標本の処理としては容器のスペースは有効に使えるので、
納得のいく方は試してみてはいかがでしょうか?
(なんだかんだ言っておいて、結局しっかり紹介してしまった)
どうも会長です。
死んではいませんが色々と落ち着けない日々は送っております。
ブログもなかなか手を付けられずにいますが、
それ以上に・・・もう採集シーズン来てるのに展足作業が終わらない!!
針も足りなくなって注文してたらその間に山の雪はドンドン減ってきているし、
このままでは結構まずいです。
さて、死んでないだとか何とかと云う事で、
今日は標本についての内容を書いてみます。
そもそも自分は標本作製が得意とは言えないのでこれまでも標本関連の記事を書いた事は無かったのですが、これも一つの勉強だと思って今回は書いてみる事にしました。
標本作製については(飼育や採集もだろうけど)人それぞれで程度ややり方が異なってくるので、自分の書いたやり方のところどころに突っ込みどころが多々あるかもしれませんけど生温かく見守ってください(笑)
まず、前提として自分は標本作製についてはまぁまぁ不徹底な方だろうと思うワケです。
基本的に薬品殺虫後、(汚れの程度により水洗浄後)生展足してからの乾燥→マウントと
いかにもテキトーな流れで虫を箱に収めていましたが、
やはり時間が経った標本の中には、黒ずんできた色虫や脂が浮いてカビてきた虫も出てきました。殺虫後軟らかい歯ブラシで水洗浄を行っても虫体の処理としては高が知れてますね。
「脂抜きってやっぱやらないとダメか~」と悟ったのは、わりと最近です・・・(恥)
生体を採集してから箱に収めるまで、どのような手順を経ていくかは作成者の考えや経験は勿論、虫の種類によってもそれぞれ異なりますし、保管場所や時期・入手経路により臨機応変に対処するのは言わずもがなですが、
自分の場合は基本的に、殺虫→容器内でそのまま生状態で保管→(汚れ次第では水洗浄してから・保管状況によっては蒸気軟化後展足)針展足→1~3ヶ月以上常温乾燥→脂抜き→脱液→ボンドパック→マウント→保管
と云った具合です。
殺虫後ずっと毒ビンに入れっぱなのがまず突っ込みが入りそうなのですが、確かに虫によっては〆た後すぐ毒ビンから出して乾燥させて展足するまで保管した方がいいのでしょうが、自分は主にクワガタしかやってないので著しい変色の危険が伴う事は無いと判断してやってます(苦笑)、それに軟化作業は極力省きたいしねェ。
そんでもって多分一番突っ込まれるであろう展足後の脱脂、それ以降の順序。
仮展足は行わず一発本展足。
脂は抜いてもその後もう一度展足し直したくない!
ずぼら根性がこういう部分に現れてるワケです。
「じゃぁ先に脂抜きしてから軟化して展足すればいいじゃん」と言われる事受け合いですが、
・軟化作業がマストになるのでヤダ
・乾燥状態で触る回数は倍以上に増えるのでコワイ
・ゴム化が多くなりそうでメンドクサイ
などなど、虫屋としての熱意の欠片もない理由に阻まれやりたくありません。
何事も経験しないと上達しないんだけどね・・・
と云う事で、極力手間は惜しみたい自分としては、
「〆て軟らかい内に形を決めちゃって、脂落としてパックしたい」わけなんです。
そうなると、一つ大きな問題が立ちはだかるんですね。
展足標本をどうやって脱脂しようか
容器になみなみと入れたアセトンなどの溶媒に虫をそのまま入れると当然ながら浮きます。
ちょっと見辛いですがこうなりますよね↑↑
このミヤマ、展足・乾燥後に一度アセトンにそのまま浮かべたんですが、
やっぱりダメでした。液面に接している境目で脂が白く凝り固まってしまいました。
寒い部屋に置いていたのも原因ですがやはり半身の液浸は不適です。
↑↑なので、虫体からしっかり脂を抜くためにはしっかり液内に沈めないといけませんが、
本来この後乾燥、軟化を経てまた展足するつもりならば
タトウ紙で包んで液に浸したり、むき出しで浸した虫の上からティッシュ等で落とし蓋をすれば済む話なのですが、展足標本を何かで押さえつけてしまうと結局展足が崩れてまた展足しないといけません、
・・・二度手間になってしまうワケですよね。
容器のフチまで満タンに溶媒を注げば、浮かんだ虫を蓋がある程度押さえつけてくれるけど、使用中も容器自体の扱いがシビアになるし、ただ浮かべるだけだと複数の虫を容器に入れると接触して破損する危険が生じ、
一つの容器に対して単数~ごく少数の虫しか入れられないのでコストがかかりあまり頭の良いやり方とは言えないですよね。
「溶媒が満タンに入っていなくても触角や脚に当たること無く虫体を沈めてくれる形状のフタ」が付いた容器なんてのも無いし、
デリケートゾーンを避けてなおかつ虫それぞれの形状に合うようになってる重しなんてあるワケ無ぇし、
虫の身体に金属棒かなんかの重しを糸で縛って沈める・・・とか
・・・もはや非現実的な発想に逸れてしまっています。
自分の場合は中型(3cm弱)以上のものは虫体に針を刺すので、そうとくれば早い話で
虫を容器の底に針を刺して固定すれば、虫も浮かばずに済む・・・
・・・と(針を刺す人なら)誰もが及ぶ考えですが、
(ちなみに針を直接刺さない3cm弱以下の小型種は浮かべてもきちんと浸るので、小ビンとかで個別に難なく脂抜きしてて問題ないです)
さァ一体何に針を刺すか。
自分が針を刺す展足板として使っているのは、
・温室作成で余ったスタイロフォームの切れ端
・100均で買うポリスチレン製カラーボード
の2種類なんですが、まさかこれを使うなんてのは無理ですしね。
接着剤は使っても意味を成さないし、そもそも有機溶媒に浸けたら一貫の終わりですからね。
溶解の仕業です。
(堅い消しゴム・・・)
まァ普通に考えれば、ペフ板を使うのが妥当な策なのですが、
容器の底にどうやって固定するか・・・。
で行き詰まるわけなんですな。
発泡スチロールのような材質だったら、容器に固くはめ込む事で固定できてしまうのですが
ペフ板は弾力性があって固定できません。先に書いた通り接着剤は不可。
この先繰り返して使うものだし随時用意を増やす事も考えて、手に入りやすいもので作らなければいけません。
そんな中、某雑誌の記事が大変参考になったので、
それを踏襲し思考錯誤した末、ようやく納得のいくものが出来上がりました。
前置きが長くなりましたが、
今回の記事の本題はその脱脂容器の作り方です。
自分のややこしい文章だと使えるものも使えなくなってしまうので
簡単に手順と道具を以下の表にしてみました。
~ 作成のかんたんな流れ ~ |
Step.1 | 道具の用意 ・容器(タッパー) ・ペフ板 ・割り箸 |
Step.2 | 容器にあわせペフ板を切り出す |
Step.3 | ペフ板を容器にはめ込む位置にあわせ 折れ目部分にカッターで切り込みを入れる |
Step.4 | ペフ板の折り目の両端(計4ヶ所)に穴を空ける |
Step.5 | はめ込むペフ板の穴が接する箇所の タッパー内側に溝を彫る |
Step.6 | 向かい合った溝部分に突っ張って固定できるように 長さを合わせて割り箸を折る |
Step.7 | ペフ板の穴に割り箸を挿し通し タッパーの中にはめ込む ・・・完成 |
では、順を追って紹介してみます。
Step.1 | 道具の用意 ・容器(タッパー) ・ペフ板 ・割り箸 |
材料として用意するものはこれだけです。
ペフ板と割り箸の説明は後に回すとして、まずは容器の説明です。
参考にした雑誌に載っている物とほとんど同じ物を使用しますが、
爪とパッキンが付いた密閉型のタッパーを用意します。
入れるのは水ではないので、溶けて変形してしまう材質は勿論避けます。
ガラス容器を使うのがベストなんでしょうが、この後ペフ板の固定で容器内壁を削る必要があるので加工が可能なポリプロピレン容器(パッキン:シリコンゴム)を今回使用しました。
ダイソーで売られているPLASTIC CONTAINER、
容量は750ml・表示寸法は横11.5cm×縦18.5cm×高6cm。
容器の寸法としては、底面(内側)の短辺が割り箸より短い物でないといけません。
他に、材料を加工する道具として
・カッター
・定規
・錐
・彫刻刀(あれば)
を用意します。
Step.2 | 容器にあわせペフ板を切り出す |
ペフ板は一般に標本道具を扱う店にある5~6mmの厚みの物がちょうどいいでしょう。
これを容器に入るよう裁断するわけですが、上記のタッパーに寸法を合わせると
18cm×15cmのサイズに切るのが望ましいです。
これを、長辺の両側を折って容器内にピッタリはめ込むと蓋の閉まる位置ほぼギリギリで止まるようになります(文だと解りにくいのでこれは後で図解します)。
Step.3 | ペフ板を容器にはめ込む位置にあわせ 折れ目部分にカッターで切り込みを入れる |
ペフ板を一回タッパーに入れてみると分かりますが、それなりにペフ板もカタい素材なので、
ギリギリピッタリに押し込んだペフ板は折目部分に相当な負荷が掛かり反発して戻ろうとします。
参考雑誌の方の説明ではタッパーの角部分までペフ板を折り込まず緩やかに曲げて両端にストッパーを作り、引っかけ留めておくやり方が書かれていましたが、
このやり方だと、ペフ板の折り曲げが緩く大きくなってしまい虫を入れるスペースが狭くなってしまいます。
(この留め方だと、仮にペフ板をギリギリに折るとストッパーから弾けてしまう)
ペフ板の反発力を殺し、なおかつ作業の精度を高めるためにも
ここでペフ板の折り目部分に切り込みを入れて、折れやすくしておきます。
切り込みを入れるのは、タッパーに入れて山折りになる側です。
ここで【注意する点】
切り込みの深さは板の厚みの半分くらいまでにとどめます。
板の裏まで切って貫通させてしまうと、固定箇所が板の端であるため中央が固定されない事になり板の中央が浮力によって持ち上がってしまう危険が生じます。板の両側を折る意味が無くなります。
Step.4 | ペフ板の折り目の両端(計4ヶ所)に穴を空ける |
切り込みを付けたらもう一度容器にはめ込み、この後の作業のシミュレーションをします。
容器底面にピタッとあわせたら、その位置で板の両側を割り箸を突っ張るので
確認の後、ペフ板の折り目の両端(計4ヶ所)に穴を空けます。
(両端部分とは言っても、折って側面に位置する部分(矢印部分)になります)
工程としては実際、ペフ板を貫通して割り箸を渡すより
板の折目に沿って渡せばこの段階の作業をカットできるんだけど
一応、入れる虫の邪魔にならないように割り箸の占める場所を極力減らした結果がコレですよ。
Step.5 | はめ込むペフ板の穴が接する箇所の タッパー内側に溝を彫る |
さっきのシミュレーションで割り箸の突っ張る予定の場所(内壁)を、
下の画像のように1cm四方のスペースを刃物を使い溝を掘ります。
使う刃物の理想としては彫刻刀(三角刀)がベターです。カッターでもいいですが溝が小さい事と、力を入れ過ぎると最悪貫通してしまうので注意します。
これを相互の位置に気を付けながら計4ヶ所作ります(矢印部分)。
Step.6 | 向かい合った溝部分に突っ張って固定できるように 長さを合わせて割り箸を折る |
向かい合った溝にガッチリ食い込むように、割り箸を折ります。
折れて毛羽立った断面でないとしっかり溝に食い込まないので、きれいに切断したらダメ(きれいに折らなきゃならない)なワケです。
↓↓
この真ん中の2本を使います。
(両側の断面が毛羽立っていないといけないので)
ちなみに、折った後の画像で片方の割り箸が竹串にすり替わっているのは、
別に1本しくじったワケじゃないからね!! ないからね!!
折る際ですが、寸法には気を付けなければいけません。
この容器の場合、寸法に0コンマ数mmの製造誤差は生じるとは思いますが、
96.5mmでバッチグー(笑)でした。(96.0mmでは緩かったです)
もし割り箸の長さが足りず固定が緩くなってしまうと、後で悲惨な事になります。
↑↑の画像は試作中の時の物ですが、最初は底にピッタリつっかえていても時間と共にペフ板の浮力と反発で上に持ち上がってしまいます(矢印)。
持ち上がってしまうと、特にタッパーの角部分にいる個体が圧迫されて、最悪は変形・破損してしまう危険が高いです(例:〇部分)。
勿論、この危険が極力無いようにしたのが今回の作成法なんですが、万が一にでもずれる事態に直面した時に、蓋でペフ板がつっかえて少しでもダメージを減らすためにStep.2ではめ込みギリギリになるようにペフ板の寸法をとったと云うワケです。
Step.7 | ペフ板の穴に割り箸を挿し通し タッパーの中にはめ込む ・・・完成 |
ここまできたらあとは組み立てるだけです。
ペフ板の両側の穴にそれぞれ割り箸を挿し通し、
タッパーにはめ込みます。
割り箸もしっかりペフ板を固定するように下まで押し込みます。
このように溝の位置でガッチリ突っ張らせます。
これで完成です。
容器が完成したら、入れる虫がしっかり浸かるくらいまで溶媒を適度にトプトプ注ぎ、
あとは至って普通の脂抜きを行えるはずです。
板底も割り箸も浮かぶことなく、フ節や触角も危なげ無しです。
因みに溶媒とは言っても、
このポリプロピレン製タッパーに入れるとしたら、自分が知る限り
基本的にアセトンしかありませんケドね。
今、脂抜きにはアセトン以外にベンジンも使用していますが、このタッパーで使うと
タトウにまとめて大量にやる方法と比べると流石に処理ペースは劣りますが、
展足標本の処理としては容器のスペースは有効に使えるので、
納得のいく方は試してみてはいかがでしょうか?
(なんだかんだ言っておいて、結局しっかり紹介してしまった)
この記事、「ずぼら標本作製」とか銘打って書いたけど
そもそもホントにずぼらな人はこんなめんどくさい工作しないだろうな・・・