キュンキュンするクワガタ・・・? [〆フェイスタメルシワバネ]
『オオクワガタ以外はクワガタに非ず』
20年くらい前はこんな考えの人も多かったのではないでしょうか・・・?
1999年に正式に外国産クワガタの輸入が解禁されてもうそろそろ20年になろうとしています。在来の国産種は勿論、巨大なオオヒラタやギラファノコギリ、カラフルなニジイロやオウゴンオニ、果てはオオツヤやホソアカにも見慣れている飼育者は珍しくないでしょう。
一口にクワガタと言ってもその姿は多種多様で、世界各国から色々な種類のクワガタが輸入され、クワガタの飼育種の幅も昔と比べ大きく広がっているのは今更確認するまでもない事実です。
勿論、生体の飼育だけでなく標本の収集もしている人も大勢いるワケで、そうした人は飼育のみ行っている人より格段に多くの種類のクワガタを見ていると思います。
さて自分はと言うと、標本を集めているワケではないので見慣れているクワガタもいれば見慣れていないクワガタもいて、もっと言うと見慣れてもいないし見た事も無いクワガタの種類の方が多いです。
今回は、そんな「見慣れていないクワガタ」の中でもかなりドギツイ奴の記事です。
11月下旬、ある荷物が届きました。
「見慣れていない」・・・つまる話が外国産のクワガタなワケですが、今回は輸送時期がなかなかにシビアでした。
特殊な温度帯の種類で、青森のこの時期の天候は非常に不安定。1日~2日だけ輸送に問題なさそうな日があったのが幸運でした。店によっては梱包の提案を素直に聞いてくれないところもありますが、入念に電話で打ち合わせまでしてもらい、虫はきちんと青森まで生きたまま到着してくれました。
アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、アフリカのクワガタは飼育経験はありますが、新大陸のクワガタは今回初めて飼育します。
標本では見た事がありましたが、手のひらの上で生きて動いているのを見ると流石に感動します。
フェイスタメルはシワバネ属最大種で、アンデス山脈に沿って南米大陸の北部から中部にかけて分布していて中でもペルー産は大型化するってことで別亜種扱い(別種扱い?)にするところもあるみたいですがどうなんでしょうかね?
そんなフェイスタメルも、近年は晩秋頃のシーズンに一定数の生体が輸入されるようになってきて、累代に挑戦し一喜一憂する様子がネットでチラホラ散見できる時代になってきました。
南米産クワガタは他地域産クワガタと比べて知名度が非常に低い(と思う)のですが、フェイスタメルは何やら昔ム〇キングで有名になり一部の層からも認知度を上げたそうで(俺はよく知らんけど)同じ南米産のアレに次いで南米産では第2位くらいの有名種と言ってもおかしくはないようです。
残念ながら、南米産知名度1位のアレは4年前(だっけ)に主要産地国で輸出規制が施される事になるというニュースと共に輸入の目処が立たなくなり、「いつかは私もアレを・・・」と夢見ていた変態勇敢な飼育者層も見た目が近いフェイスタメルへ流れ込んだ・・・と云う風にも自分は思っているんですがね。何を隠そう自分もその一人でしたから・・・「フェイスタメルなんて中途半端な珍種で自分を慰める気はねェ!! 俺はアレをやりたいんだ!! アレ一本で挑みたいんだ!!」
南米産という事で、現地の発生時期では普通種と言っても金額は決して安くはなく・・・
ペルーだからと言っても飛んでいったのはコンドルではなく諭吉さんでした。
一々目が釘付けになる見た目です。
諭吉さんの事はもう忘れてしまいます。
横から見てもクワガタらしいコンパクトさは皆無。
蛹の形を見てみたいですね。
いや~もう全部ヤバい(笑) 北欧神話とかに出てきそう。
白い毛に覆われた頭部に金属のような複眼。
シワシワの前胸背板は油膜が張ったような色。
頭部のアップ。虫を知らない人が見たら「これが神戸港で見つかった奴です」と言われても信じてしまうくらい見た目がアウトですね。
シワバネの名前通り上翅にはキレイに皺がついています。
先端部のシルエットも変わっていますな。洗練されきってない感じ。
裏返すと真っ白でモッフモフです。突然頭上にこんなのが落ちてきたら大概の人は悲鳴あげて走って逃げるんじゃないでしょうか・・・
そして♂だけではなく♀も同じように他国感にあふれています。
幅広くなった前脛節、大して木も齧れなさそうな大腮、見るからにマット産みと云う風貌。大腮は閉じるとシャベルのようにヘラ状になっていて、なんだか土を掘るのに使えそうな形状ですねェ。鋸歯もなんか根切りっぽい感じに見えるのは気のせいでしょうか。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
さて、無事到着した生体ですが
元々虚弱体質で気圧も低い高地に生息している虫なので即日セットへ移行します。到着の前にセットを仕込んでおけばなお良かったんですがね。
現地のシーズンには大量に発生するという事も、明らかに寿命が短い証拠。
♀はフ節が1本麻痺しているので交尾もまず済んでいるだろうと見てペアリングは無し、到着時からあまり変わらずヨタヨタした感じなのでマットに潜る脚力があるのか非常に心許ないです。動く本種を見るのが初めてとは言え、これは少なくとも発生初期の活きがいい状態ではありません。
一応セットを作るまでの間、♂と♀の様子を見ていたのですが、♂はゼリーにむしゃぶりついたのに対し♀はゼリーに興味を示さずカップ内をぐるぐる・・・
フタの縁をグリグリする様子が見られたので、そこそこ力は残っているんだろうと少しだけ安心しました。
マット産みという事で、早速マットを仕込みます。
マットの選定が下手クソな自分にとっては非常に悩ましい時間です。
ネットでヒントを拾いながら、コバシャの中ケースに1~2種類のマットを混合したりミキサーで微粒子化して3層構造にします。
そして同時に、ケースに詰めるマットをちょっと細工して酸性寄り・アルカリ性寄りとpH環境を左右で分けてみました。
3層&pH分けのセットは、虫側の選択肢が増えたようで一見して良さげに見えますが、中ケースと云うやや狭い容積では虫側の認識の問題や中和の危険性もあるので、
産卵の確率が上がるかと言われるとそうとも思えないし、時間の経過で環境が変わる可能性があると卵や初令の死亡率にも影響してきますから・・・やっぱり良策とは言えそうにありません。
念のために誘導坑を左右に開けておいたんですが、ヨタヨタ歩きの♀には合わなかったようで落とし穴みたいにボトッと落ちてしまいました。・・・大丈夫か・・・!?
ゼリーと水苔を散らして、17℃設定にした冷やし虫家へ。
初日~2日目くらいは地上でウロウロしていたようですが、以降は姿が外からは見えなくなったので潜ったのかもしれません。
・・・そのままケースに触らずにいるので、実はひっそり水苔の下で死んでいるかも知れん・・・
このカテゴリが、1回きりのただのフェイスタメル写真集に終わらない事を願いたい・・・!!
20年くらい前はこんな考えの人も多かったのではないでしょうか・・・?
1999年に正式に外国産クワガタの輸入が解禁されてもうそろそろ20年になろうとしています。在来の国産種は勿論、巨大なオオヒラタやギラファノコギリ、カラフルなニジイロやオウゴンオニ、果てはオオツヤやホソアカにも見慣れている飼育者は珍しくないでしょう。
一口にクワガタと言ってもその姿は多種多様で、世界各国から色々な種類のクワガタが輸入され、クワガタの飼育種の幅も昔と比べ大きく広がっているのは今更確認するまでもない事実です。
勿論、生体の飼育だけでなく標本の収集もしている人も大勢いるワケで、そうした人は飼育のみ行っている人より格段に多くの種類のクワガタを見ていると思います。
さて自分はと言うと、標本を集めているワケではないので見慣れているクワガタもいれば見慣れていないクワガタもいて、もっと言うと見慣れてもいないし見た事も無いクワガタの種類の方が多いです。
今回は、そんな「見慣れていないクワガタ」の中でもかなりドギツイ奴の記事です。
11月下旬、ある荷物が届きました。
「見慣れていない」・・・つまる話が外国産のクワガタなワケですが、今回は輸送時期がなかなかにシビアでした。
特殊な温度帯の種類で、青森のこの時期の天候は非常に不安定。1日~2日だけ輸送に問題なさそうな日があったのが幸運でした。店によっては梱包の提案を素直に聞いてくれないところもありますが、入念に電話で打ち合わせまでしてもらい、虫はきちんと青森まで生きたまま到着してくれました。
フェイスタメルシワバネ ペルー ワヌコ
アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、アフリカのクワガタは飼育経験はありますが、新大陸のクワガタは今回初めて飼育します。
標本では見た事がありましたが、手のひらの上で生きて動いているのを見ると流石に感動します。
フェイスタメルはシワバネ属最大種で、アンデス山脈に沿って南米大陸の北部から中部にかけて分布していて中でもペルー産は大型化するってことで別亜種扱い(別種扱い?)にするところもあるみたいですがどうなんでしょうかね?
そんなフェイスタメルも、近年は晩秋頃のシーズンに一定数の生体が輸入されるようになってきて、累代に挑戦し一喜一憂する様子がネットでチラホラ散見できる時代になってきました。
南米産クワガタは他地域産クワガタと比べて知名度が非常に低い(と思う)のですが、フェイスタメルは何やら昔ム〇キングで有名になり一部の層からも認知度を上げたそうで(俺はよく知らんけど)同じ南米産のアレに次いで南米産では第2位くらいの有名種と言ってもおかしくはないようです。
残念ながら、南米産知名度1位のアレは4年前(だっけ)に主要産地国で輸出規制が施される事になるというニュースと共に輸入の目処が立たなくなり、「いつかは私もアレを・・・」と夢見ていた
・・・(なんのこっちゃ・・・)
南米産という事で、現地の発生時期では普通種と言っても金額は決して安くはなく・・・
ペルーだからと言っても飛んでいったのはコンドルではなく諭吉さんでした。
一々目が釘付けになる見た目です。
諭吉さんの事はもう忘れてしまいます。
横から見てもクワガタらしいコンパクトさは皆無。
蛹の形を見てみたいですね。
いや~もう全部ヤバい(笑) 北欧神話とかに出てきそう。
白い毛に覆われた頭部に金属のような複眼。
シワシワの前胸背板は油膜が張ったような色。
頭部のアップ。虫を知らない人が見たら「これが神戸港で見つかった奴です」と言われても信じてしまうくらい見た目がアウトですね。
シワバネの名前通り上翅にはキレイに皺がついています。
先端部のシルエットも変わっていますな。洗練されきってない感じ。
裏返すと真っ白でモッフモフです。突然頭上にこんなのが落ちてきたら大概の人は悲鳴あげて走って逃げるんじゃないでしょうか・・・
そして♂だけではなく♀も同じように他国感にあふれています。
幅広くなった前脛節、大して木も齧れなさそうな大腮、見るからにマット産みと云う風貌。大腮は閉じるとシャベルのようにヘラ状になっていて、なんだか土を掘るのに使えそうな形状ですねェ。鋸歯もなんか根切りっぽい感じに見えるのは気のせいでしょうか。
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さて、無事到着した生体ですが
元々虚弱体質で気圧も低い高地に生息している虫なので即日セットへ移行します。到着の前にセットを仕込んでおけばなお良かったんですがね。
現地のシーズンには大量に発生するという事も、明らかに寿命が短い証拠。
♀はフ節が1本麻痺しているので交尾もまず済んでいるだろうと見てペアリングは無し、到着時からあまり変わらずヨタヨタした感じなのでマットに潜る脚力があるのか非常に心許ないです。動く本種を見るのが初めてとは言え、これは少なくとも発生初期の活きがいい状態ではありません。
一応セットを作るまでの間、♂と♀の様子を見ていたのですが、♂はゼリーにむしゃぶりついたのに対し♀はゼリーに興味を示さずカップ内をぐるぐる・・・
フタの縁をグリグリする様子が見られたので、そこそこ力は残っているんだろうと少しだけ安心しました。
マット産みという事で、早速マットを仕込みます。
マットの選定が下手クソな自分にとっては非常に悩ましい時間です。
ネットでヒントを拾いながら、コバシャの中ケースに1~2種類のマットを混合したりミキサーで微粒子化して3層構造にします。
そして同時に、ケースに詰めるマットをちょっと細工して酸性寄り・アルカリ性寄りとpH環境を左右で分けてみました。
3層&pH分けのセットは、虫側の選択肢が増えたようで一見して良さげに見えますが、中ケースと云うやや狭い容積では虫側の認識の問題や中和の危険性もあるので、
産卵の確率が上がるかと言われるとそうとも思えないし、時間の経過で環境が変わる可能性があると卵や初令の死亡率にも影響してきますから・・・やっぱり良策とは言えそうにありません。
念のために誘導坑を左右に開けておいたんですが、ヨタヨタ歩きの♀には合わなかったようで落とし穴みたいにボトッと落ちてしまいました。・・・大丈夫か・・・!?
ゼリーと水苔を散らして、17℃設定にした冷やし虫家へ。
初日~2日目くらいは地上でウロウロしていたようですが、以降は姿が外からは見えなくなったので潜ったのかもしれません。
・・・そのままケースに触らずにいるので、実はひっそり水苔の下で死んでいるかも知れん・・・
このカテゴリが、1回きりのただのフェイスタメル写真集に終わらない事を願いたい・・・!!
五本大作戦・第一部 ‐オヤスミナサイ‐ [〆ゴホンヅノ (原名亜種)]
今年の9月、前回から実に8年振りに飼育したゴホンヅノカブト。
今回2ペア入手しそれぞれ単独でセットしたのですが、
現在までの経過を順を追って振り返ってみます。
▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼
ゴホンヅノのブリードでまず厄介なのがマットの選定。
今も昔も世間では「ひとクセある」と云う見解でほぼほぼ変わらないワケでして、自分も過去2回いずれも採卵には失敗してはいないのですがいまひとつコツのようなものは掴めておりませんでした。
そうなると、より成功の確率が高い物を求めてこれまでと違うメーカーのマットを試してみたくなってしまうワケです。
ゴホンヅノの産卵について個人的に思ったことはまた後述しますが、
取り敢えずゴホンヅノの購入に先んじて、今まで使ったことが無い店のカブトマット(Aとします)を20リットル分購入したところ・・・これがちょっと失敗でした。
到着したマットを見て呆然、チップがだいぶ粗く明らかに『幼虫用』のマット。微粒子でもなければ産卵で大事な粘り気も全く感じられません。一応、「産卵にも効果を発揮する・・・云々」と云った説明があったので期待したのですが、心配になってきました。
なんとなく「これは加工しないといかんのでは?」と感じて、混合のマットにしてセットすることにしました。
テストの意味も含めて、2頭それぞれ別の物をマットに混ぜることにしました。
・1頭目・・・9月23日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットA+水苔
【温度】 22~23℃
まずはカブト産卵でもよく見る水苔を混ぜたセットです。
勿論、水苔は転倒防止用に地上に敷き詰めておくのではなく、マットとしっかり混ぜて産卵床として使用します。とは言ってもカブトのセットで水苔を入れるのは初めてで、分量も分からないので感覚的な量で配合します。
ケースの8割の深さまで混合マットを入れ、そのマットの3割程度は手でギュッと押し固めて、7割は均すだけにしておきます。
ゼリーと親♀を入れたらフタをして温室へ入れました。
・2頭目・・・9月24日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットA+けと土
【温度】 22~23℃
1頭目と違い今度はけと土を混合しました。
けと土を選んだのは単純に粘り気増強の為で、以前轟沈したインペリアリスのマット原料の余りを転用しました。言わずもがなこれも配合は目分量です。
虫作業をこの日手伝ってもらっていたパンドラにこのマット詰めをしてもらい、けと土以外の工程は1頭目と同じで8割詰めの内3割固詰め上ふんわり。
ちなみに両方ともセットを組む前日♂と追い掛け済み。
セットはこれで完了したワケですが、
水苔やけと土が混ざったマットでは産卵は良くても孵化後の幼虫には合わないだろうという事で、5日後の29日には初令幼虫用に、デリケートな種類に有効と云う話を目にしてこれまた別メーカーのカブトマット(これをBとします)を10リットルだけ購入しておきました。
そして数日経過し、
セットした内の1つに怪しげな様子が目立ってきました。
それは、はじめにセットした水苔の方でした。
最初にセットした時はきちんと均していたマット表面はケース壁面に沿ってえぐり抜かれ、四角い側溝状に押し固められていました。明らかに、マットが気に入らず徘徊していた痕跡です。
直ぐにセットを解体して別メニューに組み直しておけば・・・と今になって思うのですが、生き物相手だと最後まで何があるか分からないと思いとどまってしまうものですし、結局そのままセットを続行してしまったんですよね・・・
ちなみに、この時点ではまだ採集脳のままでありまして、この状況を確認した次の日曜にはヒメオオを採りに大間に行ってしまってたんですねェ
そしてさらに数日と間も無い内に、その日はやってきてしまいました。
水苔セットの親♀が死亡。
歩き疲れ果てたようでした・・・
セットからそう間もない内に1♀が逝ってしまい、
流石に焦りを覚えまして翌週の10月8日に2セットの試し割りを行う事にしました。
けと土の方は依然潜ったままでしたが、地中で果てている可能性もあるし、割り出して産卵が行われていなければ急いで別メニューで組み直さなければなりません。
・水苔の方のケース(♀死亡)
まずは親が死亡した水苔のセットから割出してみました。
ケースをひっくり返してみると、悪い予感は的中。マットの内部まで掘り進んだ形跡は無く、表層7~8cm程度の深さまでしか潜っていませんでした。マットに変質や劣化も見られません。
一応マットはバラしてみましたが、やればやるだけ悲しくなるばかりでした。
死亡した親♀↑↑
悲しくなるほどピカピカのキレイな状態で死んでいます。今にも起き上がりそうなくらいです。
・けと土の方のケース(♀生死不明)
もう望みはこっちのセットしかありません。♀は地上に出てきていないので中で死んでいるかまだ生きてるのか全く判らない状態です。
ただしこっちにはきれいに潜行した痕跡があり、産卵の期待は少なからずあります。
早速ケースをひっくり返してみると、マット中層からまだ生きていた親♀が出てきました。フ節が1本欠けていますがまだ元気そうです。
そして続いて、ひっくり返したマットの底部を少し崩してみると・・・
卵!!!!
よかった・・・全滅だったらどうしようかという心配はあっさり拭えました。
僅かなスペースを崩しただけで5~6個の卵が出てきたところで、これ以上は孵化まで放置した方がいいと判断して割り出しをすぐさま中止し、マットをそのままケースに戻して温室で保管することにしました。
出てきた卵は別容器で保管することにしまして、
親♀は同じケースに戻さずに新しいセットを組むことにしました。
・2頭目・・・10月8日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットB+けと土(微量)
【温度】 22~23℃
マットの在庫の問題もあって、当初割出し後管理用に購入していた前述のマットBを入れることにしました。一応けと土も混ぜたには混ぜたのですが、ほとんど使い切ってしまっていて入れたのか入れてないのか判らない程度しかありませんでした。(分量で云うと2~4%くらい?)
ちなみにこの約3週間後、
ゴホンヅノについて喜ばしいニュースが発表されたのですが
それを自分が知ったのは12月になってからでした・・・
試し割りをしてから1ヶ月後の11月5日。
採卵して管理していたカップから幼虫が多数確認できたので、その分の個別管理に着手しました。
割り出してみると1令幼虫が4頭と膨らんでいる卵が1個、計5頭を120㏄カップへ移しました。マットは、再セットした♀を入れているケースのカブトマットBを表層部分から少し頂戴し詰めました。
・・・ちなみに、残念ながら再セットしたこの親♀はこの時もう地上で亡くなっていました。
そして、さらに2週間経過した11月19日。
9月24日に組んだ最初のけと土混合ケースの方に初令幼虫が見えはじめていたので、事情も諸々あるので割り出すことにしました。
まぁ、事情と云うのは・・・季節とコバエって部分です。
(コバエが湧いてしまっているので室内で割り出せないし、冬になってしまったので寒さが厳しくならない内に屋外で作業しないと後々辛いからです)
とは言っても実際の所お外はこんな感じ↓↓
全然冬(辛) 雪も吹いています。
さすがに雪の上で作業するワケではないですが寒い・・・!
ケースをひっくり返してマットを出すと湯気が立つ(苦笑)
コバエも凍ってほとんど動かない状況で、粛々とマットを割っていきます。
継続的にポロポロ出てくる1令幼虫にニヤニヤが止まりません。採れた幼虫を次々に製氷トレイに移し、凍らせていきます。
マットを全て砕き終えて、採れた合計は25頭。
・・・俺が組んだ水苔の方は無反応だったのになにこの差は・・・、前々からちょっと思ってたけど、女性ってカブトムシ産ませるの上手だよな(偏見)
ちなみに、採れた全ての幼虫は底部の固詰め層からのみ出てきました。
爆産・・・とまでは言えない数字でしたが、自分のやり方ではこの結果は大成功と呼べる結果になりました。できればこの調子で、再セットのカブトマットBのセットからも追加が欲しいところです。
採れた幼虫は、8年前に本種を産ませた時の別メーカーのカブトマット(これをCとします)と、さらにまた別メーカーの腐葉土(昆虫飼料メーカー)を混合して120ccカップに個別に移しました。
しかし、このやり方が後に最悪の事態を招く事になりました。
時は(たしか・・・→)11月25日、虫屋の納会に出席する準備で手製カレンダーを徹夜で仕上げていたその朝でした。
作業の気晴らしに、19日割り出し分の幼虫達の様子を見ようと温室を開けると、
し、死んでる・・・!!!!!!!
ほとんどと言っていい数の幼虫が茶色に変色して動かなくなっています。中には萎んでいる個体までいます。ほぼ全てがカップの上部や壁面で息絶えています。
軽いパニックになりながらも、死亡個体と生存個体でカップを分けていきます。
さすがにこれだけの数が1週間もせず死んでしまうのか? カップ投入時には何らおかしな様子は無く元気だったので、割り出しで何かショック状態になったとも思えません。
手に持ったカップを開けてポカーンと見ていたら、何か違和感に気付きました。
・・・・・・このマット、ちょっと水気が多くてやけにぬらぬら光ってる・・・
・・・・・・・・・ん?・・・あれ?・・・なんかちょっと温かいような・・・・・・・・・・・・もしかして・・・
・・・再発酵・・・??
マットを混合した上、水分も多い。
結局のところ原因は確定できないのですが、要因としては非常に考えられることでした。今よくよく考えればカブトマットCだけで良かったところを、産卵時の感覚で「混ぜるのが良い」と考えなしに要らぬマットを加えたのは何故だったのか。しかもナゼ腐葉土なのか。加えてこの腐葉土、ミキサーで粉砕して微粒子化すると云う無駄な手間まで掛けていた所為で再発酵しやすくなっていた可能性も高いのです(恥)
再発酵した結果酸欠状態になり窒息してグッタリ・・・という事か・・・
とは言え時間が無いので、何とか生存している分のカップはマットを半分に減らし、フタを開けておいて換気させておくことに。
その後話を聞いたFH鈴木さんには呆れ顔をされました。
鈴木さん 「だ~から〇〇〇のマットは使うな、って言ったろ~~(呆)」
最終的に、25頭居た19日分の幼虫は4頭に減ってしまい安泰だったブリーディングライフも苦しくなってきました。2ペア仕入れた事を考えると汗顔の至りです。
幼虫の頭数を2桁確保するには最後のセットに望みを託すしかありません・・・!
親♀も死亡し、暴いていないカブトマットBのセットを暴いたのは去る12月8日。
ケースの側面がややカビてきている事に一抹の不安を覚えながら、新聞紙の上にマットをひっくり返します。マット~をあーばーけーー♪♪
(あ・・・! これはダメなパターンのヤツだ・・・)
・・・どうやら・・・これはアレだね・・・失敗ってやつだね。
初っ端からこんな死亡卵が見えてしまったんだから心も折れるさ。なんでそんな真っ黒なんだよ、大涌谷にでも浸かってきたのか!!
この卵も含めて、2個だけ死亡卵が見つかった以外には何も出てきませんでした。
と云うワケで、
今回のゴホンヅノ産卵の結果は・・・
①♀その1
・・・【カブトマットA+水苔】⇒ 0個
②♀その2
・・・【カブトマットA+けと土】⇒ 第1回割出:卵5~6個、第2回割出:幼虫25頭
・・・【カブトマットB+けと土(微量)】⇒ 0個
→存命 第1回割出分:4頭、第2回割出分:4頭、合計8頭
瞬間的に30頭を見込めた頭数が今となっては3分の1以下です。まさかこんなミスでブリーディングを失速させてしまったのにはただただ情けなく思うばかりです。
ただ、今回の事や前回までの感覚を振り返るに、産卵について巷で語られている話に対して思うところがあるので、今の時点での自分の考えを敢えて下にまとめておきたいと思います。
↑↑ただし、成功した時の傾向はある程度あるみたいで、
・いくつか違う種類のマット層に分ける(虫が潜っても層の違いを認識できないと無意味)
・軟詰め層と固詰め層に分ける
そして加えて上記のダラダラ長文から
・徘徊したり潜りが浅い場合は何でもいいからマットを変える
これらを意識すると、なんとか悪い現状を打破できるのではないかと思います。
ヘラクレスやなんかみたいな簡単に爆産する奴らとは違いますから、5個10個としか採れなくても「あ~、失敗☆」とか思わない方がいいでしょう
採れただけでいいじゃねェか調子乗るな!
・・・でもこれって↑↑、別に大した工夫してないような・・・ ・・・ ・・・ ・・・。
▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼
さて、こうしてバタバタ色々あって(いろんな意味で「バタバタと」・・・だった)ゴホンヅノのWF1飼育がスタートしたのですが、2017年のゴホンヅノカブトの話はこれだけでは終わらなかったんですね・・・
今回2ペア入手しそれぞれ単独でセットしたのですが、
現在までの経過を順を追って振り返ってみます。
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ゴホンヅノのブリードでまず厄介なのがマットの選定。
今も昔も世間では「ひとクセある」と云う見解でほぼほぼ変わらないワケでして、自分も過去2回いずれも採卵には失敗してはいないのですがいまひとつコツのようなものは掴めておりませんでした。
そうなると、より成功の確率が高い物を求めてこれまでと違うメーカーのマットを試してみたくなってしまうワケです。
ゴホンヅノの産卵について個人的に思ったことはまた後述しますが、
取り敢えずゴホンヅノの購入に先んじて、今まで使ったことが無い店のカブトマット(Aとします)を20リットル分購入したところ・・・これがちょっと失敗でした。
到着したマットを見て呆然、チップがだいぶ粗く明らかに『幼虫用』のマット。微粒子でもなければ産卵で大事な粘り気も全く感じられません。一応、「産卵にも効果を発揮する・・・云々」と云った説明があったので期待したのですが、心配になってきました。
なんとなく「これは加工しないといかんのでは?」と感じて、混合のマットにしてセットすることにしました。
テストの意味も含めて、2頭それぞれ別の物をマットに混ぜることにしました。
・1頭目・・・9月23日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットA+水苔
【温度】 22~23℃
まずはカブト産卵でもよく見る水苔を混ぜたセットです。
勿論、水苔は転倒防止用に地上に敷き詰めておくのではなく、マットとしっかり混ぜて産卵床として使用します。とは言ってもカブトのセットで水苔を入れるのは初めてで、分量も分からないので感覚的な量で配合します。
ケースの8割の深さまで混合マットを入れ、そのマットの3割程度は手でギュッと押し固めて、7割は均すだけにしておきます。
ゼリーと親♀を入れたらフタをして温室へ入れました。
・2頭目・・・9月24日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットA+けと土
【温度】 22~23℃
1頭目と違い今度はけと土を混合しました。
けと土を選んだのは単純に粘り気増強の為で、以前轟沈したインペリアリスのマット原料の余りを転用しました。言わずもがなこれも配合は目分量です。
虫作業をこの日手伝ってもらっていたパンドラにこのマット詰めをしてもらい、けと土以外の工程は1頭目と同じで8割詰めの内3割固詰め上ふんわり。
ちなみに両方ともセットを組む前日♂と追い掛け済み。
セットはこれで完了したワケですが、
水苔やけと土が混ざったマットでは産卵は良くても孵化後の幼虫には合わないだろうという事で、5日後の29日には初令幼虫用に、デリケートな種類に有効と云う話を目にしてこれまた別メーカーのカブトマット(これをBとします)を10リットルだけ購入しておきました。
そして数日経過し、
セットした内の1つに怪しげな様子が目立ってきました。
それは、はじめにセットした水苔の方でした。
最初にセットした時はきちんと均していたマット表面はケース壁面に沿ってえぐり抜かれ、四角い側溝状に押し固められていました。明らかに、マットが気に入らず徘徊していた痕跡です。
直ぐにセットを解体して別メニューに組み直しておけば・・・と今になって思うのですが、生き物相手だと最後まで何があるか分からないと思いとどまってしまうものですし、結局そのままセットを続行してしまったんですよね・・・
ちなみに、この時点ではまだ採集脳のままでありまして、この状況を確認した次の日曜にはヒメオオを採りに大間に行ってしまってたんですねェ
(こりゃダメだわ・・・)
そしてさらに数日と間も無い内に、その日はやってきてしまいました。
水苔セットの親♀が死亡。
歩き疲れ果てたようでした・・・
セットからそう間もない内に1♀が逝ってしまい、
流石に焦りを覚えまして翌週の10月8日に2セットの試し割りを行う事にしました。
けと土の方は依然潜ったままでしたが、地中で果てている可能性もあるし、割り出して産卵が行われていなければ急いで別メニューで組み直さなければなりません。
・水苔の方のケース(♀死亡)
まずは親が死亡した水苔のセットから割出してみました。
ケースをひっくり返してみると、悪い予感は的中。マットの内部まで掘り進んだ形跡は無く、表層7~8cm程度の深さまでしか潜っていませんでした。マットに変質や劣化も見られません。
一応マットはバラしてみましたが、やればやるだけ悲しくなるばかりでした。
死亡した親♀↑↑
悲しくなるほどピカピカのキレイな状態で死んでいます。今にも起き上がりそうなくらいです。
・けと土の方のケース(♀生死不明)
もう望みはこっちのセットしかありません。♀は地上に出てきていないので中で死んでいるかまだ生きてるのか全く判らない状態です。
ただしこっちにはきれいに潜行した痕跡があり、産卵の期待は少なからずあります。
早速ケースをひっくり返してみると、マット中層からまだ生きていた親♀が出てきました。フ節が1本欠けていますがまだ元気そうです。
そして続いて、ひっくり返したマットの底部を少し崩してみると・・・
卵!!!!
よかった・・・全滅だったらどうしようかという心配はあっさり拭えました。
僅かなスペースを崩しただけで5~6個の卵が出てきたところで、これ以上は孵化まで放置した方がいいと判断して割り出しをすぐさま中止し、マットをそのままケースに戻して温室で保管することにしました。
出てきた卵は別容器で保管することにしまして、
親♀は同じケースに戻さずに新しいセットを組むことにしました。
・2頭目・・・10月8日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットB+けと土(微量)
【温度】 22~23℃
マットの在庫の問題もあって、当初割出し後管理用に購入していた前述のマットBを入れることにしました。一応けと土も混ぜたには混ぜたのですが、ほとんど使い切ってしまっていて入れたのか入れてないのか判らない程度しかありませんでした。(分量で云うと2~4%くらい?)
ちなみにこの約3週間後、
ゴホンヅノについて喜ばしいニュースが発表されたのですが
それを自分が知ったのは12月になってからでした・・・
試し割りをしてから1ヶ月後の11月5日。
採卵して管理していたカップから幼虫が多数確認できたので、その分の個別管理に着手しました。
割り出してみると1令幼虫が4頭と膨らんでいる卵が1個、計5頭を120㏄カップへ移しました。マットは、再セットした♀を入れているケースのカブトマットBを表層部分から少し頂戴し詰めました。
・・・ちなみに、残念ながら再セットしたこの親♀はこの時もう地上で亡くなっていました。
そして、さらに2週間経過した11月19日。
9月24日に組んだ最初のけと土混合ケースの方に初令幼虫が見えはじめていたので、事情も諸々あるので割り出すことにしました。
まぁ、事情と云うのは・・・季節とコバエって部分です。
(コバエが湧いてしまっているので室内で割り出せないし、冬になってしまったので寒さが厳しくならない内に屋外で作業しないと後々辛いからです)
とは言っても実際の所お外はこんな感じ↓↓
全然冬(辛) 雪も吹いています。
さすがに雪の上で作業するワケではないですが寒い・・・!
ケースをひっくり返してマットを出すと湯気が立つ(苦笑)
コバエも凍ってほとんど動かない状況で、粛々とマットを割っていきます。
継続的にポロポロ出てくる1令幼虫にニヤニヤが止まりません。採れた幼虫を次々に製氷トレイに移し
マットを全て砕き終えて、採れた合計は25頭。
・・・俺が組んだ水苔の方は無反応だったのになにこの差は・・・、前々からちょっと思ってたけど、女性ってカブトムシ産ませるの上手だよな(偏見)
ちなみに、採れた全ての幼虫は底部の固詰め層からのみ出てきました。
爆産・・・とまでは言えない数字でしたが、自分のやり方ではこの結果は大成功と呼べる結果になりました。できればこの調子で、再セットのカブトマットBのセットからも追加が欲しいところです。
採れた幼虫は、8年前に本種を産ませた時の別メーカーのカブトマット(これをCとします)と、さらにまた別メーカーの腐葉土(昆虫飼料メーカー)を混合して120ccカップに個別に移しました。
しかし、このやり方が後に最悪の事態を招く事になりました。
時は(たしか・・・→)11月25日、虫屋の納会に出席する準備で手製カレンダーを徹夜で仕上げていたその朝でした。
作業の気晴らしに、19日割り出し分の幼虫達の様子を見ようと温室を開けると、
し、死んでる・・・!!!!!!!
ほとんどと言っていい数の幼虫が茶色に変色して動かなくなっています。中には萎んでいる個体までいます。ほぼ全てがカップの上部や壁面で息絶えています。
軽いパニックになりながらも、死亡個体と生存個体でカップを分けていきます。
さすがにこれだけの数が1週間もせず死んでしまうのか? カップ投入時には何らおかしな様子は無く元気だったので、割り出しで何かショック状態になったとも思えません。
手に持ったカップを開けてポカーンと見ていたら、何か違和感に気付きました。
・・・・・・このマット、ちょっと水気が多くてやけにぬらぬら光ってる・・・
・・・・・・・・・ん?・・・あれ?・・・なんかちょっと温かいような・・・・・・・・・・・・もしかして・・・
・・・再発酵・・・??
マットを混合した上、水分も多い。
結局のところ原因は確定できないのですが、要因としては非常に考えられることでした。今よくよく考えればカブトマットCだけで良かったところを、産卵時の感覚で「混ぜるのが良い」と考えなしに要らぬマットを加えたのは何故だったのか。しかもナゼ腐葉土なのか。加えてこの腐葉土、ミキサーで粉砕して微粒子化すると云う無駄な手間まで掛けていた所為で再発酵しやすくなっていた可能性も高いのです(恥)
再発酵した結果酸欠状態になり窒息してグッタリ・・・という事か・・・
とは言え時間が無いので、何とか生存している分のカップはマットを半分に減らし、フタを開けておいて換気させておくことに。
その後話を聞いたFH鈴木さんには呆れ顔をされました。
鈴木さん 「だ~から〇〇〇のマットは使うな、って言ったろ~~(呆)」
最終的に、25頭居た19日分の幼虫は4頭に減ってしまい安泰だったブリーディングライフも苦しくなってきました。2ペア仕入れた事を考えると汗顔の至りです。
幼虫の頭数を2桁確保するには最後のセットに望みを託すしかありません・・・!
親♀も死亡し、暴いていないカブトマットBのセットを暴いたのは去る12月8日。
ケースの側面がややカビてきている事に一抹の不安を覚えながら、新聞紙の上にマットをひっくり返します。マット~をあーばーけーー♪♪
(あ・・・! これはダメなパターンのヤツだ・・・)
・・・どうやら・・・これはアレだね・・・失敗ってやつだね。
初っ端からこんな死亡卵が見えてしまったんだから心も折れるさ。なんでそんな真っ黒なんだよ、大涌谷にでも浸かってきたのか!!
この卵も含めて、2個だけ死亡卵が見つかった以外には何も出てきませんでした。
と云うワケで、
今回のゴホンヅノ産卵の結果は・・・
①♀その1
・・・【カブトマットA+水苔】⇒ 0個
②♀その2
・・・【カブトマットA+けと土】⇒ 第1回割出:卵5~6個、第2回割出:幼虫25頭
・・・【カブトマットB+けと土(微量)】⇒ 0個
→存命 第1回割出分:4頭、第2回割出分:4頭、合計8頭
瞬間的に30頭を見込めた頭数が今となっては3分の1以下です。まさかこんなミスでブリーディングを失速させてしまったのにはただただ情けなく思うばかりです。
ただ、今回の事や前回までの感覚を振り返るに、産卵について巷で語られている話に対して思うところがあるので、今の時点での自分の考えを敢えて下にまとめておきたいと思います。
ゴホンヅノカブトの産卵については、昔から「どんなマットを使えばより確実に成功するか」が問われその度に新しい意見や経験談が上がり振り出しに戻ってを繰り返しているような気がしますが(今する話もその中の一つに過ぎないかも知れませんが)、その原因の要素として「性格の部分での個体差が激しい」と云う点が実は大きいのではないかと思うワケです。 こんな事を言ってしまうとにっちもさっちもいかないのですが、こう言っておきたい理由にまず「アタリの♀orハズレの♀の解釈の仕方」があります。 産卵数がその個体個体によって大きく上下する本種は俗に「♀の当たり外れがある」と言われてますが、その意味をどう解釈しますか? 普通ならば、「WILDだから野外で産卵をほとんど終えている♀がハズレ、まだ産卵していない♀がアタリ」と考えるところですが、ちょっと待ってください。 セットを組んで回収ゼロもしくはごく僅かしか採れなかったセットの♀でも、購入時やセット前に手に持った時には「ズッシリ重くてこれなら産むぞ」と期待したのではないでしょうか。カブトムシなら産卵が終わってれば軽くなってスカスカな感じが手に持てば分かるはずです。比べてないのにそんなの分かるワケない! と言い訳も立ちますが、産卵数ゼロでビックリしてしまうという報告が多いのはそれだけ当初の期待が大きかったワケですから・・・。いかにもボロボロで状態が悪いと云うような♀でなければ気合を入れてセットを組んでいるハズです。 今回投入した♀2頭共、体重までは量っていないですがこのサイズのカブト♀としてはきちんとした重みがあって差異は感じられませんでした。これを見るに、他の要素も作用してきますが「産まない(ハズレ)のは卵を持っていないから」とは言えないのではないかと思うのですよ。 そしてもう一つの理由に「マットの正解」についてです。 産卵数の多少が激しい所為か、飼育者は「マットの銘柄」にばかり意識を向けがちですが、それよりもまだ大事なのは「マットの状態」ではないか・・・と思うのです。有力とされる竹主体のマットでも外したという話はありますし、通常のカブトマットや腐葉土なんかでも産卵すると云う事は、マットの成分によって・・・ではなくてマットの状態・質感が大事なのではないかと。勿論、カブトの飼育に長けた方々はゴホンヅノ等気難しい種類用に極めたマットの仕込み方があると思うんですが、どれだけネットで探っても「ゴホンヅノはコツ掴みました! 攻略しました!」と云う書き方は見つかりません(あくまで自分調べでです)。多産したと云う方でも「え!? ウソ!? 凄い!!」と望外のリアクションを綴る場合がほとんどで、「自分は相性いいみたいです」と云う方であっても、一度成功した次のシーズンの続報が無いパターンがお約束です(これって、「分かった」と思われるレシピで別個体を投入したら思いの外ふるわなかったからなのではないかと)。 一度成功を納めたセット内容だからと言って別個体の産卵で結果が大きく違ってしまうと、これはもうマットの種類がどうこう言う問題ではないと思うんですね(勿論不正解のマットの例はありますよ、化学肥料とか混ざってた腐葉土とか)。 反面、途中で思い切ってマットの種類を変えたらなんとか産んだとか、逆に今回の自分のように産まなくなったと云う例もありますし、その転向したマットの種類も画像を見る限り千差万別です。これって、非常に一面的な見方ですが、WILD♀各個体のマットの好みがバラバラで、セットしたその時に気に入った環境(≠マット)でなければ卵を持っていても産み渋るからなのではないかと思うワケです。 ここまででメチャクチャな事を言ってる気しかしませんが、飼育に際してこういう発想の仕方も有りなのかなと思います。(長文のクセにメッセージが薄い) |
↑↑ただし、成功した時の傾向はある程度あるみたいで、
・いくつか違う種類のマット層に分ける(虫が潜っても層の違いを認識できないと無意味)
・軟詰め層と固詰め層に分ける
そして加えて上記のダラダラ長文から
・徘徊したり潜りが浅い場合は何でもいいからマットを変える
これらを意識すると、なんとか悪い現状を打破できるのではないかと思います。
ヘラクレスやなんかみたいな簡単に爆産する奴らとは違いますから、5個10個としか採れなくても「あ~、失敗☆」とか思わない方がいいでしょう
・・・でもこれって↑↑、別に大した工夫してないような・・・ ・・・ ・・・ ・・・。
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さて、こうしてバタバタ色々あって(いろんな意味で「バタバタと」・・・だった)ゴホンヅノのWF1飼育がスタートしたのですが、2017年のゴホンヅノカブトの話はこれだけでは終わらなかったんですね・・・
↓↓↓ 次回 ↓↓↓
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五本大作戦・第二部 ‐ベトナム買います‐ [〆ゴホンヅノ (プランディ亜種)]
さて前回までは、
8年振りに飼育を再開したタイ産ゴホンヅノカブトの産卵についてあーでもないこーでもないと私見を挟みながら、現在までの様子をまとめていたのですが・・・
幼虫があわや全滅かと云う大惨事に見舞われた、
そのわずか数日後へ話は進みます・・・・・・
▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼
今年の秋はどこか飼育部屋が寂しげで、久し振りに数種類の増種を行っていました。
今回のタイ産ゴホンヅノもその一つですが、まだブログでは未紹介の種類もいます。そんな中、冬もいよいよ本番にさしかかろうと云う11月末に「あと一つ何か新しい虫を入れたい・・・!!!」と思案していました。
そんな中でも、以前から気にかけていたとある虫を某ショップで発見しました!!
かな~り以前にブログでも漏らしたことがありますが、
ニューギニア島周辺に広く分布する本種の中でもホルテンシスは好みなので、いつかは飼育してみたいとは思っていました。しかし、ニューギニア本島の亜種キンクトゥスと違ってあまり流通が無く、たまに見かけた時であってもタイミング悪く採集モードの時だったりでスルーしていました。
しかしようやく今、欲しいと思った時にこの入荷情報で発見してしまった・・・しかも安い(笑)
「よぉぉぉし!!! 今年最後の増種はコイツに決めた!!!」
早速電話で問い合わせました。
自分 「(前略)ビソンノコギリは在庫ありますでしょうか?」
お店 「あ~・・・ごめんなさい、
ビソンはですねぇもう売れてしまったんですよ」
自分 「~そう なんですか・・・分かりました、どうもありがとうござ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・今年の秋はどこか飼育部屋が寂しげで、久し振りに数種類の増種を行っていました。
今回のタイ産ゴホンヅノもその一つですが、まだブログでは未紹介の種類もいます。そんな中、冬もいよいよ本番にさしかかろうと云う12月の初めに「あと一つ何か新しい虫を入れたい・・・!!!」と思案していました。
2017年最後の増種を決意するも出鼻を挫かれてしまい(苦笑)、あ~今年はもう大人しくしていようかなぁ~と増種ストップに舵を切りかけたところで、
個人的に超弩級の入荷情報が飛び込んできたのです。
なァ――――――!!!!!!?
ッたァ―――――!!!!!!!(※発狂)
ここに来てまさかのベトナム産・・・!!!
忘れてた・・・そうだ今頃の時期だった・・・!!!
3ヶ月前にタイ産の記事を書いた際にも、
【今年の冬はベトナム産は入るのか?】と最後に締めていましたが、完全に不意打ちでした。何の気なしに書いただけでしたからね。
ただ実は、ゴホンヅノのリベンジするとしたらベトナム産をやりたいと思っていたので、これを見過ごす手は無いという事で即決即決。
今度はビソンの時みたいな展開にはならず、無事発注が完了しました。
今回はフェイスタメルの時のように偶然寒さが和らぐ日程も無く、完全な冬空の下を輸送してもらう事に。
今回のベトナムゴホンヅノは取扱い店がほとんど西日本で、死んで元々と云うようなスタンスでいるしかないと覚悟しかけました。幸いにも関東のお店でも取扱いがあったので入念な打ち合わせを行い送ってもらった結果、仮死状態になることも無く状態良く届きました・・・!
♀を2頭。
待ちかねていた産地の入荷なので観賞用に♂も買えればよかったのですが、
「入荷が不安定なのでまずはブリード優先」という事で♀単品で2頭仕入れることにしました。
さて、この南ベトナム産ゴホンヅノカブト、
毎年秋に入荷があるタイ北部産とは違う特徴を持っているという売り文句で、『ゴホンヅノssp(ゴホンツノssp)』などと云う名称で販売されています。
紹介されているその特徴と云うのは、
・♂の前方(外側)の胸角が細く長い
・♂後方(内側)の胸角が短い
・♂♀共に上翅の色が濃い
と云うものでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最初にベトナム南部産が生体として輸入されたのはたしか2011年の12月頃でした。
(この頃、確かギラファノコギリも入ってきてて、指を咥えて見ていた記憶があります)
上記の特徴はこの時の輸入業者から発信されたものだった気がしますが、それに加えて
・かなり大型
と云う紹介もされていました。同産地のタイリクコーカサスChalcosoma chiron belangeriと並べても体格に遜色が無い画像なんか載っていて強烈に印象に残っています。
当時からこのベトナム南部産が特徴的だという事で、「いずれは亜種になるかもしれません」なんて調子のいい話がされていたのですが・・・
時は流れて今年の10月、
我が家ではタイ産ゴホンヅノのブリードに四苦八苦していたちょうどその頃。
ゴホンヅノカブトEupatorus gracillicornisは現在まで亜種は、
①原名亜種グラキリコルニスE. g. gracillicornis
②タイ‐ミャンマー国境亜種エダ(通称エダイ)E. g. edai
③タイ南西部亜種キミオ(通称キミオイ)E. g. kimioi
④マレー半島亜種ダヴィッドゴーE. g. davidgohi
の以上4つに分かれていたワケです。
マレーのダヴィッドゴーも2013年7月に記載された比較的新しい亜種で国内の生き虫業界ではほぼ無名ですね。コイツも角に特徴がある良い虫なんですよ。
そして、今回の記載で追加された5つ目の亜種こそが、
⑤ベトナム南部亜種プランディE. g. prandii
なのです。
基産地はベトナム・ラムドン省・ダラットとなっていて、記載文上での分布は南部のラムドン省とビントゥアン省に限られています。この付近ではエンドウゴホンヅノEupatorus endoiも分布しているので、この地域の特異さが窺えます。
自分がこれを知ったのは12月に入ってからだったんですが、最初知った時は「亜種にするほどか・・・?」とちょっと大袈裟に感じていました。
そんなに言うならどれどれちょっと比較してみようか~・・・
・・・と思ったけども説明が基本的に♂の方ばかりなので比較しようがない。
タイ北部産の♂は取っておいてあるので、これはWF1が羽化してきたらじっくりやりましょうかね(笑)
逆に言えば、♀についてはネットで検索しても誰も言及していないので(色が濃いくらい)、せっかくなのでこのブログでタイ北部産とベトナム南部産の♀を画像で比べてみる事にします。
・・・幸か不幸か、前回の記事にて無傷のままこの世を去ったタイ産の♀が居りましたんで(嘲笑)この個体を比較対象としました。
記載文の内容について確認する前にこの目視による亜種判別を行った結果が以下の通り。
さてここでいきなり問題点が。
一番大事な、『上翅の色の違い』が判別不可能・・・死亡して上翅が黒化してしまったので色が一緒になってしまいました(苦笑)
原名亜種の方は生存時はもっと明るい色だったのですが・・・
仕方がないですが、色彩以外での比較を続行します。
《 背面 》
体型においては全く同じにしか見えません。
頭部や前胸背も顕著な差異は見られません。
《 上翅近写 》
上翅を見比べてみると、原名亜種に比べてプランディは表面の点刻が大きく、光沢が弱いように見えます。
しかも、上翅の下端の方を見ると・・・
《 上翅下端(横近写) 》
原名亜種では肉眼でほとんど確認できないのに対し、プランディは上翅表面に毛が沢山生えています。
これらの特徴だけでも、新亜種と云うのはだいぶ違うものでしたね。
これらを確認した後で記載文の方を読んでみると、巷で言われている違いとは内容が少し違っている事が分かりました。
生き虫店で紹介されているのは記載上での説明ではないようで、記載文では原名亜種によく似ていると前置きした上でその違いが書かれていました。
その1 ♂の後ろ側の胸角が前側の胸角より明確に短い
♂の前胸背の後方の一対の角(背面から見ると内側の角)が、同じく前方の一対の角(つまり外側の角)よりもだいぶ短いとあります。対して原名亜種の方は、どの胸角も大体同じくらいの長さであると云う事で区別できるようです。
また、中型個体の♂についても説明されていて、前方の胸角が前方に伸びて先端が内側を向くとされていて、原名亜種はこの角は外側に向かって伸びるとの事です。
その2 ♂の上翅の会合線の黒帯はより広く、小楯板の付近で広がる
上翅の会合線に沿って黒い一本縞模様が走っていますが、本亜種は原名亜種よりこれが太く、小楯板のあたりにくるとそれが広がって太くなっているという事のようです。
♂については、他にゲニタリアの形状や、マレー亜種との違いにも触れていましたが、
生き虫屋がゲニタリア引っ張っても何にもならないし、マレーのダヴィッドゴーなどという流通も知名度も無い亜種と比べても今は意味ないので割愛します。
また、♀についても説明されていて、必要な所だけ抜粋すると以下の通りです。
その1 上翅は、点刻はより大きく、光沢が弱く、ビロード状の茶色い短毛に覆われる。
ここはまさにさっき比較した箇所そのままですね。
その2 個体によっては、前胸背中央基部に楕円形の窪みが現れる。
前胸背板の、中央基部・・・つまり最も小楯板に近い所に楕円形に窪むという事で、これは全ての個体に見られる特徴ではないとの事で我が家の2頭ではこれはありませんでした。ちなみに原名亜種ではこの窪みは無いそうです。
以上が原名亜種との外見上の違いという事ですが、意外にも上翅の色については触れられていません。
この部分に気が付くあたりが生き虫大国の日本ですね、多分記載時の検体は標本ばかりで上翅が変色してしまい比較にならなかったのではないでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、産地比較も終わったところでブリードに即座に取り掛かります。
観賞もそこそこにセッティングしました。
マットは、前回の原名亜種の時とは基本的に別銘柄の物を使用しました。
見た目はそっくりですが完全別物。
飼育部屋は非常に寒くなっているので、生体到着までの間にマットは温室内で保管し温度を慣らしておきます。
♀2頭をそれぞれ大ケースでセッティングし、♀を投入。
エサを入れる間もなく即行で潜っていきました。マットに置いた瞬間、無徘徊で・・・
これもマットの温度を合せていたおかげでしょうか。
後日見てみると
片方のケースでは側面から潜行中の♀が確認できました。
層を分けた部分にちょうど居ます、これは産卵している態勢なのでしょうか。
ゴホンヅノなので割り出すまでは何が起こるか分かりません、
こうしてまた期待と不安混じりの1ヶ月がスタートしました。
8年振りに飼育を再開したタイ産ゴホンヅノカブトの産卵についてあーでもないこーでもないと私見を挟みながら、現在までの様子をまとめていたのですが・・・
↓↓↓ 前回 ↓↓↓
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幼虫があわや全滅かと云う大惨事に見舞われた、
そのわずか数日後へ話は進みます・・・・・・
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今年の秋はどこか飼育部屋が寂しげで、久し振りに数種類の増種を行っていました。
今回のタイ産ゴホンヅノもその一つですが、まだブログでは未紹介の種類もいます。そんな中、冬もいよいよ本番にさしかかろうと云う11月末に「あと一つ何か新しい虫を入れたい・・・!!!」と思案していました。
そんな中でも、以前から気にかけていたとある虫を某ショップで発見しました!!
ビソンノコギリ (亜種ホルテンシス)
かな~り以前にブログでも漏らしたことがありますが、
ニューギニア島周辺に広く分布する本種の中でもホルテンシスは好みなので、いつかは飼育してみたいとは思っていました。しかし、ニューギニア本島の亜種キンクトゥスと違ってあまり流通が無く、たまに見かけた時であってもタイミング悪く採集モードの時だったりでスルーしていました。
しかしようやく今、欲しいと思った時にこの入荷情報で発見してしまった・・・しかも安い(笑)
「よぉぉぉし!!! 今年最後の増種はコイツに決めた!!!」
早速電話で問い合わせました。
自分 「(前略)ビソンノコギリは在庫ありますでしょうか?」
お店 「あ~・・・ごめんなさい、
ビソンはですねぇもう売れてしまったんですよ」
自分 「~そう なんですか・・・分かりました、どうもありがとうござ
(以下割愛)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・今年の秋はどこか飼育部屋が寂しげで、久し振りに数種類の増種を行っていました。
今回のタイ産ゴホンヅノもその一つですが、まだブログでは未紹介の種類もいます。そんな中、冬もいよいよ本番にさしかかろうと云う12月の初めに「あと一つ何か新しい虫を入れたい・・・!!!」と思案していました。
2017年最後の増種を決意するも出鼻を挫かれてしまい(苦笑)、あ~今年はもう大人しくしていようかなぁ~と増種ストップに舵を切りかけたところで、
個人的に超弩級の入荷情報が飛び込んできたのです。
ゴホンヅノ(ベトナム南部産)
なァ――――――!!!!!!?
ッたァ―――――!!!!!!!(※発狂)
ここに来てまさかのベトナム産・・・!!!
忘れてた・・・そうだ今頃の時期だった・・・!!!
3ヶ月前にタイ産の記事を書いた際にも、
【今年の冬はベトナム産は入るのか?】と最後に締めていましたが、完全に不意打ちでした。何の気なしに書いただけでしたからね。
ただ実は、ゴホンヅノのリベンジするとしたらベトナム産をやりたいと思っていたので、これを見過ごす手は無いという事で即決即決。
今度はビソンの時みたいな展開にはならず、無事発注が完了しました。
今回はフェイスタメルの時のように偶然寒さが和らぐ日程も無く、完全な冬空の下を輸送してもらう事に。
今回のベトナムゴホンヅノは取扱い店がほとんど西日本で、死んで元々と云うようなスタンスでいるしかないと覚悟しかけました。幸いにも関東のお店でも取扱いがあったので入念な打ち合わせを行い送ってもらった結果、仮死状態になることも無く状態良く届きました・・・!
♀を2頭。
待ちかねていた産地の入荷なので観賞用に♂も買えればよかったのですが、
「入荷が不安定なのでまずはブリード優先」という事で♀単品で2頭仕入れることにしました。
さて、この南ベトナム産ゴホンヅノカブト、
毎年秋に入荷があるタイ北部産とは違う特徴を持っているという売り文句で、『ゴホンヅノssp(ゴホンツノssp)』などと云う名称で販売されています。
紹介されているその特徴と云うのは、
・♂の前方(外側)の胸角が細く長い
・♂後方(内側)の胸角が短い
・♂♀共に上翅の色が濃い
と云うものでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最初にベトナム南部産が生体として輸入されたのはたしか2011年の12月頃でした。
(この頃、確かギラファノコギリも入ってきてて、指を咥えて見ていた記憶があります)
上記の特徴はこの時の輸入業者から発信されたものだった気がしますが、それに加えて
・かなり大型
と云う紹介もされていました。同産地のタイリクコーカサスChalcosoma chiron belangeriと並べても体格に遜色が無い画像なんか載っていて強烈に印象に残っています。
当時からこのベトナム南部産が特徴的だという事で、「いずれは亜種になるかもしれません」なんて調子のいい話がされていたのですが・・・
時は流れて今年の10月、
我が家ではタイ産ゴホンヅノのブリードに四苦八苦していたちょうどその頃。
南ベトナムのゴホンヅノが
新亜種として記載されました。
ゴホンヅノカブトEupatorus gracillicornisは現在まで亜種は、
①原名亜種グラキリコルニスE. g. gracillicornis
②タイ‐ミャンマー国境亜種エダ(通称エダイ)E. g. edai
③タイ南西部亜種キミオ(通称キミオイ)E. g. kimioi
④マレー半島亜種ダヴィッドゴーE. g. davidgohi
の以上4つに分かれていたワケです。
マレーのダヴィッドゴーも2013年7月に記載された比較的新しい亜種で国内の生き虫業界ではほぼ無名ですね。コイツも角に特徴がある良い虫なんですよ。
そして、今回の記載で追加された5つ目の亜種こそが、
⑤ベトナム南部亜種プランディE. g. prandii
なのです。
基産地はベトナム・ラムドン省・ダラットとなっていて、記載文上での分布は南部のラムドン省とビントゥアン省に限られています。この付近ではエンドウゴホンヅノEupatorus endoiも分布しているので、この地域の特異さが窺えます。
自分がこれを知ったのは12月に入ってからだったんですが、最初知った時は「亜種にするほどか・・・?」とちょっと大袈裟に感じていました。
そんなに言うならどれどれちょっと比較してみようか~・・・
・・・と思ったけども説明が基本的に♂の方ばかりなので比較しようがない。
タイ北部産の♂は取っておいてあるので、これはWF1が羽化してきたらじっくりやりましょうかね(笑)
逆に言えば、♀についてはネットで検索しても誰も言及していないので(色が濃いくらい)、せっかくなのでこのブログでタイ北部産とベトナム南部産の♀を画像で比べてみる事にします。
・・・幸か不幸か、前回の記事にて無傷のままこの世を去ったタイ産の♀が居りましたんで(嘲笑)この個体を比較対象としました。
記載文の内容について確認する前にこの目視による亜種判別を行った結果が以下の通り。
さてここでいきなり問題点が。
一番大事な、『上翅の色の違い』が判別不可能・・・死亡して上翅が黒化してしまったので色が一緒になってしまいました(苦笑)
原名亜種の方は生存時はもっと明るい色だったのですが・・・
仕方がないですが、色彩以外での比較を続行します。
《 背面 》
体型においては全く同じにしか見えません。
頭部や前胸背も顕著な差異は見られません。
《 上翅近写 》
上翅を見比べてみると、原名亜種に比べてプランディは表面の点刻が大きく、光沢が弱いように見えます。
しかも、上翅の下端の方を見ると・・・
《 上翅下端(横近写) 》
原名亜種では肉眼でほとんど確認できないのに対し、プランディは上翅表面に毛が沢山生えています。
これらの特徴だけでも、新亜種と云うのはだいぶ違うものでしたね。
これらを確認した後で記載文の方を読んでみると、巷で言われている違いとは内容が少し違っている事が分かりました。
生き虫店で紹介されているのは記載上での説明ではないようで、記載文では原名亜種によく似ていると前置きした上でその違いが書かれていました。
その1 ♂の後ろ側の胸角が前側の胸角より明確に短い
♂の前胸背の後方の一対の角(背面から見ると内側の角)が、同じく前方の一対の角(つまり外側の角)よりもだいぶ短いとあります。対して原名亜種の方は、どの胸角も大体同じくらいの長さであると云う事で区別できるようです。
また、中型個体の♂についても説明されていて、前方の胸角が前方に伸びて先端が内側を向くとされていて、原名亜種はこの角は外側に向かって伸びるとの事です。
その2 ♂の上翅の会合線の黒帯はより広く、小楯板の付近で広がる
上翅の会合線に沿って黒い一本縞模様が走っていますが、本亜種は原名亜種よりこれが太く、小楯板のあたりにくるとそれが広がって太くなっているという事のようです。
♂については、他にゲニタリアの形状や、マレー亜種との違いにも触れていましたが、
生き虫屋がゲニタリア引っ張っても何にもならないし、マレーのダヴィッドゴーなどという流通も知名度も無い亜種と比べても今は意味ないので割愛します。
また、♀についても説明されていて、必要な所だけ抜粋すると以下の通りです。
その1 上翅は、点刻はより大きく、光沢が弱く、ビロード状の茶色い短毛に覆われる。
ここはまさにさっき比較した箇所そのままですね。
その2 個体によっては、前胸背中央基部に楕円形の窪みが現れる。
前胸背板の、中央基部・・・つまり最も小楯板に近い所に楕円形に窪むという事で、これは全ての個体に見られる特徴ではないとの事で我が家の2頭ではこれはありませんでした。ちなみに原名亜種ではこの窪みは無いそうです。
以上が原名亜種との外見上の違いという事ですが、意外にも上翅の色については触れられていません。
この部分に気が付くあたりが生き虫大国の日本ですね、多分記載時の検体は標本ばかりで上翅が変色してしまい比較にならなかったのではないでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、産地比較も終わったところでブリードに即座に取り掛かります。
観賞もそこそこにセッティングしました。
マットは、前回の原名亜種の時とは基本的に別銘柄の物を使用しました。
見た目はそっくりですが完全別物。
飼育部屋は非常に寒くなっているので、生体到着までの間にマットは温室内で保管し温度を慣らしておきます。
♀2頭をそれぞれ大ケースでセッティングし、♀を投入。
エサを入れる間もなく即行で潜っていきました。マットに置いた瞬間、無徘徊で・・・
これもマットの温度を合せていたおかげでしょうか。
後日見てみると
片方のケースでは側面から潜行中の♀が確認できました。
層を分けた部分にちょうど居ます、これは産卵している態勢なのでしょうか。
ゴホンヅノなので割り出すまでは何が起こるか分かりません、
こうしてまた期待と不安混じりの1ヶ月がスタートしました。
新しく入荷した在庫 1種類
ブログで紹介した在庫 86種類
2017年駆け足増種 その1 [〆アングスティコルニスミヤマ]
こんにちは会長です。
この冬はどうやら雪がしっかり積もってしまうそうですね。
ここ数年は雪が少ない年が続いていたのでその反動かとも思ってしまいますが、年も間もなく暮れる12月第4週は荒天となりました。
県内を駆け回るドライバーにとって、吹雪くと特に危険なエリアで知られる横浜町の様子。
軽い車だと常に陸奥湾からのプレッシャー(風)にさらされながらの運転になります。
完全にホワイトアウトする瞬間もあって光の国みたいな感じになります。
さて、大晦日の本日はかなり駆け足で年内に書き終えておくべき事を一つずつ記事を分けて連投していきます。記事の中身とかもうどうでもいい!!
年末でバタバタしてる上にテレビでは香川照之の再放送やっててブログ記事に全然集中できません。
前回はプランディゴホンヅノの増種について記事にしましたが、
今年の内にこっそり増種した奴らがまだ3種類居ます。
まずはその1種類目。
個人的に大好きな種類であっても、飼育で玉砕したと云うような種類は少なくありません。
一度飼ったからいいや・・・と云うワケにはいかず、目的のブリードが達成できていなければ何度でも挑戦したいと思っています。今回はその内の一種。
幼虫です。だから記事書こうと思っても書くことが無いんですな。
2011年・・・6年前に初挑戦し、2頭の幼虫に繋げることができたところでカテゴリ凍結になってしまった本種。この後の記憶が定かではないのですが、蛹にまで続かなかったはずでした。
ミヤマの中ではユーロミやカンターなどの大型種より本種の方が好きなので、手が空けば再挑戦しようと思い続けてはいました。しかし、「そのうちそのうち・・・」と思っている間に4年5年と時が経ち、BE-KUWAにも飼育個体が登場する時代になってしまいました。
ミヤマの飼育法も向上を続け、ウェムケンやミシュミのような新種の人気も手伝って、半ば引っ張られる形で秋に幼虫を5頭購入するに至ったワケです。
しかし何より焦ったのが・・・「アングスティコルニスミヤマ」を検索すると不遇にもウチのブログが上位に表示されてしまうのにも関わらず肝心の内容がてんでゴミみたいな事しか書いてない事。
これは酷い!申し訳ない!
と云うワケで、幼虫購入からのスタートではありますが、飼育復活であります!
購入時は1~2令でしたが、生オガ発酵マットを問題無く食べており現在3令。
(ちなみに↑↑の写真はちょうど一昨日撮影した、3令へ脱皮した直後の真っ白な頭の幼虫)
再入荷した在庫 1種類
全ての在庫 16種類
この冬はどうやら雪がしっかり積もってしまうそうですね。
ここ数年は雪が少ない年が続いていたのでその反動かとも思ってしまいますが、年も間もなく暮れる12月第4週は荒天となりました。
県内を駆け回るドライバーにとって、吹雪くと特に危険なエリアで知られる横浜町の様子。
軽い車だと常に陸奥湾からのプレッシャー(風)にさらされながらの運転になります。
完全にホワイトアウトする瞬間もあって光の国みたいな感じになります。
さて、大晦日の本日はかなり駆け足で年内に書き終えておくべき事を一つずつ記事を分けて連投していきます。記事の中身とかもうどうでもいい!!
年末でバタバタしてる上にテレビでは香川照之の再放送やっててブログ記事に全然集中できません。
前回はプランディゴホンヅノの増種について記事にしましたが、
今年の内にこっそり増種した奴らがまだ3種類居ます。
まずはその1種類目。
個人的に大好きな種類であっても、飼育で玉砕したと云うような種類は少なくありません。
一度飼ったからいいや・・・と云うワケにはいかず、目的のブリードが達成できていなければ何度でも挑戦したいと思っています。今回はその内の一種。
アングスティコルニスミヤマ(原名亜種) ラオス フアパン県 サムヌア
幼虫です。だから記事書こうと思っても書くことが無いんですな。
2011年・・・6年前に初挑戦し、2頭の幼虫に繋げることができたところでカテゴリ凍結になってしまった本種。この後の記憶が定かではないのですが、蛹にまで続かなかったはずでした。
ミヤマの中ではユーロミやカンターなどの大型種より本種の方が好きなので、手が空けば再挑戦しようと思い続けてはいました。しかし、「そのうちそのうち・・・」と思っている間に4年5年と時が経ち、BE-KUWAにも飼育個体が登場する時代になってしまいました。
ミヤマの飼育法も向上を続け、ウェムケンやミシュミのような新種の人気も手伝って、半ば引っ張られる形で秋に幼虫を5頭購入するに至ったワケです。
しかし何より焦ったのが・・・「アングスティコルニスミヤマ」を検索すると不遇にもウチのブログが上位に表示されてしまうのにも関わらず肝心の内容がてんでゴミみたいな事しか書いてない事。
これは酷い!申し訳ない!
と云うワケで、幼虫購入からのスタートではありますが、飼育復活であります!
購入時は1~2令でしたが、生オガ発酵マットを問題無く食べており現在3令。
(ちなみに↑↑の写真はちょうど一昨日撮影した、3令へ脱皮した直後の真っ白な頭の幼虫)
再入荷した在庫 1種類
全ての在庫 16種類
2017年駆け足増種 その2 [〆アスタコイデスノコギリ (原名亜種)]
アングスティコルニスに続いて2つ目の増種紹介。
俗に「色ノコ」と呼ばれる鮮やかな外国産ノコギリクワガタの内でも特にスタンダードな種類があります。
アスタコイデスノコギリクワガタ。
アカノコギリと古い和名も付いている本種はヒマラヤからインドネシアにかけて広い範囲に分布し地域によって8亜種に分けられています。赤や茶色に全身を包み、大腮は長くしかも色ノコとしては大型の部類に入る。それが活発に動き回るワケですから飼っていて面白くないはずがありません。
しかし実際、WILD個体が大量に入荷する事や飼育で簡単に特大♂個体が羽化させられないと云う、どことなくグッと来ない要素に満ちているせいか熱心なファン(ファブリースやハスタートやミラビリスみたいな)が少ないイメージの虫です。
ポルトン亜種はそこそこ人気あるか・・・
そんなアスタコイデスノコギリを今年飼育する事に決めました。
数ある亜種の中で選んだのがコレ↓↓
昔から入荷がある本種の中でも何故か入荷の歴史が浅い原名亜種。
ヒマラヤのキャッチャーが主に大型ドルクスばっかりしか採ってくれないから(金にならないから)こういうのは無視されてきたとか・・・そういう経緯があるんでしょうかね。現地では決して珍しくはないようなので「レア!珍品!」と云うような虫ではありません。
個人的にはヒマラヤ系の個体群が光沢もあって色も鮮やかなので好みです。流通の多いインドネシア方面の亜種は色がくすんで艶消しですからね・・・、それで、いつか原名亜種が入ってきたら買ってみたいと思っていたのですが、時代はやってくるものなんですね。
近い内に、セアカフタマタの原名亜種とかも♀が入ってくるのでしょうねぇ・・・!
さて、原名亜種は今回初めて見ましたが、とても鮮やかですね。
♂も♀も原色っぽい色をしていてこれまで見た事のあった別亜種とは全然違って見えます。
ちなみに、これ以上明るい体色を持つ亜種で、アルナーチャルプラデーシュ州のポルトンがいてこれもかなりキレイなのですが、個人的に「ポルトン」って云うトコロがあまり気に入らないので現在まで飼育には至っていません。
腹面も背面と同じ色で統一されていて安定しています。
これだけキレイに発色していながらも節の部分は線を引いたように黒く分かれています。
しかも、腹面を見ているとなんだか虫じゃないようなものを見ている気になるのは何故でしょう。
産卵セットはスタンダードに発酵マットに天然ブナ材を半埋めしたコバシャ小。
アカノコらしくここの難易度は滅茶苦茶低いのが有り難い。
これ自体は10月8日に組んだものなのでそろそろ割出さねばなりません。
さて長歯は拝めるのか、色はどうなるか、・・・来年が楽しみです。
新しく入荷した在庫 1種類
ブログで紹介した在庫 87種類
全ての在庫 16種類
俗に「色ノコ」と呼ばれる鮮やかな外国産ノコギリクワガタの内でも特にスタンダードな種類があります。
アスタコイデスノコギリクワガタ。
アカノコギリと古い和名も付いている本種はヒマラヤからインドネシアにかけて広い範囲に分布し地域によって8亜種に分けられています。赤や茶色に全身を包み、大腮は長くしかも色ノコとしては大型の部類に入る。それが活発に動き回るワケですから飼っていて面白くないはずがありません。
しかし実際、WILD個体が大量に入荷する事や飼育で簡単に特大♂個体が羽化させられないと云う、どことなくグッと来ない要素に満ちているせいか熱心なファン(ファブリースやハスタートやミラビリスみたいな)が少ないイメージの虫です。
ポルトン亜種はそこそこ人気あるか・・・
そんなアスタコイデスノコギリを今年飼育する事に決めました。
数ある亜種の中で選んだのがコレ↓↓
アスタコイデスノコギリ(原名亜種) インド ウェストベンガル州 カリンポン
昔から入荷がある本種の中でも何故か入荷の歴史が浅い原名亜種。
ヒマラヤのキャッチャーが主に大型ドルクスばっかりしか採ってくれないから(金にならないから)こういうのは無視されてきたとか・・・そういう経緯があるんでしょうかね。現地では決して珍しくはないようなので「レア!珍品!」と云うような虫ではありません。
個人的にはヒマラヤ系の個体群が光沢もあって色も鮮やかなので好みです。流通の多いインドネシア方面の亜種は色がくすんで艶消しですからね・・・、それで、いつか原名亜種が入ってきたら買ってみたいと思っていたのですが、時代はやってくるものなんですね。
近い内に、セアカフタマタの原名亜種とかも♀が入ってくるのでしょうねぇ・・・!
さて、原名亜種は今回初めて見ましたが、とても鮮やかですね。
♂も♀も原色っぽい色をしていてこれまで見た事のあった別亜種とは全然違って見えます。
ちなみに、これ以上明るい体色を持つ亜種で、アルナーチャルプラデーシュ州のポルトンがいてこれもかなりキレイなのですが、個人的に「ポルトン」って云うトコロがあまり気に入らないので現在まで飼育には至っていません。
腹面も背面と同じ色で統一されていて安定しています。
これだけキレイに発色していながらも節の部分は線を引いたように黒く分かれています。
しかも、腹面を見ているとなんだか虫じゃないようなものを見ている気になるのは何故でしょう。
産卵セットはスタンダードに発酵マットに天然ブナ材を半埋めしたコバシャ小。
アカノコらしくここの難易度は滅茶苦茶低いのが有り難い。
これ自体は10月8日に組んだものなのでそろそろ割出さねばなりません。
さて長歯は拝めるのか、色はどうなるか、・・・来年が楽しみです。
新しく入荷した在庫 1種類
ブログで紹介した在庫 87種類
全ての在庫 16種類
疑惑のオキピ [オキピタリスノコギリ (原名亜種)]
アングスティコルニスミヤマ、アスタコイデスノコギリ、ここまで2種続けて紹介してきましたが、
今年入手した残り1種については、前の2種と違って手放しで喜べない虫なので少し詳しく書いてみたいと思います。
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今年の6月のある日、関西のあるショップのサイトにとある虫を見つけ目を疑いました。
「え!!!? ペレン産!!!!?」
サイトの新着情報欄に載っていたのは、オキピタリスノコギリの幼虫。
驚いたのは、その販売個体の産地、『ペレン島』。
ウソだろ・・・!? ありえない・・・ しかしこれは・・・凄いぞ・・・!!
たかがオキピに何をコーフンしてるんだ? と思われるでしょう。
オキピタリスノコギリはミャンマー南部からインドネシア~フィリピンにかけて広い範囲に普通に見られる一般的なクワガタなのですが、地域や島によって特徴が変わり、大きく分けると
・フィリピン~スラウェシ近海は原名亜種P. o. occipitalis
・大陸~スマトラ~ジャワ~ボルネオあたりまでは亜種アステリクスP. o. astericus
の2つに分かれるのですが、
特定の島嶼の個体群は特徴が認められさらに別の亜種として昇格しています。
その一つが一部でブームになったブラックヘッドことシムルエ亜種ヒデオP. o. hideoi
頭部が黒化し前胸の模様の特徴や光沢が他産地と異なっています。
そして、もう一つだけ亜種があり、それがペレン亜種マサコP. o. masakoae
♂は頭部の発達がやや悪く、色がやや濃いめ。そしてこの亜種の最大の特徴が♀の体表がほとんど黒化すると云う事。
(ちなみに、他にも亜種がいるのですがあまり支持されていない亜種なので割愛します)
「ペレン産が亜種なのは分かったけどなんでそんなに驚いてんの?」と云うと、
このペレンのマサコオキピの採集数に関係しています。
外産クワガタの入荷動向によく目を輝かせている諸兄ならご存知だと思いますが、スラウェシ島東沖に浮かぶペレン島からは昔からメタリフェルホソアカ、ファブリースノコギリがよく入荷し、たまにフルストルファーノコギリやオオヒラタなども入荷していますが、オキピタリスノコギリはどうでしょうか。
(ほぼ)無いんです。
なぜならば、この島のオキピタリスは他の島と生息事情が違っていて、大の付く珍品だからです。
日本で例えるなら、採集法が確立する前のヤエヤマコクワぐらいですかね。
それが、外国産をたくさん扱うそのショップの新着情報にポッと載っていたワケです。
これは買わないワケにはいかないでしょう。
ショップのブログでも、ペレン島産について特別何も言及されておらず亜種の区別も無く1頭600円で販売されていた事から、「これは店側も把握していない掘り出し物を見つけてしまった」と思い鼻息を荒げ、同じくオキピに目が無いNo.7に連絡。
しかし、興奮を覚えながらも一抹の不安がありました。
WF1の幼虫という事は、セットを組んだ人はWILDの親♀を見ているワケだよなぁ・・・
てことは黒い=普通じゃないって事は分かってるはずだよなぁ・・・
それで1頭600円ってのはどういう事?
この亜種自体、情報が少ないから中には普通の体色の♀も存在してて、別亜種だと気付かなかったからか?
いや別に亜種が違うからって値段を上げたりするとは限らない店だからその線もあるのか?
・・・もしかしてやっぱり・・・
この業界、亜種が違うと途端に熱狂するのが常。
新種、新亜種発見・格上げで流通価格が跳ね上がり、こうした動向に神経を尖らせ我先に流通の主導権を取ろうと眼を血走らせている人もいれば、逆にそれに対して癖易し嫌う人もいます。
マサコオキピは、ヒデオオキピのように♂の特徴が変わっている亜種ではなく♀に特徴がある亜種なので一般には盛り上がり要素に欠けるとも言えるのですが、それでもショップ側は通常のオキピと同じように扱っているのは不自然な気がしたワケです。
No.7 「まぁ♀が羽化すれば分かる事でしょう」
パソコンの前で考えても埒が明かないのでとりあえず10頭いた在庫をNo.7と一緒に買い占めてみました。
そして後日、生体が到着しました。
代表して購入手続きしてくれたNo.7の話によると、店側の話では親♀は黒くはなかったとの事だそうです。10頭の幼虫は、No.7と2人で分け5頭ずつそれぞれ飼う事にしました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして月日が経過し、この秋に無事♀が羽化し、♂も羽化しました。
身体が固まったので、いよいよ満を持してUPしてみます。
♂
あれ、思てたんと違う・・・!!
体色はもうちょっと濃いモノかと思ってたんですが、見慣れた感じの色ですね。
歯型も長歯ではないのですが、記載された個体も短歯だったので見比べてみるとなんか違う気がします。体型も普通で前胸から頭部にかけて狭く小さくなっているかと言うと・・・普通?
頭部の発色の質感も・・・
これ普通のスラウェシと変わらないじゃん!!!!!!
♀-1
♀-2
♀-3
♀-4
WF1だけあって前胸の紋の出方もバラバラですが、
一目瞭然、そもそも黒くねぇ!!!!
頭部の色も赤みが強く、普通のスラウェシ産と特徴が一緒。
一部マニアの間では、「果たして本当にペレンのオキピは黒いのか? 黒い♀と云うのは実際オキピとは関係ない種類なんじゃないか?」と疑問視されているようですが、現地で実際に採集されている方の話を引き合いに出すと、
「実際にペレンで黒い♀は採っていて、その♀からまともな数の幼虫は採れなかったが羽化した個体は確かに♂のオキピタリスだった」という事と
「買い付けに行く邦人バイヤーが現地のキャッチャー(かキーパー)に担がれている」と云う話があります。
色々と考えてしまうトコロはありますがここから先は今後の入荷にかかっているでしょうね。
ここまでの話を組み立てた結果、結論、
と判断しました。
つまり、スラウェシ産の原名亜種という事ですね。
No.7の方でも羽化したのは何の変哲もない通常の特徴だったようです。
ちょっとした波乱がありましたが、これで今年の増種は終わりです。
新しく入荷した在庫 1種類
全ての在庫 16種類
今年入手した残り1種については、前の2種と違って手放しで喜べない虫なので少し詳しく書いてみたいと思います。
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今年の6月のある日、関西のあるショップのサイトにとある虫を見つけ目を疑いました。
「え!!!? ペレン産!!!!?」
サイトの新着情報欄に載っていたのは、オキピタリスノコギリの幼虫。
驚いたのは、その販売個体の産地、『ペレン島』。
ウソだろ・・・!? ありえない・・・ しかしこれは・・・凄いぞ・・・!!
たかがオキピに何をコーフンしてるんだ? と思われるでしょう。
オキピタリスノコギリはミャンマー南部からインドネシア~フィリピンにかけて広い範囲に普通に見られる一般的なクワガタなのですが、地域や島によって特徴が変わり、大きく分けると
・フィリピン~スラウェシ近海は原名亜種P. o. occipitalis
・大陸~スマトラ~ジャワ~ボルネオあたりまでは亜種アステリクスP. o. astericus
の2つに分かれるのですが、
特定の島嶼の個体群は特徴が認められさらに別の亜種として昇格しています。
その一つが一部でブームになったブラックヘッドことシムルエ亜種ヒデオP. o. hideoi
頭部が黒化し前胸の模様の特徴や光沢が他産地と異なっています。
そして、もう一つだけ亜種があり、それがペレン亜種マサコP. o. masakoae
♂は頭部の発達がやや悪く、色がやや濃いめ。そしてこの亜種の最大の特徴が♀の体表がほとんど黒化すると云う事。
(ちなみに、他にも亜種がいるのですがあまり支持されていない亜種なので割愛します)
「ペレン産が亜種なのは分かったけどなんでそんなに驚いてんの?」と云うと、
このペレンのマサコオキピの採集数に関係しています。
外産クワガタの入荷動向によく目を輝かせている諸兄ならご存知だと思いますが、スラウェシ島東沖に浮かぶペレン島からは昔からメタリフェルホソアカ、ファブリースノコギリがよく入荷し、たまにフルストルファーノコギリやオオヒラタなども入荷していますが、オキピタリスノコギリはどうでしょうか。
(ほぼ)無いんです。
なぜならば、この島のオキピタリスは他の島と生息事情が違っていて、大の付く珍品だからです。
日本で例えるなら、採集法が確立する前のヤエヤマコクワぐらいですかね。
それが、外国産をたくさん扱うそのショップの新着情報にポッと載っていたワケです。
これは買わないワケにはいかないでしょう。
ショップのブログでも、ペレン島産について特別何も言及されておらず亜種の区別も無く1頭600円で販売されていた事から、「これは店側も把握していない掘り出し物を見つけてしまった」と思い鼻息を荒げ、同じくオキピに目が無いNo.7に連絡。
しかし、興奮を覚えながらも一抹の不安がありました。
WF1の幼虫という事は、セットを組んだ人はWILDの親♀を見ているワケだよなぁ・・・
てことは黒い=普通じゃないって事は分かってるはずだよなぁ・・・
それで1頭600円ってのはどういう事?
この亜種自体、情報が少ないから中には普通の体色の♀も存在してて、別亜種だと気付かなかったからか?
いや別に亜種が違うからって値段を上げたりするとは限らない店だからその線もあるのか?
・・・もしかしてやっぱり・・・
この業界、亜種が違うと途端に熱狂するのが常。
新種、新亜種発見・格上げで流通価格が跳ね上がり、こうした動向に神経を尖らせ我先に流通の主導権を取ろうと眼を血走らせている人もいれば、逆にそれに対して癖易し嫌う人もいます。
マサコオキピは、ヒデオオキピのように♂の特徴が変わっている亜種ではなく♀に特徴がある亜種なので一般には盛り上がり要素に欠けるとも言えるのですが、それでもショップ側は通常のオキピと同じように扱っているのは不自然な気がしたワケです。
No.7 「まぁ♀が羽化すれば分かる事でしょう」
パソコンの前で考えても埒が明かないのでとりあえず10頭いた在庫をNo.7と一緒に買い占めてみました。
そして後日、生体が到着しました。
オキピタリスノコギリ(亜種マサコ) ペレン島?
代表して購入手続きしてくれたNo.7の話によると、店側の話では親♀は黒くはなかったとの事だそうです。10頭の幼虫は、No.7と2人で分け5頭ずつそれぞれ飼う事にしました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして月日が経過し、この秋に無事♀が羽化し、♂も羽化しました。
身体が固まったので、いよいよ満を持してUPしてみます。
♂
あれ、思てたんと違う・・・!!
体色はもうちょっと濃いモノかと思ってたんですが、見慣れた感じの色ですね。
歯型も長歯ではないのですが、記載された個体も短歯だったので見比べてみるとなんか違う気がします。体型も普通で前胸から頭部にかけて狭く小さくなっているかと言うと・・・普通?
頭部の発色の質感も・・・
これ普通のスラウェシと変わらないじゃん!!!!!!
♀-1
♀-2
♀-3
♀-4
WF1だけあって前胸の紋の出方もバラバラですが、
一目瞭然、そもそも黒くねぇ!!!!
頭部の色も赤みが強く、普通のスラウェシ産と特徴が一緒。
一部マニアの間では、「果たして本当にペレンのオキピは黒いのか? 黒い♀と云うのは実際オキピとは関係ない種類なんじゃないか?」と疑問視されているようですが、現地で実際に採集されている方の話を引き合いに出すと、
「実際にペレンで黒い♀は採っていて、その♀からまともな数の幼虫は採れなかったが羽化した個体は確かに♂のオキピタリスだった」という事と
「買い付けに行く邦人バイヤーが現地のキャッチャー(かキーパー)に担がれている」と云う話があります。
色々と考えてしまうトコロはありますがここから先は今後の入荷にかかっているでしょうね。
ここまでの話を組み立てた結果、結論、
これ・・・違う・・・
と判断しました。
つまり、スラウェシ産の原名亜種という事ですね。
No.7の方でも羽化したのは何の変哲もない通常の特徴だったようです。
ちょっとした波乱がありましたが、これで今年の増種は終わりです。
新しく入荷した在庫 1種類
全ての在庫 16種類
歴シート ~2017~ [日昆 諸記]
今年は採集道具に大きな投資をした年でした。
ハイワットライトトラップ機材導入の為、上半期の小遣いをほとんどつぎ込んで全て自力で組み上げたため既製品のライトトラップ機材より手間も金額もかかってしまいましたが、いざ採集に行ってみればその用途にほぼほぼ合っていて不満も少なかったと感じます。
飼育の方では、疑惑のオキピ(前記事参照)から始まり、秋にはゴホンヅノやアスタコイデスなどちょっと久し振りに多めの増種を行いました。
来年には幼虫も結構増えると思うので、2018年は落ち着きめでいく予定です。
その分・・・採集に注力しようかな。
【2017年の入手分】50音順 ※青字は今年初入手
アスタコイデスノコギリ(原名亜種) 成虫
アングスティコルニスミヤマ 幼虫
オキピタリスノコギリ(マサコ亜種×→おそらくラベル間違い) 幼虫
ゴホンヅノ(原名亜種) 成虫
ゴホンヅノ(プランディ亜種) 成虫
フェイスタメルシワバネ 成虫
リュウキュウノコギリ(久米島亜種) 幼虫
【飼育状況】
セット中
シベルートオキピ
ツツイシカ
ゴホンヅノ(原名)
ゴホンヅノ(プランディ)
アスタコイデス
フェイスタメル
成虫管理中
タイギラファ
スラウェシギラファ
パナイギラファ
ペレンオキピ(仮)
トカラノコ
クメジマノコ
ツツイシカ
アッサムシカ
アマミシカ
オオクワ
ヒメオオ
幼虫管理中
タイギラファ
スラウェシギラファ
パナイギラファ
トカラノコ
クメジマノコ
アマミシカ
アングスティコルニス
原名ゴホンヅノ
長年楽しませてくれたニルギリギラファも遂に途絶え、過去の記憶になってしまいました。
入手も難しくなり、もう3度目の入手は叶わないかもしれませんね。
他のギラファも産地ラベルが意外とマイナーで、タイギラファの方は今♂♀1頭ずつしか居ないのは非常に危険です。
来年はきちんと数を抑えて飼育したいという反省をもって、2017年の記事を締めたいと思います。
ハイワットライトトラップ機材導入の為、上半期の小遣いをほとんどつぎ込んで全て自力で組み上げたため既製品のライトトラップ機材より手間も金額もかかってしまいましたが、いざ採集に行ってみればその用途にほぼほぼ合っていて不満も少なかったと感じます。
飼育の方では、疑惑のオキピ(前記事参照)から始まり、秋にはゴホンヅノやアスタコイデスなどちょっと久し振りに多めの増種を行いました。
来年には幼虫も結構増えると思うので、2018年は落ち着きめでいく予定です。
その分・・・採集に注力しようかな。
【2017年の入手分】50音順 ※青字は今年初入手
アスタコイデスノコギリ(原名亜種) 成虫
アングスティコルニスミヤマ 幼虫
オキピタリスノコギリ(マサコ亜種×→おそらくラベル間違い) 幼虫
ゴホンヅノ(原名亜種) 成虫
ゴホンヅノ(プランディ亜種) 成虫
フェイスタメルシワバネ 成虫
リュウキュウノコギリ(久米島亜種) 幼虫
【飼育状況】
セット中
シベルートオキピ
ツツイシカ
ゴホンヅノ(原名)
ゴホンヅノ(プランディ)
アスタコイデス
フェイスタメル
成虫管理中
タイギラファ
スラウェシギラファ
パナイギラファ
ペレンオキピ(仮)
トカラノコ
クメジマノコ
ツツイシカ
アッサムシカ
アマミシカ
オオクワ
ヒメオオ
幼虫管理中
タイギラファ
スラウェシギラファ
パナイギラファ
トカラノコ
クメジマノコ
アマミシカ
アングスティコルニス
原名ゴホンヅノ
長年楽しませてくれたニルギリギラファも遂に途絶え、過去の記憶になってしまいました。
入手も難しくなり、もう3度目の入手は叶わないかもしれませんね。
他のギラファも産地ラベルが意外とマイナーで、タイギラファの方は今♂♀1頭ずつしか居ないのは非常に危険です。
来年はきちんと数を抑えて飼育したいという反省をもって、2017年の記事を締めたいと思います。
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