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五本大作戦・第一部 ‐オヤスミナサイ‐ [〆ゴホンヅノ (原名亜種)]

今年の9月、前回から実に8年振りに飼育したゴホンヅノカブト。

今回2ペア入手しそれぞれ単独でセットしたのですが、
現在までの経過を順を追って振り返ってみます。


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ゴホンヅノのブリードでまず厄介なのがマットの選定
今も昔も世間では「ひとクセある」と云う見解でほぼほぼ変わらないワケでして、自分も過去2回いずれも採卵には失敗してはいないのですがいまひとつコツのようなものは掴めておりませんでした。
そうなると、より成功の確率が高い物を求めてこれまでと違うメーカーのマットを試してみたくなってしまうワケです。
ゴホンヅノの産卵について個人的に思ったことはまた後述しますが、
取り敢えずゴホンヅノの購入に先んじて、今まで使ったことが無い店のカブトマットAとします)を20リットル分購入したところ・・・これがちょっと失敗でした。
到着したマットを見て呆然、チップがだいぶ粗く明らかに『幼虫用』のマット。微粒子でもなければ産卵で大事な粘り気も全く感じられません。一応、「産卵にも効果を発揮する・・・云々」と云った説明があったので期待したのですが、心配になってきました。

なんとなく「これは加工しないといかんのでは?」と感じて、混合のマットにしてセットすることにしました。
テストの意味も含めて、2頭それぞれ別の物をマットに混ぜることにしました。

1頭目・・・9月23日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットA水苔
【温度】 22~23℃
まずはカブト産卵でもよく見る水苔を混ぜたセットです。
勿論、水苔は転倒防止用に地上に敷き詰めておくのではなく、マットとしっかり混ぜて産卵床として使用します。とは言ってもカブトのセットで水苔を入れるのは初めてで、分量も分からないので感覚的な量で配合します。
ケースの8割の深さまで混合マットを入れ、そのマットの3割程度は手でギュッと押し固めて、7割は均すだけにしておきます。
ゼリーと親♀を入れたらフタをして温室へ入れました。

2頭目・・・9月24日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットAけと土
【温度】 22~23℃
1頭目と違い今度はけと土を混合しました。
けと土を選んだのは単純に粘り気増強の為で、以前轟沈したインペリアリスのマット原料の余りを転用しました。言わずもがなこれも配合は目分量です。
虫作業をこの日手伝ってもらっていたパンドラにこのマット詰めをしてもらい、けと土以外の工程は1頭目と同じで8割詰めの内3割固詰め上ふんわり。

ちなみに両方ともセットを組む前日♂と追い掛け済み。


セットはこれで完了したワケですが、
水苔やけと土が混ざったマットでは産卵は良くても孵化後の幼虫には合わないだろうという事で、5日後の29日には初令幼虫用に、デリケートな種類に有効と云う話を目にしてこれまた別メーカーのカブトマット(これをBとします)を10リットルだけ購入しておきました。


そして数日経過し、
セットした内の1つに怪しげな様子が目立ってきました。

それは、はじめにセットした水苔の方でした。
最初にセットした時はきちんと均していたマット表面はケース壁面に沿ってえぐり抜かれ、四角い側溝状に押し固められていました。明らかに、マットが気に入らず徘徊していた痕跡です。
直ぐにセットを解体して別メニューに組み直しておけば・・・と今になって思うのですが、生き物相手だと最後まで何があるか分からないと思いとどまってしまうものですし、結局そのままセットを続行してしまったんですよね・・・
ちなみに、この時点ではまだ採集脳のままでありまして、この状況を確認した次の日曜にはヒメオオを採りに大間に行ってしまってたんですねェ
(こりゃダメだわ・・・)




そしてさらに数日と間も無い内に、その日はやってきてしまいました。

  水苔セットの親♀が死亡。

歩き疲れ果てたようでした・・・

セットからそう間もない内に1♀が逝ってしまい、
流石に焦りを覚えまして翌週の10月8日に2セットの試し割りを行う事にしました。
けと土の方は依然潜ったままでしたが、地中で果てている可能性もあるし、割り出して産卵が行われていなければ急いで別メニューで組み直さなければなりません。


水苔の方のケース(♀死亡)
まずは親が死亡した水苔のセットから割出してみました。
ケースをひっくり返してみると、悪い予感は的中。マットの内部まで掘り進んだ形跡は無く、表層7~8cm程度の深さまでしか潜っていませんでした。マットに変質や劣化も見られません。
一応マットはバラしてみましたが、やればやるだけ悲しくなるばかりでした。
CA3I0909.JPG
死亡した親♀↑↑
悲しくなるほどピカピカのキレイな状態で死んでいます。今にも起き上がりそうなくらいです。

けと土の方のケース(♀生死不明)
もう望みはこっちのセットしかありません。♀は地上に出てきていないので中で死んでいるかまだ生きてるのか全く判らない状態です。
CA3I0910kai.JPG
ただしこっちにはきれいに潜行した痕跡があり、産卵の期待は少なからずあります。

早速ケースをひっくり返してみると、マット中層からまだ生きていた親♀が出てきました。フ節が1本欠けていますがまだ元気そうです。
そして続いて、ひっくり返したマットの底部を少し崩してみると・・・

CA3I0911kai.JPG
卵!!!!
よかった・・・全滅だったらどうしようかという心配はあっさり拭えました。
僅かなスペースを崩しただけで5~6個の卵が出てきたところで、これ以上は孵化まで放置した方がいいと判断して割り出しをすぐさま中止し、マットをそのままケースに戻して温室で保管することにしました。

出てきた卵は別容器で保管することにしまして、
親♀は同じケースに戻さずに新しいセットを組むことにしました。
CA3I0912.JPG
2頭目・・・10月8日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットBけと土(微量)
【温度】 22~23℃
マットの在庫の問題もあって、当初割出し後管理用に購入していた前述のマットBを入れることにしました。一応けと土も混ぜたには混ぜたのですが、ほとんど使い切ってしまっていて入れたのか入れてないのか判らない程度しかありませんでした。(分量で云うと2~4%くらい?)



ちなみにこの約3週間後、
ゴホンヅノについて喜ばしいニュースが発表されたのですが
それを自分が知ったのは12月になってからでした・・・



試し割りをしてから1ヶ月後の11月5日
採卵して管理していたカップから幼虫が多数確認できたので、その分の個別管理に着手しました。
割り出してみると1令幼虫が4頭と膨らんでいる卵が1個、計5頭を120㏄カップへ移しました。マットは、再セットした♀を入れているケースのカブトマットBを表層部分から少し頂戴し詰めました。
・・・ちなみに、残念ながら再セットしたこの親♀はこの時もう地上で亡くなっていました。



そして、さらに2週間経過した11月19日
CA3I1005.JPG
9月24日に組んだ最初のけと土混合ケースの方に初令幼虫が見えはじめていたので、事情も諸々あるので割り出すことにしました。
まぁ、事情と云うのは・・・季節コバエって部分です。
(コバエが湧いてしまっているので室内で割り出せないし、冬になってしまったので寒さが厳しくならない内に屋外で作業しないと後々辛いからです)

とは言っても実際の所お外はこんな感じ↓↓
CA3I1008kai.JPG
全然冬(辛) 雪も吹いています。

さすがに雪の上で作業するワケではないですが寒い・・・!
ケースをひっくり返してマットを出すと湯気が立つ(苦笑)
CA3I1006.JPG
コバエも凍ってほとんど動かない状況で、粛々とマットを割っていきます。
継続的にポロポロ出てくる1令幼虫にニヤニヤが止まりません。採れた幼虫を次々に製氷トレイに移し、凍らせていきます。

ゴホンツノカブト2017採卵.JPG
マットを全て砕き終えて、採れた合計は25頭
・・・俺が組んだ水苔の方は無反応だったのになにこの差は・・・、前々からちょっと思ってたけど、女性ってカブトムシ産ませるの上手だよな(偏見)

ちなみに、採れた全ての幼虫は底部の固詰め層からのみ出てきました。
爆産・・・とまでは言えない数字でしたが、自分のやり方ではこの結果は大成功と呼べる結果になりました。できればこの調子で、再セットのカブトマットBのセットからも追加が欲しいところです。

採れた幼虫は、8年前に本種を産ませた時の別メーカーのカブトマット(これをCとします)と、さらにまた別メーカーの腐葉土(昆虫飼料メーカー)を混合して120ccカップに個別に移しました。
しかし、このやり方が後に最悪の事態を招く事になりました。





時は(たしか・・・→)11月25日、虫屋の納会に出席する準備で手製カレンダーを徹夜で仕上げていたその朝でした。

作業の気晴らしに、19日割り出し分の幼虫達の様子を見ようと温室を開けると、





し、死んでる・・・!!!!!!!

ほとんどと言っていい数の幼虫が茶色に変色して動かなくなっています。中には萎んでいる個体までいます。ほぼ全てがカップの上部や壁面で息絶えています。
軽いパニックになりながらも、死亡個体と生存個体でカップを分けていきます。
さすがにこれだけの数が1週間もせず死んでしまうのか? カップ投入時には何らおかしな様子は無く元気だったので、割り出しで何かショック状態になったとも思えません。

手に持ったカップを開けてポカーンと見ていたら、何か違和感に気付きました。
・・・・・・このマット、ちょっと水気が多くてやけにぬらぬら光ってる・・・
・・・・・・・・・ん?・・・あれ?・・・なんかちょっと温かいような・・・・・・・・・・・・もしかして・・・

・・・再発酵・・・??

マットを混合した上、水分も多い。
結局のところ原因は確定できないのですが、要因としては非常に考えられることでした。今よくよく考えればカブトマットCだけで良かったところを、産卵時の感覚で「混ぜるのが良い」と考えなしに要らぬマットを加えたのは何故だったのか。しかもナゼ腐葉土なのか。加えてこの腐葉土、ミキサーで粉砕して微粒子化すると云う無駄な手間まで掛けていた所為で再発酵しやすくなっていた可能性も高いのです(恥)
再発酵した結果酸欠状態になり窒息してグッタリ・・・という事か・・・

とは言え時間が無いので、何とか生存している分のカップはマットを半分に減らし、フタを開けておいて換気させておくことに。
その後話を聞いたFH鈴木さんには呆れ顔をされました。

鈴木さん 「だ~から〇〇〇のマットは使うな、って言ったろ~~(呆)」



最終的に、25頭居た19日分の幼虫は4頭に減ってしまい安泰だったブリーディングライフも苦しくなってきました。2ペア仕入れた事を考えると汗顔の至りです。

幼虫の頭数を2桁確保するには最後のセットに望みを託すしかありません・・・!
親♀も死亡し、暴いていないカブトマットBのセットを暴いたのは去る12月8日
ケースの側面がややカビてきている事に一抹の不安を覚えながら、新聞紙の上にマットをひっくり返します。マット~をあーばーけーー♪♪ CA3I0026.JPG
(あ・・・! これはダメなパターンのヤツだ・・・)

・・・どうやら・・・これはアレだね・・・失敗ってやつだね。

CA3I0025.JPG
初っ端からこんな死亡卵が見えてしまったんだから心も折れるさ。なんでそんな真っ黒なんだよ、大涌谷にでも浸かってきたのか!!

この卵も含めて、2個だけ死亡卵が見つかった以外には何も出てきませんでした。




と云うワケで、
今回のゴホンヅノ産卵の結果は・・・

♀その1
  ・・・【カブトマットA水苔】⇒ 0個

♀その2
  ・・・【カブトマットAけと土】⇒ 第1回割出:卵5~6個、第2回割出:幼虫25頭
  ・・・【カブトマットBけと土(微量)】⇒ 0個

     →存命 第1回割出分:4頭、第2回割出分:4頭合計8頭


瞬間的に30頭を見込めた頭数が今となっては3分の1以下です。まさかこんなミスでブリーディングを失速させてしまったのにはただただ情けなく思うばかりです。
ただ、今回の事や前回までの感覚を振り返るに、産卵について巷で語られている話に対して思うところがあるので、今の時点での自分の考えを敢えて下にまとめておきたいと思います。

ゴホンヅノカブトの産卵については、昔から「どんなマットを使えばより確実に成功するか」が問われその度に新しい意見や経験談が上がり振り出しに戻ってを繰り返しているような気がしますが(今する話もその中の一つに過ぎないかも知れませんが)、その原因の要素として「性格の部分での個体差が激しい」と云う点が実は大きいのではないかと思うワケです。

こんな事を言ってしまうとにっちもさっちもいかないのですが、こう言っておきたい理由にまず「アタリの♀orハズレの♀の解釈の仕方」があります。
産卵数がその個体個体によって大きく上下する本種は俗に「♀の当たり外れがある」と言われてますが、その意味をどう解釈しますか? 普通ならば、「WILDだから野外で産卵をほとんど終えている♀がハズレ、まだ産卵していない♀がアタリ」と考えるところですが、ちょっと待ってください。
セットを組んで回収ゼロもしくはごく僅かしか採れなかったセットの♀でも、購入時やセット前に手に持った時には「ズッシリ重くてこれなら産むぞ」と期待したのではないでしょうか。カブトムシなら産卵が終わってれば軽くなってスカスカな感じが手に持てば分かるはずです。比べてないのにそんなの分かるワケない! と言い訳も立ちますが、産卵数ゼロでビックリしてしまうという報告が多いのはそれだけ当初の期待が大きかったワケですから・・・。いかにもボロボロで状態が悪いと云うような♀でなければ気合を入れてセットを組んでいるハズです。
今回投入した♀2頭共、体重までは量っていないですがこのサイズのカブト♀としてはきちんとした重みがあって差異は感じられませんでした。これを見るに、他の要素も作用してきますが「産まない(ハズレ)のは卵を持っていないから」とは言えないのではないかと思うのですよ。

そしてもう一つの理由に「マットの正解」についてです。
産卵数の多少が激しい所為か、飼育者は「マットの銘柄」にばかり意識を向けがちですが、それよりもまだ大事なのは「マットの状態」ではないか・・・と思うのです。有力とされる竹主体のマットでも外したという話はありますし、通常のカブトマットや腐葉土なんかでも産卵すると云う事は、マットの成分によって・・・ではなくてマットの状態・質感が大事なのではないかと。勿論、カブトの飼育に長けた方々はゴホンヅノ等気難しい種類用に極めたマットの仕込み方があると思うんですが、どれだけネットで探っても「ゴホンヅノはコツ掴みました! 攻略しました!」と云う書き方は見つかりません(あくまで自分調べでです)。多産したと云う方でも「え!? ウソ!? 凄い!!」と望外のリアクションを綴る場合がほとんどで、「自分は相性いいみたいです」と云う方であっても、一度成功した次のシーズンの続報が無いパターンがお約束です(これって、「分かった」と思われるレシピで別個体を投入したら思いの外ふるわなかったからなのではないかと)
一度成功を納めたセット内容だからと言って別個体の産卵で結果が大きく違ってしまうと、これはもうマットの種類がどうこう言う問題ではないと思うんですね(勿論不正解のマットの例はありますよ、化学肥料とか混ざってた腐葉土とか)
反面、途中で思い切ってマットの種類を変えたらなんとか産んだとか、逆に今回の自分のように産まなくなったと云う例もありますし、その転向したマットの種類も画像を見る限り千差万別です。これって、非常に一面的な見方ですが、WILD♀各個体のマットの好みがバラバラで、セットしたその時に気に入った環境(≠マット)でなければ卵を持っていても産み渋るからなのではないかと思うワケです。

ここまででメチャクチャな事を言ってる気しかしませんが、飼育に際してこういう発想の仕方も有りなのかなと思います。(長文のクセにメッセージが薄い[バッド(下向き矢印)]


↑↑ただし、成功した時の傾向はある程度あるみたいで、
いくつか違う種類のマット層に分ける(虫が潜っても層の違いを認識できないと無意味)
軟詰め層と固詰め層に分ける

そして加えて上記のダラダラ長文から
徘徊したり潜りが浅い場合は何でもいいからマットを変える

これらを意識すると、なんとか悪い現状を打破できるのではないかと思います。
ヘラクレスやなんかみたいな簡単に爆産する奴らとは違いますから、5個10個としか採れなくても「あ~、失敗☆」とか思わない方がいいでしょう
採れただけでいいじゃねェか調子乗るな!

・・・でもこれって↑↑、別に大した工夫してないような・・・ ・・・ ・・・ ・・・。


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さて、こうしてバタバタ色々あって(いろんな意味で「バタバタと」・・・だった)ゴホンヅノのWF1飼育がスタートしたのですが、2017年のゴホンヅノカブトの話はこれだけでは終わらなかったんですね・・・




↓↓↓ 次回 ↓↓↓




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