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津軽半島姫大鍬形虫採集記録 [日昆 採集記 【2019年】]

ライトトラップシーズンも終了に向かいつつある9月半ばの話。

夏の間ライトの新規ポイントを探す中で、未踏のヒメオオポイントが見つかった(当時はヒメオオ本体が確認できず)ので、今年のヒメオオ採集一発目は日昆メンバー皆で行こうと企画を立てました。
さらにNo.7から、採集ポイントのある市町村に後輩の虫屋が今住んでいるので彼も連れて行きたいと云う提案があり、5人での採集が決まりました。


  14日

No.7には朝8時に〇〇に集合!」No.2&6に、朝7時に迎え行くからな!」と時刻を伝えておきながら、
迎えた朝はNo.7からの着信で起床・・・

時計を見ると朝7時52分!!! うわぁぁぁあああ!!!!!!!!
ケータイには既に5件の着信が溜まっていました。

言いだしっぺが見事に遅刻すると云うスタートでこの日の採集は始まりました。
メンバーに平謝りし、早速採集目的地の市町村へ車を飛ばします。


今回の目的地は、津軽半島
目的の市町村ではヒメオオの生息を既に確認していたのですが、
過去に採れた僅かな標本はこの地に所縁のあるNo.6にあげてしまい手元には1頭も残っていないので、もう一度きちんと採りに行きたいと数年前から思っていました。


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目的の市町村に到着し、No.7の後輩・デススト君と合流しこの日のメンバー全員が合流。
デススト君は仕事の関係上、歩いているヒメオオの♀をたまに見ることがあるそうで、未だ見た事が無い当市町村の♂を採ってみたいと今回期待しているようです。

車2台に分乗し、林道へ突入しました。


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ここからは、写真を中心に採集内容を書いていきます。

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時刻が11時を回る前に車を降りて林道探索開始。
長い林道をずっと歩いていると、出発時は5人の塊りだった一同もだんだん分かれていきました。せかせかと先へ進んでいくNo.7&デススト君のコンビ、のんびりスローペースで歩くNo.2&6のコンビ、そして自分は両者が離れすぎないように中間に位置取って歩く状態。


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津軽半島は、日本の天然3大美林、木曽ヒノキ・秋田スギと並ぶ青森ヒバの主要分布地で、ブナ等の広葉樹林の中に散立するヒバはとても存在感が強いです。
下北も同じような感じですが、こうしたヒバの高木を沢山目にすると、「半島に来たなぁ」と毎度毎度感慨に浸ってしまいます。


林道図X.jpg
この日の採集経路を簡単な図にすると以上の通りです。
車で長い林道Xをガタゴト進んでいき、途中の分岐から林道Aに徒歩で進入。途中1本分岐を通り過ぎ次の林道B&Cの分岐周辺が、前回のライトトラップポイント探索時に見つけた齧り痕の多いエリア。


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林道の風景。
環境はとてもヒメオオ向きで、多様な木々が林道脇に生えていてヤナギも高低様々な物が生えていました。
空は雲が多く、最高の条件と云うワケでもなかったのですが、風も無くルッキングには困らない良い天気でした。


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山奥に来たからと言って、歩き始めて直ぐには出会えませんでしたが、30分以上経って遂に1頭目の♂が見つかりました。皆に「居たよ!」と呼びかけるのに夢中で生態写真を撮り忘れ先に網を出してしまいました。
5人連れで来た手前、なかなか見つからなかったことに焦っていたのかも知れません。


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HIGH VOLTAGE 2の中で書かれているように、津軽半島の個体群は数が少なく自分も既産地ですらボウズを食らう事もあったので心配していましたが、想像を超えて多くの個体が見られました。


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1人でやる時と違って、2人以上での採集だと取りこぼしが激減します。
全く別々の独立した虫屋の集まりの時と違って、気の知れた仲間ならギスギスすることなく協力体制を構えて確実に手中に収めることが出来るので終始安定して採集できました。網を出すのは見つけた者、取りこぼして落ちた時の受け皿として網を構える者、地面に落ちた際に落下地点を確認する者・・・。理想的な陣形を作る事で、見つけた個体はほとんど確保出来ました。


CA3I0445.JPG生息密度が非常に濃い証拠に、様々な樹種でヒメオオが見つかりました。
一番最初に見つけた時も、なんだかよく分からない知らない樹種でした。判ったものでは、オノエヤナギエゾノキヌヤナギダケカンバナナカマドイタヤカエデ等。メジャーな後食木としては唯一、ヤマハンノキだけは付いているのを見ませんでした(他の人はどうだったか分からないけど)
イタヤカエデに付いていたのは今回初めて見たので新鮮でしたが、同じく初見で一番印象的だったのが画像のオオイタドリ。どこにでも生えている、雑草の代表格と言っていいこの草本にも稀に付くことがあると話では聞いていたのですが、まさか本当にその現場を目にする日が来るとは思いませんでした。写真を撮る際にうっかり虫を刺激してしまい威嚇体勢になっていますが、この直前はきちんと草に食いついていました。
しかも実はこの個体、林道を戻る際に見つけた個体なのですがNo.7によると4頭目のイタドリ個体だそうで、最初に通った際には同じ場所に3頭付いていたのだそうです。なぜここのイタドリだけヒメオオが集まってくるのでしょうか・・・?



CA3I0441.JPG枝に付いていた多くのペアの内、1♀こんな個体が居ました。羽化不全で翅パカが顕著に現れています。
柔らかい腹部がむき出しのこの個体が材から羽脱したのも驚きですが、こうして後食木まで歩いて辿り着き♂と出会うに至ったのはごく近い場所に発生木が在ったからなのでしょう。
この♀が今後どうなっていくのか、とても気になります。



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林道A‐B‐Cの分岐点。
一足早く到着したNo.7&デススト君と一緒に林道Bへ進行。ある程度進んだ所でUターンし、分岐まで戻ってくると丁度遅れてきたNo.2と6と合流。
時刻も13時半近くなっていたのでちょっと昼休憩をはさみ、林道Cへ突入。採集してみてのヒメオオの個体数は、林道別ではAが一番少なく、次いでB、一番多く採れたのはCでした。林道Cに至っては分岐の付近からずっと途切れる事無くヒメオオが付いていたのですが、時刻が15時近くなってきたところで引き返しました。その復路でも、少なくない数のヒメオオを見つけることが出来ました。
競合する他の採集者が誰も居ないポイントだと、焦る必要も無いので本当に気分が良いですね。


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ヒメオオと関係無いのですが、歩いている最中にNo.2が見つけたのはニホンザリガニの死骸。
これを見てスイッチが入ってしまったNo.7、ヒメオオ採集が一段落すると今度はニチザリ探しに気持ちが動いているようでした。残念ながら時間帯が遅く、暗くなってしまったので車まで戻ってきた段階で断念したようです・・・


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ヒメオオに話を戻して、林道Cから分岐点まで戻ってきた時点で数を集計してみました。
全部で73頭!!!? さらに、他にフ節が何本も切れていたボロボロの個体や先に紹介した羽化不全の個体などはその場で逃がしていましたし、この後林道Aを戻る時に追加した個体が4~5頭居るので、合計では優に80頭を超す数が採れていたことになります。津軽半島の今までの常識からすると脅威の数です。
しかも、この日通してアカアシをはじめとした他の種のクワガタは一切採れず、ヒメオオ純度100%。
言わずもがな、一部を残し他は元の林道に帰しました。


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そしてサイズも驚くべきものがありました。
津軽半島産は県内のヒメオオ生息地の中で一番小さいと云うイメージがありました。実際、今回採れた多くの♂も30mm台から40mm台前半がかなり多く、アベレージとしては小さい印象を受けました。
そんな中、最大サイズはNo.2が採った54mmUP。まだ〆ていない状態でフジコンノギスですが限りなく55mmに近い・・・いやひょっとしたら55mmに届いてるかもしれないと云う個体。
(※後日追記 〆てから測り直してみると、55mm超えてました)

日暮れ一杯まで林道を歩き通し、この日の林道探索総距離を計算すると約16.5km(自分の場合)でした。
車に乗り込み林道を戻る時にはもうすっかり辺りは暗くなっていました。


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こうして一部始終を書いてみましたが、これまでの津軽半島産ヒメオオ採集のイメージがひっくり返る体験でした。流石にここ以外ではこうもいかないだろうとは思いますが(笑)

寝坊して1時間繰り上がってしまったのと、その所為で地図や資料を全部家に忘れて置いてきてしまった等ハプニングはありましたが、記憶と記録に残る採集にはなったかなぁ。


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