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マグソの川を探して [日昆 採集記 【2020年】]

おやっ、うっかり5月中の更新をサボっていましたね。

この春の間に彼方此方へと車を飛ばして青森中の林や山に飛び込んでいましたが、今回は一番最近に行ったマグソクワガタ採集について書いておきます。





  5月31日

朝9時過ぎ。
前夜早くから床に就いた甲斐あって、寝過ごす事無く朝を迎えた。

車には網・長靴・胴長・採集用リュックサック・ポット容器が積んだままになっている。
マグソクワガタ採集の基本装備であるが、恥ずかしい話でここ数年その姿を全く見ていない。かつては「青森でマグソと言えば会長」などと豪語するくらい毎年調子良く新産地を開拓していた時期があったが、調子にノッて飛ばし過ぎたツケが回ったか・・・虫屋としての旬が早くも過ぎてしまったか・・・新規開拓の為に青森県中の大小の河川を毎年回っているものの、本種の発生シーズン及び活動時間帯の制約もあり、貴重な調査機会がなかなか実を結ばずにいた。
ここ数年マグソ採集の記事を書いても主役不在なのも情けない事この上ない。
(ならば書かなければいいだけの事なのだが)


KIMG0513.JPG
家を出発し、萱野高原から北八甲田連峰を望み思いを新たにする。
この時期の八甲田は残雪と新緑のグラデーションが絶景である。


『マグソ採集装備が積んだままになっていると書いた通り、今期マグソ採集に行くのは今日が初めてではない。

先週24日も、No.2No.6の2人と共に未見の産地へ出向いていたのだが、探した2本の河川で轟沈。藪を漕いで泥沼で沈みかけただけで、マグソには出会えなかった。
その帰り道、
「新規じゃなくて普通に採れるポイント行って採ろうぜ」
と2人に促されたこともあり、ずっと続けていた新規開拓を一旦休止して、久しぶりに安定の既知産地でNo.6の小僧(小3)らも連れて気負わないマグソ採集を楽しもうと計画していた・・・ハズだった。


「独りか・・・」

前日に予定を確認したところNo.6に仕事上の予定が入ってしまっており都合が付かず、これでは行く意味が無い為にその予定は自然消滅してしまった。
とは言え天気は土日通して今季中最高の山日和。コロナ自粛も解除された今、家に居るのは愚の骨頂である。
気を遣う者が同行しないならやはり今日も行くしかない、新規開拓へ!
・・・と云う経緯である。



時勢の影響と天気もあってか、山にはとにかく人・人・人で溢れかえっている。
山の中の駐車場は満杯で、山菜採りや写真撮影で車道にそのまま駐車している光景も、一年通してみてもなかなかここまで多くないだろう。
大体、八甲田周辺の景観スポットは県外ナンバーの車が多く見られるものだが、流石に今はほとんどが青森か八戸ナンバー。そういや最近発行されたばかりの弘前ナンバーはまだ1台も見ていないな・・・


KIMG0515.JPG
市内某所からきれいに観得る岩木山。
勤め人の時間的都合では一年に一度も見ることが出来ないくらいに雲一つ無い素晴らしい景色、スマホでしか撮れないのが何とも惜しい。
この写真1枚だけでも、今日この日がどれほど素晴らしい日かが解かると思う。



第1ポイント(津軽地方A市町村)
数年空振り続きとは言え、青森県内でマグソクワガタが居るかもしれない未記録の河川と云うのはまだまだ沢山残っている。文字通り、【沢山=沢の数ほど、山の数ほどある】と云うワケである、・・・クドいね。
虫屋でもほとんど見向きもしない地味なコガネムシクワガタの分布調査を毎年継続している青森県民も他に居ないし、一生かかっても調べ尽くされないと考えると、これは飽きてる暇も無いし飽きも来ない・・・と思ったりもするんだが、諸兄はどう思われるだろうか。

飽きないとは言えど、流石に「可能性を感じる全ての河川」を地図の端っこからローラーしていくのは個人で続けるには無機質的かつ精神的に辛いので、気分転換やギャンブル的ワクワク感も得る為、
記録が無い市町村で都度都度ターゲットを選び、そこに居なかったら次は別の市町村へ、ダメならまた別の市町村へと繰り返す。
これが自分のよくやっている開拓プランの練り方である。
ついでに、合同採集の予定が流れた前夜の内から地図を読みつつ、今日の候補地を絞ってきた事は念の為前置きしておく。
(過去の採集記を自分で読み返すに、どうも行き当たりばったり感が強くて今回もノープランだと思われたくないからね)

このA市町村も、文献上及び経験上でまだ記録のない場所の一つである。


マシントラブルなのか道の途中で立ち往生しているバイク乗り達を躱して間もなく、第1のポイントに到着した。

これから暑くなる車内に飲み残しておいたらもう絶対に飲まないファンタグレープ500mlを急いで胃に流し込んで、長靴に履き替え道具を携え、車に鍵を掛けて川に向かう。
時刻も10時半、つなぎを着てリュックを背負って、長靴の下にダーンタフのエクストラクッションソックスまで履いてるんだから暑くないワケがない。

KIMG0592.JPG
広い川原まで下りてきたのだが、
航空地図で見た景色とは違っていて、砂利で真っ白と思っていた一帯にはヤマハンノキとヤナギがボツボツと生い茂っていて植生が出来つつあった。一見マグソも居そうに見えるが、元々ほとんど日晒しの場所だったので発生環境でない事は明らかで、発生木が埋まっていて木陰も多い川原に移動しなければならなそうだ。

ギリギリ長靴で渡れる浅い場所を見極めながら、川を遡上する。
岸辺には所々でカジカガエルが陣取っている。

同岸の上流わずか50m進んだ所に小さな砂地の環境が在ったので、さてマグソはいるかなと数分辺りを凝視してみたものの、それらしい甲虫はいない。
居るのは、イタドリハムシ、セアカオトシブミ、キイロスズメバチ、エゾイトトンボ、ムネアカオオアリ、アメンボくらいのものだった。

見切りをつけてさらに上流を窺うと、どうやらマグソの居そうな環境としては一番可能性がありそうな所が対岸に広がっていた。
ダラダラしていられないので早々に渡ろうとしたものの川の中ほどで停滞・・・
・・・深いッ・・・

川は蛇行しているので、当然ながら浅い所と深い所がある。
長靴の丈限界近くまで水深が達しているのにこれ以上進んだら・・・ヒィィ・・・ゾッとする。
面倒だが一旦車まで戻って胴長に履き替えるか・・・

踵を返したところでうっかりバランスを崩し飛沫を上げてしまった。
あァ~・・・中に水チョット入ってきちゃッたー・・・!



車に戻り胴長に履き替え、再び対岸へ。
そこは大小の石がゴロゴロ転がっていて、砂地あり・流木あり・そこそこの植生に湿潤な林床も木陰もあり、マグソには格好の生息地・・・に見えた。

しかし、色々な昆虫が見られたのだが肝心のマグソが全く見られない。待ち伏せてじっと待つこと数ヶ所繰り返したものの、全てアブ・ハエ・ブユであった。


また今年も空振りに終わってしまうのか・・・
マグソが居ないので当然持ってる網も持て余してしまいイライラするばかり。腹いせに1頭だけ通りすがったシオヤトンボを網で振り採ってリリース、翅も乾いていないフニャフニャな♀だった・・・


時刻は既に11時半
ほぼ太陽も南中している時刻でありマグソが居れば今が一番活発な時間帯である。
居て然るべきじゃないかと思っていた場所でこうも全く見られない事から、ふと一つの疑念が湧いてきた。

今って、ホントにマグソ出てる時期なのか??

ここ何年も毎回違う場所で採集していた上に、既産地の発生状況も全然確認していなかった為、マグソクワガタの発生シーズンがその年の気温・気象その他の要因で昔よりも大幅にずれたりしているのではないかと考えてしまった。つまるところ「実はもう今年はマグソのシーズンが終わっているのではないか」と不安になってきたワケだ。
事実、青森市の産地で毎年採集していた頃には、発生ピークの一番早い年と遅い年で、感覚として2週間程度ズレがあった事を思い返すと、もしかしたら今年のピークは1~2週間前に終わっており後の祭りなのではないかと思い始め、
採集の勘が鈍くなっているのだとしたらこれはもう新規を探している場合ではないと焦りだし、次の目標地点を急遽変更する事にした。



第2ポイント(津軽地方B市町村)
第1ポイントからそう遠くない、近隣のB市町村のポイントに到着した。

このポイントは以前に発見したマグソの穴場的産地で、発生環境の消失する可能性が他産地よりだいぶ低く、安定して生息が見込める環境でなおかつアクセスも簡単と云う理想的な場所なのだ。

言うまでもなくここへ来た理由は、
本当に発生時期をハズして今日採集に来てしまったのか確かめる事に他ならない。


例にもれずこのポイントの入り口の駐車スペースにも、釣りか山菜採りか判らないが3台車が停まっている。・・・なんか見た事あるような車も1台あるんだけど・・・

まァ・・・場所も広いし誰かと喧嘩になる事も無いだろうと自分も車を停め、網を持ってポイントに入っていく。


すると、
なんと奇遇にも向こうから同じく網を持ったNo.7がやってきて鉢合わせ。ああ、やっぱさっきの見覚えのある車は彼だったか。
オオクワ以外で採集ポイントでばったり会う確率はなかなか低いだけに、お互いギョッと驚いてすぐさま笑い顔に変わった。

事情を話すと、詳細に状況を教えてくれた。もうとにかく大量の個体が乱舞していて今がピークであることは間違いないとの事だった。
川原どころか林床内の何でもないような場所ですらプンプン飛び回っていて、♀も多数採れたとの事だった。

時宜にかなっていると分かって一安心、自分の目で確かめる必要も無くなったので雑談をしながら一緒に車まで戻る事にした。
彼も採集を終えて引き上げるタイミングだったので、せっかくだからこの後一緒に新規採りに行こうと持ちかけたが、午後から子守りを任されててもう帰らなきゃいけないので・・・と、またしてもフラれてしまった。


心機一転し、新規開拓へ再度出発した。
(今思えば、せっかく来たんだしマグソ見ていけばよかったとも思う・・・)



第3ポイント(津軽地方A市町村)
途中にある自販機で今日2本目のジュースを買って喉を潤しつつ、もう一度A市町村のポイントを探す事にする。


到着したのは、第1ポイントと同じ河川ではあるが、今度はさらに数km上流部にある場所。
実は、今日のプランでは道すがら一番最初に訪れる予定のポイントだったのだが、先刻のバイク乗り達がレッカー用のトラックと共にポイント入口付近に固まっていた為に停められず、その時はスルーせざるを得なかったのである。
流石にもう誰も居なくなっていたので気兼ねする事無く退避スペースに駐車。
長靴を履き、装備を整えて川原へ下りる。

時刻は間もなく昼1時になると云うところである。
KIMG0590.JPG
川原環境のちょうど真ん中に下りてくるようになっていて、川原の広さは普通乗用車が4台横並びしたら一杯一杯な程度だ。
狭い空間ではあるが、パッと見た感じそれぞれにマグソの居そうな環境が分かれている。

KIMG0547.JPG
こっちが左側の川原環境。右側も似たような感じで、砂・礫・林床、どれもそこそこには条件を満たしているかな? と云った程度の場所だ。

さらっと川原全体を見回した後、地形探索の為左側の川原の林床内に入ってみる。
中は陽射しもきちんと遮られていて、各種高木の他、ヨモギ・フキ・オオイタドリなどの草本も生えており地表の温度上昇も適度に抑えられているように感じる。
林床内もあまり広くなかったので、5mほどで行き詰まりすぐに川原に引き返した。


KIMG0552.JPG
辺りには、そよぐ風の中でヤナギの綿が舞い続けている。


なんとなく、ここもハズレっぽいなと諦め半分で砂地にしゃがみ込んでボーっと辺りを見回すだけしていたが、地表近くをソフトに飛び回るその虫を一瞬見定めたかと思う間も無く、次の瞬間には網を振り抜いていた。
それは、スウィーピングが苦手な自分には驚くほど反射的かつ無意識な所作だった気がする。

何を掬い採ったのか、
中を見た瞬間息が止まった。







KIMG0545.JPG

!!!?・・・いた・・・ッ、
・・・居たッ・・・!!!!!!

感動の余り声も出た。

何年見ていなかった姿だろうか・・・!
久しぶり、そして初めまして・・・!
よく動くので掌上の写真しか撮れないのが勿体ないが、まず現物を逃がしてしまわないように注意し、急いでポットへ落とし込む。

時刻は昼1時4分
もう虫も落ち着いてしまっている時間帯、飛んでいる個体は他に見られず地表を含め今度はよくよく注視してじっと待つことにする。


KIMG0561.JPG
邪魔なのが、オオイタドリの葉上を飛び回るイタドリハムシ
地上で止まっていれば全然違う虫なので見間違えないが、久しぶりの採集で目が慣れてない所為で飛んでいる状態ではちょっとややこしい。
おまけにヤナギの綿毛も漂っているので気が散って仕方がない。


しかし、その僅か4分後。
足元から宙に飛び上がった何かをサッと網で一振り。

今の感じ、さっきのとちょっと違ったような気がしたと思ったら予想は的中。


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♀!!!!?
♂よりもさらに久しい再会。♂の発見頻度からしてここで♀を採るのは高望みが過ぎると思っていただけに、幸福感と驚きで内心パニックである。


♂♀揃ったので、今度は生態写真を撮ろうとスタンバイ。
しかし時間も遅くなってしまった事もあり、写真はおろか虫を見つける事もなかなか出来ず。
イタドリハムシはたくさん飛んでいるのだが、マグソクワガタが見つからない。
暫らくじっとしていた後、やっと1♂それっぽい写真を撮る事が出来たが、撮り直しを図る内にポロッと落ち葉の中へ消えてしまった。


KIMG0562.JPG
マグソクワガタの飛翔高度について、前に記事で書いたことがあったので同じ内容を書きたくはないが、♂の場合は地上に居る♀を探すためか地表スレスレを飛ぶ傾向が強く、見晴らしが良くなる砂礫上なら大人の膝丈以下だが、林床や草間においては20~10cm以下と、さらに低空になるように見受けられる。
この写真では解かりにくいが、おおよそこの赤枠の範囲の高さで飛んでいるものが多かった(と言っても、ここでは結局♂を4~5頭くらいしか見られなかったんだけど)
勿論、♀の飛び方はまた違うのでその限りではないのだが。
イタドリハムシは、もっと上部の方で乱高下した飛び方で軌道も違うので、目障りではあるものの見間違える事は無い。


その後、運よくまた足元から飛び出してきた♀を追加し、1♂2♀♀を持って車へと戻った。

時刻は昼1時半を過ぎており、マグソの飛び回る時間帯は終わりかけていた。ここでは僅かしか見られなかったが、もし午前中にここに来ていたらもっと多数の個体が余裕をもって観察出来たかもしれない。


この日の当初の予定は、正午あたりで採集を終え早々に帰宅し菌糸詰め作業を行うつもりでいたのだが、つい欲が出てしまい
あと1ヶ所だけ・・・
と今日最後のマグソ開拓にハンドルを切ってしまった。



第4ポイント(津軽地方C市町村)
ここに来るのは何年振りだろう・・・
車から降りてしばらく歩いていき、轟々と水の音が響く目的へと辿りついた。

KIMG0567.JPG
ここで川原(中州だったが)に降りるのは初めてだが、なかなか広くて地形に富んだ探し甲斐のありそうな場所だった。




さてここで、ちょっと本題から話が逸れる。
情報開示について厳しい目が向けられている今日の採集事情ではあるが、せっかくの採集記に地域情報が漠然としていては味気ないと言うか、読む側としてもシズル感に欠けていてつまらないのでヒント代わりに1枚だけ写真を貼っておこう。

前の写真から、さらに目線を90°近く上げたものである。

KIMG0566.JPG
お分かり頂けただろうか、遥か高い位置に架かる橋。
小さなブログ画像では感じ取れないが、橋から川までは約120mの落差がある。


県内の方であれば、もう判ってしまったのではないだろうか?




そう。
この第4ポイントとは、青森市の絶景スポットの筆頭・城ヶ倉渓谷(荒川上流部)である。
そして画像に写っている高く長い橋は、言うまでもなく城ヶ倉大橋
(ちなみに谷底に架かっている小さい方は「荒川2号橋」と言う)

春の行楽シーズンや秋の紅葉シーズンには、県内外からドライブに訪れ景色を眺め橋を渡る人はとても多いが、それを下から見上げた事のある人はかなり少ないだろう。荒廃してはいるが普通に橋の反対側につながって一周できるルートなので、クマ対策さえしていれば森林浴も楽しめる所だとは思う(もしこれで何か事故が起こっても責任は取らないけど)

また、一部では知られているがこの落差もあってかじさts…のスポットでもあるらしいので、そのテの話が苦手な人は夜には通りたくはないと思うかもしれない。
正直、「有名と言っても昔の話だろうし、人生に疲れたからと言って今時分こんな所から飛び降りる奴なんているのかよ」と自分では思っていたのだが、つい4年前、3年前にも飛び降りた人間が救助された記録が残っていたのには驚いた・・・(ただし「生きている」とは言ってない)




閑話休題、
ヒントと言いつつがっつり答えを書いてしまったが、結果的にここにマグソは居なかった。
歩き回っては、時にしゃがみ込みジッと地面を注視したりと結構探したのだが、甲虫はイタドリハムシしか飛んでない・・・
『探し甲斐が』とは言っても、深い谷で大きな岩がゴロゴロ並んでいる水流が速い上流部だからなのか、探してみて全然見つからないと、今度は全然居そうな環境に見えなくなってきた。
また、だいぶ昔だがFH鈴木店長もこの川のずっと下流の方を調べたそうだが居なかったのだと云う。
長い川なので、この中間のどこかの川原でA市町村の例のように奇跡が起きる可能性も無くはないが、時間的にはもうすでに手遅れである。



こうして、最後のポイントは空振りに終わったものの新産地も発見できて、
久しぶりに充実したマグソクワガタ採集であった。




〉〉 6月4日 第3ポイント再訪


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2020年の挑戦 ー青森県産コクワガタ・上北地域2編ー [日昆 採集記 【2020年】]

ウルトラQ.jpg


毎年書いていたその年の抱負も、
ついに節目の年になってしまいました。
いよいよ2020年です。ケムール人来ますよ(笑)

だからと言って特別に力を入れて記事を書くことはありませんが(と言うか、もう頭が採集モードに入っててパソコンに向かい合う気力が無くなっちゃってる)、毎年年始に書いていたこの記事を6月にもなってようやくUPするならば・・・と云う事で、ちょっと上半期の採集記録の一部も書いておこうと思います。



まずは、去年掲げた目標を振り返って。


① オオクワガタをブリードしてみる

     結果・・・

去年の年始時点で採集した♀も居て、現在採れて飼育中の幼虫は2産地で計5頭!?
増えすぎても困るけどさすがに苦しい・・・
おまけに、まだ3令幼虫にもなっていません。
飼い主のやる気が虫にも伝わっているのでしょうか!? 割り出したセットの他、去年のセットのまま今に至るケースも2組あるのですが、片方は未交尾・もう片方は何やら今齧り出した模様。
一応産んだには産んだので「△」扱いにはしましたが、ほとんど「×」ですね(恥)



② 県内全市町村のコクワガタ採集制覇

     結果・・・

これも正直言って限りなく「×」に近いです。
制覇と言いつつも、地図上の未採集市町村を複数塗りつぶせれば「〇」扱いでいいんですが、去年きちんと♂を採集できた新市町村は藤崎町ただ1つ。あとは蓬田村、平内町、つがる市と、自宅の冷蔵庫から出てきた未展足の五所川原市(市浦)、黒石市も含めた5つの市町村でもコクワは採れましたが、いずれも♀しか採れておらず完全にクリアできませんでした。
地図を塗りつぶすには♂の採集が条件なので、去年の時点ではクリアは16地点。飛び地も含めた全43エリアの市町村の半分にも満たないことになります。
何年か前の採集済み地図を見て比べても、ポツポツとしか進んでいなくて自分の腕前の無さに情けなくなってしまいます。


・・・たった2つに絞ってもまともに達せられないなんて酷い有様ですね。
一体2019年は何やってたんでしょう(汗)



去年を振り返ったので、続いて今年の目標に移りたいと思います。
去年に続いて数は少なくたった2つですが、もう採集目標のみで固めていきます。

① ヒメオオクワガタ某村リベンジ
「某村」としつつ、過去の記事を見れば何処の事かすぐバレてしまいますが(笑)
毎年採りに行って特攻玉砕してズタボロになってきて、それでもロマン溢れる土地でのフィールドワークで何故か充実感が得られる不思議な場所なのですが、毎回毎回ガソリン代も馬鹿にならないので、そろそろいい加減にして終わらせたいと云う願望が強くなってきました。

数年の間にエリア内の林道は虱潰しに探してきて、今年分の調査をもって村内の林道は全て見て終えることが出来そうです。勿論、年によって採れないところで採れたり居る所でも見つけられない場合があるので、運も味方してくれないといけないのですが。
これじゃただの林道マニアだよ・・・


② 県内全市町村のコクワガタ採集制覇
さて、今回の記事の本題でもあるコクワ採集ですが、長年じわじわと地図を塗りつぶしていってある程度の傾向が見えてきました。
既にクリアしているのは白神・八甲田の両山塊の周辺に凝り固まっていて、未攻略の場所は半島部や太平洋側に集中しています。基本的にコクワは灯火採集(外灯回り・ライトトラップ)によるものが自分の場合は多く、樹液での採集は津軽平野の一部でやっていましたが精力的には行っていません。
樹液採集は、あまり手馴れていない部分もありますが、青森は地域によっては難しい場所も多く、住宅街で乾燥していたり、逆に山深くて探して手が届く範囲にコクワが見つけられなかったり、そもそもアクセスが面倒で思うように時間を割いて探せなかったりと難易度は低くありません。

それにそもそも、他のターゲットもある中で夏の期間だけコクワ採集してもそうそう集められるものでもありません。


そこで、
この上半期の間にいくつかの市町村でコクワ材を見つけに行く、と云う採集を繰り返していました。
メインとしたのは、個人的に難易度が高くメンドくさいイメージのある三八上北エリア。想像していたよりもコクワ環境が少なく、産卵痕を見つけるのも至難を極めました。
今年行った市町村を全て挙げて「玉砕記」を書こうかとも思ったのですが、さっきも書いた通りもうその気力もありません。

一番採りたかった♂成虫は何処でも全く採れなかったのですが、今回は「辛くも♂幼虫は採れた(=ギリギリでクリアの範疇)市町村を2つ、先に短くまとめておきます。


まずは、去年までの採集成果(淡色部分)と、今年5月までの間に♂採集までクリアできた2ヶ所(濃色部分)のクリアマップを載せます。
青森県 コクワ2020-1.png
・・・日昆メンバーで既に♂個体を所蔵している
・・・日昆メンバー以外が採集した♂個体を所蔵している
・・・♀個体のみ所蔵している

青森市近隣の市町村がまだ意外と埋まってないのがよく判りますね(色薄くて見辛いけど・・・)

そして、今回の更新エリアは上北地域の2つ。
大空白地帯の一角が埋められたのは非常に嬉しいですが本当はもっと彼方此方いろんなトコに行ってただけに、これだけしか集まってないのは正直キツイ・・・


 三沢市 2020年3月8日
三沢市は青森県東部に位置する人口4万人弱の自治体。
航空自衛隊基地があり、米軍基地も所在している。小川原湖に隣接し、太平洋に面した淋代海岸が広がる。市北部にある湿地・仏沼はラムサール条約の登録地になっている。

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市内において平地系のクワガタが生息しているとされる場所はいくつかあるのですが、仏沼や公園で採るのは採集手段的にちょっと抵抗があるので、地図を見ながら幾分か植生が残っている場所を探して林内へ入ってみました。

三沢も結構狭いエリアで、山と言える山も無くて入れる林もかなり絞られるのですが、最初に入った林では全くコクワの痕跡がありませんでした。
幼虫の入れそうな枯れ木も、成虫の来そうなヤナギ類も在るのですが何も手応えがないまま林の反対側まで出てしまいました。

KIMG0147.JPG
ほぼ平地なのにもかかわらず、カモシカと遭遇。
こんな自然度の薄い地域でもカモシカ居るのかよ・・・と驚いたのですが、市内のもっと街近くでクマが出現したニュース記事もあるので、別に不思議な事ではないのかも。

そして、半ば絶望しかけながらも飛び込んだ次の林でようやくコクワ材を発見。
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ややドロドロした雰囲気のある湿気のありそうな林で、土地が平らだったことを考えると大昔には耕作地だったのかもしれません。

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採れた幼虫も、1令から3令とステージもバラバラだったのですが、余裕が無いので1令だろうと貴重なお土産です。

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これだけ産卵痕があっても、中にいるのは僅か2~3頭と云うのが厳しいところ。これは山で採集しているとどこでもそんな感じで、これより沢山の産卵痕があっても全くのゼロ(食痕すらほとんど無い)という事もよくあります。

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ボソボソの埋没材からも、たまに幼虫が出てきます。
水分が多いことから、健康な幼虫と一緒に腐って死んだものも見つかりました。

こうして、最終的に7頭の幼虫を採集することが出来ました。
やるじゃない
終了条件達成。

また、先に言ってしまうと、
この時採れた幼虫も全てがコクワだったワケではなく、後に小さな蛹室を作って羽化したら翅にスジが入っているものもいくつか居ました・・・泣ける。

KIMG0161.JPG
どうにかいくつかの幼虫が採れましたが、成虫はついに採れませんでした。
画像は林から出てきたところで、この画像奥の林がコクワ(あとスジも)の居た場所です。
低空を飛んでいる飛行機(戦闘訓練機じゃなくて旅客機だけど)がなんとも三沢って感じ。すぐ横が米軍基地ですからね・・・



 横浜町 2020年5月23日
横浜町は下北半島の頸部・陸奥湾沿いに位置し、人口はおよそ4400人。
人口は全域的に湾岸沿いの西部に集中しており、中部は農耕地帯と風力発電施設が多く占めていて、東部は下北丘陵の山岳地帯。

この横浜町と云うのは自分も長年よく訪れていたり、よく通り過ぎる(笑)場所なんですが、コクワの採集にはあまり優しくない場所であり、夏の採集でも難易度がやや高い為に春の内にやっつけておこうと思っていました。
と言うのも、ここは手抜きでササっとクリアできる採集環境が無く、外灯採集が出来そうな外灯は集落近辺にしかなく、その周囲は浜風が強いクロマツとカシワの乾燥林のみ。コクワが採れる気がまるでしません。内陸に入って樹液採集が出来ないことも無いですが、効率を考えるとどうしてもライトトラップ頼みになってしまいそう・・・そのライトでさえロケハンしても良い照射環境が無く、斜面の上の方から下を照らすか、植林をライトアップする羽目になるのでどっちに転んでも蛇の道です。

KIMG0438.JPG
林道に入り、比較的低山地帯の沢筋を車で流していると、わりと難なくコクワ材を見つけることが出来ました。

KIMG0440.JPG
材にはビッシリとコクワの産卵痕が付いています。
もうこれは勝ったな・・・!と思いましたがいつもの法則で全然コクワが出てきません。
次々と出てくる雑虫。
コメツキ、
ゴミダマ、
コメツキ、
ゴミダマ、
カミキリ、
ゴミダマ、
アリ・・・

KIMG0441.JPG
不幸中の幸いで、たった1頭の♂3令幼虫が出てきてくれました。
3令の食痕はこの1頭分しか延びていなくて、他の食痕は1~2令の間に消滅し幼虫本体は消滅して(食べられて)いたようでした。

付近は倒木・立木共に腐朽材が多く見られ、幼虫の発生環境としては広くドルクス向きに感じましたが、ライトを使うとなると非常に厳しいと思われるので、やはり春の内に来ておいて良かったと感じずにはいられませんでした。


なお、この日は未記録の横浜産ルリクワガタを求めてこの後、
下北丘陵奥地に挑むのですが それはまた別の話・・・



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青森県産コクワガタ市町村巡り 最難関!?「おいらせ町」 [日昆 採集記 【2020年】]

「青森県内の全市町村のコクワガタを集める。」

青森県内でクワガタがどれほどあちこちに生息しているか自分の目で確かめ・採って・残しておきたい、と云う考えがそもそもの始まりでした。
県内全域で何かクワガタを採るにしても、その成果を視覚的にも判りやすくする為に

・集める地域の境界を明確にする→市町村ごとに集めてチェックする

また、集めるクワガタも県内全種採れれば言う事ないのですが、手を広げすぎると持て余してしまい終わりが見えなくなるので

・あるところまでで終われるようにしておく→1種に絞る

その1種を何にするか考えた時、まず青森県内で全域的かつ全市町村で採れる可能性が高い種を挙げるとコクワガタ・スジクワガタ・アカアシクワガタ・ノコギリクワガタ。
どの種を選ぶかを考えた時に、実際そんな悩みもしなかったのですが

・モチベーションを一番長く維持できるのを選ぶ→一番好きな種=コクワガタ

好きな虫でやるのが一番ですね、こうしてきちんと標本に残すように始めたのは2011年頃

まず、地元青森市やメインフィールドだった十和田市や白神山地などで採集したり、FH鈴木さんから半島部の採集品を貰うなどして市町村別コクワガタのコレクションを開始しました。
達成条件としては、
1.♂成虫を手に入れる事。
2.飼育品はダメだが、野外で採集したものであれば幼虫でも許容範囲に収める。
3.採れた分のラベルは現市町村の括りでクリアとするが、飛び地は別とする。
相手はコクワだし、野外幼虫も可とするならすぐに集めきれるだろうと当初は高を括っていました。

しかし、他の種も併せての通常採集に浮気してしまい、同じポイントへ通いつめたりと市町村別採集がダラダラとスローペースになってしまい、年間1~2市町村しか攻略できなかった年もあったり、♀しか採れず一向にクリア扱いできない市町村が長々残っていたりと、今になって思えば思ったよりも覚悟が必要な作業でした。
40市町村(+飛び地3ヶ所=計43ヶ所は全国平均で見ればわりと多い方(少ない方から数えると30位過ぎくらい?)で自分がもし北海道民か長野県民だったらこの課題には絶対触れなかったですが、富山県(15市町村)・福井県・香川県あたりみたいに少なすぎてもつまらないと思っただろうし、ちょうどイイ数なのかなと(笑)
結局、地元についてどれほど好奇心と執着心を持てるか次第なんでしょうね。


一応、ここまでで個人的に最もヒヤヒヤしたのは南津軽郡田舎館村
過去の記事に書いていますが、コクワの市町村攻略の中で最も難しいと思ったのがここでした。諸条件によりクリアには時間と回数が必要だろうなと思いましたが、日昆メンバー3人で乗り込んだところ初挑戦でいきなりクリアできてしまいました。スローペースの状況にもかかわらずだいぶプレッシャーが減った気がして安堵した事を昨日のように思い出しますね。



・・・では、
「クリアできた最難関」に次ぐ難所は条件から言ってどこか?

それが、今回の採集の舞台となる上北郡おいらせ町です。



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上北郡おいらせ町.png
(グーグルマップより引用・編集)

おいらせ町は面積71.88平方km(県内で7番目に小さい)、2006年3月に旧下田町と旧百石町が合併し新設された。西は六戸町・北は三沢市・南は五戸町と八戸市に接し、東は太平洋に面する。
人口は約25,000人、三沢・八戸の2市に挟まれていて交通が容易なことからベッドタウンとして年々人口が微増傾向にあり、これは県内他市町村において慢性的に過疎化が進むのとは対照的で稀有な例である。人口密度も約350人/平方kmと、南部地方の郡部では抜きん出て高く、面積も近い隣の六戸町の3倍にもなる。
地形は、平地と低い丘陵地から成り、標高は高い場所でも60m程度。南には奥入瀬川が流れている。
(東奥日報社「新平成の大合併あおもりマップ」、おいらせ町役場ホームページより一部引用)

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今年こそはピッチを上げて市町村攻略をしていこうと考え、
夏場の日程緩和や採集事情を考慮して冬場の材割採集からスタートすることにし、南部地方で一番ハードルが高いだろうと位置付けていたこのおいらせ町もその方法でやっていく事としました。



採集回目 おいらせ町 初採集

  3月14日

個人的に「難関」だと位置付けていた三沢市を攻略(この時点ではまだ雌雄不明の幼虫を採っただけだが)した翌週、その勢いで続けて攻略してやろうとこの日おいらせ町入りしました。

「難関」・・・と言っても、
正直言って自分にとっては南部地方は下北も含めどこも厳しいように感じます。
一番の要因は土地勘の無さに他ならないワケで、多分どの市町村も地元の虫屋や自然好きならば「コクワガタくらい毎年見てるよ」と言ってのけるのでしょう。
そして、基本は平地や住宅地の周辺での採集になる事も採集効率の低下を招くと懸念していました。開発され生息環境が少なくなれば、採集できるチャンスは減るし(目星は付けやすくなるが・・・)、平地で住宅が近いとライト機材で採集が出来ない。苦手な樹液採集などの手段をメインにするしかない。おいらせ町は田舎館村の約3倍強の面積があるので探せる場所は多そうですが、広いと土地勘が無い分場所を探す労力が増してしまいそうで先が思いやられます。

現時点で、三八上北地域は山沿いの市町村くらいしかクリア出来ておらず、
大多数を占める平野部の市町村はまだ手付かずのような状態でした。
ノルマの43ヶ所まではまだ半数にすら達していない状況で、この春の内に少しでもクリアマップを塗りつぶしてやろうと、予め目星をつけていたポイントへ直行しました。


KIMG0185.JPG
町内はほとんどがこうした風景。
住宅街や田畑が広がり、その隙間に痩せた林が点々と在るだけです。その林すら、スギの植林がほとんどです。南部の平野はどこもこんな感じで、こうした厳しい環境の最たる地域がこのおいらせ町、つまり南部地方の市町村で最もコクワ採集の難しい場所だと個人的に位置付けたワケなのです。

あと新聞でも載っていたけど、道路を走っていて民家脇の林の中で目を引くのが、不法投棄されたゴミの数々。どこの自治体でも抱えている問題ですが、環境や景観に害を及ぼすと危惧される反面、土地の所有者が有価物として保管していると主張し処分に動かない場合もあり、だけど実は中に産業廃棄物も大量に混じっていたりと、行政と個人とで水面下の睨み合いが続くと云う面倒くさいものなんですよね。

KIMG0169.JPG
最初に来たのはとある湿地帯を要する比較的広い林ポイントA
意外な事にミズバショウも生えており、泥っぽい環境にヤナギ、ヤマハンノキ、湿地から上がった斜面より上にはコナラ、サクラ、マツなどが多かったが、午前中から正午過ぎまで丹念に見て回ってもコクワの産卵痕が付いた材は見つけられませんでした。

新緑の季節ではないにしても、薮が酷くて思うように歩き回れなかったのは残念ではありました。


KIMG0181.JPG
続いてはポイントB
ポイントAと違って平坦な場所で、水っ気があまり感じられない場所ではありますがそれなりに広さもあり、樹種も良さげです。

KIMG0176.JPGポイントAの時には、環境のわりに全く手応えが無く想像以上の厳しさで半ば絶望していたのですが、今回はちゃんと産卵痕を発見できました。
ただし残念ながらそこまでで、本体の姿は何処にも居ません。その後もたびたび産卵痕の付いた枯れ木の他、食痕が走っている材までは見つけられたのですが、ついにクワガタの姿を見ることは叶いませんでした。



ここまで、時間を掛けて2ヶ所のポイントを探してきましたがまるで成果無し。
まだ候補のポイントは残っているんですが、当初この2ヶ所を本命として賭けていたので、14時を過ぎたこの時間帯で陽と共に気持ちもだんだん沈んできました・・・

KIMG0188.JPG
続く3ヶ所目のポイントCは、ここで採れた事があると云う情報を事前に仕入れていた場所で、去年までの時点で環境の下見だけはしている場所でした。

しばらく散策しましたが、結構広いフィールドにも関わらず産卵痕が付いた材はヤナギの倒木2本だけ。
歩き回って時間をかなり消費してしまったため、この日の探索はあと1ヶ所分を残すところとなりましたが・・・

4ヶ所目、大穴狙いで海岸近くの小さな林・ポイントDに入ってみましたが、薮は濃い、海岸近い為ほとんどがマツ、そして乾燥している点など、クワガタが見つかる要素など一片も無く、徒労に終わってしまいました。




採集回目 2人で再戦

  3月20日

初回の惨敗から1週間後、気持ちが冷める前に2戦目を敢行しました。
今回は、「採集の勘を取り戻す」と云う目的でNo.7も一緒に来てくれました。

前回で見事な空振りに終わってしまった事を反省しもう一度地図をよく見直していくと、まだ可能性がありそうな林を1ヶ所見つけたので、今回はそこをメインに探索することに決めていました。



上北道を降りて、現地のポイントEに到着したのは11時過ぎの事。

ちょっと風は強いけど雨空でもなく採集には申し分なし。

KIMG0200.JPG
幸先よく、いきなり産卵痕を発見!
「あっ、今回はイケるでしょ!」と2人で何故か勝った気分になったものの、やはりお約束の空振り。ゴミダマの幼虫がやたら目立ちます。


KIMG0201.JPG
林の内部に進んでいくと、その環境がだんだん判ってきました。

初日に訪れたポイントAと同じで、ミズバショウが芽を出すようなぬかるんだ湿地林(泥炭地?)と、斜面を経て小高いやや乾燥気味の林で構成された場所です。

笹薮を漕いで湿地林に向かいつつ散策します。
遭難する土地ではないので、早々にお互い離れて別行動になっていきました。

三沢の時もでしたが、上北地方の平地で薮を漕ぐと、非常に厄介なものに行く手を遮られ非常に進みにくいです。
群生するノイバラ。堅くて折れやすい棘が何所に居ても食い付いてきて痛くて参ってしまいます。他にも、少数ながらヤナギ大の灌木にも棘が付いているものがあって、ノイバラだけに気を取られているとこちらでザクッと突き刺してしまいます。ハリギリか何かでしょうかね?

湿地林で寝返りした倒木などを中心に、朽木をチェックしていきますがコクワの痕跡は見つけられません。
派手な食痕を見つけたと思ったらクワガタではなくカミキリ、かなり大きい幼虫がポロポロ出てきたのですが最普通種のウスバカミキリでしょうね。青森だと他の普通種であるはずのゴマダラカミキリとかシロスジカミキリとかは比較的少ないですね。

スマホのアプリで地図を逐一確認しながら進んでいきますが、やや乾燥気味の方が好みのコクワの環境として望みがあるのではないかと思い、湿地を脱して斜面を登り、その上の林に移ることにしました。

スギの植林と混ざってはいるもののほどほどにまとまったコナラ林のようです。見た感じ、細い木ばかりで夏場に樹液を出してくれそうな雰囲気は感じられないのですが・・・
同時に、そろそろ次のポイントへ移る事も考えて、No.7に電話を掛けて合流を提案。向こうは一発大物・マークオサムシ狙いで湿地林をうろうろしていたらしく、厳しくなってきたのでこちらに向かうとの事(数十年前まではマークは県内全域で見られていただけに、ここで今マークが記録されるという話も無きにしも非ずなのです)


No.7がこちらへ上がってくるのを待ちながら、朽ちてボロボロになった材を探していくとやはりここにも産卵痕の付いた倒木が見つかりました。
叩いてみると食痕も発見、やや湿っていて今までで一番望みがありそうです。少しずつ食痕を追っていくとやがてその近くからポコッと空洞が現れ・・・


・・・中からは越冬中のアリがぞろぞろ湧いてきました。

うぇぇ~・・・またスカかなぁ。
まだちょっと食痕は続いていたので叩き続けていくと・・・


No.7 「採れましたかーーー!!?」


No.7が斜面を上がってこちらに近づいてきました。

彼の、その一言に自分が反応しかけたその瞬間でした。






KIMG0205.JPG
出たァァァァァァ!!!!!?
思わぬタイミングで明らかにコクワと思われる3令幼虫が出てきて驚き叫ぶ自分、そしていきなり奇声を上げられて驚くNo.7。なんだこれ。

♀幼虫ではあったものの、ついに悲願の1頭目が採れたのです。すぐ傍にはアリのコロニーもあります。こんな所からでも出てくるんだなァ。
これはもはや、タイミングと云いきっとNo.7が今日居たから採れたのではないかと思わずにはいられません。やはり日頃の行いとか関係しているんだろうか・・・と思うとちょっと悲しくなってきますが。

KIMG0209_05_BURST1000209.JPG
続いて近くから2令と思われる幼虫も発見できました。材が真っ黒だな・・・

KIMG0210.JPG
その後も、産卵痕のある材がチラホラと見つかり、もちろん全て当たりではありませんでしたが少しばかりの幼虫を追加していきました。


さらに、幼虫が見慣れてきたところで
今度は地面に埋まりかけた直径10cmの細材から、
KIMG0215.JPG
KIMG0216.JPG
嬉しい♀新成虫が顔を出しました!
赤くてとても綺麗な♀・・・


KIMG0220.JPG
この日は最終的に、
幼虫×6頭
成虫×♀1頭
と云う大変満足のいく結果で変えることが出来たのです・・・

(それにしても、コクワが6・7頭採れただけで鬼の首を取ったように書いてるブログって我ながらちょっとヤバいと思えてきた・・・)





  6月上旬

あれから2ヶ月以上が経ち、カップやボトルに移した幼虫達がすくすくと育っていくのを楽しみにして時々観察していたのですが・・・









既に全ての幼虫が蛹室を形成。
しかもかなりミニサイズ。

たしかに、120ccカップとかに入れてはいたけど、大きくなったら430ccとか500ccボトルとかに移そうと思ってはいたし、♀3令幼虫はいいにしてもまさか全部こんなハイスピードで変態するとは思わなかったよ・・・

蛹室はどれも全長20~30mmと、コクワの♂が中に居るとは思い難い小ささ。
そしてよく蛹室の中を見ると絶望的な結果が見えてしまいました。


 幼虫1 → コクワ(羽化)
 幼虫2 → スジ(♂♀不明だが羽化)
 幼虫3 → スジ(羽化)
 幼虫4 → スジ(6月中旬に羽化)
 幼虫5 → コクワ(蛹)
 幼虫6 → コクワ(♂♀不明だが他と同サイズの蛹)


♂、居ねぇっ(泣)



〉〉まだまだ続くよコクワ採集


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