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カブクワ俗語辞典 [時事・話題・雑報]

どの職業・学問・趣味にも、その分野で独自に使われる言葉があります。

いわゆる「専門用語」「業界用語」と云うもので、昆虫分野においても少なくない数の専門用語が存在します。
さらに、「専門用語」と言うほど厳格に認められたものではないものの、いつの間にか使われはじめそれが一般に浸透し用語化した言葉もまた、数多く存在します。
昆虫に関する分野にもそんな言葉が色々あるとは思いますが、その中でもカブトムシ・クワガタムシに関連するものについての数は、他を圧倒しているのではないでしょうか。
時代も令和に変わって久しい現在。趣味としてのカブクワ採集・飼育の歴史も“浅い”とは言えないくらいに年数を重ねている今、この趣味を深く楽しんでいる人達はその年数も経験も実に様々で、時代と共に生まれて廃れていく言葉に理解が追い付かない場面も出てくるのではないかと思います。

昔は一部のホームページやコミュニティーサイトなどで「用語集」などと云ったページを設けてあり色々と閲覧できたりしていたんですが、ウェブサーバーのサービスの終了により現在はそうしたホームページが消滅していく一方であり、まったく寂しい限りですね。
そこで、今回はそうした言葉を「俗語」と呼称しその種類や意味をまとめていきます。

さて、その「俗語」をどのくらいの範囲・基準にまで広げて取り上げるかについてですが、これは自分の主観で選定すると云う事で、厳しいツッコミは無しでお願いします。
ただ、冒頭に書いたように、一般的に業界専門用語として使用される語『WF1』『頭楯』『灯火採集』『羽化不全』『生オガ発酵マット』みたいなレベルのものは取り上げません。また、範囲としては、主に飼育と採集に関わる分野をメインに取り上げます。
取り上げる語の中には、時代と共に最近多用され始めた語や最近あまり使われなくなった語、一部の狭いコミュニティでのみ使われる語、厳密には別業界で生まれたような語も含める予定ですが、今回の記事はどちらかと云うと「ネット・SNSでの情報収集の際の読解補助」であって「この趣味を長年続けている人が在りし日を懐かしむ」為に作ってはいませんので、『DAIN』みたいな完全な死語は態々入れません。

ちなみに、自分もこうした俗語を使う事もありますが、好まない語も多いです。「通になるにはこうした語を常用せよ」と云う意図は全くありませんので、くれぐれもこれらの言葉を使う際にはご自身の責任の元で発信いただきますようお願いします。


なお本記事は今後、「それらしい」語を見つけたり、思い出したりした時に随時加筆・訂正していきたいと思います。

・読みは50音順です。
読み 説明
いい虫 いいむし 通常、読んでそのまま解釈すれば「魅力的な虫」もしくは「益虫」と捉える語だが、時折「高値で売れる虫(種)」の事をやんわりと表現する為に使用しているように見受けられる場合がある。
色虫 いろむし オレンジ・黄色・赤・緑など、黒一色ではない種のクワガタ全般を指す。また、そうした種が多く含まれるキンイロクワガタ属・ノコギリクワガタ属・ホソアカクワガタ属等が含まれ、飼育分野において「ドルクス属以外」という意味合いで表現する用途で使われることが多い。
対義語:黒虫
egg えっぐ 今はあまり見かけないが、FC2等の飼育系ブログで常用されており、読んで字の如く「卵」を意味するが、産卵セット割り出し時の卵の個数を表す単位としてよく使われる。何故普通に「〇〇個」と書かないのか、甚だ疑問である。
追い掛け おいがけ 飼育において、既に交尾が済んでいる(と思われる)♀成虫に、さらに♂成虫をあてがって交尾させる事。
救出 きゅうしゅつ 読んで字の如くで、「昆虫生体の安全を図るためにある場所から別の場所へ移動させる事」であり、飼育分野と採集分野で少し事情が変わっている。
①飼育において、生育に不適合な環境・このまま放置すると生命の危機にさらされるような環境から取出し、別の飼育環境・餌に移す事。
②採集において、このまま放置すると生命の危機にさらされるような環境から取出し、採集もしくは逃がす事。中でも、オオクワガタ採集において材割採集時に倒木を割って採集する際にこの語が隠語的に用いられる。特に雪国の場合など、乾燥気味の腐朽木を好むオオクワガタは、入っている木(立ち枯れ)が倒れると春の雪解け水の影響によって溺死(ひいてはその腐朽材にいる個体が全滅)する危険性が高く、そうなる前に倒木を割って幼虫を採集すれば、溺死の危機から救い出す事になる。昨今はオオクワガタの材割採集に対する眼差し(批判)は厳しくなる一方であり、「採集・採る」ではなく敢えてこの語を使うのは、採集の正当性を説明する意図も含まれているのではないだろうか。
(しかし、ここから先はあくまでも自分の所感であるが、最近この語がオオクワガタ材割り採集の際に無分別に乱用されているように感じる事がある。つまり、倒木か立ち枯れか関係無く材割りの免罪符のようにこの語を使っているきらいがあるのだ。確定的ではないものの、「救出」したオオクワガタだとアピールする為に立ち枯れを一度切り倒してから採集して写真を撮ったように見える物もその中には見られた。自分は材割り否定派ではないが、普通に「立ち枯れを割って採集した」と言えばいいものを、善行ぶった行為にすり替えているように見えてしまい悪印象を抱いてしまう。)
関連語:パトロール
クレクレ くれくれ 主に飼育分野に使われ、他人から無料で生体を貰いたがる事(人)を指す。また、そういった人を指して「クレクレ君」と呼称する。基本的には、嫌悪する対象に使われる語。
黒虫 くろむし ①前出の「色虫」と対照的に、体色が黒一色のクワガタを指して言う事が多く、「ドルクス属全体」を指し示す意味合いが強い。
対義語:色虫
②材割り採集において、採集された個体が「成虫」だった場合にそれを指し表わす語。幼虫より出てくる確率が低いので、いわば当たりクジにも近い意味合いがある。
撃沈 げきちん ①飼育において、(特に初めての飼育種で)産卵させようとしたものの失敗してしまい、なおかつ親個体も死なせてしまう事。
②採集において、その回の採集行で狙ったものを採る事が出来ず終わりを迎えた事を言う。

どちらも、自分に対して自虐的な意味で使い、昆虫分野以外でも散見される表現である。ただし本来は、「敵の戦艦を攻撃して沈めること」でありどちらかといえば相手側に対して使う言葉である。ちなみに、自分の場合は以上の理由から、同じような意味ではあるが敵味方特に関係無く使える「轟沈」という語を使っている。
御神木 ごしんぼく 採集において、特定の昆虫が付いている確率が周囲に比して特に高い樹を指す。言葉の印象から大木を想像しがちではあるが、特に樹齢や幹の太さは関係ない。
自力ハッチ じりきはっち 飼育において、羽化した新成虫が成熟し、自力で蛹室から出てくる事。略して「ハッチ」等と書く場合もある。自前の蛹室から出てきた場合に限られ、人工蛹室で羽化した個体には通常使わない。
同義語:羽脱
水牛 すいぎゅう 日本産ノコギリクワガタの♂の大腮(大アゴ)の歯型で、大歯型(長歯型)の事を指す。最近は「水牛型」という風に、型名のように使用される事もある。元は全国に数ある古いローカル表現の一つ(?)だったが、現在は全国的に多用されている。
スーパー大歯 すーぱーだいし クワガタの♂個体の大腮の形状で、発達が限界近くまで達したあたりで特定の内歯(多くの場合、最大内歯)の途中から別の小突起が出現したもの(またはその個体自体)を指す。吉田賢治氏がこの語の生みの親とされ、具体的にはアラガールホソアカクワガタなどでこうした個体が出現する。大型化した際に限定的または偶発的に発現したような種にのみ使用される語で、種として「必ず」内歯から小突起が現れるような場合にはあまり使われない。
即ブリ そくぶり 「即座にブリード可能」の略。成虫を譲渡・販売する際に、その個体が未後食・未成熟・休眠中ではない事を一言で表せる。「即ブリ可」と表記される場合もあるが意味は同じ。
同義語:成熟個体
タコ採れ たこどれ 採集において、期待以上に多数の個体が採れた状態を表す。かつて有名だった採集用品の名前にあったように、特に材割り採集で使われる事が多い印象の語であるが、特定の採集法に限らず現在使われている。
また、飼育時に多数産卵した場合にはこの語は使われない。
対義語:ボウズ
着弾 ちゃくだん 荷物が届いた事を指す語。厳密にはカブクワ用語ではないみたいだが、他のブログを読むようになって初めてこれを目にした時「は? 何その表現?」と思ったし、正直今でも違和感があるので取り上げた。
ニョロ にょろ 「幼虫」を表す語。また、割り出しの際に幼虫の頭数の単位としても使われる。
爆産 ばくさん 累代飼育において、産卵セットから期待以上あるいは管理能力を超えるほど多くの卵を産んだ事を表す語。「多産」の上位語として呼称される場合が多く(本来は「多産」が正しい)、使う人によって「100頭以上採れた時だけ」などと決めている場合もあるが、数に関して明確な線引きは無い。
パトロール ぱとろーる ①「警察官が地域の異状がないか見回る事」や、他に「マナーの悪い採集者、無秩序な採集行為を行なう人がいないか見回る事」などを表す語。

以上は通常の意味ではあるが、以下の様な意味でも使われる場合がある。
②一箇所または複数箇所の、既知の採集場所(主に自宅近くなどのよく立ち寄るポイント)の見回りを行なう事。採集目的の意味も含むが、単に環境の異状がないかを見に行く場合を指す事が多い。
③前出した『救出』との兼ね合いで使われ、主に「倒れてしまった立ち枯れ(オオクワガタが入っていそうなもの)が無いか見回る事」であるが、「オオクワガタの材割り採集」の隠語として使われる事がある。
羽パカ はねぱか 幼虫飼育において、羽化個体の上翅が会合線に沿ってきれいに閉じず隙間が開いてしまった事を表す。また、上翅はきちんと閉じたが下翅が畳めずに不全を起こした場合にも使われる事がある。
B品 びーひん 流通時、脚・触角・外骨格の一部が欠損した個体に当てられる記号。昔から一般的に認知されている語であるが、欠損状態によってアルファベット順に細かく分ける場合もある為ここで取り上げた。基準は人によってまちまちだが、個人的な感覚としては以下の通り。
「A品」:一般に言われる「完品」と同義。体表の大きな傷・各部の欠損が無い状態。
「B品」:体表に大きく目立つ傷や、脚・触角が1~2本欠損した状態。
「C品」:欠損箇所が多数有り、もしくは、生体だが非常に弱っている状態。
♀単品 めすたんぴん 読んでそのままの意味だが、「♀単」などと表記していると知らない人からは何の事か分からない為取り上げた。流通上の表記で、♀個体1頭のみである事を示す語である。♂個体1頭のみである場合は「♂単品、♂単」と表記する。特に通信販売だと、商品自体は♀単品でも写真が♂の参考画像になっていたりするので、購入の際にはこの点をよく確認する必要がある。
露天掘り ろてんぼり 観察しやすくする、壁面の崩落を防ぐ等の目的で、蛹(前蛹)のいる容器の中身を掘り出して、蛹室の上面を開口する事を指す。ただし所感として、蛹室を掘った後にそのまま蛹(前蛹)を取り出してしまう場合や、既に成虫に羽化している場合には使われない。


書き終わってみれば結構少ないものですね。それに加えて、結構遠慮して書いたので個人的にはだいぶ薄味になってしまったと感じます。本心では今回もっと毒を吐きたかったところですが、前々から書いてみたかった内容なので今はこれで満足です。
中には、「いやいや。そんな言葉どこで誰が使ってるの?創作お疲れ様ー」とか「認識間違ってませんか?」とか色々ご意見はあるかと思います。自分も、書き方が間違ったり誤認する表現になっているところもあるかもしれないと思いますので、時々読み返してみたいと思います。

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勝手に! 製本計画 [時事・話題・雑報]

2023年7月12日。ある1冊の本が出来上がった。
この本の存在を知る者はたった2人だけ、・・・のつもりだった。

この本が完成の日を迎え、それまで辿った足跡を顧みるとそれはもう既に、
途方も無い道のりを歩き続けた旅の記録にも等しくなっていた。

それを記事にしないのは勿体ないと、
何とも惜しくなってしまい急遽記事を書く事を決めた。
本記事は、その本の制作に初めて挑戦した悪戦苦闘の記録である。





半年以上前、たしか冬の時期だったと思いますが
処分予定だったコピー用紙を引き取ってきたと云う身内から、その一部を押し付けられ貰ってきました。
一部と言ってもそこそこ量があり、知り合い各所にお裾分けしてどうにか数を減らしたのですが・・・

B5用紙。1箱2500枚。

多いです。
A4サイズならばそれなりに使う用途も考えられるのですが、一般宅でB5サイズのコピー用紙には用途を見出すことはほとんど出来ません。
KIMG6242.JPG
↑↑1包み500枚入りでそれが1箱に5包入ってます。
(1包はもう取り出して使ってる最中です)


このB5用紙の山を見ながら、
以前からやってみようかと密かに考えていた「計画」の実行を決心しました。



その「計画」とは、
WEBサイトの書籍化。

長期間WEBサイトをレンタルサーバーで運営していると、ブログサービスの終了=ブログの消滅が心配になってくるかと思います。WEB関連の知識が豊富な方は最初からそんな心配をするようなところを使わずサイト運営しているものだと思いますが、自分のような半端者はたまたま見つけたレンタルサーバーで安易にブログを創設してしまい、ブログが終了・消滅してしまう危険と背中合わせで戦々恐々としていたりもします。・・・いや、自分だけかな?

そこで、いつか来るかもしれないその日を迎えてしまう前に、内容をアナログ媒体にインポートしたいと考えていたのです。

一応、ここのサーバーにも『ブログ製本』のサービスがあるのですが、料金面やデザイン面でも不安はありますし、現在までに書き溜めてきた700以上の記事――しかも長文――を紙に印刷するって事はページ数も生半可なものではありません。
そもそも、このブログの製本化って無理があるよなぁと悟り、一つの結論に行きつきました。




そうだ、
ファーブルハウスの記事を本にしよう!(?)

鈴木店長もWEBサイトを開設以来、様々な内容を書いていましたが現在は更新もしなくなって長期間経っている状況。現在のサーバーのプラン運営では下手を打てばサイトの消滅もあり得ます。ついでに言うと、鈴木店長も「超」のつくアナログ人間。

このサイトを製本化してプレゼントするのはどうだろう?
と思い至りました。

そうなると、まずは本人への許可取りに行くところではありますが、
「・・・ちょっとグレーではあるけども、サプライズにするか・・・」
事後承諾と云う事に決めました。





さて、ファーブルハウスのサイトを書籍化するにしても、どこまでの範囲を製本するべきか考えました。
普通に考えれば全部コピペすればいいんですが、【新着情報】とか今さら読んでも無意味でしょうし、【特定商取引法に基づく表記】とか【お問合わせ】のページなんてのも、本人に渡す手前必要ありません。
やはりここは、読み物として充実度が高い
【飼育と採集の知恵袋】
【店主のひとりごと】
の2つが良いだろうと云う事で、2月下旬に着手しました。



製本作業内容に入る前に、今回使用した材料・道具をまず列記します。

・パソコン、プリンター(インクジェット式)
・コピー用紙(本文用)B5
・マット紙(薄手 写真用)A4
・マット紙(厚手 表紙用)A4
・カラー用紙(遊び紙用)B5
・手貼りラミネートフィルム A3
・テープ糊、製本糊
・平板(背表紙用)
・大型ホッチキス
・作業板、カッター、定規 等



まず、物は試しとファーブルハウスのページをそのままブラウザの印刷にかけてみましたが、ページに無駄な余白が出来てしまう事や、「スペース改行」の影響で文頭の位置が大きく下がったり変な所で大きく間が空いて滅茶苦茶になってしまいます。これでは、印刷したって読む気には到底なれません。
最初から分かっていた事ですが、文書ソフトにコピペして再編集することにしました。
使った文書ソフトはMicrosoft Office Word。

サイトのページは年度毎に分かれていて、2009年度から2022年度までの14ページにわたります。これを、年度ごとにファイルを作っていきます。
初めての作業なので、ひとまず記事数が少ない【店主のひとりごと】の方からやってみる事にしました。

元のサイトから文章を持って来る時、そのままコピペすると内容が降順(元のサイトは最初の記事が一番後ろにある)になってしまうので、1節ごとに記事を並べ替えて貼り付けていきます。
書き始めの2009年から2012年頃までは特に記事が多く、日常の合間を縫って作業している自分としては「本当にこれ、完成まで辿りつけるのか・・・!?」と気が遠くなっていました。この作業だけで2~3週間は掛かってしまい、これ以上やり続けるのは無理だと悟って【飼育と採集の知恵袋】の書籍化は諦めました。


次に、ペーストした文章を再編集していきます。
まず、一番厄介なスペース改行を潰していきます。これがまあ途方も無い作業で、スペースを消して文を詰めては次の行に移って・・・を繰り返します。軽く吐き気がしてきます。
全てのスペース改行を潰し終えたら、今度は適切な位置での改行に直したり、段落を作って読みやすくしていきます。ただ、作業量に絶望してしまった為、文頭に通常空けておくべき1字スペースの挿入は断念しました。また、この他に数の単位などの環境依存文字や、誤字・脱字も見つけて直します。

そして、書籍化ならではの楽しい要素として、装飾も加えていきます。
WEBサイトでだと、書体はほぼ1種類、基本的にフォントサイズも一律なので、抑揚をつけるべく複数の書体をポイント的に使用し、サイズも強調箇所で変更、色も変えたり、括弧書きをルビに直したりと、元の文章を書いた本人が読んでも楽しめるよう小細工してみました。
もがみうし.jpg
自分と鈴木店長では感性が違うので、自分で「ここがキメどころかな」と思っても鈴木店長からすればそうでもない場合もあります。無駄に装飾を施してしまう自分の悪い癖が出てしまいそうになりますが、あくまでこれは鈴木店長の物なので変にサービスせず、昔直接この話を聞かせてもらった時の店長のテンションや笑いどころを思い出して、そこだけ装飾するように抑えました。
読みながら直していくので、疲れはしますがニヤニヤが止まりません。


さらに、書籍化することで面白くなるのが、「ページ跨ぎ」ではないでしょうか。
スクロールして次の文が必ず見えてしまうWEBサイトと違って、ページをめくる作業が必要な紙媒体だと「どんでん返し」や「落としどころ」など展開への溜めの瞬間を作る事も出来るので、一度読んだ話でも新鮮に映るかもしれない・・・
頁替わり.jpg
あくまで無理のない範囲で。落ちを切る為に無理矢理ページを改めたりはしません。

その他、ページの体裁を整えるための微調整も含め、何度も繰り返し校正していきます。

また、素材がサイトの元データだけと云うのもつまらないので、僅かですが鈴木店長が持っていない「記事関連の写真」を加えてみました。写真が増えるだけで豪華になりますが、流石にコピー用紙にインクジェットで写真を印刷すると紙がヨレヨレになって裏写りもするので、画像印刷にも耐える用紙を使いました(薄い用紙でインクジェット用を探すとB5が無かったので手作業でA4から切り出しました)

記事の編集が大方終わったら、ページ数も多いと云う事で目次を作ります。
記事数も全て合わせると相当な量なので、記事の一個一個のページ番号を確認しながら記事タイトルとページ数を入力していきます。この目次だけで11ページにもなってしまいました。

記事、目次が出来てきたら、さらにその前後を作っていきます。
中表紙を作り、
まえがきを1ページ書き、
最後のページに奥付も作りました。
これでかなり書籍らしくなってきました。ページ数は374に達しました。


あとは表紙・背表紙・裏表紙が出来ればOKですが、デザインのアイデアが中々浮かばないのでこれは後回しにして、いよいよプリンターで印刷に入ります。
KIMG5720.JPG
これがまた根気の要る作業で、自分の知識不足もあって印刷時ののりしろ設定(ページの片側だけ開いてしまう)を手作業で微調整すべく、手差しでトレイに1枚ずつ用紙を入れて両面印刷していきます(!!?)
「まとめてカセットに用紙を突っ込んでページ指定してあとは放置」
 ・・・じゃぁないんですな これが!
ペラペラのコピー用紙なので、扱う際も折り目が入ったり汚れが付いたりしないように、触る時は細心の、細心の!注意を払います。(二度言いました)
印刷の際、時間が掛かり過ぎるので
・カラーページのみ高品位専用紙指定で写真印刷
・文章のみのページは普通紙指定で文書印刷
と頻繁に切り替えながら印刷をかけていきました。
この作業も何週間掛かったか・・・

KIMG5799.JPG
刷り終えて全て完成するまでの間、紙にホコリやゴミが被らないように袋に入れておきます。

表紙以外を全て刷り終え、用紙の枚数を数えると188にまでなってしまいました。


作製当初から悩んでいた事ですが、この次が問題です。

これだけの枚数をどうやって製本するのか?

紐を使った昔ながらの和綴じだと、何かいかにも「手作り」っぽくてヤだなぁ。
糊で貼るか?
でも1枚ずつ貼ってったら紙がヨレるし背幅が厚くなって不格好になるよな。
背中に塗ってまとめたら多分メモ帳みたいにページめくると剥がれるよなぁ。
ホットボンドも、道具の扱いもきれいに仕上げるのも案外難しいみたいだし。
そうなると、やっぱりホッチキスに頼るしかないんだけど・・・
こんな分厚いモノ、市販のホッチキスでどうにかなるワケないしなぁ。
ぁ そうだ、分割して留めてそれを糊で貼り合わせたら、・・・あぁー駄目だ、
「ホッチキス膨れ」が生じるし、貼り合わせ部分からきっと「ページ割れ」が起きる。
ああぁ・・・どうしたもんか・・・


悩みつつも、一縷の望みに懸けてネットを検索し続けたところ、
ありました。問題を一発で解決してくれる物が。

KIMG6232.JPG
大型ホッチキス
探していながら、見つけた時に「こんなモノほんとにあったんだ!?」と目を丸くしてしまいました。ヘラクレスオオカブトじゃん。

KIMG6239.JPG
スペックを見ると、コピー用紙(55kg紙)にして200~240枚まで製本可能と云う常識破りの性能。こんなのほとんど需要無いだろうよ!(褒め言葉)

KIMG6238.JPG
針も長さがなんと24mmあり、意味不明に迫力を帯びています。
針1本あたりの太さも0.7~0.8mmくらいあります。


心配していた製本法も決まったので、下準備を行ないます。用紙を全てまとめ、きちんとページが並んでいるか、ページが入れ違っていないか入念にチェックします。
そしていよいよヘラクレスの出番ですが、そのまま全部に針を通す事はしません。印刷物を全てホッチキスで留めてしまうと、完成時に針部分が浮き出てお粗末な造りになってしまうので、前後の各10枚くらいを省いてガッチャンコします。一発勝負なので、一箇所一箇所緊張感をもってレバーを下ろします。針先の膨らみを潰して整えたら、今度は省いた残りの方の処理に取り掛かります。
KIMG5895.JPG
針が当たる部分をカッターで切り抜きます。
そして、テープ糊で1枚ずつ貼り合わせます。これでひとまず製本作業の峠を越えました。


ここまでくると出来る作業はもう無いので、
観念して表紙の作成に掛かりました。

自分のセンスで全力を出すと下品なデザインになりかねないので、あれやこれやと考えたものをグッと堪え、どんなテンションの時でも抵抗なく手に取って読めるシンプルなデザインにする事に。
写真やイラストは使わず、3点パーツで表紙部分を構成する点を考慮して、ファーブルハウス店舗イメージカラーで太めに縁取りし、タイトル著者名だけ入力しました。
ちなみに、先にも書きましたが表紙は
・表紙
・裏表紙
・背表紙
それぞれ作ってB5サイズで印刷します。
我が家のプリンターは最大でA4サイズまでしか刷れないので、表紙から裏表紙まで一繋ぎで印刷する事はできません。

用紙は約0.35mm厚のマット紙を使用しました。家で使ってた在庫から引っぱり出しただけですが、この後の作業を思えば汚れや傷に弱い光沢紙を使わなくて良かったです。
表紙類をカット・印刷後、まず先に遊び紙となるカラー用紙を貼り、その後に表紙と裏表紙を貼ります。遊び紙をわざわざ挟む理由は、万が一表紙から中表紙が透けてしまう事を防ぐ意味があったのと、表紙と中身を別けて書籍としてメリハリを出す為です。
この時、用紙を貼り合わせるのはテープ糊ではなく、製本専用の糊を使用しました。
P8050127.JPG
表紙は堅いのでめくった時に力が掛かって剥がれやすく、しっかりした性能の糊を使う必要がある事、そしてホッチキス部分の切り抜き箇所を埋める役割もあります。ネットで作り方を調べてみると、製本糊として木工用ボンドも代用が利くとも書かれていますが、やはり貼り合わせた時の粘着力(ゆるさ)や速乾性が違います。
KIMG5957.JPG
重しを乗せて待ちます。製本糊は水分を含んでいるので、紙がヨレないように乾燥するまでこのまま放置しました。こういう時に大図鑑が活躍するんですね。

表紙、裏表紙が貼り終わったので残りは背表紙だけですが、
そのまま貼りはしません。

背幅がそれなりに広いので、糊だけで貼ると表面がモコモコと歪になると思われます。それでは美しくありません。
KIMG5967.JPG
そこで、背表紙に補強板を入れることにしました。
本の背幅は大体19~20mmあったので、理想に近い18mm幅の平板をホームセンターで見つけてあてがう事にしました(かなり探し回りました)

KIMG5969.JPG
最後に天地(上下の端)を断裁する事を考えて、B5辺よりもやや短く切って貼り付けます。

KIMG6034.JPG
片面を先にテープ糊で貼った後、製本糊を塗ってもう片方の面を貼り合わせます。中空になる上下の端にも糊を充填して埋めておきます。


完成まであと少しですが、次は表紙の保護作業。
具体的な方法が思い浮かばず、これはホッチキス以上に悩みました。

何を使って保護したらいいんだ・・・?」

調べても、自家製本で防水をかける為の加工は出てこないのです。
表紙とは別にクリアフィルムを1枚重ねる(表紙に貼らない)のは理想的な完成品とは程遠いし、安易に思い付くブックフィルムは今回は避けたい。糊の粘着性が意外と弱く、フィルムのコシが強いので長期間経つと背表紙の角部分が剥がれて浮いてくる事が予想できます。
P8050129.JPG
↑↑こうなる。(上写真は別の本)
メーカーによってはその心配が無い物もあるのでしょうが、試している余裕はありません。

作業が膠着しアイデアが煮詰まって少し経った頃に、立ち寄ったダイソーでとある物を見つけました。

KIMG6079.JPG
手貼りのラミネートフィルム(A3)よりによってダイソーかぁ、とは思ったのですが、安価なので試してみてダメでも懐はそんなに痛まないと云う事で購入。
テストしてみたところ粘着力も問題なく、貼り直しが利かない程度には強力です。材質も、ブックフィルムでよく使われるポリプロピレン(PP)ではなくポリエチレンテレフタラート(PET)で、貼る前に折ってクセを付ければ剥がれて浮いてくるのも防げそうです。これで決定。
一発勝負で難しい作業だった為、結果的にちょっと背表紙部分が汚くなりましたがなんとか完了。


残すは最後の作業、小口三方の化粧裁ち
これはもう個人の道具・設備では不可能に近いので、ウルトラCを発動
KIMG6081.JPG
分厚い本ほど、この作業の重要性が増してきます。美しい・・・


完成した本がこれです↓↓(モザイクかけまくりですが)
KIMG6093.JPG

いやぁ、もう・・・長い!長かったです!
当初の完成予定日だった5月下旬を大幅に過ぎ、7月12日に完成しました。この間、挫折しかけて作業が停滞した事が数え切れないほどありました。時には妥協したり、後からこうすべきだったと反省する事もありましたが、それなりに価値を感じてもらえそうな出来には仕上がったと思います。

あとは中身が透けないように注意しながらラッピングして、
鈴木店長に次回会う時に持って行くだけです。





贈呈当日7月23日

別件を口実に鈴木店長宅へ訪問し、話も落ち着いたところで書籍を進呈しました。


FH鈴木 「嫌な予感がする・・・」

俺そんなにトラブルめいた物持ってきませんって・・・!
包装紙を気持ちよくビリビリと破き、中から出てくる本のタイトルが目に入る・・・

FH鈴木 ぴょォォォォぅ!!!!

奇声を上げて驚いてくれました。
驚くのはまだこれから、中身を読んでいけばじわじわと感動の波が押し寄せてくるでしょうよ。まぁ、それは後でじっくり楽しんでもらえればいいので、あの大事な問題を確認しておかないといけません。

自分 「許可取ってなかったですけど、いいですか?」

FH鈴木 「いいですよ♪♪」

自分 「(ホッ・・・)



FH鈴木 「じゃぁこの後【知恵袋】の方もよろしく頼む!」

自分 うッゲェェッ!! 冗談じゃねェよ!!!


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27 ― twenty seven ― [時事・話題・雑報]

最近我が家のオオクワガタも起きてきました。春ですね、会長です。
ん? あんたのオオクワ生きてたのかって?
失敬な、生きてますよ。そんな年もあるんですよ。



KIMG3797.JPGそんな春の陽が射すようになってきた先日4月18日、待ち侘びていた本が到着しました。

青森自然誌研究 No.27.JPG
今年分の会誌。これが今日の本題です。

ここに入会以後、毎年の新たな楽しみとなっています。
(ここの会誌って六本脚や南陽堂で売られてないので会から直接発送してもらうか蔵書のある図書館で読むしかないんですよね)
春採集の間際のタイミングで届くので、フィールドへ出る為の意欲の増進にも一役買っています。

「生物」と云う季節的にモチベーションの上下がある趣味を持っているとマンネリ時期が大なり小なりあるワケですが、こうした会に入る事は「定期的に良い刺激を受けられる」のに好都合と考えられます。いわば「新聞とネットニュース」の例ですが、自分の思考範囲内ばかりで情報を得るには限りもあるし範囲もごく狭いのですが、自分の全く関知しないところから半ば強制力をもって情報を受け取る事で、全く新しい知見や視点を得られるワケです。こうした研究会・同好会では定期、不定期的に通信誌や会誌・会報が届くので、その趣味に対しやる気がなかなか起きないような人にとっては良い起爆剤になり得るんですよね。



今回は分厚い!!
今年はページ数も多く、過去最多ページ数だった前年26号をさらに大幅に上回る200ページ越え。

実は入会して以降自分も毎年報文を出しているのですが、
今回も(無事に?受理されて)2編登載していただきました。

その2つの内、メインとして書いたのが、
これまで当ブログでずっと進捗を書き続けてきたコクワガタについての報文です。
今日の記事は、そこまでに至る経緯をかいつまんで書いてみました。


わざわざ報文を出したのは――
当初はただの個人的なコレクションで終わるような話でしたが、県内各地へ採りに行ったり文献を調べている内に、
「アレ? これってただブログに載せて終わるだけじゃ勿体ない内容だよな」
とふと思い立ったのがはじまりでした。
そしてこのコクワに関する資料の一部を洗っていく内に、
「文献も含めて、記録をまとめてみたら面白いんじゃないか」と思い至り、そこから深みに嵌まってより過酷なコクワ蒐集に没頭することになってしまったんですよね。
(だって、以前を振り返ると当時は「40市町村各地でコクワ♂1頭でも採れれば終わり」のハズだったんですから)

今の時代では昆虫の生態や分布の報告って、
どこかの専門誌や会誌に出す以外の方法もあって、その例がまさにここのようなブログをはじめとしたネット上のサービスを利用する場合です。
紙の媒体に出すのと違って、時間と手間が格段に短縮できるので圧倒的に楽ではあります。
ただ、きちんとした報告として今後誰かが資料として正確に参照する場合は自分のブログって使えないんですよね。
だって、昔書いた事でも好きなように編集し直せてしまいますからね。他はどうであれ、自分のとこについて言えば「なんか書き間違いとか変なところが有ったらその都度書き直します」って以前にも明言しているので、言ってしまえば「内容や証拠はいつでも消せる」ワケです。
そんな、資料としての意義があやふやなところなので、真実を書いていようが第3者から見ればフェイクや夢日記とも線引きできませんし、書いた報告内容が「全く信用できない・資料として使えない」と評されたりしたら、それはそれで書いた側としては悔しいのです。

なので、ただ自己満足で好きなように書いてお終いではなく、不特定多数の人が引用しても恥ずかしくない場できちんと報告すべきだと考えたワケです。
そして発行された今、この報文で書きたかったけど体裁上で不要だった内容もあったし、報文を出すに際しての前後日談もあるので、それらはこのブログに書きたいと思っていたワケです。


普通種という抜け穴
今どきコクワガタだけの報文なんてよく通ったなーと感想を持つ人が大半じゃないかと思いますが、自分も最初かなりビビってました。近年なんて、新発見や珍品の報告が一般的ですからね(主観です)
その為、この件については最初に論文を完成させていきなり投稿するのではなく、事務局幹事の方へ「今自分はこういうものを調べてて、完成度を高めるためにはどうしたらいいか」と云うような感じで相談したんですね。
ただしその前に、この会の会誌の創刊号のはじめには(要約すると)県内で普通種と言える動植物も、文献としての記録は無い所も数多く、研究はまだまだ足りていない」と云う内容が書かれてあり、決して無理のある話ではないとは思ってたんですけどね。
とはいえ、「青森市からコクワガタを発見」みたいな短報だったらリジェクトされそうで出す気も起きませんでしたが・・・


・・・で、
色々な方に協力してもらい、データ集めも順調に捗るかと思いきや、意外に苦戦を強いられました。

何せ、コクワガタを誰も採って帰らない!
「コクワガタ集めてるんですけど標本ありませんか?」
「うーんゴメン、いつもリリースしてるし標本には遺さないからなぁ」
ってのがお約束。人脈の細さも原因としてはあるんでしょうが、思っていた以上に集まりませんでした。(声をかけていなかった人も中には居ましたが、もしかしたらどなたか持っていたのかも)
なので、今回の報文にできればこの人の名前も載せたかった・・・と云うのが数名おりました。
(日昆メンバーには勿論!協力してもらいました)

また数年後に未記録地を追加して補遺する予定なので、
協力頂ける事を今後の楽しみにしたいところです。


文献資料の収集
約10年の間コクワを集め、特に報文作成までの2年間はとにかく体を壊しかけるくらいコクワを採りに行きまくっていました。青森県全地域が対象なのでとにかく大変でした。

しかし、それとは別に大変だったのが、過去の文献の収集
今回の報文では、単なる採集記録だけではなく文献記録も集めてまとめたのですが、ある意味こっちの方が大変だったかもしれません。
各種の調査報告書、昆虫雑誌、高校などの生物部誌に加え、自然関係の書籍も調べられるものを全て洗い、抽出作業を行ないました。
これは流石に、齢30程度の若造の手でどうにかなる事でなく、関係機関の協力を借りなければ形にする事ができませんでした。
何しろ、データベース検索や書籍目次でも、報文タイトルに「コクワガタ」なんて付いているものは稀有ですからね。珍品の場合だと「〇〇〇〇〇クワガタを△△△町にて発見」とか付いててすぐ見つかるんですが、普通種ですからね。
調査資料中で昆虫調査の項があればチェックし、目録にコクワガタの5文字が載っていないか隈なく探し、紀行文にもしれっと記述されている事もあるのでそこも読んでいきます。

で、その文献資料を探すにあたって、この時ほど青森市に住んでいて良かったと思う事はありません。
調べ事には図書館は必須ですが、青森市には
・青森県立図書館
・青森市民図書館
・青森県庁の県政情報センター
といった資料の海が在り、ちょっとした事でも直ぐ足を運べます。
また、県内各地へのアクセスもバランスよく、津軽地域へも南部地域へも遠すぎる事はありません。

その為、採集に行けない日やシーズンが終了した秋季には積極的に各地図書館へ足を運びました。ほぼ全ての休日を、春~夏はコクワ採集で、秋は県内各地の図書館へ行って潰していたので、他の事何にも出来ませんでしたね。憑りつかれているようでしたね。

青森県立図書館.JPG
憑りつかれるように通っていた各地図書館の中でも、
特に県立図書館には大変お世話になりましたね。
去年の10~12月の期間中はほとんど2日に1回くらいの頻度で行っては閉架蔵書を読んでましたから、司書の方々には「うわッ、またあの人来たよ・・・」と煙たがられていた事でしょう。
そんな感じで入り浸って閉館時刻までしょっちゅう居残っていたので、閉館10分前に流れるあの歌、すっかり耳に残ってしまいました。タイトルは何だ!? 歌い手は誰だ!? 気になってしまい今もモヤモヤしています。

市外では、特に八戸市立図書館、弘前市立図書館にはよくお世話になりました。
憑りつかれていただけあって、県内ほとんどの図書館には行きましたね。意外にも、郡部におけるマイナーな資料が地元の図書館・図書室に在った例は非常に少なく、目ぼしい資料は結局のところ県立かもしくは市部の図書館に集中していました。
また、見つからない資料は図書館・図書室だけではなく、自然関連の独立した施設や、時には役場へも問い合わせて調べました。
彼方此方回った事もあり、県内で刊行された調査資料の種類や場所を粗方把握できて大変タメになりました。
次回また調べ事があっても、資料の在り処に迷って右往左往せず済みそうです。

新型コロナウィルスの流行の最中でもありましたが、図書館が長期閉鎖する前に調べ事を済ませられたのは幸運でした。
(違うタイミングで閉館してたらこの報文詰んでた・・・)


そして、これら図書館等での資料収集に加えて、
周囲や県内で見つからない資料や書籍はお金を出して取り寄せたりもしました。
月刊むし600号の記事で言われているところの「商業誌・第1黄金時代」の古い書籍(戦前の昆虫雑誌)や、新版が出ているクワガタムシ大図鑑があるのにわざわざ旧大図鑑を買ったりと、対象がコクワガタ1種だとはにわかに信じ難いくらいには散財しました。しかも、見切り発車で購入した結果、今回の報文には参考にならなかった書籍も結構ありましたよ・・・

もともとそんなに自分は本棚のスペースが広いワケじゃないので、キャパシティをオーバーして買った本は案の定平積みになっています。どうしよう・・・


¥¥¥
資料を色々と購入したと云う話をしたので、最後にお金の話を。

・・・いや、お金の話なんてあんまりするもんではないんですが、
周りからあまりにこの話聞かれるのでこちらからも言わせてもらいたいのです。


何を聞かれるのかと云うと・・・

 「こういうのを書くとさァ、結構¥儲かるんだろ??」


あのねぇ・・・

儲かるワケないでしょ。 ※静かな怒りを込めて 

作家やライターと違って、学術誌や商業誌に論文を投稿して掲載するのには基本的に執筆側がお金を出したり経費を負担しなきゃいけないですからね。

これは自分みたいなアマチュアは勿論、本業の研究職や大学の教授も同様だと云う話を聞くと大概の人は驚くはずです。まぁ中には、依頼されて書いた際の謝礼をもらうケースもあるみたいですが。
自分の知るところに関しては、「掲載ページ数に上限を設けてそこまでは会員費で賄う」のが基本で、その上限を超えてしまうとページ数に応じて負担費用が加算されていくパターンです。

ここもそういうタイプで、
会員一人につき白黒10ページまで無料で、
ページ超過
カラーページ指定
で費用がその分加算されていくんですな。

で、今回に関しては、
・2編合わせて28ページ
・カラーページも計5ページ
・そして単著だから全ての費用は自分持ち
で、請求額は合計で6ケタ寸前やっちまったなぁ!!

幹事の方から「大丈夫なのか!?」と心配された時は大丈夫ですよと強がったものの、正直ゲッソリです。(当初自分の試算した額よりずっと上回ってしまった事には驚きました)
少しでもこの費用を見繕おうとして、食費を削って昼飯を2週間ずっと1食100円のカップ焼きそばにすると云う愚挙に出た結果、1週間後には便通が悪くなり、2週間後には栄養失調からか口内炎が出来て止めました。
やきそばバゴォォォォンはもう見たくありません。




こういう話を書いた後でこの報文を読むと、「金がそんだけ掛かった割りには中身薄いよなぁ」と自嘲してしまうところですが、きちんと査読を通してボッコボコにされているので、ブログと違って別人のようなきちんとした文体で仕上がっていますし、最初のページの「県内人口上位6市産の標本写真」は個人的には有りそうで無いレイアウトだと感心しています(今になって思えばちゃんとそれぞれにデータ表記すればよかった)
KIMG3378_01_BURST1003378_COVER.JPG
ちょうど今回の報文に使えそうな地図ソフトも持ち合わせていなかったので、久しぶりに手書きでトレースなんてしました。やはり久しぶりにこんなことすると想像してた完成形には程遠い出来上がりになるものですね。
他にも、ところどころ「書き方がちょっと・・・」と云う箇所はありますが、本誌を手に取る機会がある方におかれましては、目を通していただければ幸いです。


密かに、このコクワガタの項で普通種の記録の大事さについて熱く綴った直後、自分が書いた2つ目の報文がウスバカマキリ(青森県レッドデータブック Bランク)
・・・なんて皮肉が効いていたりするのですが。





KIMG3827.JPG
さて、お世話になった方々には別刷りを作って渡す予定ですが、
このタイミングでプリンターがぶっ壊れるまさかの事態に追いやられてしまいました。
一体どこまで俺の貯金を締め上げるつもりなんだ・・・

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雑誌、会誌、行政資料。 [時事・話題・雑報]

こんにちは、マスクの残り在庫数が心配な会長です。

春の採集週間 ゴールデンウィーク が近づいていますが、
新型コロナウィルスCOVID-19の感染拡大に伴って現在出されている緊急事態宣言により、不要不急の外出を控えるよう全国的に呼びかけられている(青森県も外出自粛要請されています)中で採集したものをもし後々データとして公に出すと考えた時、世間体として非常にばつが悪いので大人しく展足や飼育作業で気を紛らわせようかと考えています。

その手前、3月末から4月半ばにかけてこの外出自粛期間中の読み物としてうってつけの書籍が続々刊行されましたので、今日はそのラインナップを書いていきます。


まずは一番新しいものから。

BE-KUWA 75号
KIMG0364~2.JPG
これは17日には各販売店に届いているのですが、我が家に届いたのは遅れて20日になってからの事。

外産ミヤマは後ろ髪を引かれる思いがある(去年アングスティコルニスミヤマを累代停止に追いやっている)ので、増種欲だけ掻き立てられてなんだか呼吸が苦しい・・・

そしてミヤマ特集はさておいて、
応募したプランディゴホンヅノがカブト飼育レコードにちゃんと載ってるかが、この巻の内容の中で一番心配な点でしたがちゃんと登録されてましたね(笑)
(↑↑そもそも登録されないと雑誌が送られてこないですからね)
「コイツ必死か(笑)」とツッコんだ人もきっといる事でしょう。

何しろ、コメントにも書いてますが中途半端なサイズですからね。
見開き内で周り全員★4クラスに囲まれて自分は独り★2.5ですからね。
3月に大阪の店でこれよりデカい♂売ってましたからね。
公開処刑に近いものがあります。
まぁ「本番は来年」と云う事にしておきますが、どこかのカブトブリーダーに変な火が点かないことを願うばかりです。




続いて、今度は地元ネタ。

青森県の希少な野生生物-青森県レッドデータブック(2020年版)-
青森県のレッドデータブック(RDB)が2020年に改訂される事から、その掲載リストを基に先んじてフラッシュカードを作った事を去年11月にブログ内で書いたのですが、
遂にその内容詳細が青森県庁ウェブサイト内にて去る3月23日に公開されました。


本文はPDFで無料で閲覧できるのですが、県庁の紹介ページの最後に
『本書は、県政情報センターにおいて有償頒布しています。』
との文言を発見。えッ!!? 買えるの!!?
(無知なモンで、こう云う行政資料ってのは各専門機関・教育機関・図書館等に配布されるだけだと思ってました。PDFで無料で見られるとは言え、やっぱ見やすさで言えば紙媒体には敵いません)

申込書をソッコーでダウンロードしましたね。
で、ウェブ公開の翌週、平日の日中になんとか時間を見繕って県庁に出向き、ちょっとしたゴタゴタがありましたが無事に入手することが出来ました。





青森県の希少な野生生物-青森県レッドデータブック-
6冊。
(流石に【個人で6冊】は驚かれました。窓口の県政情報センターでも基本的にあまり在庫は置いていないらしく、別の課の保管庫から持ってくるにしても年度末と云う事もあって時期的に大変忙しく、電話を取って話す学事課の様子も、「担当者が不在!?」だとか「じゃぁこっちから取りに行かせるから(焦)」だとか聞こえてきて、色々とご面倒をお掛けしてしまいました。←これが「ちょっとしたゴタゴタ」の理由です。・・・正直言って、6冊購入は拒否されるんじゃないかと不安もありました。誤解の無いように言うと、転売目的じゃありませんよ(汗)、知り合いの分を代理購入しただけです。作成部数も裏に書かれていますが、県内でこれらに関心を持つ人の内でさらにお金を出して所有したいと思う人の数を考えると、十分な数は刷られていると思うので、フィールドでよく観察しに行く事が多い人は1冊持っていてもいいかもしれませんね)

最初に県のRDBが出来たのが2000年、翌2001年に出された普及版で再編集、2006年には一部の植物カテゴリが加えられた後2010年にまた改訂され、今回の2020年版が出来上がったところを見るに、県RDBは10年毎に改訂されていくようです。

改訂される度に選定種が増え、前回は265種でしたが今回は320種
掲載種が増えた分、本が重いですねぇ・・・
普及版として発刊した最初のものは、掲載種が全部載ってなかったと云う難がありますがA5版サイズで約220ページ、今回はA4版で実に400ページ近くになっていますから、厚みも充分。去年フラッシュカード作った自分も、流石に全部の昆虫分野掲載種は今思い出せません。

掲載種が多くなったと云う事は、単純に青森県内の自然環境が悪化・縮小していると受け取ることになりますよね。公私のいずれかにおいてフィールドでこれらを観察する機会が少なくない者として、これは頭の痛い話だと言えます。
勿論作る側にも限界はありますから、RDBの内容全てが自然環境の実態を正確に表しているワケじゃない、と云う事は解っているのですが・・・


そんな2020年版RDBの中で、2010年版からの再検討で個人的に一番気になっていたのはイノシシニホンジカ(ホンシュウジカ)の2種です。
かつて狩猟により青森では近代で絶滅していたこの2種が、秋田-岩手以南から北上し現代になって再び目撃されるようになってきたことで県下での繁殖の可能性も考えられるようになり、前回EXランクだったものがDランクに移動されられました。

農業、林業、及び自然環境において多大な被害が懸念されるこの2種の事を考えると、
要警戒すべきと云うのは自分も同意するところですが、元々分布していた生物が一度絶滅し、それがまた自然的に分布拡大している事を害悪的な事象として捉える事は果たして正しいのだろうか・・・云うジレンマに陥るんですよね。
これら2種が今後どのように青森県内で扱われていくのか、とても気になるところです。







・・・と云ったところで、
RDBについてはこのくらいで終わろうと思ったのですが、
先日の東奥日報とても引っかかる一文を見つけてしまったので、この話に踏み込んでみようと思います。
カテゴリー(ランク)の扱いについてです。

3月24日の朝刊において、このRDBについての記事が書かれていましたが、その中で
イノシシ ニホンジカ Dランクに引き下げ
(中略)これまで最上位の「絶滅(EXランク)」扱いだったイノシシとニホンジカは、目撃情報県内で相次ぎ、2020年度版では希少性などが上から5番目の「要調査野生生物(Dランク)」に大きく引き下げられた。
と書かれていました。

この赤い部分について、
ちょっと何かこの書き方にむず痒さを感じるんですね。
(人にものを言えるようなきちんとした文章は自分も書けてないけど)

Dランク=上から5番目・・・?
「EX⇒D」は「大きく引き下げる」・・・?


青森県のレッドリストでは、掲載種はEX、A、B、C、D、LPの6つのカテゴリーに分けられています。
青森県においては、これらをランクと称して各選定種をカテゴライズしている事もあり、以下の図のように、ほぼ上下一列の関係であるかのように一般に解釈される可能性が高く、東奥日報の記事もおそらくこのような構造の概念で書かれているものと思われます。
(違うたとえで言うと、トレーディングカードなどでその希少性を表すのにアルファベット記号を用いたりしますよね。Eランク→Dランク→Cランク・・・と前に戻るに従い希少性(レア度)が上がっていき、Aランクよりさらにレアなものは、SランクとかSレア(Sはsuper等の略)などと言ったりしますよね)

RDB x1.png


しかし、これはランク(カテゴリー)の定義を正しく理解出来ているとは言えません。


まず、それぞれどういった概念の下で定義されているかと云うと、
カテゴリー概 念内 容
EXランク
(絶滅野生生物)
県内では、すでに絶滅したと考えられる野生生物過去の記録・標本において生息・生育が確認されているが、現在は県内で確認できない種
環境省レッドリスト・絶滅(EX)・野生絶滅(EW)に相当
Aランク
(最重要希少野生生物)
県内では、絶滅の危機に瀕している野生生物生息・生育数がきわめて少なく、または生息・生育環境も制限される種で、近い将来県内での絶滅が危惧される種
環境省レッドリスト・絶滅危惧ⅠA類(CR)・絶滅危惧ⅠB類(EN)相当
Bランク
(重要希少野生生物)
県内では、絶滅の危機が増大している野生生物生息・生育数がかなり少なく、または、生息・生育環境もかなり限られた種で、将来県内での絶滅が危惧される種
環境省レッドリスト・絶滅危惧Ⅱ類(VU)相当
Cランク
(希少野生生物)
県内では、生息・生育を存続する基盤が脆弱な野生生物生息・生育数が少なく、生息・生育環境も限られた種で、現時点ではただちに絶滅危惧とするほどではないが、環境の変化によっては個体数のさらなる減少が危惧され、県内での絶滅が心配される種
環境省レッドリスト・準絶滅危惧(NT)相当
Dランク
(要調査野生生物)
県内では、生息・生育情報が不足している野生生物限定された生息・生育環境や低生息密度などから注目される種であるが、県内での確認例がきわめて少なく、生息・生育実態等が不明なため評価が保留されている
環境省レッドリスト・情報不足(DD)相当
LPランク
(地域限定希少野生生物)
県内では、地域内に孤立している個体群で、地域レベルでの絶滅の恐れが高い野生生物生息・生育状況・学術的価値・生物地理学的観点から特に保護に留意するべき、地域個体群
環境省レッドリスト・絶滅のおそれのある地域個体群(LP)相当
(青森県の希少な野生生物 ー青森県レッドデータブック(2020年版)ーから引用・編集)

この中で、ランクだけで見た時に最も間違えて解釈してしまうと思われるのは「Dランク」ではないでしょうか。
A、B、C、ときて次にくるのがDなので、つい「あぁ、DランクってのはCランクより希少性が1段階下なのね」と解釈しそうになるのですが、Dランクの中身は上記の通り『情報不足』
これは言い換えるならば、『どこにいるのか、数が多いのか少ないのか、判断材料が少なすぎるのでどのランクに充てたらいいか判りません』と云うものです。もっと言い換えるなら、『レッドリストに入れる直前の候補の段階』とでも言いましょうか。

文献や観察記録などのデータが少なすぎる、と云うのは、

単純に生息個体数が少ないから

と云う分かりやすい理由だけではなく、

個体数はともかく、人の目を避けるように生育している為に観察例が少ない場合
研究者・観察者が適正な探し方で観察していない(出来ない)為に記録が少ない場合

など、様々な事情があるので、データの集積結果次第ではCランクに移る可能性もあればAランクに移る可能性もあり、情報が十分集積された後にリストから削除される場合だってあるワケです。


・・・と云うワケで、
今度は自分なりの解釈で各カテゴリーの関係性を配置すると以下の様になりました。

RDB x.png
関係性が近いものほど接している部分を広くしたつもりですが・・・
下手過ぎますね・・・

これを念頭に、各ランクの関係性を主にDランクを中心として説明してみますと、


ランク決め及びDランクの意味
リストに載せるにあたり、その種が「昔から(もしくは全国的に)調べられていてその上で生息状況が危ういもの(生息環境が分かっていてなおかつその環境が減少・悪化していると判っているもの)」であれば新規追加する場合にいきなりA~C・LPに位置づけられるようですが、そこそこ以上有名な種に限られる場合が多く、数が少ないとされる大多数の生物については「確認されている個体数は少なく注視すべきだが、それがどういう環境で見られどのような生息状況か把握できていない」事が殆どです。
そもそも、レッドリストに載っているか否かに関わらず、多くの種はその生態や個体数はほとんど把握されてはいないと言っても過言ではありません。

そうした種について、今後の調査対象として各専門機関・有識者に注意を促す狙いを持って絞り込んだものが、Dランク(=要調査野生生物なのです。

さっきも似た事を書きましたが、
Dランクは謂わば「レッドリストへの入り口」的なカテゴリーで、掲載以後の再検討用のカテゴリーであり、他全てのカテゴリーと近縁な関係を持っていると言えます。勿論、「その後調査してみたけど、きちんと調べてなかっただけで普通にいるワ(笑)」ってな具合でリストから除外される場合も珍しくはありません。

ただ、Bランクに関してはやや遠縁(?)で、よく調べられている筈のカテゴリーなので変動があるとすればAやCとの間での方が多く、Dランク間との移動は相互的には少ないと思われます。


EXランク・Aランク
EXランクとAランクは、絶滅するかどうかの瀬戸際の関係なので緊密なのは図を見るまでもありませんね。
Dとの関係性については、
「情報が少なかった(D)=個体数が非常に少ない(A)、もしくはいない(EX)から」
と云う関係性があり、レッドリスト再選定時においても近い関係です。
「絶滅したんだけど、数年の間に異常に観察・目撃例が増えてきたからこの動向をよく調べなくては・・・」と云う例(ニホンジカ&イノシシ 2010年EXランク)や、
「今まで数も少なく絶滅近いと思ってたけど、毎年継続的に各地から報告が出るし今までの常識って実は間違いだったんじゃないの?」と云うパターン(タカチホヘビ 2010年Aランク)でDランクに差し戻される事もあります。


Cランク
数の減少や生息環境の悪化により、保護に値するかどうかの天秤にかかっているような微妙な位置関係で、前回までDランクとしていたのが、その後よく調査された結果としてCランクへ移動されると云った流れが多くあります。
また、逆の流れとして、
「全国的にも数は少ないし希少だとも解ってるけど、本県では調査文献も少ないしもうちょっとちゃんと調べてからランク付けしないか?」と云う例(オコジョ&ホンドモモンガ等 2010年Cランク)や、
「そこ付近でしか見つかってないから生育範囲が限定的で今後の行く末は危ぶまれるけど、そもそもきちんと調べられてないよね~」と云う例(ババアカコメツキ等 2010年Cランク)でDランクに差し戻される事もあります。


LPランク
LPランクは、隔離的な地域個体群として個別に保護していくべきではないかと云うカテゴリーですが、
「一部地域に限って非常に少ない種だと思ってたけど、実際のところその地域ではちゃんと調べられてないだけなんじゃないの?」と云うパターン(イイズナ 2010年LPランク)でDランクに差し戻されるケースもある他、
「個体数が局所的で少ないのは間違いないけど、地域特性が果たしてあるのか?」と云う事でCランクになる例もあり(ルイヨウマダラテントウ 2010年LP)、ここは残念ながら上記の図にどう組み込む事も出来ませんでした・・・ダメだねぇあたしゃ。

EXランク→LPランクを破線にしたのは、
隔離環境の個体群なら生息数もおおよそ把握されているはずで、もし絶滅したと一度判断したのであればそこから元に戻る(生息が再確認される)ことってまず無いんじゃないかと云う理由によるものです。



ついでに話がちょっと逸れますが、
青森県と時を同じくして、お隣の秋田県でもRDBが刊行されました。
Red Data Book of Akita prefecture
青森と違い、秋田で今回出されたのは哺乳類・昆虫グループの冊子です。

青森県民(しかも県外に出たくない)が秋田のRDB買って何の意味があるのかって思われるでしょうが、隣県の事情も青森県の調査に役立てられるのではないかと思った部分があったのと、刊行された直後のタイミングで販売情報を偶然見つけてしまった為に勢いで買ってしまった部分があったんですよね。
(ちなみに、青森県が500部刷られているのに対して、こっちの200部限定販売ってのは少なくないのか? 各機関寄贈分と検討委員や情報提供者への贈答分を抜いた数なのかは分からないけど)

秋田県のRDBは、カテゴリーが環境省のものとほぼ同じで、一部変更と追加カテゴリーも盛り込まれています。自治体によってここまでカテゴリー設定の仕方が違うものなんですね。
また、県自然公園や自然環境保全地域の一覧が掲載されていたり、県全域の植生図も盛り込まれていたりと、周辺資料も載っているのは青森県民からすると目新しいと思うところです。


また、同じ隣県である岩手県もRDBの改訂検討が始まるみたいで、
改訂版が刊行されるのは2024年度とちょっと先の話ですが、参考として北東北3県分は持っておいてもいいかなと思っているところです(現行の2014年版買った方がいいのかな・・・)


まぁ・・・色々と脱線含めて、私感を書き並べて記事をややこしくしてしまいましたが、RDBは自然に関心のある県民一人一人の協力で出来上がるものですから、
こんな誰も見てない所でゴチャゴチャ喚いてる暇があったら、
然るべき所に報文でも出して県に貢献しろ!って話ですよね。







・・・と云う事で、
地元へ報文を投稿(2報・計5種)したのが去年の12月


青森自然誌研究 25号
KIMG0340.JPG
2019年度の会誌に載せてもらう事になりました。
(今回の記事の中で一番待ち望んでいたのが、この会誌。思い返せば、入会したのがわずか半年前で、こんな若造の書いた原稿なんて拒否されるんじゃないかと心臓バクバクでしたが、寛大に(?)受理していただけて本当にホッとしました。とは言え、「大変貴重な記録です。ご投稿ありがとうございます。」と云う文面の裏に、本心=「一応受け付けますケド・・・ほんとにアナタきちんと調べてから原稿かきましたかァ?」が隠れてやしないかと、変に穿った読み方をしてしまうんですよね。古い文献を探す事ってのは若手のアマチュアが一番苦慮している作業で、昭和後期以前の資料についてはまずネットで検索かけても存在すら出てこないことも多く、地方の図書館でも必ず蔵書があるワケじゃないし、在っても見逃してる場合も珍しくない・・・)

今回は入会後初めて送られてくる会誌なので、
いつ頃印刷されてどのくらいの時期に発送されるのかな? と3月中旬以降は毎日ドキドキしてましたね。
4月10日時点で届かなかったことに加え、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で県が有する施設が翌11日から5月6日まで閉鎖されることが発表され、
あっ・・・終わった・・・
と思い5月以降の到着を覚悟しかけました(会は県立郷土館に事務局があるので)が、
ギリギリセーフで4月11日に到着しました(封筒の消印が10日)
バックナンバーも同時に購入したので封筒がパンパンに詰まってました。

この後苦しくなるのが、バックナンバー購入代をはじめ今年度の会費やカラーページ印刷代の請求がまとめて一緒に来ている事ですが、仕方ありませんね。
特に、この会の場合非常に痛いのがカラーページ代。仲間内に金額を喋ったら、もれなく全員引きました。今回は2編それぞれ1ページずつカラーにしてもらったので合計2ページ。同会員の方は皆この金額を知っているので、「プッ こいつ張り切っちゃってやんの(笑)」と思われてんだろうなァ・・・
唯一の救いが、即納を強要されないってところでしょうか。
・・・しばらくの間は毎日カップ焼きそばだな。



ついでに、今回書いた内の2つ目はちょうど2020年版から青森県RDBに掲載された種についてのものなのですが、その中で一番古い文献を漏らしていたことが判明しましたので補遺的にここで説明しておきます。

今回報文を出すにあたって抜かしていたのは、「青森県博物研究会会報(1941)」で、ここには【八甲田山】とだけ載っています。一口に八甲田山と書かれているだけなので、それがどの辺りで得られたものかによっては自分の出した報文そのものの前提が狂ってしまうので大変ヒヤヒヤしました。
この1941年の目録全体を見通してみると、報告している館山一郎氏は他の種においては黒石や弘前などの津軽地域側からの報告が集中しているので、この【八甲田山】というのもおそらくは現・黒石や現・平川の津軽側である可能性が高いと思われます。あ、危ねぇー
さっきも書いたけど、若手のアマってこういう文献集めには難儀するんですよね(汗)


現在はこの騒動で各機関で運営が停止・延期されている状況ですが、県内の主要図書館や他県の一部施設・大学などに寄贈される予定(事後かも)で、運営が再開され次第、会から直接購入もできます(小声)ので興味のある方は一読してもらえたら嬉しいです。






来たる屋外活動の本格的再開に向けて、
自分用のRDBフラッシュカードも早く完成させないとな・・・!



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謹賀新年 ~2020年~ [時事・話題・雑報]

KIMG0022.JPG

明けましておめでとうございます。
蛇口を捻ったのにお湯が出てこなくて焦った・・・と云う初夢を見た会長です。

2020年・・・なんとも近未来的な数字の年になってしまいましたね。
ブレードランナーやらAKIRAの時間軸に思いを馳せる人達も多いかと思います。自分も、ケムール人の世界がやってきたかと変にゾクゾクしているところです(笑)


さて、正月の間に色々作業しますと去年末に書いておきながら全然記事ネタになるような虫に手を付けていない上に、もう正月休みも僅かでしかも寝正月に呆けているという救えない有り様です・・・
このままだと何も正月の間にやっていない事になる!・・・と云う事で、新年の挨拶代わりに虫ネタ以外で書こうと思っていた去年の個人的な報告を2つ書いておこうと思います。


ガラケーからスマホに
 これまで散々、「スマホにしたら!?」と周りから言われ続けてきました。
10年近く前でしたか、最後にケータイを機種変して以降ずっとそれにお世話になりっぱなしで、20代のこれまでの生活を共にしてきたのですが、もう間もなく使えなくなると云う事でアプリやサイトも続々とサービスが終了してアクセスできなくなってきました。1年くらい前までは頑固に「コイツはまだ頑張れる!」とスマホに替える事を拒み続けてきたのですが、
他の人がフィールドで便利そうなアプリを使っている事、
屋外で調べ事が出来ない(ブラウザがほぼ使えない)事、
画面が割れ始めてきた事、
料金プランの変更もしたい事
等々このままではかえって日常生活に障るようになると諦観し、スマホデビューを決意しました。
(もう何年前の話題やってんだよって感じですね)

 そんな経緯なもので販売店に行くのも久し振りだったのですが、ガラケーからスマホに替えると云う事もあってか少々危なっかしい目に遭ってきました・・・


 年末。重い腰を上げて販売店へ向かったのは、日も暮れた夜6時過ぎ
ひとまず店内を一回りし、取り扱い機種を一通り確認したところで乗り換え予定の機種が陳列されている事をチェック。店員さんに機種変更の相談をしたところ、残念ながら当日中の機種変更作業の締切が過ぎてしまったとの事らしく、翌日また来ると云う事で来店予約する事に。
やっぱり久し振りだとそういう部分は解らないからなぁ・・・と、間が悪かった自分を軽く恥じる。それを悟ったのか、ではせめて見積もりだけでも出しておきましょう、と店員に勧められ窓口へ。

お客様情報の確認から始まり、ここで登録情報がかなり古い事がバレてしまいます。・・・当たり前、と云うかそこを確認しないと何も始まらないワケですが(笑)
もうちょっと話が進んでからでもいいのに・・・と思いつつ、ボロボロのガラケーをテーブルに置きました。
なんかケータイショップに来てガラケーを出すと恥ずかしい・・・なんなんだこの感情は!?

 「この機種にします」とは伝えてはいたものの、まず始まったのは店頭で勧めている(?)別の機種に考え直してみませんか? と云う話。
「〇〇の点ではお客様がお考えのこの機種でも良いですが、通信速度はそこそこでそれよりだったらこちらの機種の方がスペックが高いですよ、まぁお値段は少しだけ割高になるんですが総合的に云々・・・」
「これにしたいんですが」って話なのになんでそこから折りに来るんだよ・・・とも思いましたが、店員さんも「あくまで自分の考えですが・・・」と前置きしてるしまぁこういう事も喋るよな・・・と納得。

自分 「いえ、最初のこっちでお願いします。」

そして、料金プランの説明に続きました。
一応こちらも事前にどんなものがあっていくらくらいなのかと云う事はある程度予習してきたのですが、結局通信量の判断があまり出来ないので、通信量に応じて段階的に金額が変わるプランで計算。

一通りこちらの要望なども聞いてもらった上で、プリントアウトしてもらった金額は・・・
「このようになりましたがよろしいですか?」と店員さん。
う~ん・・・スマホにすれば安くなると聞いてたんだけどな・・・
まぁこんなもんかな・・・

・・・と見積書の内訳を見てみると、ちょっと気になる項目を発見。

 『microSDXDカード 256GB』

ん~~???
256ギガ? え!? スマホってこんな容量食うの・・・?
ちょっと見た事ない数字だったので自分の脳内の通信速度が低下。

自分 「ちょっと待ってください、結構容量大きいですけどこんなに使うものなんですか?」

店員A 「そうですね~、ガラケーと違ってスマホとなると画像や動画も云々・・・」

自分 「ちなみにこのSDって店内のどこに在りますか?」

店員A 「こちらですね・・・」

背後にあった回転ラックには2GB~256GBの範囲で5種類くらいのmicroSDカードが掛かっていました。
その中の最大容量でなおかつ見積もりに載っていた256GBの値札を見ると・・・余裕の3万越え!?
「64以下はまず小さ過ぎて使い物にならないと思います」と云う説明を受け、ひとまず128GBに下げてもらって再度見積りを出してもらい、店を後にしました。


 しかしそれでもまだ引っかかる部分があったので、
その後家に帰ってSDカードの適正容量などを調べていくとゾッとする事実が判明したのは言うまでもありません。

SDカードなんて久しく買ってなかったので市場価格なんてパッと出てこなかったのも要因ですが、何より自分がガラケーだった事でコイツはカモだと思ったのでしょう。
情弱商法というやつですね、調べてみると沢山出てきました。
あのまま契約していたら、馬鹿高いSDカードを分割で毎月支払うと云う目に遭っていたワケですね。明るい内に来店しなくてよかった・・・
ちなみにネットで調べた際に、「128GBのカードが3万で買わされていた」と云う話がいくつも出てきたんですが、自分が店頭で見た時は128GBのは1万7000円くらいだったんですよね・・・、じゃぁ256GBのカードを知らずに契約オプションに組み込まれていたらどういう金額になっていたのでしょうか・・・


 翌日、予約時刻に販売店に行って、どうにかスマホに変えることが出来ましたが
オプション項目からmicroSDカードを外してもらったのは言うまでもありません。

自分 「すいませんこのSDカードなんですけど、外してもらえますか?」

店員B 「あ・・・いいですけど、なんでか理由聞いてもいいですか?

昨日とは違う店員さんが対応してくれたのですが、この一言は妙に引っかかるものがありました(2020年1月10日追記:「つまりクソ野郎」と云う事だったんですね~)
流石に「高いんで」とストレートに言ったら不味いかなと思い、別の理由でさらっと躱したものの、今度はプラン内容やら何やらが昨日の店員の説明とは違うものになってしまい、契約金額が割高になってしまいました。
まんまとやられましたね。

見積もり内容
契約時に件の見積書が回収されてしまったのですが、赤枠の部分に恐怖の256GBがしれっと盛り込まれていたワケです。

その後、契約内容を見直しキャリア公式サイトから自分でプランを変更しました。
二度手間・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 そんな小さな騒ぎがありましたが、これからさらに大変になりますね。
フィールドで使うアプリの練習やSNS利用の違いにも慣れていかないといけません。
TwitterとかFacebookはやりませんが、ブログやメールの確認がちょっとまだ使いづらいですね。前に言われた、「スマホで読むと黄色い字が読み辛い」と云うのも頷けます。(PC表示にしましょう!)

あと、特に写真

fe1.JPG
↑↑フェイスタメルシワバネクワガタ(左:ガラケー、右:スマホ

as1.JPG
↑↑夜のアスパム(左:ガラケー、右:スマホ

写真の質感が全然違っていて、虫を撮る時はズームがどれほど変わるか、色々なシチュエーションで試してみないと何とも言えませんが、
屋外撮影の場合は距離感がちょっと変わるものの、外灯の色が暗闇に混じって全体が赤っぽくなるガラケーに比べスマホはきちんと暗闇が黒くコントラストがはっきりしています。
春までに色々試してみないといけません・・・


フリー脱却・・・!?
 自分達はブログ上で「日本昆虫研究社」などと名乗ってはいますが、これは所詮手弁当組織であって、個人間でのみ通用するアイコン以上のものにはなりません。実質的にフリーの虫屋と云う事になります。
また、昨今は他にも、クワガタやカブトムシに関して採集専門とか飼育専門で自分達のような(?)個人が集まってグループ化し、活動している人達もよく見かけますよね。

対して、同好会や研究会と云った生物に関連するきちんした団体も、青森県を含む国内各地に存在しているワケですが、
この度自分もその一つに籍を置くことになりました。

フリーで虫を採っているのも別にいいのですが、特定の会に所属する事で虫に関する知見を得られる事も事実ですし、あちこち山に入ったりしていると中には興味深いものが発見できる場合もあり、それらをこのまま個人の記憶の中に埋もれさせてしまうのも勿体ないと思ったワケです。
これから自分の周りで何か面白いものが見つかれば、地元に還元できたらいいかもと云う事で、意を決してその世界へ飛び込みました。


それで、自分が入会したのはこちら。
KIMG0020kai.JPG
入るならやっぱり地元かな、とまず思ったのですが、最初のきっかけは今から2年半前・2017年6月の県内某所での採集の時でした。


 この日、完成したハイワットライトトラップ機材による初採集でNo.2&6&7の4人でとある山中に来ていました。
運の悪い事にこの日の天気は土砂降り。
(はい、勿論この日の採集については一部始終を当時の記事で紹介しています)

自分達以外には誰も来ていないかと思われたこの場所で、偶然にも出会ったのがこの地域の有識者として地元メディアでもよく知られた根深誠氏ら一行でした。
彼らはこの日クマゲラ調査で来ていて、テントを張って酒盛りをしていた中にお邪魔する事になったのですが、この時我々を招き入れてくださったのが、本州産クマゲラ研究会代表で岩手県立博物館職員の藤井忠志氏でした。この時、昆虫採集で来ていると言った我々に藤井氏から、「昆虫をやっているなら、青森県立郷土館〇〇さんを訪ねるといいよ」とアドバイスして頂いたのです。

 しかしながら、今まで郷土館に行った事が無かった所為か、同じ市内ながらも変に億劫に感じてしまい足を運ぶ機会が無いままになっていました。
何故ここで郷土館の話が出てくるのか、どう関係しているのかと云うのは、1年以上後になって明らかになります。


 翌2018年、同じ市内にある青森市森林博物館の昆虫展示イベントを見に行った時の事。
最近では昆虫関係の展示イベントもあまり行かなくなってはいたのですが、この時はたまたま都合が空いてたんですね。
展示中の昆虫標本を見ると、採集者の名前に見覚えが・・・
標本箱の所有や採集者名を見ると、これらが県立郷土館からの貸出品だと云う事に気が付き、1年前の話を思い出します。
そのまま、館内の順路に従い別の部屋へ進んでいくと、ボンと無造作に置かれていた何やら面白そうな本を発見。
それこそが、今回自分の入った研究会で刊行している会誌でした。

それを手に取った直後は、博物館が出している紀要のような類の物かと思ったのですが、中からペロンと会費の振り込み用紙が出てきて、これが同好会・研究会で出している物だと分かりました(笑)
昆虫分野ばかりではなかったのですが逆にそこが魅力的で、当時知っていた昆虫オンリーを対象にしている県内の他の会と違って、ちょっとマイナーな感じ(失礼ですが)が個人的に惹かれた記憶があります。
それと、内容に全然関係無いのですが本の外装も「あ、これ好きだわ」と思った記憶が(笑)(非常にシンプルな表紙なんですけどね。でも後になって、このデザインが思い出すきっかけになりましたからね)

とは言え、当時どこかの会に所属する気も無く、あの展示の時の会誌を出している会は何という名前か、ネットで調べても出てこなかったのでずっとそのままになっていました(時間が無くて発行元とかきちんと確認していなかった)
その後段々と展示イベントで見た内容も忘れ、会誌のタイトルも記憶が曖昧になりうろ覚えになっていました。


 ところが2019年になって、県内の昆虫について調べたりしている時に偶然この会のホームページを発見したのです。そうそう、あの時読んだあの会誌の名前こんな感じだった!表紙もこういうのだったな!
小さな驚きと感動を覚えたまま、サイトの内容文を読んでいくと、この会の事務局があの県立郷土館に置かれていると云う事が分かりまたしても驚きました。(後で分かったのですが、このホームページが作られたのは、ちょうどあの展示イベントが終わってからだったようです)
なぜ森林博物館の昆虫展示イベントでここの会誌が置かれていたのか、こういう関係性があったからなんですね。ようやくここで理解出来ました。
県の考古・自然・民俗・歴史を集約する代表的な施設の一画に、こんな組織があったのかと感銘を受けたのですが、またしても思い出されるのは2年前の藤井氏の言葉。

これも何かの縁ではないか・・・と思い(いや冷静に考えると縁でもなんでもないタダのこじつけだと思うんだけど)、年会費6,000円という苦しい金額など何とも表現しにくい「見えない敷居」の前で、足踏みする時期が暫らく続きましたが、遂に覚悟を決めてその門を叩くに至りました。


 入会は郵便の払込用紙に必要事項を記入して会費を送金するだけでしたが、・・・怖かったですねェ・・・
何の音沙汰も無かったら・・・とか、
「現在会員の募集はしておりませんのでご返金いたします」・・・とか、
「あなたのような素性も分からない人を当会で受け入れる事は出来ません」・・・とか
「審査の為、入会希望の旨を4,000字以内の文章でまとめて送ってください」・・・みたいな返事来たらどうしよう~・・・なんて(笑)
いやぁ、入会受付の書面が届くまでの数日間はホントにビビってました・・・(汗)

勿論、そんな非道い返答も無く、会誌のバックナンバーを後日購入する際にも事務局の方には暖かく迎え入れてもらいました。





こういった事が年末にかけてあったワケですね。
2020年は今までとはまた一味違った活動が出来たらいいなと思っています。

今年も、日昆会長 諸記をよろしくお願いいたします。
(これを正月三が日の内にUPしておきたかった・・・やっぱ例年通り後手後手更新か?)


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れいわのカーライフ [時事・話題・雑報]

平成から遂に令和の時代が幕を開けましたか・・・
このブログももうすぐ10年経つと云うのも含めて、なんだか感慨深くなってきましたが令和初回の記事は直接虫と関係はありません。


採集シーズンへ突入する前に一つ片づけなくてはいけない課題がありました。


それは、採集へ行く為の足でもある車のカスタマイズ

・・・と言うと大袈裟になるので言い換えますが、タイヤ交換ですよ。
雪のある内は冬タイヤなので、夏タイヤに履き替えるだけの作業になるところでしたが、去年履いていたタイヤを出してみると、もうスリップサインが出る直前でした(そもそもこのタイヤ中古だったし)
思えばこれまで車についてほとんど知識が無かった事もあって、タイヤについても適当に見繕った物を履かせていたに過ぎませんでした。気になって調べてみるとこのタイヤ、安価ブランドとして有名らしく街乗りでは可もなく不可もなくと云ったベーシックタイヤ商品で、少なくとも自分のような林道を突進するタイプの車(と言うかドライバー?)には不向きなタイヤだったようです。

実際問題として山道でパンクやスリップを何度か経験している以上、安全の為にきちんとオフロードタイヤを買う決心が固まりました。


数多ある種類のタイヤ品目の中から自分で選ぶと云うのは、車知識が乏しい自分にはなかなか勇気のいる事でした。
自分の場合は軽自動車なので、オフロードタイヤのラインナップが出揃っている大型車向けのサイズは合わず、最初からある程度選択肢は限られていましたが、せっかくなのでギリギリまで車高が上げられるサイズも条件に含めながら探していきました。
段階としては、

1.車のタイヤハウスを採寸

2.寸法に収まる直径・幅のタイヤをネットまとめ記事や各社メーカーカタログから抽出

3.タイヤ性能・価格を見比べ、購入する製品を決定

4.ネット通販で条件の合う購入店を選定

5.購入、到着

と云う流れ。
加えて、今までと違うサイズのタイヤという事でホイールも新しく買う事に。
こちらもタイヤと同時進行で、

1.タイヤにあったリム径&幅の製品から実用的なデザインの物を抽出

2.価格が安く即納できる物を選定

3.ネット通販で条件の合う購入店を選定

4.購入、到着

ときて、両方が揃ったら作業店に持ち込んで組み込み・バランス調整してタイヤの準備は完了です。

ここで、車が分かる人なら多分いくつか気になる点があると思いますが、

まず、なぜネット通販で買ったのか・・・
これについては、こっちだとカー用品店やタイヤショップではほとんどオフロードタイヤの在庫が無く、自分の欲しいタイヤはまず注文取り寄せになる事が明白でした。
ここだけなら通販と流れは変わりませんが、タイヤについては店注文と個人注文で大きく異なる要素があります、・・・送料です。タイヤにかかる送料は通常の荷物の送料と金額が別に設定されていて、関係店に発送する時の送料と別に、個人宅配達には1本あたり1,000~2,000円程追加料金が求められるのです。
これを考えると店舗発注した方が経費が浮くかもしれませんが、他のタイヤを参考にして比較してみても・・・やはり・・・ネットの方が総合的にまだ安かったです。個人宅配送料も込みでなかなか安くて分かり易い通販店も見つかってしまったと云う事が決め手でした。
また、店舗取り寄せならその後の一連の組み込み作業料金も安くなるとは言え、ホイールもセットでないとダメとか条件が惜しい所もあるし、1本あたり500円ちょっとまけてくれたところでやっぱり天秤は動かないです(ごめんなさい)
店舗注文でも最終的な費用については、相談次第でかなり抑えが利いてひょっとしたらネット注文より安くあげられるのかもしれませんが、折衝が面倒に感じるので気が楽な方を選んでしまうワケですよ。
勿論、送料浮かせて底値で買う為に「ネットで自分で注文したタイヤをこちらの店に送るんで受け取りお願いできます?」なんて常識外の質問を店員にぶつけるような事はしませんでしたよ・・・(汗)

次に、なぜわざわざタイヤとホイールを別々に買うのか・・・
ネットで買うのならば、店舗売りとは比較にならないほど多様な組み合わせでセット売りがされていて選び放題・・・のハズ。タイヤ単品とホイール単品の和より幾分安く済む金額に設定されているのですが、惜しい事に全て4本組での販売。
今回はローテーション及び予備の分として1本追加・合計5本のタイヤを用意したいと考えていました。自分で調べた限りなので、実はセット売り販売でも5本以上への変更が利くのかも知れなかったですが、自分の欲しかったタイヤとホイール双方がセット売りになっている店と追加分の送料に負担が掛からない店が同じとはならなかった事を踏まえ、発注の手間や納期がバラける危険を回避する為にバラバラで注文する事にしたのです。
ちなみにホイールは別に中古でも良かったのですが、後述する条件に当てはまる物を置いている店が無くやっぱり通販で新品を買う事になりました。

なお、タイヤ・ホイールを選定するにあたって条件としたポイントですが、

タイヤは完全にオフロード向けのモデルではなく、普段通勤用に使ったり生活内でも頻繁に走行する事にも重点を置いて選定しました。
・純正車体のスペックギリギリまでサイズアップ
・オフロード性能(砂利道やヌタ場でのトラクション性能)
・オンロード性能(平地での静粛性・燃費)
・価格
・送料
・5本購入可

ホイールは、タイヤを選んだ手前ここまできて鉄チンを組み込む気にはなれなかったのでアルミで良さそうなのを選ぶことにしたのですが、同サイズ内においてもデザインが多く価格幅が広い事からまず値段から注意して選択肢を狭めていきました。それと同時に、採集時・採集後の事も考えて汚れが目立たず洗浄が楽な事も必須条件として探すと、
・タイヤ及び車に合うサイズ
・色はブラック
・構造はシンプルなスポーク型で洗いやすい単純なデザイン
・単価が安い
・即納及び5本購入可
知らなかったのですが新品ホイールって通販でも意外と在庫が薄く、いきなり注文しても納期を待たされる事も結構あるんですねぇ・・・
それと、今流行り(?)のポリッシュデザインのホイールって、似たような黒一色のホイールより高価なんですね。自分は別にオシャレ目的ではなかったのでそんなホイールには縁は無かったですが、店舗で探す時やたらこればっかり並んでたので欲しい物がなかなか見つかりませんでしたよ(疲)
で、結局通販だからね(苦笑)


そして、なんとかタイヤの準備も完了して、これまでタイヤを締めていたハブナットも貫通型から袋型に買い直し、
CA3I0960.JPG
社外ホイールの着用という事でハブリングも抜かりなく用意して、
待ちに待ったタイヤ交換を先月中旬に行いました。
(↑↑ブレーキディスクのサビが気になるかもしれませんがそこは気にしないでー)


やっぱり新しいタイヤに新しいホイールを履くと、気分て違うもんですね(笑)
タイヤのトレッドパターンも独特。ホイールもシンプルなのに妙に個性的に感じます、デザインが単純だし安かったので、昔からあるけど人気無いんだろうと思ってましたが、調べてみると意外にも去年出たばかりの物らしく意外と新しいモデルだったようです。
車まで新車になったような気分です(いつまで保つのか・・・)



・・・・・・ところが、・・・やはり懸念していた事が起きました・・・・・・



ハンドルをきって段差を乗り越えようとした瞬間、体と耳に響いてきた音。



    ザジュッ

ちょうど運転席、自分の真下から聞こえたのは紛れもなくタイヤハウス壁面を擦る摩擦音でした。
ドアを開きながら確認すると、確かに一瞬ですがギリギリ惜しいところで接触してしまいます。

当初の計測では一応サスペンションのストローク量も見積もったつもりでしたが、やはり素人の目測で上手くやろうとするのは無謀だったようです。そしてここでやっと分かったのですが、この車、もう20万km以上走っている事もあってか、右側(運転席側)の車高が左側より1cm低くなっていました。

さらにショックなことに、スペアタイヤとチラホラと小物を積んでいる以外ほとんど重量が掛かっていないにもかかわらず最低地上高は約180mm程度・・・!? 新車時標準と同じって、タイヤ交換後なんですけど!!
やはり20万km越えもするとサスペンションがヘタってくるんでしょうね。タイヤ外径を新車標準時から約4cm上げているので、その半分の長さを足して20cmの車高になってるだろうと思ってましたから・・・
(まぁ、まず最初に測っておけよ って話ですよね)
スプリングも、前と後ろで硬さ(線径)が違い、後ろより前の方が細い為か2~2.5cmほど前沈みになっています。



このままでは走れません。
かと言ってサスペンションの交換は手間もお金も掛かる・・・タイヤを一式揃えた直後なので財布の方がガス欠です。

何かイイ物がないかとネットで検索すると・・・

見つけました、如何わしいブツを・・・。






CA3I0957.JPG
ラバースペーサー

なにやら、これをスプリング間にはめ込むだけで車高が上がるとの事。
本来はダウンサスに取り付けて車高調整したり線間密着を防ぐ目的で付けることが多いらしいですが純正スプリングでも使えるとの事です。

価格もスプリングごと交換するよりは圧倒的に安上がりなので早速仕入れて取り付けてみました。
さぁ~何cm上がるかな~♪♪



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


作業開始。

CA3I0958.JPG
今回は、効果が懐疑的だったのと、前後バランスの調整も目的だったので作業は前輪だけに施すことにしました。
まずタイヤを外して、スペーサーを取り付けるためにスプリングの計測をします。

CA3I0959.JPG
線間の距離は27~28mm
スペーサーのサイズが27mmなので、今の状態でピッタリと云う事になります。

CA3I0961.JPG
スプリングの径に比べてスペーサーの径が広いので、取り付けた時にスペーサーの両端がぶつからないようにカッターで切って調整します。


そしていよいよスプリングにはめ込んでいきますが、
ここから苦戦しました。

何しろ、線間距離がピッタリなもんで、上下片方の溝をスプリングにはめ込んだらもう片方の溝がどうしても内側に押し込められません(汗)
それなりに硬いしグニュッと縮めて無理矢理はめ込むなんて無理です。

CA3I0963.JPG
仕方ないので片方の溝は内側を少し切り落とし、グリスを塗ってようやくはめ込む事が出来ました。

CA3I0962.JPG
説明書きでは「作業はカンタン!」みたいな事書いてたくせにメッチャクチャ手こずったんだけど!?
あと、けっこうダンパーにギリギリ密着してるのは大丈夫なのか・・・?

固定する位置を決め、最後にロックタイで固定したら完了!!

CA3I0964.JPG
(え~っと・・・はめ込む時に暫らくグリグリやってたらスプリングを覆ってた塗膜が剥がれたのか、一部下地が露わになっちゃってるんだけど・・・・・・なんでなの??? ・・・えぇッ・・・!? まさかこれ、実は純正サスじゃないとかって話だったりしないよな・・・!? ・・・まさかねぇ・・・・・・)

1cm低かった運転席側は、ダメ押しとして切り落とした小さな端材もはめ込んでおきました。



タイヤを取り付けてジャッキを外してみると15~20mmのUP
左右のバランスは結局揃ってないけど根本の問題だった車高はクリアしたので良しとしておきましょう。




と、ここで終われたらよかったものの、
やはりこれでは終わらなかったです。

慣らし運転で近所をぐるっと一回りした後、もう一度測ってみるとガッカリ・・・
一気に沈んでしまい結局最終的な上げ高は8~10mmと云うしょっぱい結果に・・・
作業中の手応えと比べてだいぶショボい感じに終わってしまいましたが、それでも1cm弱の上昇と段差を跨いだ時の沈み込みが減ったので、もう暫らくはタイヤを擦る事は無いでしょう。
最後に、タイヤの空気圧を調整して、車体の角度も変わったのでヘッドライトの光軸調整もして、やっと使えるようになりました。


面倒くさかったですが、これでようやく山へ行けます。


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新春 ~2016年~ [時事・話題・雑報]

謹賀新年 オオクワ星.png





ごおあ、ざめけ、いでま、まとし、すうて。・・・???




いや、 横→に読むんじゃないです。

どうも。新年が明けましたね。
この年齢になるとイェーーィ!!! ハッピーニューイヤーー!!!! とか盛り上がる事も無く
ただただ2015年にし忘れたことがまだ何かあっただろうと焦るだけですよ(苦笑)
そのくせ 何を忘れていたか を 忘れている と云うのがまた哀しいところ。

とりあえず雪かきと展足だけで余裕で正月終わるでしょう。
1週間ほど前からようやく本格的な冬の青森がはじまったのですが、
この期間の間にやるべきことは片付けて、晩冬からの本格的な採集シーズンを満を持して迎えられるようにしておきたいと思います。
(「雪融けの季節」とは言わないのがお決まり)



 自分の採集シーズンの流れとしては、晩冬から春にかけてエサケルス( マダラ・ツヤハダ・ルリ他)
の採集雪も融けた頃からはマグソ採集もはじまり、夏が始まると樹液採集・灯火採集が本格化。
晩夏からヒメオオに移行 晩秋から初冬にはまたエサケルス・・・といった具合なんですが、
昨年中に採集したりで得た色々な知見を基にし 今年の目標をいくつか既に決めました。
 特に最初の季節の採集に関しては、青森県産のクワガタの内特定の2 種類に絞っていこうか
と考えています。この2 種類は、まだ採れてない内には何の種類かブログに公表することも出来ない
ので、も し 採 れ た ら その時は気合を( 無駄に)入れて採集記を書きたいと思います。

 そして、その時の採集記を書くにあたっては
当ブログを開設して以来 めての に挑戦してみようかと考えています。
自己満足的な「 試み」なんですが、「 記事内容がそれなりである場合」と組み合わせる事により
どうにか意味を成してくれるハズ。

 その為にはまず虫が採れない事には何も始まらないワケなんですが、ここまでの内容から言って
明らかに虫屋の本質から逸脱した所に力を注いでいる事だけは確かでしょう・・・( 笑)







昨年は採れ過ぎてしまったギラファノコの里子企画なんかも初めてやったりしましたが、
こういった具合で今年もある種の変化球要素(暴投?)も考えていますので


ブログをいつもご覧になってくださる方々、
たまにネット検索で迷い込んでこられる方々、
今年もよろしくお願いいたします。




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