色ノコ狂騒 ~前編~ [オキピタリスノコギリ (原名亜種)]
我が家のブリードスペースも、去年一昨年と比べてまた賑やかになってきた。
・ニジイロクワガタ
・オオクワガタ
・セラートゥスネブトクワガタ
・メタリフェルホソアカ
・ヘラクレスオオカブト
特にこれら5種のスペースが1シーズンで大幅増加し、温室内の整頓も急がれる状況。
温室内は生育中の幼虫の他に、
・カラカラに乾いたハルマヘラプラティオドンやギラファが入った容器
・グズグズに溶けたマットと死骸が区別できなくなっているアクタエオンの容器
・生体反応が無い産卵ケース
など放置された「要処分認定」のケースやボトル・カップも多数ある。かの日のプランディーゴホンヅノの時のようにこれからまた大容量容器で3令のリッキーを飼育しなければならない手前、それらももういい加減に片付けてしまわなければいけない。
4月16日
しばらく前からやろうやろうと思いつつ、結局この日になるまで実質的にスペースの整理が進んでいなかった。飼育作業以外のタスクも停滞し、もうどれから手を付けたらいいか分からない状況ではあるが、この日は飼育スペースにも関係する「ある事」が控えている事もあり、何を置いても片付けを強行する事にした。
片付けるにしてもケース類・ボトル/ビン類・タッパー類色々あるわけだが、その中でも「早いところ処分しておきたいケース」に焦点を絞る事にした。
2022年6月。今から10ヶ月も前の話だが、タリアブ島産オキピタリスノコギリの記事を書いた。
野外品で入手したものから幼虫を得て、菌床2種類(カンタケ、カワラタケ)に分けて飼育したところカワラタケ組が全滅・・・というところまで書いた。今回はそれ以降の話である。
その後、残されたカンタケ勢も蛹化する前にじわじわと数を減らしていった。今思えば、ずっとカップのまま無交換で放置していたところに要因がありそうな気もするがきっとそれ以上に細かな管理ミスを犯していたのだと思う。
果たして、WF1の羽化個体はとうとう2頭の小型♂のみという結果になってしまった。あまりに情けない結果で、羽化個体の写真すら撮っていなかった。
完全に「累代終了」の流れである。
しかし、マニアックな産地とは言え一部に根強いファンを抱える本種。羽化総数が♂2頭と確定した直後に、運よくネットオークションで同産地WF1の♀成虫1頭が安価に出品されているのを発見し、「今度はもうちょっと納得できる結果を残したい」と願望が湧き、これを落札した。
通常、自分としてはラベルミスや詐欺の疑念が湧いてしまうのでオキピと言えども♀単品を購入するのは憚られるところであるが、今回落札した個体はTwitterで情報を発信していた秋田県の人が飼育していたもので、野外品入手時からの経緯も追えた点で安心できると判断した。
到着した♀個体。24mmの通常サイズだが、400円と安かったのは嬉しいところだ。
ただ残念ながら我が家で羽化した2頭の♂の内、早くに羽化した1頭が死亡してしまった。これで遂に水際まで追い詰められてしまった。この1ペアをペアリング可能な時期まで死守しなければならない。
ここからが大変だった。
オキピと言えば我が家ではとにかく休眠期間の癖が強く、コントロールが非常に難しい事で毎度苦心する虫である。温度帯や湿度に高低をつけてもそれを無視してバラバラに起きる。このWF1ペア、まず♂が羽化してその約1ヶ月後くらいに♀が羽化しているので、順当に成熟してくれればほぼタイムラグ無しで休眠から明けてくれるものと思いたかったが、やはり甘くなかった。
いつ雪が降り出すかという時期に♀が起きてしまう。まだ♂は寝ている。
そうかと思えばしばらくして♀は動かなくなった。所謂二度寝に入ったのだ。
そしてまた数週間経つと、今度は♂が起きてしまった。こちらは二度寝には入らず完全に活動を開始したが、案の定♀は寝たまま。
そこから期間が空き、そろそろ♂もペアリングに堪えられるか怪しくなってきたタイミングでどうにか♀が起きてくれた。ペアリングに移行したのは2月の半ばに入ってからの事だった。
♂を管理していたコバシャのタイニーへ♀を投入してペアリング開始。
見て判る通り♂は翅に黒いしみも浮き、フ節の動きも怪しいところが見えて不安だったため、数日のあいだ同居させた。幸いにも♀殺しは起きず一緒にゼリーを後食するところも見られたが、終ぞ交尾しているところは観察できなかった。
2月22日夜、セットを組む事にした。
交尾が未確認なのは同じままだが、この時点でもう1週間以上同居している上、♂はもう時々「電池が切れたように」動かなくなる事が多くなってきた。もし交尾をとっくに済ませているなら♀をこのままにしておくのはかえって産卵のタイミングを逃す可能性にもつながる。
マットは、先のヘラクレス・リッキーのセット時に全く使い物にならなかったF社製のオーガニック腐葉マットを再加水してリユース。
産卵木は、ホームセンターから購入してストックしていたパック済みの産卵木。勿論、軟材を選別しており肉感も丁度いい。
ケースはコバシャの小。産卵木は横置きで全埋めにした。
こうしてゼリーを配置し、転倒防止材無しで♀のみ入れて約23℃の温室へ。
その後、無事に♀はマットへ潜ったように見受けられたが、
潜りっぱなしと云う様子ではなくしょっちゅう地上に現れては徘徊する様子が見られた。
そして今月16日の話にまで進む(戻ってきたと言うべきか? )
2ヶ月弱が経過したタイミングだが、それまでの間♀が産卵に勤しんだような様子も見られず、途中から「あぁ、ペアリング失敗だったかな」と悟っているような状態だった。♂親も既に死亡し、♀はこの時点でマットの中に居り、これが存命かどうかも数週間確認できていない。
眺めた限りだとどう見ても「失敗」「死相が見えている」ケースだったため、いつ処分するか待っているような状態だったが、温室内のスペースを空ける為いよいよ暴く事にした。
記事のはじめに「ある事」が控えていると書いたが、この日の昼過ぎの時点でそれがいつになるのかが未定だったため、時間潰しも兼ねてこのケースを割り出す事にしたわけだ。
早々に片付けて、次にプラティオドンの放置ケースも暴く予定である。
蓋を開けてみても、材を全埋めにしている事もあって様子は全く変わっていない。♀が徘徊した所為もあってか、潜った跡も消えてしまっている。
気分の浮き沈みも無いまま、広げた新聞紙の上へケースを逆さまに伏したところで思いもよらなかったものを見つけてしまった。
・・・幼虫!!!!
1令幼虫が底面に1頭のぞいている!
あわててカップやスプーンといった割り出し道具を揃え、一度逆さまにしたケースを起こした。マットが程よく乾いて固まっている所為か、ゼリー殻がこぼれただけである。
地表のマットを軽く取り除き、埋まっていた材を引き抜いてみた。
材の下に何頭もの幼虫が転がっている。
どれも孵化から1週間程度の1令幼虫。この産地の本種は材産みへの嗜好が強いと言われるが、しっかり材のみに産卵していたようだ。ケース底に見えていた幼虫も、どうやら材から下りてきた個体みたいだ。
完全に予想外だったので嬉しさも一入ではあるが、準備していなかった分少し焦る。
ひとまず、買い置きしたまま役目に恵まれなかった生オガ発酵マットを、200ccのカップに詰めながら同時進行で幼虫を割り出していくことにした。
ちなみに、親♀も出てきたが脚欠けもなく完品で生きていた。
幼虫だが、マットの中からは最終的に7~8頭が採れたがさて材はどうするか・・・? 当初はただ中をばらしてゴミ袋に諸共流し込むだけで終わると思っていただけに、時間の経過が問題だ。そもそもこの日、起床したのが昼過ぎで割り出し作業を始めたのも昼飯時を大幅に過ぎて久しい頃でもあった。
そのタイミングでケータイを確認すると、
待ち侘びていた予定の方に進展を確認。もう出発OKとなったわけだが・・・どうする。
試しにちょっとだけ材の表面を捲ってみる。
ああぁ・・・中にも結構居そうだ・・・
これはもう一旦終わりにして、埋め戻して後日に回そうかとも思ったものの、
多分それをやると再割り出しが2ヶ月後とかになるのが目に見える・・・、多分、淘汰されて小さく生き残った3令幼虫が僅かに回収される羽目になるだろう・・・それは避けたい!
結局、なんとか全て割り終えた。
材の中にも少なくない数の幼虫が居り、1頭だけ2令だった以外は全て1令で成長の程度も同じくらいだった。数は20頭、他に卵も見られなかったことと2ヶ月弱の期間があった事から、どうやらセット投入後しばらくしてからとあるタイミングで一気に産卵し、その後は産まなかったという事になる。♀が産みたくなる要因が何か一瞬だけ重なった結果だと思うと、本種も実に気難しい虫と思えて気が抜けない。
さて、割り出しが終わったところで時刻も夕方5時半近く。
残された猶予はもう残り僅か、プラティオドンや他のケースの掃除は出来なくなってしまった。
後片付けを済ませ、郵便局へと向かった。
・ニジイロクワガタ
・オオクワガタ
・セラートゥスネブトクワガタ
・メタリフェルホソアカ
・ヘラクレスオオカブト
特にこれら5種のスペースが1シーズンで大幅増加し、温室内の整頓も急がれる状況。
温室内は生育中の幼虫の他に、
・カラカラに乾いたハルマヘラプラティオドンやギラファが入った容器
・グズグズに溶けたマットと死骸が区別できなくなっているアクタエオンの容器
・生体反応が無い産卵ケース
など放置された「要処分認定」のケースやボトル・カップも多数ある。かの日のプランディーゴホンヅノの時のようにこれからまた大容量容器で3令のリッキーを飼育しなければならない手前、それらももういい加減に片付けてしまわなければいけない。
4月16日
しばらく前からやろうやろうと思いつつ、結局この日になるまで実質的にスペースの整理が進んでいなかった。飼育作業以外のタスクも停滞し、もうどれから手を付けたらいいか分からない状況ではあるが、この日は飼育スペースにも関係する「ある事」が控えている事もあり、何を置いても片付けを強行する事にした。
片付けるにしてもケース類・ボトル/ビン類・タッパー類色々あるわけだが、その中でも「早いところ処分しておきたいケース」に焦点を絞る事にした。
2022年6月。今から10ヶ月も前の話だが、タリアブ島産オキピタリスノコギリの記事を書いた。
野外品で入手したものから幼虫を得て、菌床2種類(カンタケ、カワラタケ)に分けて飼育したところカワラタケ組が全滅・・・というところまで書いた。今回はそれ以降の話である。
その後、残されたカンタケ勢も蛹化する前にじわじわと数を減らしていった。今思えば、ずっとカップのまま無交換で放置していたところに要因がありそうな気もするがきっとそれ以上に細かな管理ミスを犯していたのだと思う。
果たして、WF1の羽化個体はとうとう2頭の小型♂のみという結果になってしまった。あまりに情けない結果で、羽化個体の写真すら撮っていなかった。
完全に「累代終了」の流れである。
しかし、マニアックな産地とは言え一部に根強いファンを抱える本種。羽化総数が♂2頭と確定した直後に、運よくネットオークションで同産地WF1の♀成虫1頭が安価に出品されているのを発見し、「今度はもうちょっと納得できる結果を残したい」と願望が湧き、これを落札した。
通常、自分としてはラベルミスや詐欺の疑念が湧いてしまうのでオキピと言えども♀単品を購入するのは憚られるところであるが、今回落札した個体はTwitterで情報を発信していた秋田県の人が飼育していたもので、野外品入手時からの経緯も追えた点で安心できると判断した。
到着した♀個体。24mmの通常サイズだが、400円と安かったのは嬉しいところだ。
ただ残念ながら我が家で羽化した2頭の♂の内、早くに羽化した1頭が死亡してしまった。これで遂に水際まで追い詰められてしまった。この1ペアをペアリング可能な時期まで死守しなければならない。
ここからが大変だった。
オキピと言えば我が家ではとにかく休眠期間の癖が強く、コントロールが非常に難しい事で毎度苦心する虫である。温度帯や湿度に高低をつけてもそれを無視してバラバラに起きる。このWF1ペア、まず♂が羽化してその約1ヶ月後くらいに♀が羽化しているので、順当に成熟してくれればほぼタイムラグ無しで休眠から明けてくれるものと思いたかったが、やはり甘くなかった。
いつ雪が降り出すかという時期に♀が起きてしまう。まだ♂は寝ている。
そうかと思えばしばらくして♀は動かなくなった。所謂二度寝に入ったのだ。
そしてまた数週間経つと、今度は♂が起きてしまった。こちらは二度寝には入らず完全に活動を開始したが、案の定♀は寝たまま。
そこから期間が空き、そろそろ♂もペアリングに堪えられるか怪しくなってきたタイミングでどうにか♀が起きてくれた。ペアリングに移行したのは2月の半ばに入ってからの事だった。
♂を管理していたコバシャのタイニーへ♀を投入してペアリング開始。
見て判る通り♂は翅に黒いしみも浮き、フ節の動きも怪しいところが見えて不安だったため、数日のあいだ同居させた。幸いにも♀殺しは起きず一緒にゼリーを後食するところも見られたが、終ぞ交尾しているところは観察できなかった。
2月22日夜、セットを組む事にした。
交尾が未確認なのは同じままだが、この時点でもう1週間以上同居している上、♂はもう時々「電池が切れたように」動かなくなる事が多くなってきた。もし交尾をとっくに済ませているなら♀をこのままにしておくのはかえって産卵のタイミングを逃す可能性にもつながる。
マットは、先のヘラクレス・リッキーのセット時に全く使い物にならなかったF社製のオーガニック腐葉マットを再加水してリユース。
産卵木は、ホームセンターから購入してストックしていたパック済みの産卵木。勿論、軟材を選別しており肉感も丁度いい。
ケースはコバシャの小。産卵木は横置きで全埋めにした。
こうしてゼリーを配置し、転倒防止材無しで♀のみ入れて約23℃の温室へ。
その後、無事に♀はマットへ潜ったように見受けられたが、
潜りっぱなしと云う様子ではなくしょっちゅう地上に現れては徘徊する様子が見られた。
そして今月16日の話にまで進む(戻ってきたと言うべきか? )
2ヶ月弱が経過したタイミングだが、それまでの間♀が産卵に勤しんだような様子も見られず、途中から「あぁ、ペアリング失敗だったかな」と悟っているような状態だった。♂親も既に死亡し、♀はこの時点でマットの中に居り、これが存命かどうかも数週間確認できていない。
眺めた限りだとどう見ても「失敗」「死相が見えている」ケースだったため、いつ処分するか待っているような状態だったが、温室内のスペースを空ける為いよいよ暴く事にした。
記事のはじめに「ある事」が控えていると書いたが、この日の昼過ぎの時点でそれがいつになるのかが未定だったため、時間潰しも兼ねてこのケースを割り出す事にしたわけだ。
早々に片付けて、次にプラティオドンの放置ケースも暴く予定である。
蓋を開けてみても、材を全埋めにしている事もあって様子は全く変わっていない。♀が徘徊した所為もあってか、潜った跡も消えてしまっている。
気分の浮き沈みも無いまま、広げた新聞紙の上へケースを逆さまに伏したところで思いもよらなかったものを見つけてしまった。
・・・幼虫!!!!
1令幼虫が底面に1頭のぞいている!
あわててカップやスプーンといった割り出し道具を揃え、一度逆さまにしたケースを起こした。マットが程よく乾いて固まっている所為か、ゼリー殻がこぼれただけである。
地表のマットを軽く取り除き、埋まっていた材を引き抜いてみた。
材の下に何頭もの幼虫が転がっている。
どれも孵化から1週間程度の1令幼虫。この産地の本種は材産みへの嗜好が強いと言われるが、しっかり材のみに産卵していたようだ。ケース底に見えていた幼虫も、どうやら材から下りてきた個体みたいだ。
完全に予想外だったので嬉しさも一入ではあるが、準備していなかった分少し焦る。
ひとまず、買い置きしたまま役目に恵まれなかった生オガ発酵マットを、200ccのカップに詰めながら同時進行で幼虫を割り出していくことにした。
ちなみに、親♀も出てきたが脚欠けもなく完品で生きていた。
幼虫だが、マットの中からは最終的に7~8頭が採れたがさて材はどうするか・・・? 当初はただ中をばらしてゴミ袋に諸共流し込むだけで終わると思っていただけに、時間の経過が問題だ。そもそもこの日、起床したのが昼過ぎで割り出し作業を始めたのも昼飯時を大幅に過ぎて久しい頃でもあった。
そのタイミングでケータイを確認すると、
待ち侘びていた予定の方に進展を確認。もう出発OKとなったわけだが・・・どうする。
試しにちょっとだけ材の表面を捲ってみる。
ああぁ・・・中にも結構居そうだ・・・
これはもう一旦終わりにして、埋め戻して後日に回そうかとも思ったものの、
多分それをやると再割り出しが2ヶ月後とかになるのが目に見える・・・、多分、淘汰されて小さく生き残った3令幼虫が僅かに回収される羽目になるだろう・・・それは避けたい!
結局、なんとか全て割り終えた。
材の中にも少なくない数の幼虫が居り、1頭だけ2令だった以外は全て1令で成長の程度も同じくらいだった。数は20頭、他に卵も見られなかったことと2ヶ月弱の期間があった事から、どうやらセット投入後しばらくしてからとあるタイミングで一気に産卵し、その後は産まなかったという事になる。♀が産みたくなる要因が何か一瞬だけ重なった結果だと思うと、本種も実に気難しい虫と思えて気が抜けない。
さて、割り出しが終わったところで時刻も夕方5時半近く。
残された猶予はもう残り僅か、プラティオドンや他のケースの掃除は出来なくなってしまった。
後片付けを済ませ、郵便局へと向かった。
つづく
2022年増種 東のオレンジ [オキピタリスノコギリ (原名亜種)]
東北北部も梅雨入りの発表がありましたね。こんばんは、会長です。
書けるかどうか分からなかった、6月の飼育ネタ第2回目。
増種に関しての内容なので、これを書かずにいると飼育種のブログ上での扱いに個人的な混乱をきたしてしまうので、兎にも角にも一度顔見せしておこうと云う理由です。
カテゴリー名に出ているように、オキピタリスが今回の主役です。
時を遡る事今年の2月半ば。
青森がちょうど雪の中に埋まっていた時期です。
無駄にどうでもいい写真↑↑の使い回しですが、
実は前回のタリアブ島産ドルサリスノコギリと一緒にオキピも買ってしまってたんですね。
開梱直後。見ての通り、
・ドルサリス×1ペア
・オキピタリス×1ペア
これ以外は入っていません。
心配していた低温による死着も無く、郵便局留めで無事に手元に届きました。
(そういえばこの時、受け取りですったもんだがあって焦ったんだっけなぁ)
ドルサリスと同じく、普段流通に入ってこないスラ諸島タリアブ島産です。
去年秋にWILD生体が一般流通し、6,600円の価格がついた後に続々と入荷してきてじわじわと価格が下がってきたのはオキピファンの記憶には新しい事と思われます。
個人的にタリアブ産オキピに対しては、
去年入荷してきた時は「まさか来るとは!?」と驚いた記憶があります。
覚えている人は何人いるでしょうか・・・
――以前、日本人自力採集で名を馳せオオヒラタやダイスケギラファを国内にもたらしたT-TOP氏が自身のホームページにタリアブで見つけた55mmくらいのオキピ♂の写真を載せていた事を――
当時聞いた話では、色味は付近のスラウェシと比べても暗色気味で濃く、大型個体も多くいたと聞いた記憶があります。事実、ホームページに載っていた写真も横幅一杯にでかでかと大きく、写った♂個体も日焼けのような奇抜な体色で「これは欲しい!」と思いました。残念ながら、これが載ってから間もなく氏は活動を休止してしまいタリアブの生体を入手するには至りませんでしたが、その数年後にこれがやってきたワケです。
ただ正直、去年の初入荷の当時はシベルートオキピの累代終了間際のドタバタも記憶に新しかったので、「いや オキピからはしばらく距離を置こう」と指を咥えて見ているだけだったのですが、価格も通常の流通産地と同格にまで落ちてきたのでドルサリスついでに信念を曲げて買ってしまいました。
流通量を見ると、オキピっているところには沢山いるんだなぁと脱力してしまいます。
ここ1~2年で国内にもたらされた本種のWILD生体の流通産地は、自分が確認したものだけでも結構あります。多く見た順に以下に羅列してみますと、
・スラウェシ島
・ジャワ島
・カリマンタン(ボルネオ島)
・スマトラ島
・タリアブ島
・メンタワイ諸島(詳細はマル秘、と云う触れ込み)
・ペレン島
・マレー半島
・ルソン島
・カタンドゥアネス島
・ミンダナオ島
・サンギヘ島
少なくとも11の産地が入ってるんですねぇ・・・
この中には、新型コロナウィルスの世界的流行で一時入荷が途絶えてしまっていたフィリピンのものや(この期間を経験して、「あっフィリピンの虫ってなんやかんやで特別だったんだな」と再認識)、「オキピ以外主役級」の虫だらけとも言えるサンギヘ島(俺もギラファ欲しかった)、個人的には見たら切なくなってしまうメンタワイ(欲しかったけど、公式に詳細教えないってのが…)など、オキピただ1種とは思えないバラエティに富んだ特殊な?産地がいくつももたらされています。
その中でも個人的に取り上げたいのがペレン島産。
以前、このブログでも偽物がどうたらこうたらと書いた事がありましたが、その後また入荷があったようですね。しかし、このペレン島産オキピタリスと云うのはなにやら一癖あるみたいで、ペレン島内にオキピタリス系統のプロソポコイルスが2種いるのではないかと言われているようです。1種はスラウェシ本島と同じ形態の個体群で、もう1種は本種の亜種(通称:マサコオキピ)とされている特殊な形態の個体群。
島内には、これと似たような感じで島の東と西で別亜種のオオヒラタがいますし、なにやら同属のブルイジンノコギリにも形態に差がある個体が見られるとのことです。うーん・・・まだまだこの島には多くの秘密が眠っているようですね・・・
オキピ買っただけでこんなにタイピングが捗るとは思わず自分でも驚くところですが、肝心の生体を観察してみましょう。
♂個体。40mmの中歯個体で、形状に産地的な特徴は見られません。
体色に関しては、やはり下馬評で言われていたようにスラウェシと比べてちょっと色が暗いです。色彩的にはスマトラ沖のシベルートやシムルゥの個体やフィリピンの原色っぽい方が好みですが、この産地もどうやら個体差があるようなので振り切ったヤツも見てみたいところ。
翅には黒いシミも目立つので、鮮度は良くないですね。
そして♀個体。頭部の赤みは非常に強く、胸部から下もシムルゥのヒデオオキピのように濃いオレンジ色をしています(ただ、あちらと違って光沢は弱いです)。
♂同様に、♀もいつ落ちるか分からないので早速セットを組みました。
オキピは基本的に材産みなので、コバシャ小にカットした砂埋め霊芝材をマットで半埋めにしてみました。
それから3ヶ月・・・
なんとか産んでくれたようです。
「なんとか」・・・実は産んでくれたこの写真は2回目のセットの結果で、最初に組んだケースでは何故か無反応でした。
♀がハズレかとも考えましたが、一度セットを解体し、それまで横置きにして埋めていた霊芝材を試しに立てて埋めてみたらなんか産み始めましたねぇ。
ちょっとしたことで180度展開が変わるのは面白いモンです。
(勿論、この逆の展開だったら面白いもクソもないですが・・・)
セット替えしたのが4月頃。
割出したのは5月9日なのでほとんどが1令幼虫でした。
割った材には縦横無尽に食痕が延び、ポロポロと幼虫がまろび出てきます。
SNS上ではタリアブ産の産卵に苦戦している人が多いようなので、そんな中できちんと採れたのは御の字です。失敗する方々の典型例が、小型ノコだと侮ってマット固詰めだけのパターンが多いんだとか。自分の場合、逆にドルサリスで材産み狙い失敗してるんで他人の事笑えません。
中には、丸々太った3令幼虫に食われてしまった2令の亡骸も見つかりました。
(写真右の個体:3令♀幼虫、写真左の個体:食われて頭部のみになった2令)
結果、15頭ほどの幼虫を得る事ができました。
これらの幼虫を、
・カンタケ菌床
・カワラタケ菌床
を詰めたカップにそれぞれ半々くらいの割合で個別に移しました。
「オキピだし菌床いけるっしょ~!」
↑↑これが良くなかった・・・
書けるかどうか分からなかった、6月の飼育ネタ第2回目。
増種に関しての内容なので、これを書かずにいると飼育種のブログ上での扱いに個人的な混乱をきたしてしまうので、兎にも角にも一度顔見せしておこうと云う理由です。
カテゴリー名に出ているように、オキピタリスが今回の主役です。
時を遡る事今年の2月半ば。
青森がちょうど雪の中に埋まっていた時期です。
無駄にどうでもいい写真↑↑の使い回しですが、
実は前回のタリアブ島産ドルサリスノコギリと一緒にオキピも買ってしまってたんですね。
開梱直後。見ての通り、
・ドルサリス×1ペア
・オキピタリス×1ペア
これ以外は入っていません。
心配していた低温による死着も無く、郵便局留めで無事に手元に届きました。
(そういえばこの時、受け取りですったもんだがあって焦ったんだっけなぁ)
オキピタリスノコギリ(原名亜種) タリアブ島
ドルサリスと同じく、普段流通に入ってこないスラ諸島タリアブ島産です。
去年秋にWILD生体が一般流通し、6,600円の価格がついた後に続々と入荷してきてじわじわと価格が下がってきたのはオキピファンの記憶には新しい事と思われます。
個人的にタリアブ産オキピに対しては、
去年入荷してきた時は「まさか来るとは!?」と驚いた記憶があります。
覚えている人は何人いるでしょうか・・・
――以前、日本人自力採集で名を馳せオオヒラタやダイスケギラファを国内にもたらしたT-TOP氏が自身のホームページにタリアブで見つけた55mmくらいのオキピ♂の写真を載せていた事を――
当時聞いた話では、色味は付近のスラウェシと比べても暗色気味で濃く、大型個体も多くいたと聞いた記憶があります。事実、ホームページに載っていた写真も横幅一杯にでかでかと大きく、写った♂個体も日焼けのような奇抜な体色で「これは欲しい!」と思いました。残念ながら、これが載ってから間もなく氏は活動を休止してしまいタリアブの生体を入手するには至りませんでしたが、その数年後にこれがやってきたワケです。
ただ正直、去年の初入荷の当時はシベルートオキピの累代終了間際のドタバタも記憶に新しかったので、「いや オキピからはしばらく距離を置こう」と指を咥えて見ているだけだったのですが、価格も通常の流通産地と同格にまで落ちてきたのでドルサリスついでに信念を曲げて買ってしまいました。
流通量を見ると、オキピっているところには沢山いるんだなぁと脱力してしまいます。
ここ1~2年で国内にもたらされた本種のWILD生体の流通産地は、自分が確認したものだけでも結構あります。多く見た順に以下に羅列してみますと、
・スラウェシ島
・ジャワ島
・カリマンタン(ボルネオ島)
・スマトラ島
・タリアブ島
・メンタワイ諸島(詳細はマル秘、と云う触れ込み)
・ペレン島
・マレー半島
・ルソン島
・カタンドゥアネス島
・ミンダナオ島
・サンギヘ島
少なくとも11の産地が入ってるんですねぇ・・・
この中には、新型コロナウィルスの世界的流行で一時入荷が途絶えてしまっていたフィリピンのものや(この期間を経験して、「あっフィリピンの虫ってなんやかんやで特別だったんだな」と再認識)、「オキピ以外主役級」の虫だらけとも言えるサンギヘ島(俺もギラファ欲しかった)、個人的には見たら切なくなってしまうメンタワイ(欲しかったけど、公式に詳細教えないってのが…)など、オキピただ1種とは思えないバラエティに富んだ特殊な?産地がいくつももたらされています。
その中でも個人的に取り上げたいのがペレン島産。
以前、このブログでも偽物がどうたらこうたらと書いた事がありましたが、その後また入荷があったようですね。しかし、このペレン島産オキピタリスと云うのはなにやら一癖あるみたいで、ペレン島内にオキピタリス系統のプロソポコイルスが2種いるのではないかと言われているようです。1種はスラウェシ本島と同じ形態の個体群で、もう1種は本種の亜種(通称:マサコオキピ)とされている特殊な形態の個体群。
島内には、これと似たような感じで島の東と西で別亜種のオオヒラタがいますし、なにやら同属のブルイジンノコギリにも形態に差がある個体が見られるとのことです。うーん・・・まだまだこの島には多くの秘密が眠っているようですね・・・
オキピ買っただけでこんなにタイピングが捗るとは思わず自分でも驚くところですが、肝心の生体を観察してみましょう。
♂個体。40mmの中歯個体で、形状に産地的な特徴は見られません。
体色に関しては、やはり下馬評で言われていたようにスラウェシと比べてちょっと色が暗いです。色彩的にはスマトラ沖のシベルートやシムルゥの個体やフィリピンの原色っぽい方が好みですが、この産地もどうやら個体差があるようなので振り切ったヤツも見てみたいところ。
翅には黒いシミも目立つので、鮮度は良くないですね。
そして♀個体。頭部の赤みは非常に強く、胸部から下もシムルゥのヒデオオキピのように濃いオレンジ色をしています(ただ、あちらと違って光沢は弱いです)。
♂同様に、♀もいつ落ちるか分からないので早速セットを組みました。
オキピは基本的に材産みなので、コバシャ小にカットした砂埋め霊芝材をマットで半埋めにしてみました。
それから3ヶ月・・・
なんとか産んでくれたようです。
「なんとか」・・・実は産んでくれたこの写真は2回目のセットの結果で、最初に組んだケースでは何故か無反応でした。
♀がハズレかとも考えましたが、一度セットを解体し、それまで横置きにして埋めていた霊芝材を試しに立てて埋めてみたらなんか産み始めましたねぇ。
ちょっとしたことで180度展開が変わるのは面白いモンです。
(勿論、この逆の展開だったら面白いもクソもないですが・・・)
セット替えしたのが4月頃。
割出したのは5月9日なのでほとんどが1令幼虫でした。
割った材には縦横無尽に食痕が延び、ポロポロと幼虫がまろび出てきます。
SNS上ではタリアブ産の産卵に苦戦している人が多いようなので、そんな中できちんと採れたのは御の字です。失敗する方々の典型例が、小型ノコだと侮ってマット固詰めだけのパターンが多いんだとか。自分の場合、逆にドルサリスで材産み狙い失敗してるんで他人の事笑えません。
中には、丸々太った3令幼虫に食われてしまった2令の亡骸も見つかりました。
(写真右の個体:3令♀幼虫、写真左の個体:食われて頭部のみになった2令)
結果、15頭ほどの幼虫を得る事ができました。
これらの幼虫を、
・カンタケ菌床
・カワラタケ菌床
を詰めたカップにそれぞれ半々くらいの割合で個別に移しました。
「オキピだし菌床いけるっしょ~!」
↑↑これが良くなかった・・・
疑惑のオキピ [オキピタリスノコギリ (原名亜種)]
アングスティコルニスミヤマ、アスタコイデスノコギリ、ここまで2種続けて紹介してきましたが、
今年入手した残り1種については、前の2種と違って手放しで喜べない虫なので少し詳しく書いてみたいと思います。
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今年の6月のある日、関西のあるショップのサイトにとある虫を見つけ目を疑いました。
「え!!!? ペレン産!!!!?」
サイトの新着情報欄に載っていたのは、オキピタリスノコギリの幼虫。
驚いたのは、その販売個体の産地、『ペレン島』。
ウソだろ・・・!? ありえない・・・ しかしこれは・・・凄いぞ・・・!!
たかがオキピに何をコーフンしてるんだ? と思われるでしょう。
オキピタリスノコギリはミャンマー南部からインドネシア~フィリピンにかけて広い範囲に普通に見られる一般的なクワガタなのですが、地域や島によって特徴が変わり、大きく分けると
・フィリピン~スラウェシ近海は原名亜種P. o. occipitalis
・大陸~スマトラ~ジャワ~ボルネオあたりまでは亜種アステリクスP. o. astericus
の2つに分かれるのですが、
特定の島嶼の個体群は特徴が認められさらに別の亜種として昇格しています。
その一つが一部でブームになったブラックヘッドことシムルエ亜種ヒデオP. o. hideoi
頭部が黒化し前胸の模様の特徴や光沢が他産地と異なっています。
そして、もう一つだけ亜種があり、それがペレン亜種マサコP. o. masakoae
♂は頭部の発達がやや悪く、色がやや濃いめ。そしてこの亜種の最大の特徴が♀の体表がほとんど黒化すると云う事。
(ちなみに、他にも亜種がいるのですがあまり支持されていない亜種なので割愛します)
「ペレン産が亜種なのは分かったけどなんでそんなに驚いてんの?」と云うと、
このペレンのマサコオキピの採集数に関係しています。
外産クワガタの入荷動向によく目を輝かせている諸兄ならご存知だと思いますが、スラウェシ島東沖に浮かぶペレン島からは昔からメタリフェルホソアカ、ファブリースノコギリがよく入荷し、たまにフルストルファーノコギリやオオヒラタなども入荷していますが、オキピタリスノコギリはどうでしょうか。
(ほぼ)無いんです。
なぜならば、この島のオキピタリスは他の島と生息事情が違っていて、大の付く珍品だからです。
日本で例えるなら、採集法が確立する前のヤエヤマコクワぐらいですかね。
それが、外国産をたくさん扱うそのショップの新着情報にポッと載っていたワケです。
これは買わないワケにはいかないでしょう。
ショップのブログでも、ペレン島産について特別何も言及されておらず亜種の区別も無く1頭600円で販売されていた事から、「これは店側も把握していない掘り出し物を見つけてしまった」と思い鼻息を荒げ、同じくオキピに目が無いNo.7に連絡。
しかし、興奮を覚えながらも一抹の不安がありました。
WF1の幼虫という事は、セットを組んだ人はWILDの親♀を見ているワケだよなぁ・・・
てことは黒い=普通じゃないって事は分かってるはずだよなぁ・・・
それで1頭600円ってのはどういう事?
この亜種自体、情報が少ないから中には普通の体色の♀も存在してて、別亜種だと気付かなかったからか?
いや別に亜種が違うからって値段を上げたりするとは限らない店だからその線もあるのか?
・・・もしかしてやっぱり・・・
この業界、亜種が違うと途端に熱狂するのが常。
新種、新亜種発見・格上げで流通価格が跳ね上がり、こうした動向に神経を尖らせ我先に流通の主導権を取ろうと眼を血走らせている人もいれば、逆にそれに対して癖易し嫌う人もいます。
マサコオキピは、ヒデオオキピのように♂の特徴が変わっている亜種ではなく♀に特徴がある亜種なので一般には盛り上がり要素に欠けるとも言えるのですが、それでもショップ側は通常のオキピと同じように扱っているのは不自然な気がしたワケです。
No.7 「まぁ♀が羽化すれば分かる事でしょう」
パソコンの前で考えても埒が明かないのでとりあえず10頭いた在庫をNo.7と一緒に買い占めてみました。
そして後日、生体が到着しました。
代表して購入手続きしてくれたNo.7の話によると、店側の話では親♀は黒くはなかったとの事だそうです。10頭の幼虫は、No.7と2人で分け5頭ずつそれぞれ飼う事にしました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして月日が経過し、この秋に無事♀が羽化し、♂も羽化しました。
身体が固まったので、いよいよ満を持してUPしてみます。
♂
あれ、思てたんと違う・・・!!
体色はもうちょっと濃いモノかと思ってたんですが、見慣れた感じの色ですね。
歯型も長歯ではないのですが、記載された個体も短歯だったので見比べてみるとなんか違う気がします。体型も普通で前胸から頭部にかけて狭く小さくなっているかと言うと・・・普通?
頭部の発色の質感も・・・
これ普通のスラウェシと変わらないじゃん!!!!!!
♀-1
♀-2
♀-3
♀-4
WF1だけあって前胸の紋の出方もバラバラですが、
一目瞭然、そもそも黒くねぇ!!!!
頭部の色も赤みが強く、普通のスラウェシ産と特徴が一緒。
一部マニアの間では、「果たして本当にペレンのオキピは黒いのか? 黒い♀と云うのは実際オキピとは関係ない種類なんじゃないか?」と疑問視されているようですが、現地で実際に採集されている方の話を引き合いに出すと、
「実際にペレンで黒い♀は採っていて、その♀からまともな数の幼虫は採れなかったが羽化した個体は確かに♂のオキピタリスだった」という事と
「買い付けに行く邦人バイヤーが現地のキャッチャー(かキーパー)に担がれている」と云う話があります。
色々と考えてしまうトコロはありますがここから先は今後の入荷にかかっているでしょうね。
ここまでの話を組み立てた結果、結論、
と判断しました。
つまり、スラウェシ産の原名亜種という事ですね。
No.7の方でも羽化したのは何の変哲もない通常の特徴だったようです。
ちょっとした波乱がありましたが、これで今年の増種は終わりです。
新しく入荷した在庫 1種類
全ての在庫 16種類
今年入手した残り1種については、前の2種と違って手放しで喜べない虫なので少し詳しく書いてみたいと思います。
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今年の6月のある日、関西のあるショップのサイトにとある虫を見つけ目を疑いました。
「え!!!? ペレン産!!!!?」
サイトの新着情報欄に載っていたのは、オキピタリスノコギリの幼虫。
驚いたのは、その販売個体の産地、『ペレン島』。
ウソだろ・・・!? ありえない・・・ しかしこれは・・・凄いぞ・・・!!
たかがオキピに何をコーフンしてるんだ? と思われるでしょう。
オキピタリスノコギリはミャンマー南部からインドネシア~フィリピンにかけて広い範囲に普通に見られる一般的なクワガタなのですが、地域や島によって特徴が変わり、大きく分けると
・フィリピン~スラウェシ近海は原名亜種P. o. occipitalis
・大陸~スマトラ~ジャワ~ボルネオあたりまでは亜種アステリクスP. o. astericus
の2つに分かれるのですが、
特定の島嶼の個体群は特徴が認められさらに別の亜種として昇格しています。
その一つが一部でブームになったブラックヘッドことシムルエ亜種ヒデオP. o. hideoi
頭部が黒化し前胸の模様の特徴や光沢が他産地と異なっています。
そして、もう一つだけ亜種があり、それがペレン亜種マサコP. o. masakoae
♂は頭部の発達がやや悪く、色がやや濃いめ。そしてこの亜種の最大の特徴が♀の体表がほとんど黒化すると云う事。
(ちなみに、他にも亜種がいるのですがあまり支持されていない亜種なので割愛します)
「ペレン産が亜種なのは分かったけどなんでそんなに驚いてんの?」と云うと、
このペレンのマサコオキピの採集数に関係しています。
外産クワガタの入荷動向によく目を輝かせている諸兄ならご存知だと思いますが、スラウェシ島東沖に浮かぶペレン島からは昔からメタリフェルホソアカ、ファブリースノコギリがよく入荷し、たまにフルストルファーノコギリやオオヒラタなども入荷していますが、オキピタリスノコギリはどうでしょうか。
(ほぼ)無いんです。
なぜならば、この島のオキピタリスは他の島と生息事情が違っていて、大の付く珍品だからです。
日本で例えるなら、採集法が確立する前のヤエヤマコクワぐらいですかね。
それが、外国産をたくさん扱うそのショップの新着情報にポッと載っていたワケです。
これは買わないワケにはいかないでしょう。
ショップのブログでも、ペレン島産について特別何も言及されておらず亜種の区別も無く1頭600円で販売されていた事から、「これは店側も把握していない掘り出し物を見つけてしまった」と思い鼻息を荒げ、同じくオキピに目が無いNo.7に連絡。
しかし、興奮を覚えながらも一抹の不安がありました。
WF1の幼虫という事は、セットを組んだ人はWILDの親♀を見ているワケだよなぁ・・・
てことは黒い=普通じゃないって事は分かってるはずだよなぁ・・・
それで1頭600円ってのはどういう事?
この亜種自体、情報が少ないから中には普通の体色の♀も存在してて、別亜種だと気付かなかったからか?
いや別に亜種が違うからって値段を上げたりするとは限らない店だからその線もあるのか?
・・・もしかしてやっぱり・・・
この業界、亜種が違うと途端に熱狂するのが常。
新種、新亜種発見・格上げで流通価格が跳ね上がり、こうした動向に神経を尖らせ我先に流通の主導権を取ろうと眼を血走らせている人もいれば、逆にそれに対して癖易し嫌う人もいます。
マサコオキピは、ヒデオオキピのように♂の特徴が変わっている亜種ではなく♀に特徴がある亜種なので一般には盛り上がり要素に欠けるとも言えるのですが、それでもショップ側は通常のオキピと同じように扱っているのは不自然な気がしたワケです。
No.7 「まぁ♀が羽化すれば分かる事でしょう」
パソコンの前で考えても埒が明かないのでとりあえず10頭いた在庫をNo.7と一緒に買い占めてみました。
そして後日、生体が到着しました。
オキピタリスノコギリ(亜種マサコ) ペレン島?
代表して購入手続きしてくれたNo.7の話によると、店側の話では親♀は黒くはなかったとの事だそうです。10頭の幼虫は、No.7と2人で分け5頭ずつそれぞれ飼う事にしました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして月日が経過し、この秋に無事♀が羽化し、♂も羽化しました。
身体が固まったので、いよいよ満を持してUPしてみます。
♂
あれ、思てたんと違う・・・!!
体色はもうちょっと濃いモノかと思ってたんですが、見慣れた感じの色ですね。
歯型も長歯ではないのですが、記載された個体も短歯だったので見比べてみるとなんか違う気がします。体型も普通で前胸から頭部にかけて狭く小さくなっているかと言うと・・・普通?
頭部の発色の質感も・・・
これ普通のスラウェシと変わらないじゃん!!!!!!
♀-1
♀-2
♀-3
♀-4
WF1だけあって前胸の紋の出方もバラバラですが、
一目瞭然、そもそも黒くねぇ!!!!
頭部の色も赤みが強く、普通のスラウェシ産と特徴が一緒。
一部マニアの間では、「果たして本当にペレンのオキピは黒いのか? 黒い♀と云うのは実際オキピとは関係ない種類なんじゃないか?」と疑問視されているようですが、現地で実際に採集されている方の話を引き合いに出すと、
「実際にペレンで黒い♀は採っていて、その♀からまともな数の幼虫は採れなかったが羽化した個体は確かに♂のオキピタリスだった」という事と
「買い付けに行く邦人バイヤーが現地のキャッチャー(かキーパー)に担がれている」と云う話があります。
色々と考えてしまうトコロはありますがここから先は今後の入荷にかかっているでしょうね。
ここまでの話を組み立てた結果、結論、
これ・・・違う・・・
と判断しました。
つまり、スラウェシ産の原名亜種という事ですね。
No.7の方でも羽化したのは何の変哲もない通常の特徴だったようです。
ちょっとした波乱がありましたが、これで今年の増種は終わりです。
新しく入荷した在庫 1種類
全ての在庫 16種類
オセロか…? [オキピタリスノコギリ (原名亜種)]
6月になって初の記事。
前回の記事から随分間が空いてしまったという事でかなり焦っている会長です。
さて久方振りの更新は、
微妙に復活の意味合いも含め今回は増種ネタです。
これは何年も昔から手にしてみたかった、けど
入手するタイミングがなかなかうまくかみ合わなかったので
たいして値が張る虫ではなかったのですが
今の今までここに出てくる事はありませんでした。
先日の土曜日、期待と期待に胸を膨らませ荷物を受け取りました。
今年に入って初飼育になる種類はツヤハダに次いで2種類目ですが
購入した虫・外国産の虫で数えれば今年初めてになりますか…
年々下手にあちこちに手を出して挑戦しなくなってきたなぁ…
梱包を解いてさぁお目見えです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えッ?
うんまぁ居ますよオキピ自体は居ますよ。
ただこちらは現行のシムルゥ島のヒデオ亜種ではなく
フィリピン・ルソン島ケソン州ジェネラルナカールの原名亜種。
フィリピン産が欲しかったんですよ!
前々から、方々でオキピタリスの写真を見ていると
インドネシア各島のものより色が濃く黄色が原色っぽくて
さらに大きいサイズで羽化してくると云う事で見てみたくて見てみたくて
しょうがなかったんですよ(笑)
(全地域の個体を見ていないので言い切ることはできませんけど…)
♂46mm
ボルネオ産のように体色は明るいが色自体が淡くなるワケではなく、
黄色を通り越してレモン色と呼ぶ方がいいかもしれない印象を受けます。
腹側もエキゾチックな模様で骨が透けてるように見えて…ちょっと…なんか…かっけー……
♀26mm
♀は光沢が強くてなんか惹かれますね(個人的に)。
オキピのブリードでは度々注目される、と言われたり言われなかったりするんですが、
♀の模様に個体差がありそれがまあまあ遺伝性を持っている可能性があります。
♀の前胸背の黒点模様や上翅会合部をはしる黒い帯部分は、
個体によって大きくなったり小さくなったり、
もしくは広くなったり狭くなったりするようで
特に上翅の帯についてはフィリピンでは一部の島では帯の広さが違うとか説明されたり
しているようですが自分としては、違いは島毎に大同小異でもあるかもしれませんが
個体差で片づける事が出来るのではないかと思います。
自分は黒い模様が広い個体の方が好きなのですが
入手した♀は黒い帯が狭い方なので血によって受け継がれるとしたら
次世代で期待する色味が出てくれるか望みが薄いですが、
沢山の個体をブリードすれば何か答えが出てくるかもしれません。
さて、
WILDなので早々に産卵セットを組むことにしました。
オキピは材に産ませた方が確実性があるので
爆産種と云えども気は抜かずに2本柔らかめの材を入念にガス抜きしたくわMatに埋めます。
数年越しで遂に手に入れたのでついつい力んでしまいます。
(でも緊張感を持ってやり続けるのがこの趣味では大事なんですよね)
♂も大歯で中々大きいので、
♀殺しが起きないようにグルーガンで大腮を固めて♀と一緒にセットに投入して
ペアリングも兼ねる事にしました。
~最後に~
せっかく別亜種が居るので並べてみました。
左:ヒデオ亜種 右:原名亜種
新しく入荷した在庫 1種類
ブログに載せた在庫 73種類
全ての在庫 41種類
前回の記事から随分間が空いてしまったという事でかなり焦っている会長です。
さて久方振りの更新は、
微妙に復活の意味合いも含め今回は増種ネタです。
これは何年も昔から手にしてみたかった、けど
入手するタイミングがなかなかうまくかみ合わなかったので
たいして値が張る虫ではなかったのですが
今の今までここに出てくる事はありませんでした。
先日の土曜日、期待と期待に胸を膨らませ荷物を受け取りました。
今年に入って初飼育になる種類はツヤハダに次いで2種類目ですが
購入した虫・外国産の虫で数えれば今年初めてになりますか…
年々下手にあちこちに手を出して挑戦しなくなってきたなぁ…
梱包を解いてさぁお目見えです。
オキピタリスノコギリ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えッ?
うんまぁ居ますよオキピ自体は居ますよ。
ただこちらは現行のシムルゥ島のヒデオ亜種ではなく
フィリピン・ルソン島ケソン州ジェネラルナカールの原名亜種。
フィリピン産が欲しかったんですよ!
前々から、方々でオキピタリスの写真を見ていると
インドネシア各島のものより色が濃く黄色が原色っぽくて
さらに大きいサイズで羽化してくると云う事で見てみたくて見てみたくて
しょうがなかったんですよ(笑)
(全地域の個体を見ていないので言い切ることはできませんけど…)
♂46mm
ボルネオ産のように体色は明るいが色自体が淡くなるワケではなく、
黄色を通り越してレモン色と呼ぶ方がいいかもしれない印象を受けます。
腹側もエキゾチックな模様で骨が透けてるように見えて…ちょっと…なんか…かっけー……
♀26mm
♀は光沢が強くてなんか惹かれますね(個人的に)。
オキピのブリードでは度々注目される、と言われたり言われなかったりするんですが、
♀の模様に個体差がありそれがまあまあ遺伝性を持っている可能性があります。
♀の前胸背の黒点模様や上翅会合部をはしる黒い帯部分は、
個体によって大きくなったり小さくなったり、
もしくは広くなったり狭くなったりするようで
特に上翅の帯についてはフィリピンでは一部の島では帯の広さが違うとか説明されたり
しているようですが自分としては、違いは島毎に大同小異でもあるかもしれませんが
個体差で片づける事が出来るのではないかと思います。
自分は黒い模様が広い個体の方が好きなのですが
入手した♀は黒い帯が狭い方なので血によって受け継がれるとしたら
次世代で期待する色味が出てくれるか望みが薄いですが、
沢山の個体をブリードすれば何か答えが出てくるかもしれません。
さて、
WILDなので早々に産卵セットを組むことにしました。
オキピは材に産ませた方が確実性があるので
爆産種と云えども気は抜かずに2本柔らかめの材を入念にガス抜きしたくわMatに埋めます。
数年越しで遂に手に入れたのでついつい力んでしまいます。
(でも緊張感を持ってやり続けるのがこの趣味では大事なんですよね)
♂も大歯で中々大きいので、
♀殺しが起きないようにグルーガンで大腮を固めて♀と一緒にセットに投入して
ペアリングも兼ねる事にしました。
~最後に~
せっかく別亜種が居るので並べてみました。
左:ヒデオ亜種 右:原名亜種
多分、右のヤツをオーブンでこんがり焼いたら左のになるんだろうな…
新しく入荷した在庫 1種類
ブログに載せた在庫 73種類
全ての在庫 41種類