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〆モーレンカンプオウゴンオニ (原名亜種) ブログトップ

2021年度羽化報告 モーレンカンプオウゴンオニクワガタ [〆モーレンカンプオウゴンオニ (原名亜種)]

こんにちは、会長です。
夕方にブログを更新するのもだいぶ久し振りですが、記事をUPしたら直ぐに採集へ直行です。

夏になったし、採集の話も書かなければいけないと云う気持ちもあるにはあるんですが、ルリ採集の話を書くには旬を過ぎてるし、毎週末の天候不順の所為でマグソ採集に今期は行けず・・・
現在は専らコクワ採集なのですが、今現在書いている暇が全くありません。平日も、仕事終わりに日没近くまで車の修理をちょこちょことこなし夜はコクワ集め。真夜中~朝方に帰宅し、前日までに〆たコクワの展足をして、少し寝たらまた仕事へ・・・と云うのを繰り返しています(!?) なんか夏場の採集スケジュールが年々過密気味になってきているような気がします。
そんな毎日なので、危うく6月分のブログ更新をゼロで終わるところでした。





さて今回も、残念ながら採集記事ではありません。
まだいくつか書いておくべき飼育ネタが残っているのでそれを吐き出さないと・・・

去年の8月に書いたモーレンカンプオウゴンオニの結果報告です。

10年前に奇形♂2頭が羽化して終わったローゼン以来、久し振りのオウゴンオニ。
1度採卵に失敗したものの、2度目の産卵で無事に多数の幼虫を得られたところまでを前回書いていました。
初っ端に失敗はしたけども、今振り返れば良い時代になったもんだなと感じます。輸入解禁した2000年前後って、卵を多数孵化させる以前に産卵させることもままならなかった虫ですからね。


幼虫が無事採れたのは嬉しかったものの、その後はいつもの怠け癖が顔を出して流れをおかしくさせてしまいました。

通常ならばおそらく、幼虫は800ccか1100ccに入れて2令後期とかで大径ビンに入れるのがスジなんでしょうが、いきなり大径ビンに投入してしまったんですよね。
ズボラな性格をしていると、こうして最初から大容量に入れておけば、「まだ交換しなくても生きてるだろう」とエサ交換のタイミングを逃してしまうんですよね。
さらに、最初から気合入れて大きい容器に入れてしまう所為で金銭的にも消耗してしまって交換する気持ちが湧かなくなるんですよ。
オウゴンオニはこの体格のクワガタにしては幼虫期間は短い方なのでちょっと気を付けていればそれほど幼虫飼育で根気は要らないハズなんですが、それすらも出来なかったんですね。


そんな経緯を軽く説明したところで、羽化データを書いていきます。

写真で出しても大丈夫そうな♂個体を載せていきます。10年前のローゼン2♂♂から比べると羽化数も格段に違いましたが、今回は幼虫をヤフオクに出したり死亡&羽化不全もいくつか出てしまったので、多いんだか少ないんだかよく分かりません。

【産地】インドネシア スマトラ島 ベンクール州
【累代】WF1

♂-①(A血統)
モーレンカンプ2021-1.JPG
2020年5月21日 割り出し 1令 恵栽園カワラ微粒子1400ccクリアボトルへ
同年7月29日 2令脱皮
同年12月10日 羽化確認 42mm

初っ端に大きい容器に入れた結果、エサ交換する気が失せてそのまま羽化してしまった典型ですね。とは言え、完品で羽化させられた(と言うか「してくれた」んですよね)のはローゼンの時から見れば個人的には大きな成長ですね。令和2年になってやっとですが。



♂-②(A血統)
モーレンカンプ2021-2.JPG
2020年5月21日 割り出し 1令 恵栽園カワラ微粒子800ccクリアボトルへ
同年7月29日 3令確認
2021年1月10日 羽化確認 43mm

サイズ的には♂-①に次いで小さいのですが、今回羽化した個体の中では一番気にかけていた個体。
何故ならこの♂、見た目はどうにか完品を保っていますが、残念ながら体内が正常に出来上がらなかったようで歩行も後食も満足に行なえない状態でした。気付けばひっくり返ってじっとしているし、ゼリーも与えていましたがちょろっと舐める事が出来る程度でした。
それでも、だいぶ永らえて5月頃まで生きてくれました。



♂-③(A血統)
モーレンカンプ2021-3.JPG
2020年5月21日 割り出し 1令 恵栽園カワラ微粒子200ccプリンカップへ
同年6月6日 2令脱皮
同年7月5日 同800ccクリアボトルへ
同年9月22日 13g 同1400ccガラスビンへ
同年11月 羽化確認 51mm

先の♂達と比べて一回り大きく羽化した個体ですが、残念ながらこれも完品ではありませんでした。
上から見るとちょっと右の上翅が脇に膨らんでいて、なぜかと言うと下翅が上手くたためず胴と上翅の間に下翅を噛んでしまったからなんですね。
飛ぶ事が出来なくなってしまいましたがそれ以外は正常で、その後も元気な姿を楽しませてくれました。



♂-④(A血統)
モーレンカンプ2021-4.JPG
2020年5月21日 割り出し 1令 恵栽園カワラ微粒子1400ccクリアボトルへ
同年7月29日 3令確認 同3000ccガラスビンへ
2021年1月31日 羽化確認
同年3月中旬 羽脱 57mm

今世代では次の♂-⑤と並んで最大クラスのサイズです。
3000ccに入れただけあって流石に大きくなってくれましたが、幼虫時代にビンをチェックしていた一時期にはとんでもない大きさに成長していたので6cm越えを期待していました。あんなデッカイ幼虫見てしまうと、「おや!? これはきっと飼育レコード超えるんじゃね?」なんて夢見ちゃうんですね。初めて飼育してるのに馬鹿なもんですね。
しかし、馬鹿の上塗りと言うか、分かってはいたのにエサ交換を怠けてしまい最終的に幼虫は最大時から大幅に矮化し、粉々になった菌床の中で蛹室を作らせた結果がこの有り様です。

しかも、この♂も残念ながら完品とはならず。
写真では上手く誤魔化していますが、左前脚の脛節が曲がっています。



♂-⑤(A血統)
モーレンカンプ2021-5.JPG
2020年5月21日 割り出し 1令 恵栽園カワラ微粒子800ccクリアボトルへ
同年7月29日 3令初期確認 3000ccガラスビンへ
2021年初頭 羽化確認 57.6mm

この♂が今期最大の個体です。♂-④とほぼ同サイズですが、こちらは本当の完品個体。
自分はまだモセリもババも現物を見たことが無いのですが、肉厚な体型なスマトラ産の方が魅力的に感じるので、この個体を眺めているとウットリします。


♂-⑥(B血統)
モーレンカンプ2021-6.JPG
2020年6月10日 割り出し 1令 恵栽園カワラ微粒子800ccプリンカップへ
同年9月22日 3令 8g 同1400ccガラスビンへ
2021年1月11日 蛹化
同年2月中旬 羽化 54.3mm

⑤までは、同一の系統の♂が続いていましたがこの⑥は別系統の個体です。
このB血統ですが、A血統と違ってエサへの適応力が弱く、幼虫時代に死亡個体が続出しました。最終的に羽化までに至ったのは1♂1♀なんですが、これはWILD親が持っていた共生菌が人工飼料に合わないものだったのか、はたまた幼虫に上手く共生菌が渡らなかったかなど原因がいくつか考えられます。一切菌床に食い入る事無く死亡した幼虫も多数居たので、このB血統には苦心しました。

その点もあるので、A血統と比べて羽化するのが少し遅く、後食するのかもちょっと心配でしたが、今ではゼリーをしっかり完食してくれています。


ちなみに♀個体は、♂に比べて羽化数は少なく43mm、43mm、47mm、48mmと云う結果。
♀は親越えをしたので見た目にも迫力が感じられます。





そんなワケでサクッと紹介していきましたが、データを見ると解る通り大変に恥ずかしい内容ばかり目立ちます。今となって思うのは、「あの時適切にビン交換していたらどうなっていたのだろう」と云う事。
57mm台の2♂♂も、もう一回交換していれば6cm超えたんじゃないのかと想像せずにいられません。

ただ、サイズ云々の話は抜きにして、飼育品だからこそ楽しめるオウゴンオニの魅力には大変満足できました。なんせ、WILDの時は「死ぬ前にペアリングしなきゃ!セット組まなきゃ!」と焦ってばかりでゆっくり観て楽しめなかったですからね。


一応、現在2♀♀をペアリングさせ産卵セットをみたところです。
今回羽化させられなかった6cmオーバーの♂を夢見ての再挑戦ですが、





うーん・・・
なんか、夢で終わりそうな気もするな・・・



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スマトラ産を選びたい [〆モーレンカンプオウゴンオニ (原名亜種)]

寝る子も目を覚ます夏・・・と云う事で、寝ぼけ眼に目薬を点して採集に明け暮れ、記事を書くのも久し振り。こんばんは、会長です。

ちょっと前までは、PCのブラウザはインターネットエクスプローラを使っていたのですが、いい加減限界が見えてきたので観念して(?)グーグルクロームを使うようになりました。
それでこのブログに問題があることにようやく気が付いたのですが、画像の縦横が所々滅茶苦茶じゃないですか!! インターネットエクスプローラやサファリがご親切にも画像の回転を修正してくれてただけだったんですねぇ・・・
今後、暇あって気が向いたら、気になる記事から選んで画像の回転を修正していきますが、多分全部は無理じゃないかなァと諦めてますので、画像がおかしいのが気になる場合は違うブラウザを使ってもらえれば・・・


さて、前回まではずっとコクワガタ採集(←この字面だけ見るとなんとショボイことか)記事が続いていたので、ガラッと趣向を変えて今回は増種記事です。
去年から放置して温めておいた内容なのでまた長くなってしまいます。


外国産クワガタの中で、人気度は常に上位に位置しているグループ・オウゴンオニ
クワガタ飼育を多数やっている人であれば、一度は飼ったことがあるという人も多いはず。自分も、10年以上前の高校生時代に2度ローゼンベルグを飼育したことがあります。

しかし自分の場合、その記憶を辿ってみると決して満足する内容で終わったとは言えない恥ずかしいものでした。
最初の飼育が2007年、小サイズのペアを購入しましたが、当時は飼育法も本に書いてある通りに再現できず、産卵セットはしたものの幼虫1頭が得られ、♀が羽化したところで飼育は終了しました。
2度目はこのブログを始めた2009年、この時は失敗から学んでのリベンジとして産卵自体は16頭の幼虫を得ることが出来ました。しかし、カワラ菌床に必要なシビアな管理・交換タイミングなどを間違えた所為もあって羽化できたのは不全の♂2頭。この時の恥ずかしい有り様は当時の記事でも紹介しています。

 【この時の恥ずかしい有り様】
   ⇒ 2010年4月25日 『Oh! Gon!』

その後、ホソアカやシカに熱中し、次第に採集に出向くようになってきたこともあってオウゴンオニ飼育は遠い過去の記憶のものとなっていました。

しかし、記憶と云うのは古くなればなるほど色味を増してくるもので、
人気グループであるオウゴンオニはネットでも雑誌でもSNSでもクワガタを探していればしょっちゅう目に付くので、段々と「あァ~あの時ローゼンまともに飼育して終われなかったんだよなァ~」と云う未練がダムに溜まる水のように年々強まってきたのです。

そのダムも、一昨年~去年でついに決壊し、三度オウゴンオニの飼育に手を出す決意を固めるに至ったのです!
プロローグ長っ



ここで、普通なら
「2度やってダメだったローゼンを、次こそ一世代回してみせるぞ!」
と意気込むところですが、自分らしいというか何というか、
「オウゴンオニだけど、違うのをやってみよう!
と「ローゼンの再飼育」ではなく「オウゴンオニの再飼育」と云うスタンスで飼育種選びに移りました。

オウゴンオニクワガタと云うのは2種5亜種に分けられ、他の主だった人気グループと比べてみると種類としては多くないですが、面白い事にこれら5種類のそれぞれが人気(?)を持っているくらいに独立した存在感を持っています。
(違う喩えで言うと、人気アイドル歌手グループのメンバーそれぞれに固定のファンが付いているような感じとでも言いましょうか)

という事で、まずこの5種類のオウゴンオニの個人的所感と、結果的にどの産地に決めたかを書いていきます(記事タイトルでもう書いちゃってるけど)。あくまで個人的な意見ですから、現在飼育している人で気分を悪くする人がいたら先に謝っときます。

ローゼンベルグオウゴンオニ
Allotopus rosenbergi
さっきも書いたんですが普通なら同じ種でリベンジするものです。
・・・ですがねぇ~・・・他のオウゴンオニも飼った経験も無い状態でさすがに1種に絞るのは、さすがにやる気が湧かない!モチベーションが保てない!
他ではオウゴンオニでも同時進行的に複数種飼育している人も多いようですが、自分の場合は現時点で1種が限界、所有欲求を満たす為だけに最初だけ調子よくあれこれ手を出してた10代後半の頃の失敗はできるだけ繰り返したくない・・・でも違うオウゴンオニも飼ってみたい!と思ったら、きっぱりローゼンは諦めて別種のいずれかに鞍替えしようという話になるワケです。

それと、今さらになってローゼンをやりたくない(モチベーションが保てない)と思う理由の一つが、現地飼育品(幼虫採集品)だと云う事。「できればWILDが欲しい」というのが自分の飼育種を増やすにあたっての選定要素の一つで、他人の羽化させた虫と云うのはどうにもやる気が湧いてこないという自覚があります(これも昔と比べて飼育離れが進んでいる証左なのでしょうか)。現地飼育品も、完全に卵から人の手を借りて育っているわけでなくても、何か抵抗を感じてしまいます。それに、毎月のように大量の羽化個体をストックして日本へ輸出している状況も、なんかアジアの神秘みたいな虫に対するロマンが薄れて感じるんですね。勿論、そのおかげで低価格で手に入る恩恵に預かれるのも分かってはいますが・・・


ババオウゴンオニ
Allotopus moellenkampi babai
オウゴンオニの中でも国内では屈指のブランド力を持っている1亜種で、希少性を窺わせる採集事情・生息事情と、他の亜種に比べて飼育しやすくサイズも大きくなりやすい、そして光沢の強い「ザ・オウゴンオニ」と言える見た目、人気が出ないワケが無い虫です。今の飼育情報発信の主流はSNSアプリですが、それらをちょっと見ていてもババはクワガタ好きが繋がる名刺代わりのようなもので、「ババ飼ってます!」→「イイですね!私も飼ってます、繋がりましょう!」「羨ましいです!繋がりましょう!(仲良くなったら幼虫くれないかな)」「プレ(ゼント)企画やります何か協賛品ありませんか!?」なんて光景はよく目にします。虫仲間作りたきゃババを飼え!と言うくらい、ババが手持ちのカードとして強い存在である様子を感じます。

ただ、個人的にはババにはあまり食指が動きませんでした。
まず、ローゼンの時に書いた「飼育品にあまり手を出したくない」という事。今ババは現地ミャンマーからWILDが入ってない状態で、巷にあふれているのは何代も国内で飼育が回されてきた飼育品。人気種の為大型が出るものなどは血統物としても流通していて、そういうのが多い虫はあまり好まない性格の自分としてはそんな「国内で擦られまくった」虫はあまり魅力的には映りません。
そして、これもババの流通事情で以前から言われている、マレー産モセリとの交雑問題。今ではあまりそういう話をする人も減ったように見受けられるのですが、多分これって「交雑個体が市場から消えた」のではなく、「純粋なババと交雑個体の見分けがつかない(あまり交雑を気にしない)新しい飼育者が増えてきて、単純に飼育する楽しみとしてババを飼っている」のか「交雑問題を危惧する人がババ(もしくはオウゴンオニ全般)から離れていった」のではないかと個人的には思うんですよ。BE-KUWAやKUWATAのバックナンバーでババの写真を見てからネットでババの♂写真を多数見てると、なんか色や光沢具合が変なものが時折出てきます。カメラの性能や写真の色彩バランスが違えばたとえ本物でも混ざっているように見えてしまうんで、自分で判断する事も難しく、そう考えてしまった時点で自分の中では増種候補からは除外しました。


フルストルファーオウゴンオニ
Allotopus moellenkampi fruhstorferi
昔と今で最もイメージが変わったという印象を受ける亜種。まず、この亜種はボルネオ島に分布し、WILDの入荷数もババに次ぐ(もしくは同等の)少なさで希少なオウゴンオニと言ったところ。オウゴンオニの亜種中で最小の亜種で、マレーシア領の基産地周辺の山塊の個体群は♀が黒い事が特徴です。
さて、この亜種ですが自分の記憶では、昔はコアなオウゴンオニファンがモセリやローゼンの流れでコレクション欲求を満たすついでにブリードに挑戦していた・・・くらいのポジションでした。
その後、’00年代中期以降しばらくの間マレーシア側からの虫の輸入がほぼ止まってしまい、’10年代半ば頃に復活するまでの間、代わりにインドネシア側のカリマンタンからたまに入荷していました。このカリマンタン産のフルストルファーが、色形の特徴がやや別物で、市場からは「本当のフルストルファーじゃない!」とNOを突き付けられたような扱いになっていきました。
そして、入荷が再開したボルネオのフルストルファーの扱いは、入荷ストップ前とは大きく変わっていました。以前は「小さい、♀に色が無くてオウゴンオニらしくない、入荷が稀で存在感薄い、他の亜種の方が魅力的」なんて感じでしたが、今はそれがむしろセールスポイントみたいなもので、♂を自分の手で大きくして初の大歯を世に知らしめたい・・・とか、その特徴から交雑の心配をする必要が無い事(幼虫詐欺はありそうですが)、ボルネオ便再入荷ブームも相まってフルストルファーが再評価されることになりました。さらに極めつけは、オウゴンオニの中でもどうやらブリードは最も大変な亜種で、調子が良い♀親でも産卵数は少なく、血を入れ替えていかないとすぐに累代が止まってしまうと云う上級者向けのクワガタらしいと云う事。そこに、ちょっと珍しい虫だと生体価格がポポンと跳ね上がる今の流通事情が後押しとなって、入荷数の少なさで元々そんなに安くも無かった生体価格は常に高止まりで安定するような状況で今に至っています。
・・・無理だろこんな虫ーー!!!!
こんなのやれるんならとっくにウッディ飼ってるわ!!!!
一応ネット上で他の虫の入荷状況を見ている時にフルストルファーもチラッと見てはいますが、そうそう素人が手を出せる状況じゃないっぽいです、ごくたまにオークションに出ているWILDは入札者が殺到するのも当たり前ですが、それよりも入荷前の時点で予約で売り先が決まっている事がほとんどみたいで、新参が入手するとしたら、ウッディやボーリンとかを飼ってる高額種ブリーダーグループが出してるブリード品を入手するくらいでしょうか。結局ブリード品か、やだねぇ。


モセリオウゴンオニ
Allotopus moellenkampi moseri
前の3つは基本的にブリード品しか手に入らないワケですが、このモセリに関しては現在でもWILDが手に入る分ちょっと事情が違います。生息地のマレー半島からは毎年ある程度の数が安定して入荷があり、春から夏頃の期間限定ですがわりといくつかのショップで入荷します。人気種が本種以外にも多数入荷する産地なので、ネシア便の入荷情報更新を怠けているショップでもこのマレー便はきちんとお知らせしてくれることが多いので地方在住の飼育者でもWILD購入の足掛かりは作り易いです。
飼育においても、「似たフォルムながらババの方が人気は上」と云う状況なので、生体価格が異常に跳ね上がったり、流通で溢れかえって飽和状態になる様子もなく良くも悪くも健全なイメージ。飼育もクセがあると云う話も無く、WILD生体価格で予算を20,000~30,000円見積もる必要がある以外は抵抗はありません。

あと他に、モセリと定義するべきかは疑問に思いますが、マレー半島よりもババの分布域に近いタイ南西部から採集されたオウゴンオニも少数ながら国内のブリーダーの間で渡り歩いていますね。これも久しくWILDが入っている情報も聞きませんし、個人的に分類上あまりに意見が分かれすぎていたり謎な扱いの虫は飼育したいと思わないのでこちらは検討から除外。


そう云う事で、わりと購入直前までマレー産モセリと迷い続けていたのですが、最終的に購入したのはこちらでした。






CA3I0607.JPG
モーレンカンプオウゴンオニ(原名亜種) スマトラ島 ベンクール州


スマトラ島・・・と言うと、この界隈の地域で比べて言えば「たくさん虫が入荷している『普通』の島」と云う位置付け(?)さらに、スマトラヒラタなんかではアチェ州産や北スマトラ州産が珍重されたりする反面、南部のベンクール州は人気ランキングに入らせてすらもらえないような扱いだったりします。
(すごくスマトラのイメージ下げてるように見えますがそういうわけではありません)
モーレンカンプは、このオウゴンオニの中では一番の普通種とも言える亜種です。幼虫採集品を羽化させて大量に送ってくるローゼンも元々は野外成虫の採集数が僅かである事を考えれば、年間で最も多くのWILD個体が輸入されている事からそれが判ります。
発生時期も一年中なのか、時期によって細ることはあっても年間通じて入荷があるので入手時期も選びません。

ただ、他の亜種と一番違うなァと感じるのは、飼育でのその人気度。
フルストルファーなんかは、小さいくせに希少でブリードも難しいおかげか「そのブリーダーのステータスを表す虫」みたいに扱われていますが、本亜種モーレンは同じく大きくならないオウゴンオニのくせにWILD入荷数が多くて価格も手ごろな所為か「オウゴンオニ好きって言いたいなら一回くらいやっとけば」程度にしか見られてない印象があります。
なんとも不憫な・・・

逆に、そういう不人気種ばかりにあえてスポットを当ててブリードする人たちも中には居ますが、自分が今回モーレンを選んだのはそういう「ひねくれた」理由ではなく、この亜種の虫としての魅力・背景、そして「高額種が嫌」って事と「飼育品が嫌」って事に尽きるのです。(それは十分ひねくれていると言えるんじゃ・・・)

すらっと伸びたモセリやババの大腮もカッコいいのですが、あの図鑑で見る「長歯になっているのかいないのか」もどかしい中途半端な大腮が、ダイナミックさは無くとも面白い造形である事は事実で、長歯型になったら・・・と云う想像力を掻き立てられる見た目をしています。
そして、ローゼンやフルストルファーのような、もしくはそれ以上の寸胴短足体型は、重厚感が強く感じられるんですね。この視点で言うと、ババやモセリは「悪い意味で体型が良い」。完全に言い方と感じ方によるものですな。


また、「オウゴンオニの普通種」と云った表現で文章を書いていますが、コーカサスオオカブト・オオヒラタ・マンディブラリスフタマタ・エラフスホソアカをはじめとした多種多様な昆虫を産するスマトラ島も、我々日本人が思っているほど豊かな自然はそうそう残っていないようです。

ブラジルやオーストラリアではよく知られている大規模森林火災。インドネシア各島でもかなりの件数が報告されていて、かなりの面積が毎年消失しています。
また、産業としてパームオイルや紙の原料を採る為にプランテーションが行われているワケですが、その為の原生林が大規模に伐採されています。ゾウやトラが追い立てられて絶滅に向かっているという話は聞きますが、この話にクワガタなど昆虫は全く関係ないだろうと思う人は皆無でしょう。だからと言って、その恩恵も受けている我々が「森林伐採ヤメロ!」などと言う事は出来ないのですが、この大規模伐採も必ずしも政府や企業で主導した計画性のあるものばかりではないらしく、違法伐採も横行しているとの事。紙製品の産出国を見ると「INDONESIA」と書いてあるものは非常に多く、違法伐採で植えられた原木を使っていない証明として、製品に適法材を使っていますよと云うロゴを打ち込んだりしているそうですが、徹底できるものなのかなァ~と個人的に思ったりはします。
そんな事情を抱え、年々猛スピードで減少していくスマトラ島の熱帯雨林でも、果たしていつまでもこのまま普通種然としたモーレンが同じように存続していけるのか、心配にもなるのです。
(そうして現地環境を危惧する事と飼育する為に現地で採集する事は、若干の矛盾が生じるのですが)


そこから学びたいのは、
珍しくない虫だからと言ってそれを無下にしてはいけないという事です。















ここまで、長々書いてはきましたが、
ちょうどキリのよさそうなところまで来れたので一旦立ち止まって今ここまで記事を書いている段階での自分の正直な感想を述べますと、

なんか文章打ってる内に話がディープでヘビーな方向に逸れちゃってだんだん怖くなってきた・・・!!
今回の記事用写真、沢山有るのにまだ1枚しか出してないんだけど




飼育の話に戻しまして、
今の画像のペアを購入したのは去年10月の話。
勿論WILD個体、採集も落ち着いて生体輸送にも優しい秋の季節です。

CA3I0599.JPG
♂個体。
オウゴンオニは種類や産地によって色彩がちょっと違い、主にローゼン・フルストルファー・ババはゴールド系、まさに黄金と云った体色で、モセリ・モーレンカンプはちょっと白っぽいシルバー系の体色で、ちょっと緑色っぽさも混じったように見えますね、微々たるものですが。実物を唯一見ているローゼンと比べても、やはり色の風味?が違う感じです。

サイズは体長40mmとちょっとと云うくらいの小さなもので大腮も三角形です。ここからブリードで大きくしてやる訳ですからむしろこれが良いんですね。
ローゼンと違い、現地では灯火採集で採っていると言われているだけに体表には擦れが目立ちやつれて見えます。あと、残念ですが左前脚がフ節麻痺。こういうのを明記しないで平然と売るからこの業者から買いたくないんだよなァ・・・

CA3I0600.JPG
腹側から見た「顔」は、黒ではなく明色だからか、表情さえ見えてきそうな錯覚もしてしまいます。実物を飼っている人であれば、きっと皆この下から頭部を見た時のかっこよさを知っている事でしょう。まァ、これに関してはもうちょっとサイズが欲しいところですけど。

CA3I0601.JPG
横から見ると、オウゴンオニの独特な重厚感に見惚れてしまいます。クワガタならではの大腮の迫力とはちょっと違った、純粋に「大きい」と感じさせてしまうものがこれにはありますね。他の大型種と比べても短足な点が、さらに虫を大きく見せているようにも感じます。これぞまさに黄金体型ですね。

CA3I0603.JPG
腹側。当たり前ですが真っ金金です。
色虫って意外と背面だけ派手で腹側は地味だなんてパターンもよくありますが、オウゴンオニは表側だけでなくきちんと裏側まで気を抜いていない(?)あたり、「看板に偽り無し」ですね。

CA3I0604.JPG
そしてこの後の主役、♀個体。
♂と違って透き通った感のある色味をまとっています。この点で言えばボルネオのフルストルファー以外はほとんど似たり寄ったりなので、特にモーレンだからこうであると云うポイントも無いのですが・・・

CA3I0605.JPG
上から見ると、♂にも負けずこの大柄な体型で存在感の強さに見入ってしまいます。


さて、こうしてまじまじと♀個体を見ると、
やはり♂同様に擦れが目立ちます。
WILDの擦れた♀個体を入手する場合に心配なのが、野外で産卵をどのくらい済ませているのかという事。

特に、産卵飼育にあたって見た目上で気になる箇所を注視すると、大変心細くなってきます。その要素を、ピックアップして書いていくと以下の通り。
CA3I0609.JPG
①大腮先端の摩耗
画質がイマイチなのにズームにするとかえって判りづらくなってしまったような・・・
背面写真と併せて見てみても、大腮先端の形=擦り減り具合が左右で違うのが判ります。これを見ると、産卵もほとんど完了しているのではないかと不安になってきます。実際には、もっとボロボロで丸くなってるWILD画像も見ることはあるので、これだけでもう空の♀だと判断するのは早計ですが・・・

②頭部~前胸背~上翅の擦れ
多分これが一番見た目で判りやすいところです。オウゴンオニは腐朽材に全身で穿孔していってその中で産卵する虫なので、体表が擦れて黒い部分が多ければ多いほど野外で産卵を多数終えているのではないかと云う指標にできます。
頭部~前胸背板にかけては、元々黒い模様も入ってるので判り辛いですが、光沢が剥げてちょっと灰色っぽい艶消し状になっています。

③前脚脛節先端の棘の摩耗
材内へ坑道を掘る際には前脚で木屑を押し退けたり、掻き出したりするのでかなり負担がかかる部分です。新成虫との比較画像はありませんが、新成虫はもっと長く鋭くなっています。それが、これほど丸くなっていると云う事は・・・不安・・・



オウゴンオニのセットを組むのも久し振りなので、本来であれば自分の考えうるベストな資材を準備して臨むべきなのは言うまでもないのですが、
そこのところが甘くて、一番使いたかった砂埋め霊芝材はこのタイミングで手に入らなかった為に、あり物で済ませることにしました。

・・・休日の昼飯みたいな話になっていますが、使う材は2種類
まず一つ目は、余り物の植菌霊芝材
CA3I0613.JPG
見ての通り、鹿角霊芝矢印部分がニョキッと伸びてしまっているほど期間が経っています。
被膜が硬くなってしまっているため樹皮を一部分剥いでみましたが、軟い・・・ほぼスポンジになってる・・・
めちゃくちゃ不安ですが、このままケースに仕込みます。

そして二つ目ですが、今度は産卵木ではなく菌床を使用してみます。
ただし、これも霊芝材と同じく難点が・・・

CA3I0612.JPG
使うのはこの430ccのプリンカップですが、これも買ってからかなりの年月が経過しています。捨てずに保管してるのがおかしいレベルです。
カップを掴んでみると中身がフニャフニャ・・・

このカップを単品で産卵床にするのにはあまりに小さいので、ちょっと工作。

CA3I0616.JPG
カッターでカップの底を切り抜きます。これを2個用意して、

CA3I0617.JPG
2つのカップの底をくっ付け、セロテープで固定します。
そして、これを横置きでセットするのですが、その中へ♀が入っていけるよう3cm四方に壁面を切り抜いておきます。
(出てこれなくて体力を浪費してしまう事態は出来るだけ避けたいと思って、一応それぞれのカップに1ヶ所ずつ作ってみました)

CA3I0618.JPG
コバエシャッター中サイズに、埋め込みマットをやや乾燥気味のまま敷き、そこへ植菌霊芝材とカップを並べて入れ、転がらない程度にマットにうずめます。




それから2ヶ月が経ち、年末12月15日
ケースはどうなっているのか、暴いてみました。
(まァそれまでの間ちょくちょく見てはいたけど・・・)


CA3I0843.JPG
外から見ていた限りでは穿孔した痕跡も無く、ある時期からは♀の姿が見えなくなっていたので、・・・おっ・・・まさかもう力尽きて死んでしまったのかな・・・と半ば諦めていたのですが、ひっくり返してみるときちんと材を齧っているみたいです。
俄然楽しみになってきました(笑)



CA3I0844.JPG
あ、あれっ!?
大失敗。3個ほど産んだ形跡があるものの全部真っ黒になっていてトビムシのエサになっていました・・・

原因も触ってみて納得でした。
水分が多くてグズグズに軟らかい。
そうだよな~これ随分前の残り物だしなァ・・・
中からは、力尽きた親♀がバラバラになって出てきました。


なお、工作したカップの方ですが、興味を示してちょっと入り口を散らかしたところまでいったのですが結局それ以降見向きもしませんでした。
・・・工作時からちょっと思ってはいましたが、時間が経ちすぎてる所為か菌床からちょっとアルコール臭?と言うかアンモニア臭のような香りがしていたんですよね。


   結果


       古いのは使うな!!!!



これにて、初めてのモーレンカンプの飼育はなんとも味気なく終了したのです。

〉〉 そして、翌2020年・・・


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