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オキピタリスのスーパー大歯? [〆オキピタリスノコギリ (シベルート島)]

去る24日土曜日、青森市内で県内の虫屋達が集う納会が行われました。

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「県内の虫屋」・・・と言っても、特定の研究会に所属していないフリーランスのクワガタ屋メンバーですね。

去年まで南部地域での開催でしたが今年は初の津軽側での開催。その為今回は参加したメンバーも少々様変わりしました。初参加が全員20代で、今年オオクワデビューし赤マル急上昇中のT君、20代の県内採集者として「至高」と云って間違いないF氏、そしてNo.2No.6も加わり、過半数が20代と云う結果に。


CA3I0780.JPG去年は鈴木さんによるオオクワ採集の意識共有を目的とした講話がありましたが、今年は参加者の一人であるY氏による主な昆虫の殺虫法のあれこれと展翅展足のテクニックを解説して頂きました。


参加者の中にはクワガタ屋ではない別の専門の人も居るし、標本について勉強できる機会が少ないクワガタ以外の虫にも興味が出てきたメンバーもいたりで、とてもタイムリーな内容でした。
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この解説の為に、わざわざテレビ画面とビデオカメラを用意しましたからね(笑)
Y氏も、さすがに居酒屋で展翅したのは初めてだったのではないだろうか・・・

そして同じく去年やった景品争奪くじ引きイベントも、一回転ヒネりを加えて今年も開催。
去年、採集に使える機能型カレンダーを景品として押し付けてしまいながらも嫌な顔せず受け取ってもらえたことに気を良くして、今年もまたお金を掛けて作ってしまいました。(無駄に高く付いた・・・)
CA3I0770.JPG実は今回、カレンダー自体にひっそりくじ番号を埋め込んでいて、乾杯時に出席者に配っておき後になってタネ明かしすると云うサプライズを組み込みました。

景品用意する事より何より、カレンダー作るのが一番疲れた・・・

もう刷れん・・・!!


景品は、
長芋焼酎「六趣」
  (これも確保に手間取りました・・・)
ミルクラングドシャ(GLACIEL)
  (新商品との事で、景品用に買ってきたものの自分用にも残せばよかったと後悔)
クワガタ採集用メジャーシール
  採集メジャーシール.JPG
  (末等扱いですが、手間が掛かりました。意外と重宝する・・・と思います)
を用意した他に、
米焼酎「ZUZU」
新開発・特製毒タッパー
400W透明水銀ランプ(新品)
と云った豪華なものまで協賛品として提供して頂きました。

2次会まで全員参加して頂き、日付が変わっても楽しい時間が過ごせました。

自分が今回幹事を務めさせてもらったという事でこんな感じでちょっと調子にのってみました。
個人的には上手くやれたかどうかと云う反省より、最後の最後にパーキングチケットを落として駐車場代を満額払わされる痛いオチがついた事が一番の反省点でした。





さて内輪話はこれくらいにしておいて、
今回は2016年8月に最後の記事を書いて以来長らく更新していなかったシベルート島産オキピタリスノコギリのその後の流れを書いてみます。

一昨年の記事では、
F2成虫を組み無事幼虫が孵化したところまで報告し終わっていましたが、その後少ないながらF3幼虫が無事採れ累代継続しておりました。

そして去年の春、F3世代が順次羽化をはじめました。ここまではいつもの同じ繰り返しです。



ところが、一発目に羽化した♂がなんと未だかつて見た事の無い奇妙な個体でした。





その個体の紹介の前に、まずは同じF3♂でその後羽化してきた♂個体を載せていきます。


♂-①
シベルートWF3-1.JPG
通常の長歯♂個体です。
シベルート産の特徴である前胸背の大きな黒点も安定して出現しています。よく見ればこの黒斑、上下にラインを割っていて地色(黄色の部分)を左右に分割していますね。
そしてシベルート産のもう一つの特徴、大腮の最大内歯の三つ又化は、この個体では右側にのみ現れています。


♂-②
シベルートWF3-2.JPG
♂-①と微妙に違うのが大腮の歯型、いわゆる完全大歯(完全長歯)と呼ばれ根元の内歯が消失した型です。
造形がシンプルになった分大腮が伸長して見えなくもないですが♂-①と長さは変わりません。
しかし、この個体も惜しい事に内歯の三つ又が左側にしか発現していません。入手元の方での羽化個体でも、三つ又個体は長歯型でも必ず出るものではないようで、これが歯型の限界にならないと出てこないものなのか、はたまた確率で出てくる(=不安定な内歯形状)のかはっきり掴めていませんが、これまで羽化しているものは全世代通して50mm以下で、体長の大小に対して歯型の変化が連続して変化しない「クベラツヤパターン」の大腮なので、長歯型であれば体長もほぼ関係なく三つ又が出る可能性があるのではないかと思います。

おまけで、個人的な好みですが頭部の黒化が進んでいてなおかつ黒化部と黄化部もはっきりと分かれている点は地味に見惚れます(笑)



さてここまでがこれまで見慣れてきた通常のシベルートオキピです。
ここまでの特徴を頭に入れてから次に出す例の個体を見れば、その特殊さにちょっとくらいは面白みを感じられるかと思います。



♂-③
シベルートWF3-3.JPG
F3でいきなり羽化してきたのがこれだったので度肝を抜かれました。
三つ又になるのは見慣れていましたが、まさかそこから内歯が1本独立していくとは思いませんでした。これまで他飼育者の同産地個体でも見た事が無いので、「これが真のシベルート産の完全長歯型だ!!」とは言えない(ただの内歯奇形)ですが、偶発的な現象として片付けるにはもったいない、左右対称でとてもきれいな仕上がり。

シベルートWF3-3-1kai.JPG
体長により歯型が発達したワケではなく、と言うのもこの③のサイズは48mm
むしろ、キチンとエサを食わせたにも関わらず50UPしなかったショックの方が大きい気が・・・


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さて、ひとしきり興奮し終えたところで次世代のブリードに取り掛かりました。

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ペアリング自体はこの通り↑↑3ペア分、♀も大型を選抜し満を持して臨んだ
・・・のでしたが、



ちょうどペアリング時期が夏場に重なり、
採集に出ずっぱりになり産卵セットを仕込んだのはたったの1ペア・・・(呆)
しかもさらにやっちまった大きな失敗があります・・・このF3個体群を標本に残していませんでした。

そこからさらに半年近くが経過し、

割り出したのは今年2018年の1月2日・・・!!!
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尚、組んだのは2017年夏です。

出てくるのは全部3令。前蛹や蛹が出なかったのが不思議なくらいの長期放置です。
※このブログでは定期的にこのような事が起こっていますね。もうお馴染みですね。

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割り出しが遅れまくったのもあってか出てきたのはたったの6頭厳しい・・・
しかもさらに厳しいことに、雌雄比が極限の♀5頭:♂1頭

ハラハラしながらこのままマット飼育に移行、スリリングなF4飼育が始まりました。


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ただ、このまま順調に成長してくれれば良かったのですが今度は別のトラブルに衝突しました。拒食です。

よく思い返せば、割り出し当時から幼虫に弾力が無くグッタリとした様子だったのでその時点で既に何らかの問題が発生していたのかも知れません。
数ヶ月経った時点で2頭の♀のビンにマットがかき回された様子が見られず、確認するとやはり死亡していました。

その他の幼虫も、特に唯一の♂個体の様子も定期的に観察し注視していましたが、不安は的中。マットは食べているしその分糞も出しているのにずっとマット上で生活していました。
時々マット内に手戻しを試みるもやはり出てきます。
長々とこの状況で観察を続けていた末、遂に幼虫の様子に衰弱の兆しが見え始めたので、諦め半分で思い切ってカワラ菌床カップに投入しました。ヤケクソです。

そこからまたしばらく経ち、
他の存命♀幼虫が既に成虫になってからも菌床カップの側面には生体反応が現れません。
ここで遂に貴重なシベルートも絶えてしまった・・・



現在同じシベルート産生体を保有する稀な飼育者であるNo.7にこのことを報告し、
シベルートの未来は彼に託された(No.7からしたら迷惑だろうなァ)
区切りをつけかけた7月の初め、




放置し続けていたカップの中にチラッと何か動く物が見えました。

CA3I0351.JPG
・・・何か居る・・・??



CA3I0353.JPG
羽化してる!! てか生きてた!!!!!


首の皮一枚でつながりました。
投入後、カップ表面には出てこずに内部で羽化し、そのまま投入穴から羽脱していました。非常に小さな♂で、左前脚が奇形で腿節から先が無い状態なのがギリギリぽくてとても自分らしい展開ですが、これで無事ペアリングにこぎつけることが出来ました。



早速生き残りの僅かな♀達とペアリングを開始しました。

そして、時を同じくしてNo.7からの提案で、同時期にシベルート産を飼育していたと云う県外の飼育者からブリードに使えそうな♂個体を送ってもらえることになりました。
「俺らの他にまだ持ってる人が居たか・・・!!」と感心しましたが、残念ながらその方は累代に失敗してしまい、送ってもらうその♂個体がシベルート最後の生き残りだと云う話でした。
いやもうホントにシベルートオキピって俺とNo.7しか残ってないじゃない?
送ってもらった♂個体は同じくF4で、羽化日がわりと最近の為直ぐには使えなかったのですが、これで♂2頭体制でブリードを再開できました。



・・・しかし、悲しきかな時期は採集シーズン真っ只中
結局去年と同じ過ちを繰り返してしまいました。
ペアリング状態のまま少し放置していたら、やられました。
短歯だからと油断してしまい、気付いた時には♀がバラバラになっていました。


その後も、控えの♀が死んでしまい、♀のストックがゼロに。
送ってもらった♂が動き始めた頃には、合わせる♀がどこにも居ませんでした。





結局累代終了しちゃったじゃねぇかオイ!!!!!!!

アホだ・・・
いくつになっても成長してない・・・


No.7に呆れられ、遂に年貢の納め時かと思いました。








そしてしばらく経ったある秋の日。

No.7 「小さいけど沢山羽化したんで渡しますよ」



国内最後のブリーダー(自分調べ)からF6を貰い受け
今、残り短いシベルート産ブリードを再び開始したところです。



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