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〆ゴホンヅノ (プランディ亜種) ブログトップ

Greatest Rhino beetles 2017-2021 [〆ゴホンヅノ (プランディ亜種)]

プランディゴホンヅノカブトは、前回の更新が2019年8月
あれから1年8ヶ月が経ち、一通り全ての個体の飼育結果がまとまりました。

と云う事で、
今回はその結果発表=羽化報告としてまとめてみたいと思います。


蛹化
時は2019年秋、大多数の幼虫が蛹化ラッシュを迎えた頃です。
崩落寸前の蛹室、マット上部での蛹化など、人工蛹室が必要となる前蛹や蛹もちらほらと見つかり、人工蛹室に移した個体も複数居ました。

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スペースの削減や観察上の合理性、あとは見栄え(?)も考慮して、あえて1ケースに♂♀を同居させてみたりもしました。

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この人工蛹室の為に、当時製造が終わりつつあった100均のMDケースを血眼になって探したんですよ。今となっては売ってる所が見つかりません。

人工蛹室も、それまではウレタンフォームをスプーンで手掘りしていましたが、形状の安定化を図るため、ボーリング管を自作しました。これで、安定した形状の蛹室を作れるようになりました。
おまけに、48mm&60mmと太さを2種類用意しましたからね。これでカブトは中型種でも大型種でも対処できるでしょう。


さて、前回は羽化の一部始終を連続撮影する事が出来ました。

その時の文末に、「羽化シーンを始めから撮りたい」と書いていたのですが、結果的にそれは叶いませんでした。

しかし、片や蛹化シーンについては運良く(悪く?)背中が割れたばかりの前蛹が1頭居たので、人工蛹室に急遽移しカメラに収める事が出来ました。

説明は後にまとめるとして、まずは連続写真です。

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脱皮の様子を見ていると、「脱いだ皮を下に寄せていくのではなく、皮の中から本体が抜け出てくる」事が今回観察出来ました(ただ、腹部の様子を観察したかったので20:48の後に手で脱皮殻をずり下げてしまいました)。他のブログでも、「脱皮殻がキレイに残っていた」と云うような話を多数読んでいたので、この個体のような脱皮は珍しくないのでしょう。
この人工蛹室では長めにスペースをとったので頭が蛹室の端にゴツンとぶつかる事は無かったのですが、頭側に蛹室の窓が見えていた他の♂蛹はいくつか角曲がりになってました。
良かった蛹室の例を後の方に載せますが、水平な蛹室ほど角が曲がるリスクが高いのでしょう。

途中で撮った別アングル画像を↓↓
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まだ頭部が出ていない状態。
幼虫のカタい頭部殻が、蛹の柔肌に半ば食い込むように圧迫しています。見ていると傷が付きそうでヒヤヒヤします。

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翅が見えてきたあたり。
見えますでしょうか? 画像中央、幼虫時の気門に繋がっていた白い管。
成虫の気門はそんな所にはありませんよね。
この後この部分は塞がっていって、気門に繋がっていた事が判らなくなります。変態によって体の構造がガラッと変わっていく・・・その最中の貴重な一部分を見る事が出来ました。

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脱皮したて、まさに「ホヤホヤ」な蛹のアップ。
(決して画質が良いワケではないけど)
体液を送り込むのに、やはり爪先や角の先端は大変なようで最後までなかなか膨らんできませんでした。


羽化
蛹化ラッシュから1ヶ月半~2ヶ月ののち、
感動の第2波・羽化ラッシュが到来しました。

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入荷する野外品と違い、脚・角が無傷のピカピカ。
飼育品でないとこの光沢感は楽しめませんね。

ただ、時期が悪く厳しい真冬(12月~1月)
雪かきなどでヘトヘトになる毎日であまり虫いじりができず、気が付いたらどの蛹も羽化した後でした。
人工蛹室で管理していた個体群でさえ、既に上翅を伸ばしていた1♂を見れただけ。
冒頭に書いたように、しっかりと羽化シーンを眺める事は叶いませんでした。


勿論、前回も書いている見える観察ケースに入れていた幼虫も例に漏れず。
キレイな蛹室を作ってキレイな蛹になったところまで認知していたものの、気が付けば成虫になってました。
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この♂、思いの外美形の蛹に仕上がっていたので、
「こんな幅の狭いケースでそのままにしてたら羽化不全起こすかも!?」
と今さらこのケースに入れた事を後悔してしまって、羽化が近づいて来たら人工蛹室に移すつもりでした。

なので、見え辛いケース越しに最初に成虫を見た時は、翅が出てしまっていると勘違いしていたのですが掘ってみると意外や意外!
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完品でございました。

手軽なSNSが普及した現在、
写真映えするからかやけに蛹を手に乗っけた写真が流行ってますよね。
でもゴホンヅノでそんな事やったら羽化不全&突然死コース確定だろうなと思い、自分としては他種にもまして特に慎重に蛹を扱ってきました。

しかし、結果的にそんなこと全然関係なく続々死亡個体が出ちゃいました
そんな「ウソだろ~~!!?」と云う予測困難な展開が続いていた中で、この♂は何故無事だったのか・・・驚きも大きかったです。

ついでに、大きかったのはそれだけではなく・・・↓↓
KIMG0031kai.JPG
サイズも・・・フフフ♪♪


〉〉飼育データ&羽化個体紹介へ


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残念!!!! Part 2 [〆ゴホンヅノ (プランディ亜種)]

前回、人工蛹室へと移したプランディゴホンヅノの蛹。

蛹化したのは5月30日以前。
2ヶ月近く経ち、いよいよ羽化目前だと気構えていた7月25日の朝の出来事でした。



・・・



・・・



・・・







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最悪だ――!!!!!
もう脱皮終わってる・・・!!!!!

腹も透けていたのでもう羽化するのは気が付いていたんですが、
採集シーズンの不規則な生活サイクルに足を掬われて羽化の始まるタイミングを見逃してしまいました。
見たかった・・・そして、撮りたかった・・・



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透き通るような真っ白な上翅・・・
月並みの表現ですが、ケース越しではなく直に見ると本当にキレイです。
自分も人工蛹室でなおかつカブトの羽化を見るのは久しぶりだったのでうっとりしました。平日なのでのんびり眺めてもいられなかったのですが(笑)
何はともあれ、翅パカを起こす事も無く下翅に水が溜まる事も無く順調に進んでいるようで、一番の心配事はクリアできてホッとしました。


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昼にまた見に戻ってみると、下翅はもうたたみ終わっていました。
今まで羽化シーン見てきてまだ仕舞うところを見ていないんだよな・・・

脱皮殻もきれいに後脚で全部まとめてあります。器用なものですよね。


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ここで、角の全貌を見たい欲望に負けて前胸に残っていた殻を取り除いてしまいました。

キレイじゃあないですか~!!!
野外品では見られない、擦れが無く先までピカッピカの角。
よく見ると内側の胸角が寸詰まりになっていて、対照的に外側の胸角はスッと長く伸びています。これがプランディの特徴なのでしょうかね。
これからまた続々羽化してくる個体を見ていけばさらに分かり易くなっていくでしょう。



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最初に羽化に気付いてから16時間ほど経過。
僅かに翅に色が付いてきました。



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さらに3日が経ったその日の夜。
翅も色付き腹もだいぶ引っ込んできました。

身体の脂も多く残ってるので、まだら掛かっていますが、色は原名亜種よりちょっと淡い印象です。♀があんなだったので♂も鮮やかさは欠けるんでしょうね。
そして、上翅の会合線の黒線は原名亜種より太い感じがします。その内比較してみたいですが、記載文にも載っている事なので分かり易い部分ではあるのでしょうね。



さらに時間が経ち、1週間以上経った頃。
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非常に暑い日本の夏に悶えたのか、いつの間にかここまで蛹室をボロボロに・・・
脱皮殻も混ざってグチャグチャです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さて、これでめでたく1頭目の羽化個体を見ることが出来ましたが、
結局羽化を見ることが出来たのは一部始終だけ・・・

全頭飼育でまだまだチャンスがある事も考えると、
今回限りで満足してしまうのはあまりにもったいない・・・という事で、



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次のチャンスを窺う事にしました。

今回の個体は前の♂より僅かに大きい111mm
蛹室は何故か前の個体より短い125mmほど。アレッ?
その所為か、ちょっと角が曲がったのか頭角の湾曲が強い個体です。


次こそは最初から最後まで見てやる・・・!!!


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残念!!!! [〆ゴホンヅノ (プランディ亜種)]

採集シーズンが本格化するその前に、
家の中ではやっておかねばならない事がたくさんあります(焦)

ゴホンヅノのマット交換もその一つです。

冬が終わる頃までにほぼ全頭のマットを変えていたのですが、2~3ヶ月を掛けて漸くマット交換を済ませたと思ったら最初の頃に交換済ませた容器がもう減ってるんですな(苦笑)
もう皮が黄色いんだから落ち着けばいいのに(泣)

割り出しから1年が経過し、前回の記事の時点(3月)で幼虫体重も伸びきっているものと思っていましたが、まだまだ先がありました。


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これは3月17日の交換で出た幼虫。
何が驚くことかって、これですからね!?

探した限りではゴホンヅノで♀が50gを超えた話は聞きません。
ただその後、今月またマット交換した際に4~5g軽くなっていたのですが、瞬間最大とは言え50gの大台に乗ったのは少し興奮しました。


・・・では、の方はどうだったのかと云うと、こちらも好調!!!

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6月9日に記録した最高数値、69g。
ノーカウントですが、70gを指した瞬間もありました。もうドッキドキですよ[揺れるハート]
このままの調子を維持して蛹化してくれるか、あとこれからの幼虫期間はどれくらいなのか、期待と不安で目が離せなくなります。


さらに、この2頭に限った事ではなく、
この春にマットを交換した他の幼虫達も、意外にも少なくない数が前回より体重が増えていました。
勿論、軽減した個体も居ますが、増加した個体の中には前回計測から10gほども増えていたものも・・・
この期間を経てもまだまだ体重増加が続いていたと云う事は、
体重増加を確認する楽しみが続く半面、エサ交換を短い間隔で長期的に続けていかないと結果的に大きくならない・・・と云う苦しい事実も含んでるワケですね。
(カブト飼育全般で言える事だけどもさ・・・)


ワンダリングする個体も多くなってきたので、今回の交換が最後になると思われます。






・・・さて、ここまでおめでたい内容ばかりですが、

今回の記事タイトルは、『残念!!!!』
何が起きたのか・・・



4月末

マット交換の優先順位を決めるつもりで、
マットの減りが著しい容器を温室内から選んでいる時に、見つけてしまいました。





1つのBeケースの底に・・・・・・・・・蛹室。


うわァァ~~・・・
残念!!!!

早いよ~~・・・


窓が3面にビシッと張ってあって中の幼虫も既にちょっとシワシワでした。
割り出しからまだ15ヶ月弱しか経ってないよ・・・

念のため他の幼虫を確認してみると、どれもまだ蛹化しそうに見えつつも蛹室は1頭も作っていません。♀幼虫のボトルも異変無しの上(蛹室を作ったのは♂)数ヶ月先に割り出していたタイ産の原名亜種もまだ幼虫のままです。

前の記事でも書いた事ですが、
個人的にゴホンヅノ飼育は早期羽化を一切望んでいません。
セミ化しなければ、長々幼虫やっていてほしいと思って飼育しているので、残念と言うか、ガッカリと言わざるを得ません。

温度でショックを受けたり、マット不足を起こしたり、ワンダリングを起こすなり、蛹化を促す要因がいくつか重なっていたにせよ何故この1頭だけが蛹室を作ってしまったのか結論は出ないままですが、蛹化を確認した5月30日の時点でも後を追う幼虫はいませんでした。
ここまで来たら、
「♀が先に蛹化して羽化ズレ起こすよりはましだったかな」
と都合よく受け入れる事にし、約2週間の間を置いて掘ってみることにしました。


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マットが容器全体の6割ほどしか残ってなく、苦労(ワンダリング)して蛹室を作ったんだろうなと云うのが一目で判ります。
最後のマット交換が去年11月後半で、体重は56g
Beケースの中サイズに移した事で安心してしまい放置したのがよくなかったのかも。

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露天掘りするとその全貌が目に入って来ました。
早期蛹化とは言え、1頭目の蛹しかもゴホンヅノ全般通して初めての♂個体は感動しますね(笑)
あんなに「ガッカリ」だの「残念」だの腐ってたのにね

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No.7のカメラで撮ってもらいました。角曲がりも無く正常に角が伸びています。
流石に56gはあっただけあって、それなりの角が付いていてよかったですが、頭角の方は種としてはそれほど長くはない感じです。

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真横から見ると、胸角の長さが上下で全然違うのが判ります。
プランディの特徴がそのまま蛹でも見て取れています。ただ、これが中型クラスの個体ならばただの発達不足とも言えるので、亜種の特徴として現れているものかは分かりません。WILDの時だって♂は実物を見てないんだし・・・



そしてその後、もうちょっと観察をしたいのと、温室スペースを空ける意味もあって久し振りに人工蛹室を作ってそこへ蛹を移す事にしました。
ゴホンヅノカブト 蛹kai.JPGCA3I0087kai.JPG
蛹室はBeケース中の奥行き一杯に延びていたのですが、長さはおよそ140mm。
昔使っていたMDケースに人工蛹室を入れました。

せっかくなので体長を測ってみると、107mm。小っさ・・・
羽化後腹が縮むと仮定してみると、おそらく羽化予想80~85mm
う~ん・・・数字を見るとやっぱりがっかりするな・・・



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さて、移したはいいけど、これで衰弱死したり羽化不全されたらそれこそ残念でならないですね・・・
リスクを冒して人工蛹室使ったんだし、久し振りに羽化連続写真を撮りたいところだけど、・・・上手くいくかな?


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ゴホンツノカブト幼虫考察 ~プランディに支配されて~ [〆ゴホンヅノ (プランディ亜種)]

こんばんは、正月から完治していない気管支炎に風邪のダブルパンチで衰弱している会長です。最近は虫作業もタイピングもままなりません(苦)(辛)(鬱)


さてそんなことは置いておいて
今日の記事は言わば前回の続き・・・ゴホンヅノカブトについてです。

前回はタイ・チェンマイ県・ドイサケット産の原名亜種の飼育経過でしたが、
今回はベトナム・ラムドン省・ダラット産のプランディ亜種の一年についてです。
頭数の問題で、こちらは原名亜種とは比べ物にならないほど大変な交換作業を強いられました。その分、今までのカブト飼育で過去最高に真面目に飼育作業を進めていたと思っています(まだ1頭も羽化してないんですけど・・・)
それは、「2018年はプランディの年」と言ってもいい程で、他の虫がその分肩身の狭い思いをしていた事も多分気のせいではない筈です(ヤバい・・・あの虫もこの虫も危うい・・・)

作業の他、本やインターネット界隈で色々と情報収集をおこなっていたこの一年間の内容をこの記事にまとめてみますが、前回同様時系列を追って順に書いていくと支離滅裂になってしまうので、
いくつかの項目に分けて書いていきます。




飼育頭数

前回の割り出し記事で回収できた数をもう一度復習いすると、その数は65頭

そしてこれも前回言っていますが、羽化までこいつらを全て飼育していきます。
中型種とは言えカブトを65頭も飼育するのはその先結構大変なことになるのは分かっているのですが、これは自分の中で思うことがあって考えた結果なんです。

その内容の前に、まず今後の展望から書いておくと
タイ産もそうですがプランディは今回のWF1でブリードを切るつもりは無いです。つまり、その先F2以降もブリードを続けていきたいと思ってるんですよ。
その為にアウトライン用で2♀♀使ったワケです。

で、本題。
ゴホンヅノの飼育頭数に関して、諸々の情報を含めあちこちのホームページやブログその他SNSを見ていて気付いたのですが、
辛うじて少数産んだ場合を除いて、多産した後そのままほぼ全ての幼虫を飼い続けている方はほとんど居なかったんです。
勿論、これはあくまでネット上で調べた自分の見解であってこれら以外でもゴホンヅノカブトを飼育している人は沢山いるので、どなたも皆そうしているとは限りませんが、
運よく(?)多産した方々は理想的かつ現実的な飼育頭数に減らすべく、当然と言えば当然ですが仲間に配ったりオークションで売ったりしているワケですよ。
その結果、幼虫で少数購入(1・2令の4~5頭買いや3令ペア買い)して飼育を始める人は勿論、WILD成虫を買った人も結局少数の幼虫で飼育する事になると思うんです(10頭前後? 多くても20頭前後といったところでしょうか?)
↑↑・・・いやいや、勿論これは自分の勝手なイメージです何の根拠もありませんて(汗)

で、それが65頭抱える事と何の関係があるかと云うと
少数での飼育記録をつけているサイトの多くが、その後「羽化した」等の後日談が書かれていない傾向にあるのです。
勿論、そこに書かれてあるからor書かれていないからと云う部分だけで判断する事ではないでしょうが、
それなりに数を飼われているところでも羽化した頃にはある程度の割合で個体数が減っているようで、少数飼育のサイトにおいて言えば羽化内容を公開していたとしても「ギリギリ1頭~2頭の成虫しか残らなかった」と締め括っている場合が多く
無事に羽化する数が幼虫飼育時より多少なりと減ってしまう可能性を考えると、調子にノッてオークションで親虫購入分の元を取ってやろうなんて考えは極めて危険だと思ったワケです。
第一、そのサイトの一つはウチですからね(嘲笑)

(ただし少数飼育している方々は、『一回成虫まで羽化させられりゃ満足』と云うスタンスの場合も多く、そこが羽化についての情報の少なさに関係しているのかもと思っています)

さらに、羽化まで辿り着いた後も、次のF2を得るまでにいくつも問題があって、
♂と♀の羽化ズレ
休眠中の突然死
起きて活動開始しても動き・反応が鈍い(あまりエサを食べない等)
♂と♀の起きズレ
・・・と新成虫ブリード問題点の豪華盛り合わせのような、シビアな管理が続きます。
飼育が易しい種類であれば、羽化したペアの数がほぼそのままブリード数に直結できるところですが、ゴホンヅノの場合は上記の問題が積み重なり、「10頭以上も羽化してきていながら、次世代で産卵までこぎ着けたのはギリギリ1ペアだけだった」・・・なんて事にもなりかねないのです。

F2飼育に繋げていくための数多くのこれらの課題を乗り切るために、数を減らさないと云う布石を打ったワケです。


マット

兎にも角にも数を減らさない為に一番大事なのが言わずもがなマットでしょう。
最近は扱いがデリケートな小型のカブトも多く流通している事もあって、それら向けのマットもいくつか出てきています。
自分も今回は、タイ産原名亜種での失敗を繰り返さないようにそのような微粒子の万能型カブトマットを割り出し時のエサに使用しました。

その後、問題なく生存、順調に加令しました。1頭ほど落ちたのがいたかもしれませんし(ちょっと記憶が曖昧です)、1~2頭はマットの乾燥の所為か成長がちょっと遅れている個体も居ましたが、マットの選定は問題なかったという事でよさそうです。
(ただ、その成長遅れなど気になる個体に関しては、その後変態時や新成虫管理時に変調をきたす可能性もあるのでラベルにはきちんと書き残しておきます)

さてその次のエサ交換で使うマットですが、今度は別のメーカーの物を使うことにしました。
エサ交換についての話は後回しにしますが、このマットは老舗メーカーの比較的安価な菌床発酵系カブトマットで、今回の幼虫飼育のメインで使う物となります。
「あんなに死にやすい減りやすい言っておいてマット変えちゃうのかよ!」と思われるでしょう、
そんなこと言ったって、万能型マットじゃメーカー供給が少ないし値段がとにかく張るので自分が破産します(苦)
それに、せっかく飼うんだから大型個体目指したいじゃないですか。

まぁ面倒な点としては
安全のためにガス抜きしてから使う事
コバエ、トビムシが湧きやすい事
が挙げられますがしょうがないですね。

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ゴホンヅノ飼育を再開するまではしばらくの間ほとんどキノコバエは見なかったんですが、やはり大復活してきましたねぇ・・・
発生しているのは一部のボトルやケースだけなので、おそらくガス抜き中に潜り込まれたものと思われます。
春以降のマット交換には注意しないとな・・・


容器交換作業

これまでのエサ交換の段階別に、使用容器や飼育中の出来事など書いていきます。

第1段階
まずこの第1段階ですが、割り出した幼虫を万能型カブトマットを詰めたカップに1頭ずつ入れて個別飼育を開始しました。使用した容器は120ccと一部200ccのカップ
(ここまでは前回の記事で書きました)

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しかし、悔やむべきことにその後しばらくこのままカップで放置してしまい、最後には画像のように乾燥したフンの上に丸々太りきった2令幼虫が居るのが目立ってきてしまいました。
先に書いた通り、成長が遅く2令初期の個体も僅かに居ましたが、幸いにしてやせ細って縮んでいる個体はいませんでした。


第2段階
カップのまま3ヶ月経った5月、ようやく次のエサ交換を行いました。
この段階からマット使用量がグッと増えるので、準備したマットも120リットル発注と云う今まで頼んだことの無い大容量。

それに併せて準備したのが2令幼虫以降の飼育に使う容器。これがまた大変でした(汗)
クワガタ用のビンやボトルは沢山有りますが、カブトに使うとなるとどうにも狭くなってしまうんですよねぇ、500ccとか800ccでは。
と云う事で容器も新しく買って仕入れる事になったワケですが、飼育頭数の都合上、大きなケースを全頭にあてがうと他の虫が温室から押し出されてしまうので、スペースや財布と相談した結果、無難にブロー容器を仕入れることにしました。
容量は1800cc、いわゆる2リットルサイズです。

そして、ココが個人的に大事としているところですが、通気穴は自分で開けます。
既に穴が開いている物を買うと大体は、小さい穴であったり、ど真ん中に大きな穴が1個だけ開いていたりしますよね。
個人的には、一定のそこそこ大きな穴が2個以上欲しいのです。
加えて穴の保護については、内部から食い破られる危険性が高いのでフタにシートは挿まずタイペストシールを貼るので、真ん中や縁の近くなど要らない所に最初から穴があるとキレイに貼れず邪魔なんですよね(真ん中にある場合、その穴を避けて理想とする穴を開け直すのでシールを貼った時にその部分の処理に困るんでちょっと迷惑なんです)
と云うワケで穴開け未加工フタのブロー容器を仕入れ、フタには3令幼虫がギリギリ通れないであろう16mm径の穴を、シールがキレイに貼れる適当な位置に2個開けました
CA3I0899kai.JPG
3個でも良かったけど、数だけに作業が結構大変なのとシールの消費が激しいので2個が限界でした・・・)

この他、はじめから家にある他の2リットルや1.5リットルのブローもかき集め、それでもちょっと足りなかったので容量約1.4リットルのデジケースHR-1も使いました。


ちなみに、
マットは120リットル用意したと書きましたが、交換作業が全頭終わる前にマットが足りなくなってしまうハプニングもありまして(!!!)後日追加で30リットル発注し(そもそも、ここのメーカー10リットル袋なのに8~9リットル程度しか入ってない感じがするんだよなァ・・・)、結局全頭のエサ交換が終わったのは7月になった直後でした(汗)
このブロー容器集団の為に、管理温室全体の内約半分ほどが奪われてしまいました。飼育部屋はさながらプランディの支配地です。

交換後、幼虫は5~7月の間に次々と3令へ順調に成長し、勢いよくマットを減らしていきました(嬉しいやら後が怖いやら・・・)


ただ、残念なことにこのブローへの交換後、次の3段階目のエサ交換に進むことなく死んだ幼虫が2頭AラインとBライン1頭ずつ)居りました。それぞれマットの上と底で、見た限り拒食のようでした。


第3段階以降 (現在)
ブローに交換して以降、時期も夏と云う事で自分は山に!!山に!!そして山へ!!!・・・と採集三昧で、秋までほとんど手付かずでした。
理想としては、5月にブローに入れた幼虫なら8月には一回換えといた方が良かったのですが、エサ交換に手が回りだしたのは秋に入ってからでした。

ガス抜き待ちの期間や作業時間の都合もあってマット交換は全頭一気に出来ないので、優先すべき個体を選びつつ10月から順々にマット交換を行っていきました。12月に突入すると、冬という事で容器洗浄やガス抜きで時間がかかりなかなか数がこなせません。そして今もなおこの段階の作業は続いています。

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↑↑この幼虫は10月21日にマット交換した後の12月9日の様子です。もうフンの上でひもじそうにしています。


この頃になってくると体格や体重差で♂♀の判別も付くようになってくるので、♂と思われる個体は今回の交換でさらに大きい容量のものにしていきます。
3リットルブロー容器(※奈良オオ「H」ブロー)
コバエシャッター 中サイズ
Beケース 中サイズ
など、次々と温室のスペースを奪っていきます(苦)
ただ、体重や容器の都合も見て、一部の個体は容器を今はまだ大きくしないで4回目以降に替えてみようかとも考えています。

他、興味本位でこんなケースにも入れてみました。
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見える観察ケース(笑)
何年も前に国産カブトに使って以来ずっとしまいっぱなしだったのでたまには使ってやろうと思ったんですねぇ。
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底の方は47mmで、蛹になった時の脚や胸角の事を考えるとギリギリのようで心配です。
小さく蛹化してしまえば余裕でしょうが・・・それは嫌だなァ・・・

今ヤマイネから販売されている『見える観察ケース ラクぼっくす』ではなく、昔池田工業社から販売されていた『カブトムシの見える観察ケース(現在は販売終了)です。
移り変わりの早いおもちゃメーカーから虫かごや飼育ケースが無くなっていくのは惜しいものですが、このケースは容器底の隅が尖って洗い辛いし、経年劣化で細かいヒビや変形でフタが歪んできているのでもうこの先使うことも無いかも知れないと思って、使い納めの意味も込めての使用です。・・・と云うか、「観察」ケースなのにタワシで擦って何度か使った所為で中の様子が曇って見え辛いです。蛹室を作っても果たして中がちゃんと見られるのかどうか・・・

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容量は3リットルちょっとです。特大狙いとしてはちょっと小さいですが、2次元空間の広さを上手く使ってくれるかどうかで、ひょっとしたら思わぬ結果が出るかも知れません。
これは、英断なのか、会長の道楽なのか。


しかし、こうして色々な容器に替えていった中で、
1種類だけ完全に失敗した物がありました。

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それが、この写真の中にある3.25リットルのクリアボトルでした。

♂用の3リットル級容器を探していて目に付いたので、4本在ったこのボトルに入れて普通に温室へ戻したワケです、これが去年12月9日の事でした。
それからまだ数日しか経っていない内に、作業時には潜っていってたハズの幼虫が地上に上がってきているのが1~2本出てきました。そしてさらに数日の内に、4本全てのボトルで幼虫が上がってきているのを確認しました。
CA3I0853.JPG
フタを開けるとこんな感じ(焦)
「偶然上に上がってしまってもがいている内にマットが締まってしまい潜れなくなってるかも知れない」と思い、試しにマットをかいて中に幼虫を埋めてみたりもしましたが翌日~翌々日には同じ位置に戻ってきてしまっていました。

どうしてこうなってしまうのか??
この出来事だけを切り取って見てしまうと、
マットのガス
ワンダリング
などを疑いたくなると思いますが、飼育者としてそれは考えられないのです。

と言うのも、一貫してマットは1~2週間ほどガス抜きをしてから詰めていて、このクリアボトルと同時に作業した別の容器では全頭落ち着いて潜っています。
そして、上の画像からも少し読み取れますが、それなりにマットを食べていて身体の張りもあって特に痩せてもいなかったのです。

そうなると、もう答えは一つしか出てきませんね。
酸欠だったようです。
CA3I0900.JPG
3.25リットルと云う容積に対して狭い口と通気孔は直径8mmが中心部に3個、今回のゴホンヅノに限らずこのクリアボトルは使う前に通気対策が必要なのかもしれませんね。

この後、この4頭の♂達はBeケースの中サイズに替えたところ(マットはクリアボトルに入れていた分も全て引き続き使用)先日までの事が嘘のように潜って落ち着くようになりました。


体重幼虫期間羽化サイズ
さてここからはゴホンヅノカブトの飼育羽化サイズについて、体重幼虫期間の2つの要素を主軸にして今後の課題や現状の問題点などを書いていきます。

とは言え、自分はまだタイ産♀1頭しか羽化させられていませんし当時のデータもありませんから、あくまでも参考にするのは専門誌やインターネット上で公開されている飼育記録のみです(苦笑)

まず、シーズンになるとタイ産原名亜種ならば大量に輸入されているはずの本種ですが、まともに飼育の経過が書かれた物が殆どありません。
書籍に関してはほぼ皆無に近く、飼育方法の説明も「その他カブトムシetc.」と一括りにされ何ら詳細は書かれていません。
(数少ない飼育情報が載っていたのが、石米亨氏著『Wonderland Beetles(I)世界のクワガタムシ・カブトムシの飼育記録』と、世界文化社発行の『外国産クワガタ・カブトムシ飼育大図鑑』でした)
インターネットサイトでも、「WILD購入しました~!!」「幼虫手に入れました♪♪」とスタートを切ったその後、先に進むにつれ内容が止まるサイトが増え、WF1成虫羽化まで辿り着いているところは少なく、その上参考になるような途中経過を残しているサイトはさらに少なく指折り数えるほどしか無いのが実状でした。
(大半が採卵記事までで終わってるんだよなぁ~)
あ、ちなみに飼育関連の情報はプランディについては皆無で、いずれもタイ産原名亜種の話になります。

それら貴重な情報源にむしゃぶりついてみると、
現在の我が家の幼虫達の現状や将来が客観的に見えてきました。


幼虫体重については、計量情報は多くありませんでしたが、ネット上だけだと
3令の最大体重20g台後半~60g台前半とやや幅があり、
20g台後半~45g
30g台~60g台前半
といったところです。
しかしあくまでもごく少数のサイトの「おそらく最大時と思われる」体重をかき集めた数字なので、実際のところはそれぞれの両端の数値はもうちょっと増えている可能性もあります。
また言い訳がましいですが、中には「最大体重」ではなく「最終体重(最大時から減っている)」も含まれているかも知れないです。

そしてもう一つ、書籍の方ではBE-KUWAのカブト飼育ギネスで掲載された個体の飼育コメントに最大体重も書かれていて、
14号(2005年) 56g・・・成虫体長89.0mm
27号(2008年) 66g・・・成虫体長93.4mm
とあります。

そして一方我が家の場合ですが、
体重計測は3令になってマットをしっかり減らした後の、秋の交換時から始めました(2令の時や3令になった直後で量るのはほとんど意味無いかなと思います)

去年秋~年末の頃までで行ったエサ交換では、
CA3I0775kai.JPG
38?g~40g台後半
50g~60g

と好調。特に、♂が1頭60gに届いてくれた事と、タイ産♀が大体30g台後半と比較的軽かった事から、こちらのほとんどの♀が40gを優に超してくれた事で気持ちにゆとりが出来ました。
ただ、幼虫が凶暴な性格のために掴んで正確な雌雄判別はしないで、ある程度二分化されてきた体格の違いから目視で雌雄振り分けていたので、もしかしたら♀と思った個体の中には小さな♂も含まれているかも知れません。
この際、50g後半以上の♂個体を選抜し、前述の3リットル以上の容器へ移しました。


やがて年が明けて、いくつかのボトルやケースにコバエが発生していることが発覚し、やむなく4回目の交換をしなければならないものが出てきてしまいました(汗)
3回目の交換もまだのボトルが何本かあるのに・・・

コバエやトビムシが大量発生すると、マット全交換&容器洗浄&幼虫洗浄と作業に時間がかかるのが辛いのですが、
先日2月24日作業分において、見た事も聞いたことも無い数値が体重計に表れました。

CA3I0896kai.JPG
何の間違いかと思いましたよ。
マットも落とし、洗浄中にフンも一度出していると云う状態でこの68gと云う数字。BE-KUWAのレコード個体より重いじゃん・・・!!!!!
さらに、この日は他に67gと云う個体も出現し、体重だけならこの先どんなサイズの成虫が出るか予測もつかない領域に突入してしまいました。
・・・まァ・・・体重だけならねェ・・・・・・・・・
・・・羽化「すれば」ねェ・・・・・・


孵化時期から辿って数えると、12ヶ月を経てなお体重を増やし続けていることになります。
体皮の張り具合や体色の黄色味が強くなっている点から見るに、もうそろそろ成熟期に突入し増加もストップする頃かと思いますが、他のサイトだと早い個体では6ヶ月もするとピーク体重を迎え黄化しているようなので、単純に計算すると参考にしたサイトの個体の倍の幼虫期間を想定する必要がありそうです。

ここまでの体重激減例
68gに自身若干有頂天気味ではあるのですが、残念ながら増加した個体ばかりではなく若干または大幅な体重減少を起こしてしまった個体が居たのも事実です。

まず、この幼虫を見て体重の増減の推移を予測してみてください。↓↓
CA3I0878kai.JPG


このように、フンだらけで明らかにマット不足な中に居る様子は明らかに危険です。
そこからの関係で推察するに、さぞ体重もピークを過ぎて減少した事だろうと思うところですが、これについて言うと減少していません。正確には、「まだ減少していない」と言うのが正しく、流石にこのまま2ヶ月・・・3ヶ月と放置していると痩せていくとは思います。

さて、ややこしい前置きは忘れて(←オイ!! )、2リットルブロー中で放置されていた個体の中に体重が激減してしまったものが1・2頭見つかりました。
年末年始あたりに計量だけした時には40g台そこそこまでいっていた♀でしたが、♂幼虫や他の♀幼虫に遅れマット交換が後回しにされていた個体でした。

2月、ボトル内部の様子は上の画像とはまるで違うものでした。
フンがゴロゴロ溜まっている代わりに、全部のマットが粘っ気のある粉状に分解されていてボトルの半分以下に。幼虫はその粉っぽいマットを全身に纏った様子で、前より縮んでいるのは明白でした。
カブト飼育に慣れている人ならもう予想がついていると思います。
線虫でした。

ボトル内壁をウニウニのたうつ様子はコバエの幼虫と大して変わらないんですが、この我が家の環境下ではコバエとは比にならないくらいマットの分解能力が高いようです。オカゲサマで幼虫はエサが無くなったか泥化したマットの所為で酸欠のようになったのか、身体の弾力を失いブニブニしており、体重も30g台半ばで前回から10g程度も落ちていました。
同じマット害虫でも、トビムシやキノコバエは大量に発生しながらも幼虫の生育には今のところほとんど影響が無いのですが(それでも迷惑なのは事実だけど)、大半の容器ではほとんど混入・繁殖していなかった線虫がこれほどまでに飼育個体にダメージを加えていたのはショックでした。

・・・と言うか、画像貼れよって話ですよね・・・(スミマセン、撮り忘れました・・・)


閑話休題、幼虫期間の話に移っていくんですが、
ゴホンヅノカブトって・・・一体幼虫期間はどのくらいの幅があるんでしょう?

検索して目に付く飼い方説明サイトだと、ほとんどが「1年~1年半」と云う紋切り型の説明ばかりで、これらの説明文は良く言えば無難、悪く言えばどっかで書いてた事の使い回しのまた使い回しだろオイ!!・・・あ~~ゴホッゴホッまだちょっと風邪が治ってないみたい(焦)

で、結局自分も以前の飼育データゼロなのでインターネットサイトの記事収集(恥)
数日間色々なワードでゴホンヅノ飼育について探し回って情報を統合すると、
幼虫期間だけで♂♀共8~22ヶ月蛹期間は1~2ヶ月
これだけ見るとホントにバラバラですが、少数飼育の方の記録で括ると、同じ環境で個体ごとに何ヶ月もズレが生じてはないようで、
「Xさんの飼育している幼虫は大体皆1年未満で羽化」
「Yさんの環境ではどれも1年半近く経った3月以降に羽化してきた」
という感じで、飼育者(飼育環境)の違いで幼虫期間はそれぞれ違うけども、同じ人が飼ってる環境内で個体毎に幼虫期間が激しくバラける事は無いと云う印象です。
出所が同じ幼虫でも、飼育者・飼育環境の様々な違いによって生育状況や成長スピードがまるで違っていると云うのが興味深いです。これでは、「このくらいの容量のケースで〇〇℃ぐらいで飼育すればこのくらいの期間で羽化するよ!」とは言えないワケです。・・・まァ栄養価の低いマットで狭い容器で高温飼育すれば早く羽化させる事は出来ると思いますが・・・

(つまり、これだけ長々駄文をこしらえといて
「結局ゴホンヅノ飼育はよく分からん」と言いたいんだな)



しかし、あちこちの羽化♂個体の写真を眺めていると、羽化時期のコントロール方法については解らないものの、メインテーマである羽化サイズについてある程度傾向が見えてきました。

孵化して概ね1年以内に羽化している♂はほぼ皆体格の大小問わず角が短くなっている傾向にありました。
中型カブトと云う事もあってか、ゴホンヅノ飼育者の大半が1年羽化を理想とし長々幼虫飼育をしたがらない方が多いようで、さっさと体重を上げて早めに羽化させる方向で管理しているように見受けられます。

結果、蛹化→羽化した♂個体を見ると、そのほとんどが頭角と胸角の肉付きが良く野外個体よりも全体的に短い角になっています(それなりに体格の大きい短い角の♂を『極太になった』と表現されているところもありましたが、ゴホンヅノの特徴として月刊むし253号の報文中から一部引用すると、“本種♂の頭部の角はやや不連続に変化し、大型個体では細くて非常に長いが、移行状態を示す個体がほとんど見られないまま、中型個体では急に頑丈で短いものとなる。ただし中型個体から矮小個体までは、連続的に短くなってゆく。”とあります。ここをそのまま参考にして考えると、それら1年羽化の個体は体格こそ大型個体に肉薄すれど、頭角については伸びきらないいわゆる「短角型」の範疇であると言えるのではないでしょうか)

その一方、多くの幼虫を抱えている飼育者の方では、1年羽化する個体も多数いる他にずっと幼虫のまま蛹にならず1年半~2年近くも幼虫でいた個体群もいたと書いていて、それらの羽化した画像を見るとWILDで見慣れている角が長く伸びた個体が見られました。
少数飼育者の方の個体でも、環境の所為か幼虫期間が長引いてしまっているものは割と長角型の♂成虫であるところが多いように見受けられました。
ただ、長角で羽化するための前提として十分な幼虫体重は必要で、長い期間幼虫やってたからと言っても大きくない幼虫は短角に留まってしまうようです。

次に興味深い点として、先ほど「同じ人の環境で大きく幼虫期間がバラけることは無いみたい」としつつも、ただし「1年羽化の個体群の他に1年半~2年掛かる個体群も居る」とした部分。
こんがらがってくるので内容を複合すると、
《羽化までの期間が2パターンに分かれる》という感じでしょうか。
飼育者それぞれで飼育環境は違い、厳密に温度が一定で管理されるような環境も多いので、全ての飼育者の記録がきっかり〇ヶ月と△ヶ月に分かれると云う事は無いですが、短期間で羽化した個体群と長期間経て羽化した個体群は約1年のズレが起こっているようです。
ほとんど今さっき書いた事と内容が被っているあたり、自分の文章力の無さにうんざりしますが(汗)、つまるところ概ねこの2種類の幼虫期間は頭角(もしくは胸角も含む)の発達度合いの分かれ目になっていて、

1年未満~1年前後で蛹化する個体は短角型になる

1年を優に過ぎてから蛹化した個体は長角型になる

という事になるのでは・・・と。
・・・何かひとこと言いたそうですが、えぇ分かってます・・・・・・・・・

先に書いた通り飼育環境はそれぞれの飼育者のところで違うので、例えば「13ヶ月で蛹になったのはどちらのパターンになるのか」知ったこっちゃない判断しかねるのですが、少なくとも「2年も幼虫飼ってるのダルいから1年でどうにか角の長く伸びた♂を見たい」と云うのは難しいのではないかと思います。
そもそも幼虫期間が長ければ『飾り』が立派になるのは論を待たずしても解る事(←これでしょ?言いたかったのは)クワガタでも言える事ですが、それでも1年羽化が望まれるのは
マット交換や飼育環境次第で孵化後半年ちょっとの期間でほぼMAX体重まで太らせることが出来てしまう事
実際のところ、稀に1年程度の期間で長角が蛹化することもある事
なのでは? と思うんですね。
角の発達変化を、連続的な変化を起こすヘラクレスオオカブト国産カブトと同じように考えてしまう事で、「体重を上げれば角も伸びる」と思い込みがちなんです。
ところが実態としては、(クワガタの例ではありますが)ツヤクワガタ属オキピタリスノコギリクワガタのような段階的な変化を起こしていて、ぶっちゃけ分類的に近いとされるコーカサスオオカブトもこのパターンなんですよね。
(※あくまでも個人的な所感です↑↑)

逆に、頭角の話を除けば、1年羽化でも体重さえ十分有ればそれに見合った分の体格で羽化するとも言えます。むしろ短角型なら、角に栄養を持っていかれない分胴体の方に栄養を還元できるでしょうからね。
プランディの記載文に書かれた体長(口から測ったサイズ)は、
48.1~73.9mm
46.0~62.5mm
とあり、タイ産も同じくらいか0~5mmほど大きいくらいと考えていいと思われます(我が家で羽化した唯一のWF1♀も65mmあったしね)
流石に♂の最大クラスとなると2年モノでないと生まれなさそうな気はしますが、この数字は実に200頭以上の個体を基にしているのでなかなか頼りになるのではないでしょうか。

角を含めて♂のサイズを求めるとなると、
無理のない程度に頭を屈ませ頭角が前に出るようにし、頭角の先端(または後ろに反り戻る直前)から上翅先端(または腹端)の2点間を測るワケですが、
ここで短角型と長角型の差が数値になって現れるんですね。
おまけにこれがゴホンヅノの厄介な部分なんですが、長角型で同じ長さの角であっても、強烈に弓形状に反り返る個体や、反りが弱く比較的真っ直ぐ前に伸びる個体など形状は千差万別で、角を含めたサイズなんてもしかしたら意味が無いのかも知れませんね(苦笑)

ただ、気になる事はあって、ヘラクレスなんかだと長い角が折れないように前蛹時に蛹室の頭部側を露天掘りして開け放つやり方が知られていますが、ゴホンヅノの場合で蛹室の空間が蛹化時の角の伸長を妨げる事が全く無かったらたらどんな角が出来るんだろう・・・と思うんですよねぇ・・・
その為にもやはり長角の期待値が高い幼虫をたくさん育てる価値は大いに有るワケですね。

我が家の場合さっきも書いた通り体重増加に約1年間掛かってしまっているので、
成熟期も見積もればおそらく羽化までにはトータルで1年半はかかると思われます。
(とは言ってもそもそも1年で羽化させるつもりも無かったですが)
体重さえ減らさなければ(そして死ななければ)それなりに見応えのある蛹・成虫が見られると思いますので、このまま1年半・・・いや2年掛かっても全然イイから、無事に生き残っていってほしいところです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


それにしても・・・
羽化まで最長2年、そして羽化後活動まで1年掛かるとしたら、
1世代回すのに3年も経ってしまうワケですね♪♪
すごいぜゴホンヅノカブト!! ネプチューンオオカブトやゾウカブトと同クラスってことか!!!

正直な話、採集や標本もやってる所為か最近なんだかサイクルの早い虫を飼うのが大変になってきてて、時間の掛かる虫がますます好きになってきてるんですよ(笑)
だからアクタエオンとか再開したのヨ。
だからもう、自分としても今回のWF1プランディは幼虫期引っ張って引っ張って真っ黄色にしてやろうと思っています、羽化ズレは嫌だけどね・・・


なんにせよまだ♂成虫が未見なので、短角ではなく立派な長角を見られるように、そして超難関とも言えるF2のブリードに続けられるようにしっかり世話していきたいと思います。









・・・と云う事で、どうにかこうにか意気込みを綴って締めの文としましたが・・・・・・!!?



あれッ!!!? もう誰も読んでない!?!?(汗)[あせあせ(飛び散る汗)]



WILDのゴホンヅノカブトだったら、最後まで読んでる間にもうとっくに死んでるよな。

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のろのろと走り出す。 [〆ゴホンヅノ (プランディ亜種)]

部屋の照明を新品にしたその翌週の話。


去年12月に衝撃的に入荷した(と個人的に感じてます)南ベトナムのゴホンヅノ。プランディと云う新しい亜種として記載された本産地の♀を2頭入手し、即セットを組んだのは既に記事で書いたのですが、無事に幼虫がケース側面から確認できるようになったので割り出しを行いました。


  2月4日

2つのセットの内、時間の都合でこの日は片方のみ着手しました。
セット内容は2セットでレシピはやや違い、この日割り出す方のセットを『A』とすると内容は以下の通り。

Aセット
【容器】・・・ニッソープラケース大(フタに新聞紙を挟む)
【マット】・・・ケースの8割の深さ月夜野黒土Mat/下7割3割上/〇〇〇腐葉土
【日数】・・・セット日12月5日(♀体重9.8g)  61日間

ゴホンヅノの産卵に適したマットと云うのが読み辛く、どんなマットであっても産む事もあれば産まない事もありどれを使うにしても博打要素が抜けないので、前回のタイ産原名亜種でしくじった感覚を思い出し、前までならメインの産卵床(黒土Mat)のみにしていたところですが、♀に産卵床としてしっかり認識させられるかどうかと云う後押しとして、表層部の3割を特定の腐葉土層にしてみました。この腐葉土層は、「腐葉土に産卵させるため」ではなく「ここが産卵可能なエリアだと認識させ潜らせるため」のきっかけと云うワケです。
♀の体重は十分なので「本当に意味でのハズレ♀=産み切った♀」ではない事もほぼ間違ってはいないはずで、♀のコンディションで唯一の難点である1本の付節欠けもどちらかと云うと寿命的なものではなく現地での保管中の破損と思えました。

当初のセットはマットのみでゼリーを何個か置いただけで、途中親♀が地上に出てきてひっくり返ったままになったので足掛け用に新聞紙を丸めて置いた事もありました。一旦割り出すことも考えられましたが、作った層が滅茶苦茶になってしまうのと、別ケースを組むにも温室の余裕もマットの余裕もないのでいつものごとくそのまま一発割出です。
卵は外側からは全く見えなかったのですが、1月の半ばにはケース側面に1令幼虫が見えてきました。勝利を確信した瞬間と云うのはホントに気持ちいい・・・(そしてこの後油断するのがいつものパターンですが)


そして迎えたこの日、
この日の為に手を抜かずカブトマットもガス抜きもしました(←・・・)、
何より、屋内でも快適に割出し作業が出来るように天井の照明も替えて準備は万全です!


さぁ、・・・やるぞ!!!

・・・・・・!!?

・・・コ、コバエがっ・・・!!!






CA3I0078.JPG
結局、屋外割り出しに。


去年、雪が積もり始めた11月19日にタイ産の原名亜種を屋外で割り出しましたが、今回は厳冬期、比べ物にならないほど寒いのでモタモタしてると虫が凍ってしまいます。氷点下ですよ。


CA3I0079kai.JPG
中からは次々と1令幼虫が出てきます。
幼虫を取り分ける製氷トレイも次々埋まっていきます。

このセットで使ったケースは保湿型のフタではなく昔ながらのメッシュ型のフタで挟んでいるのは新聞紙なので、内部がやや乾燥しマットの委縮(壁面からちょっと浮く)があります。
マット製品中、最重量級の黒土マットの特性か非常に粘り固く締まっています。まるで壁土を砕いているようです。そんな中をボリボリ噛み砕いて食べているんだから虫って逞しいですね。

出てくる幼虫は全て1令幼虫でほとんどが丸々太った2令間近の個体ばかりですが、油断していたらいきなり孵化直後で明らかに産卵のタイミングが違う個体が2頭出てきました。そして、腐って間もなさそうな卵がこれまた僅かに見られました。
セット中、一度親♀が地上に上がってきたことがあったので、そのタイミングを境に1回目の潜行で産んだ(太っているほとんどの)個体と2回目の潜行で産んだ(孵化直後の幼虫と腐った卵の)個体に分かれていると思われます。

埋まったトレイは直ぐ室内退避、マットを暴いた瞬間はホカホカでも、トレイに移して数分と経たずに幼虫は動きが止まります。


CA3I0080kai.JPG

   結果

            31頭 (1令幼虫のみ)


間髪入れずマットに投入します。
去年のタイ産の大失敗から、マットに変な工夫や選定をせず愛知の某店のお高めのカブトマットを120ccと200ccカップに入れて幼虫を投入していきます。
寒中割り出しの条件はタイ産と同じなので、1~2週間後のこの幼虫達の生存率でタイ産の死亡原因も判るかも知れません。



  2月5日

Aセットの翌日。
残るもう片方のセット『B』の割り出しでセット内容は以下の通り。

Bセット
【容器】・・・コバエシャッター大
【マット】・・・ケースの8割の深さ
ホビー倶楽部カブト産卵マット/中層3割上層4割&下層3割/〇〇〇腐葉土
【日数】・・・セット日12月5日(♀体重11.1g) (♀体重12月9日9.5g)  62日間

基本的に上層の腐葉土パターンは変えません、そして下半分は、底に同じ腐葉土を詰め、その上に上層の腐葉土にサンドイッチされる形で産卵マットを詰めておきます。

 この意図は・・・・・・  この時産卵マットが足りなくて腐葉土で嵩増ししただけです(苦笑)
できれば上の腐葉土の下を全部産卵マットにしたかったんだ・・・



その結果↓↓

CA3I0081kai.JPG
孵化した幼虫は薄いマット層に集中。

今回はコバエの発生も無かったので、晴れて明るくなった自部屋の中で暖かく割り出しすることが出来ました。寒くて暗かった昨日とは天国と地獄・・・

ケースをひっくり返して暴いていくと、出てくる出てくる1令幼虫!
見事にマット層にのみかたまって幼虫が居ます。―そこまで嫌いかぁ腐葉土。

CA3I0084kai.JPG

   結果

            34頭 (1令幼虫のみ)


自分で自分を褒めたいくらい無事に幼虫が採れました。
こまめに採卵している人なら50や100も卵を採るのでしょうが、自分のセットの流れではこのくらいが最大値。大成功と言えます。

そして、同時に組んだAのセットと比べると、こちらのBの幼虫は全体的にAよりも2~4週間分ほど若く、セット内容の差でこれだけの差が出たのは興味深いです。マットの種類によっては成長速度どころか孵化率にも響いてくるところだったのでしょうね。


CA3I0087.JPG

   AとB 2セットの結果合計

            A=31頭 B=34頭  合計65頭


同種のカブトで一度にこれだけの数を抱えたのはポルテリー以来です。
現金ですがこれほど沢山の幼虫を見るとそれだけで嬉しいですな(笑)
取り敢えず羽化までの死亡リスクを考え、全て飼育していこうかと考えています。3令になった後の事を考えると今から別の寒気がしますけど・・・







ついでに、成長が進んでいるタイ産原名亜種のマット交換も行いました。

CA3I0085.JPG
最初に少しだけ卵で割り出して孵化した4頭は順調ですが、11月19日の割り出し分25頭から生き残ったのは僅か2頭
今は合計で6頭しか居ません。

CA3I0086kai.JPG
幼虫は皆2令になりほとんどが丸々と太ってきたので、120ccから430ccに交換。



   そして現在・・・

割り出してから3週間が経ちましたが、原名亜種の時に抱いた不安をよそに幼虫達は皆順調に成長しています。

最初は、割り出しのショックで何割かは死ぬものだろうかと注視していましたが、カップの上部に上がってきたり腐っていく事も無く、マットの中をゆるゆると食い進みきちんとフンもマットの色になっています。
成長しきっている個体の多かったAのラインの幼虫は日を追うごとに続々2令に脱皮していってます。割り出しのタイミングは絶妙だったワケですね(笑)

数分の間とは言え、極寒の中で割り出し低温に晒してしまったAラインの幼虫(孵化直後の個体含めて)も全く問題なく生存しているところを見ると、やはり原名亜種の大量死の原因はカップに詰めたマットで間違いないみたいですね。


I県の某メーカーの腐葉土はもう使いません♪





 こんな間抜けな選定ミスもした我が家のゴホンヅノは
 2年後にはこの内どれだけの数が生き残っているのでしょうか・・・。



・・・→(最後の恨み節)


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五本大作戦・第二部 ‐ベトナム買います‐ [〆ゴホンヅノ (プランディ亜種)]

さて前回までは、
8年振りに飼育を再開したタイ産ゴホンヅノカブトの産卵についてあーでもないこーでもないと私見を挟みながら、現在までの様子をまとめていたのですが・・・



↓↓↓ 前回 ↓↓↓



幼虫があわや全滅かと云う大惨事に見舞われた、
そのわずか数日後へ話は進みます・・・・・・


▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


今年の秋はどこか飼育部屋が寂しげで、久し振りに数種類の増種を行っていました。
今回のタイ産ゴホンヅノもその一つですが、まだブログでは未紹介の種類もいます。そんな中、冬もいよいよ本番にさしかかろうと云う11月末「あと一つ何か新しい虫を入れたい・・・!!!」と思案していました。


そんな中でも、以前から気にかけていたとある虫を某ショップで発見しました!!



ビソンノコギリ (亜種ホルテンシス)




かな~り以前にブログでも漏らしたことがありますが、
ニューギニア島周辺に広く分布する本種の中でもホルテンシスは好みなので、いつかは飼育してみたいとは思っていました。しかし、ニューギニア本島の亜種キンクトゥスと違ってあまり流通が無く、たまに見かけた時であってもタイミング悪く採集モードの時だったりでスルーしていました。
しかしようやく今、欲しいと思った時にこの入荷情報で発見してしまった・・・しかも安い(笑)
「よぉぉぉし!!! 今年最後の増種はコイツに決めた!!!」
早速電話で問い合わせました。


自分 (前略)ビソンノコギリは在庫ありますでしょうか?」

お店 「あ~・・・ごめんなさい、
      ビソンはですねぇもう売れてしまったんですよ」

自分 「~そう なんですか・・・分かりました、どうもありがとうござ
(以下割愛)




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・今年の秋はどこか飼育部屋が寂しげで、久し振りに数種類の増種を行っていました。
今回のタイ産ゴホンヅノもその一つですが、まだブログでは未紹介の種類もいます。そんな中、冬もいよいよ本番にさしかかろうと云う12月の初め「あと一つ何か新しい虫を入れたい・・・!!!」と思案していました。



2017年最後の増種を決意するも出鼻を挫かれてしまい(苦笑)、あ~今年はもう大人しくしていようかなぁ~と増種ストップに舵を切りかけたところで、
個人的に超弩級の入荷情報が飛び込んできたのです。




ゴホンヅノ(ベトナム南部産)






なァ――――――!!!!!!?
ッたァ―――――!!!!!!!(※発狂)


ここに来てまさかのベトナム産・・・!!!
忘れてた・・・そうだ今頃の時期だった・・・!!!

3ヶ月前にタイ産の記事を書いた際にも、
【今年の冬はベトナム産は入るのか?】と最後に締めていましたが、完全に不意打ちでした。何の気なしに書いただけでしたからね。

ただ実は、ゴホンヅノのリベンジするとしたらベトナム産をやりたいと思っていたので、これを見過ごす手は無いという事で即決即決。

今度はビソンの時みたいな展開にはならず、無事発注が完了しました。



CA3I0011.JPG

今回はフェイスタメルの時のように偶然寒さが和らぐ日程も無く、完全な冬空の下を輸送してもらう事に。
今回のベトナムゴホンヅノは取扱い店がほとんど西日本で、死んで元々と云うようなスタンスでいるしかないと覚悟しかけました。幸いにも関東のお店でも取扱いがあったので入念な打ち合わせを行い送ってもらった結果、仮死状態になることも無く状態良く届きました・・・!




プランディゴホンツノカブト.JPG
♀を2頭。

待ちかねていた産地の入荷なので観賞用に♂も買えればよかったのですが、
「入荷が不安定なのでまずはブリード優先」という事で♀単品で2頭仕入れることにしました。



さて、この南ベトナム産ゴホンヅノカブト、
毎年秋に入荷があるタイ北部産とは違う特徴を持っているという売り文句で、『ゴホンヅノssp(ゴホンツノssp)』などと云う名称で販売されています。

紹介されているその特徴と云うのは、

 ・♂の前方(外側)の胸角が細く長い
 ・♂後方(内側)の胸角が短い
 ・♂♀共に上翅の色が濃い

と云うものでした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


最初にベトナム南部産が生体として輸入されたのはたしか2011年の12月頃でした。
(この頃、確かギラファノコギリも入ってきてて、指を咥えて見ていた記憶があります)
上記の特徴はこの時の輸入業者から発信されたものだった気がしますが、それに加えて

 ・かなり大型

と云う紹介もされていました。同産地のタイリクコーカサスChalcosoma chiron belangeriと並べても体格に遜色が無い画像なんか載っていて強烈に印象に残っています。

当時からこのベトナム南部産が特徴的だという事で、「いずれは亜種になるかもしれません」なんて調子のいい話がされていたのですが・・・






時は流れて今年の10月
我が家ではタイ産ゴホンヅノのブリードに四苦八苦していたちょうどその頃。



南ベトナムのゴホンヅノが
新亜種として記載されました。






ゴホンヅノカブトEupatorus gracillicornisは現在まで亜種は、

原名亜種グラキリコルニスE. g. gracillicornis
タイ‐ミャンマー国境亜種エダ(通称エダイ)E. g. edai
タイ南西部亜種キミオ(通称キミオイ)E. g. kimioi
マレー半島亜種ダヴィッドゴーE. g. davidgohi

の以上4つに分かれていたワケです。
マレーのダヴィッドゴーも2013年7月に記載された比較的新しい亜種で国内の生き虫業界ではほぼ無名ですね。コイツも角に特徴がある良い虫なんですよ。

そして、今回の記載で追加された5つ目の亜種こそが、

ベトナム南部亜種プランディE. g. prandii

なのです。
基産地はベトナム・ラムドン省・ダラットとなっていて、記載文上での分布は南部のラムドン省とビントゥアン省に限られています。この付近ではエンドウゴホンヅノEupatorus endoiも分布しているので、この地域の特異さが窺えます。


自分がこれを知ったのは12月に入ってからだったんですが、最初知った時は「亜種にするほどか・・・?」とちょっと大袈裟に感じていました。

そんなに言うならどれどれちょっと比較してみようか~・・・
・・・と思ったけども説明が基本的に♂の方ばかりなので比較しようがない。
タイ北部産の♂は取っておいてあるので、これはWF1が羽化してきたらじっくりやりましょうかね(笑)

逆に言えば、♀についてはネットで検索しても誰も言及していないので(色が濃いくらい)、せっかくなのでこのブログでタイ北部産とベトナム南部産の♀を画像で比べてみる事にします。
・・・幸か不幸か、前回の記事にて無傷のままこの世を去ったタイ産の♀が居りましたんで(嘲笑)この個体を比較対象としました。
記載文の内容について確認する前にこの目視による亜種判別を行った結果が以下の通り。


E. g. gracillicornis and ssp.prandii.JPG
さてここでいきなり問題点が。
一番大事な、『上翅の色の違い』が判別不可能・・・死亡して上翅が黒化してしまったので色が一緒になってしまいました(苦笑)

原名亜種の方は生存時はもっと明るい色だったのですが・・・
仕方がないですが、色彩以外での比較を続行します。


《 背面 》
E. g. gracillicornis female.JPG
E. g. prandii female.JPG

体型においては全く同じにしか見えません。
頭部や前胸背も顕著な差異は見られません。


《 上翅近写 》
E. g. gracillicornis elytra.JPG
E. g. prandii elytra.JPG

上翅を見比べてみると、原名亜種に比べてプランディは表面の点刻が大きく、光沢が弱いように見えます。
しかも、上翅の下端の方を見ると・・・


《 上翅下端(横近写) 》
g. gracillicornis elytra2.JPG
g. prandii elytra2.JPG

原名亜種では肉眼でほとんど確認できないのに対し、プランディは上翅表面に毛が沢山生えています。
これらの特徴だけでも、新亜種と云うのはだいぶ違うものでしたね。



これらを確認した後で記載文の方を読んでみると、巷で言われている違いとは内容が少し違っている事が分かりました。
生き虫店で紹介されているのは記載上での説明ではないようで、記載文では原名亜種によく似ていると前置きした上でその違いが書かれていました。

その1 ♂の後ろ側の胸角が前側の胸角より明確に短い
♂の前胸背の後方の一対の角(背面から見ると内側の角)が、同じく前方の一対の角(つまり外側の角)よりもだいぶ短いとあります。対して原名亜種の方は、どの胸角も大体同じくらいの長さであると云う事で区別できるようです。
また、中型個体の♂についても説明されていて、前方の胸角が前方に伸びて先端が内側を向くとされていて、原名亜種はこの角は外側に向かって伸びるとの事です。

その2 ♂の上翅の会合線の黒帯はより広く、小楯板の付近で広がる
上翅の会合線に沿って黒い一本縞模様が走っていますが、本亜種は原名亜種よりこれが太く、小楯板のあたりにくるとそれが広がって太くなっているという事のようです。


♂については、他にゲニタリアの形状や、マレー亜種との違いにも触れていましたが、
生き虫屋がゲニタリア引っ張っても何にもならないし、マレーのダヴィッドゴーなどという流通も知名度も無い亜種と比べても今は意味ないので割愛します。

また、♀についても説明されていて、必要な所だけ抜粋すると以下の通りです。

その1 上翅は、点刻はより大きく、光沢が弱く、ビロード状の茶色い短毛に覆われる。
ここはまさにさっき比較した箇所そのままですね。

その2 個体によっては、前胸背中央基部に楕円形の窪みが現れる。
前胸背板の、中央基部・・・つまり最も小楯板に近い所に楕円形に窪むという事で、これは全ての個体に見られる特徴ではないとの事で我が家の2頭ではこれはありませんでした。ちなみに原名亜種ではこの窪みは無いそうです。


以上が原名亜種との外見上の違いという事ですが、意外にも上翅の色については触れられていません。
この部分に気が付くあたりが生き虫大国の日本ですね、多分記載時の検体は標本ばかりで上翅が変色してしまい比較にならなかったのではないでしょうか。


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さて、産地比較も終わったところでブリードに即座に取り掛かります。
観賞もそこそこにセッティングしました。


マットは、前回の原名亜種の時とは基本的に別銘柄の物を使用しました。
CA3I0012.JPGCA3I0014.JPG
見た目はそっくりですが完全別物。
飼育部屋は非常に寒くなっているので、生体到着までの間にマットは温室内で保管し温度を慣らしておきます。

♀2頭をそれぞれ大ケースでセッティングし、♀を投入。
CA3I0024.JPG
エサを入れる間もなく即行で潜っていきました。マットに置いた瞬間、無徘徊で・・・
これもマットの温度を合せていたおかげでしょうか。


後日見てみると
CA3I0044kai.JPG
片方のケースでは側面から潜行中の♀が確認できました。
層を分けた部分にちょうど居ます、これは産卵している態勢なのでしょうか。


ゴホンヅノなので割り出すまでは何が起こるか分かりません、
こうしてまた期待と不安混じりの1ヶ月がスタートしました。




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