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時限採集 60分前!! [日昆 採集記 【2021年】]

2021年の夏は去年に引き続き怒涛のコクワ採集に明け暮れました。
あれほど遠かったクリアマップも、気付けばもうあと1市町村! すでに夜も寒くなり夏が終わろうとしている今、採集のチャンスもほとんど残されていません。
つまり、まだまだコクワ採集の手を止める事が出来ないのです。


そんな状況で、カレンダーに視線を飛ばせば透けて見えるのはあの光景・・・

 あぁ・・・ヤナギを見上げたいナァ~~・・・

思えば、去年だって何度か林道を攻めたものの、大してヒメオオを見つける事が出来なかったんですよ。一応採ったには採ったのですが、既知産地のみで新規開拓は全部失敗。行った数も少ないし個人的にはそれほど充実感がありませんでした。さらに10月途中からは車の買い替えで、強制的に採集納めになった記憶が・・・もう遠い過去のように感じます。
今年に関しても、コクワ採集ばかりしている所為か、オオクワやヒメオオを採ってる周囲の人達に感化されて空しくなる事も時々あるんですね。ネットで情報収集していても、フォトジェニックかつ硬派なドルクスを趣きたっぷりに見せつけられる毎日。時期的にコクワも採り辛くなってきた事も相まって、焦りと空腹感が高まるばかりです。

 そんな秋の、ある日の話を書いてみます。





  9月7日(火)

当然ながらこの日は仕事。基本的にこのブログで仕事の話は書かないのだが今回の記事の便宜上書いておくと、自分が勤める会社の部署はその日その時々によって県内の各地へ赴いて業務を行なっている。

この日も、朝の時点で自分は「X市町村」へ単独で向かう予定だった。

本音として秋のヒメオオの姿を見たくて堪らなくなっていたのではあるが、コクワの最後の1市町村を投げ出したくない気持ちも強い。
さらにそこ以外にも、コクワの採集ラベルとして揃えておきたいエリアが多数残っている。
天候が変わりやすく夜寒いこの季節、コクワを採るにしても夜行って探したりライトを焚くよりは日中に探す方が近道だと考えると、スケジュールの立て方は完全にヒメオオとぶつかる事になる。
こうなると、仕事が休みの日はどうしてもコクワ採集を優先するためヒメオオ採集が出来ないのである。

ここまで書けばもう察しがつくが、
そうなるともう平日の仕事の合間に近場の産地へコッソリ潜り込みヒメオオに会いに行くしかないのだ。
なお、職種は山との関わりが一切無い為、仕事中のヒメオオ採集なんぞは当然〇ボてる事になるワケである。


「X市町村」か・・・
と云う事は道中のルートをちょっと変えれば
「Z市町村」のヒメオオポイントを見に行けるじゃん♪♪


思い付いたと同時にそれは確定事項に決まった。

今年、ライトにたまたま偶然飛んで来た個体は見ていたものの、まだ樹に付くヒメオオは見ていない。「Z市町村」のポイントは既に採集済みでレアでもない場所ではあるのだが、知ってる産地でもいいから兎に角林道でヒメオオを見たい一心であった。
(この記事出してしまっていいのかちょっと迷いが出てきた)



よし、気合入れるか!と俄然やる気が湧いてきたところだった。



しかし、
直後にそのやる気が圧し折られる事となる。



上司 「今電話が来たんだけど『Q市町村』のXXに行って頂戴。午後1時ね。」



ええぇぇぇぇぇぇぇ~!!!??
なンッだよ畜生ッッ!!!!!(声には出さない)

「Q市町村」の方でトラブルがあったらしく、優先順位の低い「X市町村」は別日に後回しにして急遽そっちの方へ対処する事になってしまった。

残念な事に「Q市町村」は「Z市町村」とは別方向。
「Z市町村」のポイントは、仕事中に寄り道したとしても業務への支障が少なく非常に助かる場所なのだ。自分の覚えている県内ポイントの中でも特に立ち寄りやすかっただけに、それがお預けを食らってしまうとなると、もはや絶望的とも言える。

上司 「あ、それと市内の△△からも呼ばれたから対応お願いね」

ウッ・・・仕事増えた・・・


やはり平日の仕事中じゃそんな上手く事が運ぶワケも無いと冷めつつも、
自分の頭の中はヒメオオモードのまま切り替えられなくなっていたのである。

「Q市町村」・・・
採れるとは思うものの、実はまだここではヒメを採った事が無い。
かと言って、その道中にも手軽かつ仕事のスケジュールに影響が無い採集ポイントは無い
しかし、外はヒメオオ向きの良い天気でここ数日雨も降っていないし、明日から天気がやや崩れる予報が出ている事を勘案すると、諦めるのは非常に惜しい・・・
やはりここは多少不安はあるものの、未採集ラベルの「Q市町村」でどうにか時間を作って山へ突っ込むしかない!
覚悟は決まった。
(これが全て仕事の話だったら・・・と自分でも思う)


最低限の採集道具(網と長靴)を見つからないように自家用車からこっそり社用車に積みこみ、出発した。


「Q市町村」の仕事は午後1時と決まっている為、まず先に市内の方から片付け市外へ。
市内では予想していたよりも時間が押してしまったものの、後が堪えるのできちんと昼食をとり、時間的に午前中の影響も無く午後1時を少し過ぎた頃に「Q市町村」の現場へ到着。
しかし、ハプニングや大きなトラブルは無かったものの仕事は予想以上に長引いてしまい、対応が完了するのに午後2時半近くまでかかってしまった。

何にせよこの日の仕事はとりあえずは終わったので、
目星を付けていたエリアへ真っ直ぐ向かう。

目的地は帰路の導線上から少し外れた方向にある為、そこまでの往復時間を含めるとあまり余裕は無さそうだ。
何より、その往復時間がどのくらいか予想がつかない事が一番不安である。
このエリアは本当の昔=免許取りたての頃に来たのが最後で、距離感もほとんど忘れてしまっている。
時刻は午後3時過ぎ、帰社するルートに戻るまでの時刻を逆算すると約1時間以内に山を下りていなければならない。
ついつい焦って未舗装路でスピードを出してしまう。

「Q市町村」のヒメオオは、記録こそ残っていないものの既に採った人が居る。
地図で確認すれば望みのある環境はたったの1ヶ所。その辺りにしか居ないだろうと思うほど環境は限定されている。
KIMG3103.JPG
少しずつ標高を上げていくとそれらしい雰囲気の林道になってきた。
ここ数日雨が降っていないだけあって道も乾いてて爽やかである。

KIMG3106.JPG
道路脇から迫り出した木々。小高くなった道路脇から生える根曲がりの木々を見ると、鼻息が自然と荒くなってしまうのだが・・・これもしばらくお預けを食らった所為だろうか。


当地の特徴的な植生。
KIMG3109.JPG
ヒバ


KIMG3110.JPG
ブナ

2種類の原生的な森林が入り混じり、自然度の高さが窺える。


KIMG3107_01_BURST1003107_COVER.JPG
いたる所に巨大なブナの腐朽木が立っていたり倒れていたり。
自然の循環の一部としてこれらの腐朽木がそのまま残っている様子は、純粋に景観として好感が持てる。どこぞの観光地とは大違いだ。幹の途中から容赦なく切断された立ち枯れが林立したあの光景など、自然としては本当に「不自然」でしかない。


地図を見ると、もう目的地周辺。
車を停め、長靴に履き替えて網を手にルッキングを本格的に開始。

日が傾き、風が時折さらりと抜ける度に肌寒さも感じられる。
雲が薄く掛かり空色は今一つなものの、久しぶりの感覚で若返ったような気さえする。

とは言え、あまり悠長にしている場合ではない。
時刻は既に午後3時半の折り返しに来ている上、会社のケータイが圏外になっている。長時間圏外だともし電話が来た場合、連絡がつかない事で所在を怪しまれてしまう・・・!


焦りからか、どこにでも居そうな環境にもかかわらず焦点を絞れない。
そんなはずは無いと言い聞かせるも、シーズン初めで目が慣れていない事もあるのか目に留まる枝が無い。


それから時間にして僅か2~3分だろうか、
噛み痕が付いた木を見つけた。
KIMG3113.JPG
強烈だ・・・!
やや古いように見えるものの、大量の噛み痕である。

しかし、目を凝らしても噛み痕以外の物が付いている様子は無い。

まさか・・・誰か来ている・・・!?

すぐ変な想像に走ってしまうのも被害妄想が過ぎると思うが、
最近は肩透かし的に新しめの噛み痕が多くても本体が居ない現場に出くわす事も珍しくないので、仕方のない事なのかな・・・と諦め混じりに次の木を探す。







その直後、午後3時30分
失望してからおよそ15秒程度後の事だ。

KIMG3124.JPG
写真中央、枝打ちされた大変不格好なヤナギを見上げると・・・


KIMG3115.JPG
まだ短い上の枝に・・・


KIMG3116.JPG
居た。
肉眼で見てもこの写真のような感じで、曇り空が反射して虫も枝も真っ黒にしか見えないが、枯葉でも浮いた樹皮でもない。
はっきり視認出来ているとは言えないが、目が慣れているからかアカアシでもノコギリでもなく、これはヒメオオであるとこの時点で確信した。


KIMG3118_01_BURST1003118_COVER.JPG
枝の上に乗るような形で付いている為こそぎ落とせないが(下や横に付いていると剥がし易い)、兎に角網を伸ばしてみる。
さぁ、平日の朝に見た夢を遂に叶える時が来た!


・・・お!入ったッ!!!

・・・ん? まだ1頭上に付いてるのか?

・・・網先当ててるのに落ちないな~・・・

ん~~・・・いや、違うな、あれは剥がれた樹皮か!


 ポロッ・・・   パチン

あっ!!! やべッ 網から落ちた!!!!


KIMG3119.JPGしかし安心、木の根元の下草は薄く、落ちた場所は砂利敷。
もう逃げられないと諦めてくれ・・・



2021ヒメオオクワガタ.JPG
ああ・・・この久しぶりの感覚。
コクワガタよ、・・・浮気してすまない。

2021年の秋もひとまずこれで最低限のモノは見られた。
39mmと小さい♂だが、未採集市町村だったので充分である。

採れるかどうかで焦ることも無くなったので、
大型更新をすべく追加個体を探しに行く。
(もっとも、時間が無い事に一番焦らなければならないのだが・・・)


しかし、
その後噛み痕もあまり見つからず、木自体もだんだんそれらしい種類も見られなくなってきて終点に辿り着いてしまった。この時点でもう午後3時40分を過ぎていた。
急いで来た道を戻り、先ほど見つけた噛み痕だらけの木々に答え合わせとばかりに蹴りを入れてみたが、虚しくも落ちてきたの葉っぱだけであった。

結局、この1頭が最初で最後の獲物となった。
青森県ヒメオオクワガタ.JPG

車に乗り込み、急いで林道を引き返す。
保管用ケースを忘れてしまったので、網の中に虫を包んだまま帰路を急ぐ。

山を下りた時点で、既に時刻は終業時刻前の1時間を切っていた!

普段は、この「Q市町村」から会社まで掛かる移動時間はほぼ1時間なのだが、
すでに夕方の帰宅&帰社ラッシュが始まっている街道を通ってもその通りにならない事は明白である。
自分のいる職場の部署は、残業が決まってない限りは終業時刻に全員揃って退勤するのだが、今日に関しては特に誰も予定残業が無い為、仮に終業時刻を過ぎて帰社すると全員を待たせる事になって迷惑を掛けてしまう。

「一か八か・・・賭けるしかない!!」

普段のルートでは絶望的だと悟り、
いつもは通る事の無い農道をひた走る博打に打って出た。
(今回の記事で、社会人としてアウトな事を何度犯しているのだろう・・・)

前のめりでハンドルを握り、
〇〇〇〇を〇〇〇〇し、
〇〇〇〇を〇〇して〇の〇を〇〇〇〇て、・・・いやもう←こんなの書けるかッ!


これ以上近道の出来ない市内に入るとやはり渋滞。
時計にビクビクしながら少しずつ会社へと近づいていく。
あと5分・・・あと4分・・・あと3分・・・





残り1分!!! 会社に到着!!!
セーフゥゥゥゥ――――!!!!


自分 「戻りましたお疲れ様です~」

上司 「あァ、ハイお疲れ様~・・・」

自分 「?・・・あれ・・・?」


帰り支度していない・・・
と言うか、なんか本日業務を終わる雰囲気ではない。

上司 「今日中にやっつけとかないといけない仕事がさっき入ってきたのさ・・・」

同じ部署の他の社員がせかせかと仕事を続けていた。



これは・・・


自分だけ終業時刻ギリギリで帰ってきた分、  
だいぶ気まずい・・・




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