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解禁 [日昆 採集記 【2018年】]

月になり、いよいよヒメオオシーズンも本格化してきました。
ライトの時期も終焉に近づき、ヒメオオの新規開拓に向かうべく候補地の選定で心弾ませています。

行きたい場所・行っておきたい場所が多すぎて、焦りを通り越しイラつきさえ覚えるくらいなのですが、その中でも長期間工事中で入ることが出来なかった有望エリアがこの9月中旬に遂に解禁されると云う事を思い出し、休日ヒメオオ採集の初回出撃はそこへ行くことを決め、当日の朝を迎えました。





  16日(日)

。 寝坊した。

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あ゛~寝坊したァ~!

準備をする時間も全部布団の中ですっ飛ばしてしまい、出発したのは昼の11時半

当初の予定では、朝早く起きて荷物を積み込み、別件の用事を済ませたら10時前には出発しているハズだった。


今回の採集のプランはこうである。

正午過ぎに解禁エリアへ↓↓
解禁エリアでヒメオオ採集↓↓
夜はその解禁エリアでライトトラップ↓↓
山の中で車中泊↓↓
翌朝から再びヒメオオ採集↓↓
夕方帰宅

ヒメオオと言いつつちゃっかりライトトラップの予定も入れてるのだが、
給油したり買い出しに行く時間も考えるともう既に半分計画倒れである。
そうは言っても荷物も多くスピードを上げて無理な運転も出来ないので、諦めて落ち着いて向かうしかない。

空は明るいが快晴とは言えずどちらかと言えば曇りがち。
ヒメオオ採集にあたって空が白いと個人的にはちょっと辛いが、雨でないだけ有り難い。
この日引退という事で、終始車内で安室奈美恵を流しながら目的地へひた走る。

途中、給油と飲食物の買い出しも済ませ、解禁エリアへ一直線・・・


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 市町村A

に入り、いよいよ解禁エリアへ突入。
このエリアは以前も来ている場所だが、数年越しのヒメオオ採集となるので期待をせずにはいられない。
今回のこの解禁エリアで楽しみとしている点は2つある。
・しばらく人(採集者)が入っていなかったヒメオオポイントがどう変わっているか?
・解禁エリア内にあるハイワット機材向けライトトラップポイントの、環境と手応えは?

ライトに関しては時期が時期なため、試し撃ちで何か変なものでも飛んできたらラッキー・・・程度の考えだが、根拠の無い期待を持ってしまうのは分かる人も多いのではないだろうか。

時刻はもう14時半、日暮れへのカウントダウンが始まっている中、道脇のヤナギを虱潰しにチェックしていくと早速見つかった。

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以前来た時はスルーしていたポイントで、ラベルも初となる場所になる。
ヒメオオの集まる樹は所によって年々変化する場合もあり、この解禁エリア自体がヒメオオがほぼ全範囲に生息する山塊の一画なので、どこで採れるか見当も付けにくいしどこに居てもおかしくはない。

網を差し込み、見事にネットアウトし斜面に下りて回収。
根際に近寄った時に不意落ちした個体を僅かに犠牲にしたが、重量音がしなかったので大物ではなかっただろう・・・

この日初めてのヒメオオ採捕に興奮しながら次はどの個体に狙いを定めるか迷っていると、細い幹をノコノコと下りてくる影が。

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良型の♂が目線の高さにまで来たので撮影後おいしく頂いた。

付いていた2本のヤナギを、写真も含めて20分ほどかけて片付けた結果が
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♂4頭・♀2頭。土産分以外を元に逃がして次へ進む。まだ先は長い。

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山の上には薄い霧が緩やかに流れている。


時ヤナギをチェックしながら続いて到着したのは、
以前ブログにも書いた自己最高54mmが採れた事のある林道。
車を降りて網とケースを片手に半ば藪に埋もれかけたヤナギ並木を見上げる。

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う~わ・・・見辛ッ・・・
上を見上げるヤナギのルッキングは、ヒメオオの視認性と眩しさの問題で晴天の時と曇天の時では見え方が違う。曇天では白い雲が反射板の役割をしてしまい目に悪い。枝も全部真っ黒に見えてしまいヒメオオを見逃しそうになる。

肝心のヒメオオは、この日の探索予定範囲内のポイントで一番期待していたのだが、大きく裏切られほとんどのヤナギに本体が付いていない上に、やっと採れたのはボロの♀1頭のみ。結局ここでのお持ち帰りは無しに終わった。

それなりにまとまったヤナギは生えているし齧り痕も付いているのに、これほどにまで本体が採れないのは不自然に思える。・・・まさか・・・奴らの仕業か・・・!?


一番の期待ポイントを空振りに終わった時点で時刻はもう15時半を過ぎている。急いで先へ進む。
既知ポイントは探し終わってしまったが、まだ新規ラベルが採れる可能性はある。


いて到着したのは、これまた探すのに骨が折れる長距離林道。
今回初調査という事で、この長いアプローチに限界まで肉薄すべく早い時間にここまで来ることを当初考えていた・・・ワケだったのだが、まぁ、この有り様である。

さて、装備を固めて突入したが早速大自然から派手な歓迎を受ける。
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見事に出来た崩落現場。沢を跨いだ箇所が崩れているのだが、幸い下りて進むことが出来たので問題無い(画像は通過後に後ろを振り返ってのもの)

もう陽が暮れはじめ、ただでさえ曇って樹が見辛いのに西日と暗くなりかけでさらにルッキングは困難になってきた。

そんな中、ヤナギを凝視し続け首が痛くなってきて目線を戻すと、隣りのブナの幼木に黒い塊が・・・

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えっ!!? そこ!!? ゆっくりと本命の♂が樹を下りているのを発見。
他の個体も探すがもう陰ってしまい見えないので樹を蹴ってみるが反応なし。

さっきのポイントでも下りてるヤツが居たが、
やっぱり寝坊したツケは大きかったのだろう。昼を過ぎて、見つける前に結構な数が樹から降りてしまったのかもしれない。
ただ、枝にも齧り痕が見られなかったので「樹を下りてしまっている」と結論するには疑問が残るが・・・

さて、ここから時間との戦いを覚悟し今からどれだけ奥の方までルッキングで行けるかと焦りだしてきたが、その悩みも直ぐに消えてしまった。

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わりと早い段階から林道に藪っ気が出てきて終いには画像のように陽の高さ関係なしに暗い森に変貌していた。林道が自然回帰してしまっている。
諦めて来た道を戻る、時刻はもう既に17時過ぎだ。


途中、樹に括り付けられた鳥獣観察用定点カメラに激写された。回収されるカメラのSDカードには、黄色いクマではないが赤いTシャツを着た哺乳類が写ってるはずである。


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辺りはもう薄闇に包まれライトトラップの時間が迫ってきた。
急いで今夜のトラップ現場に向かう。


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18時頃現場に到着、
地形を把握した後機材を設営しいよいよ点灯開始。
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点灯後しばらく経ってからの画像だが気温もそれなり、風も無し、湿度は低いがわがままは言ってられない。

温度が多少保たれているからかアリやガなどの小虫はこの時期にしてはそこそこ集まってくるが、小雨が降り出し時期的にも流石にクワガタには厳しかったらしく、

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結果からするとこの↑↑2頭しかクワガタが飛んで来なかった。
他の虫でも、ヤママユが目立っていたくらいで目ぼしいものは一向に飛んで来なかったので1時間半ほどで撤収した。これが今期最後のライトトラップになってしまうのだろうか・・・

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時刻は20時を過ぎている。今日はこのまま山に籠るので帰宅時間を気にせずもっとのんびりやっても良かったのだが、今日はどう考えてもガソリンの無駄にしか思えない。

撤収作業も完了し、
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トラップ中、発熱している安定器でずっと温め続けていた夕食のカツサンドも食べ頃になっていた。


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ラップのポイントからまた移動を始め、
そこから少し走ったところで適度に開けた駐車スペースに到着し、ここで車を停めて休む場所に決めた。

車内灯を点け、時折邪魔してくる小虫を外に追い出しながら、本を読んだり採れたヒメオオの♂サイズを測ったりして時間を潰す。
採れた時点でも特別デカいとは感じなかったが、メジャーで測ると予想していたよりも小さく、50mmにすら届いておらず少しがっかりした。


そんなこんなで時間を潰していると、突然ケータイが鳴った。
一瞬驚いてケータイを見ると、メールの着信を知らせるものだった。メールの内容はこの採集とは無関係の物だが、驚いたと云うのは着信そのもの。何しろここは人里から遠く離れた山奥である。解禁エリアに入る前からずっと電波が通じなかったはずなのだが、ここまで来ると標高が上がり過ぎて逆に電波が通りやすくなっていたのだった。

それならば・・・と、聴いてた安室奈美恵もアルバム1周したし車のエンジンを掛けてカーラジオに入力を切り替えてみると・・・・・・ラジオの電波も入ってるじゃないか~・・・!
FMまでクリアに聴こえる。こんな山奥まで来ていつも聴いてるFM電波が入るのは不思議な気分ではあるが、この環境と云う事で今日はちょっとAMに切り替えてみる。
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この高標高なら普段入らない電波の局の放送も聴けるのがAMの楽しいところだ。どこの地域の方言か分からない番組を聴いたり、大陸から飛んでくる中国語やロシア語の放送を聴いてその遠い土地へ思いを馳せるワケだ。こういう時だけは雑音リスナーになるのもわるくない。



  17日(月)

6時前
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慣れているとは言え家の布団よりは格段に寝心地が悪い座席に居た所為か、早く目が覚めた。周囲はもう既に明るくなっており、朝霧が少し眩しい。


今日は前日とは違う市町村に向かい市町村Bとする)、そこで午前中からじっくりヒメオオ探索を行う予定だ。

しかし、無事に起きることが出来て安心すると同時に、
「今から出発してもまだヒメオオが木に登ってないだろう」と出発を渋ってしまい、一度起こしたシートをまた倒し、少し時間を置くことにした。


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・・・ハッ!! ・・・・・・。

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あ゛~また寝坊したァ~!

7時くらいに出発すりゃいいと思って目を閉じたらグッスリ二度寝していた。
外を見るといつの間にか登山目的と思しき県外ナンバーの車も隣に停まっている。

急いで朝食のパンを口に詰め込み車を発進させる。
解禁エリアから脱出し市町村Bへ向かうが、そこへ至るまでの途中にある市町村市町村Cとする)も広大なブナ林が広がっていると云う事で、ヒメオオを期待してルッキングしながら目的地へ向かう。


 市町村C

日と少し天候が変わり、
今日は少し風が強く時折大きく樹の梢が揺れる事もあるが、ルッキングには非常に適した雲の少ない快晴になっている。


上下左右にうねる砂利道を走りながら、疎らに見つかるヤナギやヤマハンノキを流し見していくこと暫らく。雰囲気のあるヤナギを道脇に発見。
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枝を見ると難なく黒い塊を発見。「おぉ!! いるいるいる!!!」
網を入れて早速ヒメオオをケースに収める。新規ラベルが続いてホクホクだが、まだまだ居そうな気配があるので藪に入って枝の様子を把握していると突然、何か硬い粒が胸に当たった。

不意打ちに驚きながらも落ちた辺りを凝視したが一向に動く物は無く、そのため一瞬見失いかけたが見つけたクワガタを発見してまた少し驚く。

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ヒメオオでもアカアシでもなくスジ。
最近はちょっと縁遠い虫だったので嬉しい、しかもなかなか見栄えのするサイズ。

順々に網を差し入れ、目視で採り終えたら最後にキッキングで最終確認。
このやり方を繰り返し複数の個体を回収出来た。

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ある程度日が昇ったからこそそれなりに数も採れたのだろう、寝坊したが結果オーライか。取りこぼしもゼロで完璧だ。
とは言えいまひとつ満足とは言えないのが♂のサイズ。全て40mm未満の小サイズばかり。付近の発生木のキャパシティが限界まで来ているのだろうか・・・?


ちなみに、このポイントで採集していたところ、
どこからかク゜―――――ッ!!! ク゜――――ッ!!! と何か大きな鳥のような鳴き声が聞こえてくるようになり、次第に声と藪漕ぎの音が迫ってきた。

その内、藪がガサガサと風でない揺れ方をしたところで確信した。

昨日の54mmポイントでもその存在を懸念していた、奴らがやってきたのである。



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複数で行動することが多く、藪を素早く掻き分け樹に登ってヒメオオを落としてしまう厄介者。・・・サルだ。

明らかにこちらを威嚇しながら複数で徐々に自分との距離を詰めてくる。
ある程度無視しながら採集を続けたが、全て採り終えた時点でサル達はヒメオオが居た樹の隣りの灌木をガサガサ揺らして眼前まで迫っていた。
この地域のサルは何故かとても攻撃的なため、身の安全をはかって不要個体を早々にリリースしその場から離れた。


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らく走るとまた虫の気配がするポイントへ行き着いた。
成長してやや背丈が伸びたヤナギ林をルッキングすると、またクワガタを発見。

やや高い位置でよく見えないが網を伸ばして取り込むと、残念・・・普通サイズのアカアシ。
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あちこち見ても高い枝に同じような付き方のクワガタが多数いるのでほとんどアカアシのように見える。7m程度の高さまで網を伸ばし、いくつかサイズを確認していくがどれも小さいので早々と車に戻って先へ進むことにした。


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青い空の下でヤナギを見上げるのはなんとも爽やかな気分になる。
山の奥だが、クマやサルの恐怖感も全く感じられない。


そろそろ昼11時半になり目的地への到着が遅くなってしまうのでこれ以上はルッキングもそこそこに急いで市町村Bへ向かった。


 市町村B

を回って間もない頃ようやく第3の市町村に入った。
ここからさらに暫らくドライブを続け、休憩をはさみつつ目的地に到着したのは13時半


さて、目的地には到着したが、ここでヒメオオを採るわけではない。
この市町村で狙うのは既に採っているラベルの物だが、そのヒメオオポイントに至るまでの道の遥か手前にあるゲートが閉められ、入れなくなってしまってそれ以来誰もヒメオオを採りに行っていない。
車を乗り捨ててさらに奥地へ進まなければヒメオオのポイントへは辿り着けない。
つまり今日は、数年手付かずだったその後の様子を見に行こうと云うワケだ。

ここからは、
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自転車が足になる。ライト機材と一緒にこれを車に積んでのドライブは初めてだったがとにかく面倒くさい。
見ての通りただのママチャリなのでコンパクトに折りたたむ事も出来ない。
しかも、以前使っていた愛車・デスティニー(過去記事参照)は保管中どこかへ行ってしまったのか見つからず、急遽用意したこの代車は変速機能が付いておらず、久し振りに自転車をこぐ身としては非常に苦しい。

荷物を積んで出発したが、やはり変速が付いていないと苦しい。
さらに、終始上り坂でポイントに着く前からもう既にヘロヘロになる。


途中、アカアシのいるポイントを物色しつつ、
いよいよヒメオオのポイントでもある林道入り口に到着した。
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時刻を確認すると出発から実に1時間掛かっていた。・・・そんなに長かったンか・・・
自転車をこの場において林道に入っていく。


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林道に入って間もなくのことであった。

ヒメオオの痕跡があまり見つけられない違和感とは別に、
違う違和感・・・と言うか痕跡が路面に付いているのが目に入った。
他に人が入っていないと思っていたのだが、真新しいタイヤ痕が付いている。

最近・・・? まさか昨日にでも車が入ったのか・・・?
想定外の物が目に入り一瞬思考が止まったが、その後さらに想定外の光景が目に飛び込んできた。

退避空間に(サンバー)が停まっている。
工事関係者ならばこの林道には用は無いだろうし、ただの山菜キノコ採りならば車でゲートを通過できるはずがない。
車内にも周囲にも人の気配が無いので正体も分からず、そのまま先へ進むしかない。

段々と自然回帰していく林道を進んでいくと、またしても違う車(ジムニー)が停まっていた。今度のは狭い林道を塞ぐように停めてある。またしても人は居ない。

もう何が何だか分からないが、奥に進むしかない。
ヒメオオも見つからず、狐につままれた気分のまま藪に隠れかけている林道を進んでいく。
足場が荒廃し歩くのにも苦労しつつヤナギを見ていくが、何も居ない。
沢山見かけるヤマブドウに実が無いところを見るに、来ているのはやはりその手の人達のようだ。


間もなく、林道の荒れ具合も本格化してきたあたりでようやく1頭のクワガタを発見赤枠内)
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高さ4mほどの所に付いているがおそらくヒメオオだろう、

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網を伸ばして無事回収、一時はどうなることかと思ったが漸くヒメオオ♂が採れた。サイズは40台後半であまり大きくはない。

何にせよ1頭確認できたし、ここから本番だ!・・・と思いきやまた見つからない時間が続く。
林道も狭く藪に覆われ、先行者がヤマブドウやキノコなどを採っているとしたら、その最中にヒメオオの付いている樹も揺らされてしまっている可能性は非常に高い。
おまけに、やたらと多いヤマブドウによってヒメオオ本体や齧り痕の見間違いが多くなる。
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↑↑これを見て、「あ!居た居た(嬉)」と思った方も居るのではないだろうか?
これ(矢印部分)をヒメオオと勘違いし、網を当てても微動だにしないこれがただのヤマブドウの蔓だったのにはただただガッカリした。

移動環境の悪さも手伝ってなかなか思うように進めないが、
CA3I0598.JPG
なんとか2本目の当たりを発見矢印部分)
♂しか見えなかったが網には一緒に♀も入った。


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っていたより遥かに少ない数に気を揉んでいたところ、林道の向こうからガサガサと何かが近づいてきた。
一瞬警戒して熊スプレーに手を掛けたが、直ぐに違うと判り安心した。


??? 「何採ってるの?」

自分 「クワガタです。」


マタギだと名乗るこの人に話を聞くと、先の車の謎が一部解けた。
詰まるところこの人は地元の集落の方で、先住権を持っている関係で特別にゲートの鍵を所持しており、それでここまで車で入ってくることが出来ると云う事であった。
背には籠を背負い、どうやらこれから戻るところのようだ。

クワガタについても貴重な話を聞くことができ、
この辺りは既に2次もしくは3次林と化していてあまり良いナラの木は無く、クワガタを採るのにはもっと奥の山の方が適しているとのことであった。もっとも、この話はミヤマについての話らしくヒメオオは存じていないかのようだったが、今年はミヤマが多く特大の♂も見たのだそうだ。

ここから先の道は危険だから注意しなよと忠告を頂いたところで話は終わったが、
最後別れ際に気になる事を訊かれた。


地元の方 「林道上がってくる時車何台停まってた?」

自分 「え~っと、1台・・・と、1台ですね、2台見ました。」

地元の方 「途中の広いとこに軽のバン停まってたか?
        俺ぁこの先の道荒れてて奥に入ってかないようにわざと道塞いで
        停めてラんだがその手前にも停めてたか?」

自分 「えぇハイ、広いとこで脇に寄せるようにしてサンバーが停めてあって・・・」

地元の方 「ァァ・・・そうかァ~・・・」


最後の語気からはどこか物憂げな雰囲気を感じた。
訊き方もワケ有りげだったし、そのサンバーの人はこの人とは何か関係がありそうだ。
気になったがそれ以上は訊けず、別れの挨拶を交わして奥へ進んだ。


もう道が道でなくなっていた林道を脱すると危険なガレ場に到達した。
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足場は脆く崩れやすくなっていて、ここで滑落すれば谷下まで真っ逆さまである。
さっきの人も、足を踏み外して亡くなった人が出ていると言っていた。

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林道もいよいよ藪に呑まれてしまい、もうそろそろ時刻も16時になろうとしていてこれ以上進むと命に係わると判断し引き返すことにした。


上を見上げようにも、西日が眩しく邪魔をしてくるようになっていてもはやルッキングにならない。
車まで戻る時間を考えても丁寧にルッキングしている暇も無いと思い、ヒメオオが採れた近辺のヤナギを蹴ってしまうことにした。

藪が酷く落としたとしても回収が難しいとは思ったが、そもそも付いているとも思えなかった。
しかし、これが予想に反してボタボタとクワガタが落ちてきて面食らった。

落ちてきたクワガタは下の藪をすり抜け地面に落ちていったが、回収しようと根元の藪に分け入るとそこは急斜面だった。
草木に掴まりながら斜面を下りて行った頃には案の定全部見失っていて、落とした分の回収を諦めて登ろうとしても草木を掴まないと滑って登れない。
一気に落としてしまわないように気を付けてはみるが、弱く蹴って虫を見落としてはまた弱く蹴ってを繰り返し何も回収できない。どうにか辛うじて最後の最後に1頭だけ視界に捉えることが出来た!!

CA3I0601.JPG
アカアシ・・・・・・・・・いや、でもこれデカいゾ!!?
久々にアカアシで50mm台いったかも知れない・・・!

林道に戻り、道の状態がまともになってきた所まで戻ってくると丁度さっきの人がジムニーで戻っていくところだった。時刻も16時半で、サンバーの人も消えていた。


林道から帰ってきた時点で最終的な結果はこんなもの↓↓
CA3I0603.JPG
ヒメオオはボロも居てサイズも大したものは採れなかったので全部リリースしようかと思ったが、今日こうして採集に来た事を記録として残しておきたいと思い1♂だけ持ち帰ることにした。アカアシは勿論お土産決定だが、今になって思えばもしかしたらコイツ以上の特大♂が落ちてきていたかも知れないと思うと少し小さく見えてしまう・・・

その後少しだけ周囲を探索し、環境を軽く再確認して来た道を戻る。
往路と違って終始下り坂なので楽なこと楽なこと。速度が出過ぎるのでブレーキから手が離せないくらいだ。それにしても秋の夕方は昼とはまるで違って寒い。
風が冷てェェ―――!!!(凍)



CA3I0605.JPG
車に戻ってきたのは17時半。自転車を積み込み、帰路に就いた。
今年はもうあの場所へは行かないだろうと思うと、名残惜しさは帰る道中も尽きなかった。





うして2日間の採集は終わりました。いやァ疲れた(笑)

帰宅した後で、各種♂最大個体を測ってみましたがこんな感じでした。

CA3I0609.JPG
スジクワガタ・・・30mm

CA3I0608.JPG
ヒメオオクワガタ・・・49mm

CA3I0607.JPG
アカアシクワガタ・・・51mm

これを見るとスジが一番サイズ的に普通と思うかもしれませんが、個人的にそのサイズは満足していて、一番残念だったのはヒメオオです。
数年お預けを食らった分、再訪した時には宝の山かと思っていたのがまさか5cmすら越えなかったのは拍子抜けと言うほかないでしょう。
ヒメオオ狙いで行って一番良かったのがアカアシと云うのもなんだかなぁという感じですが、アカアシの50オーバーはヒメオオの50オーバーより難しいのでむしろラッキーだったと言うべきかもしれません。


何もともあれ、結果は振るわずとも久し振りのヒメオオ三昧はやはり楽しいですね。
家に帰ってきて布団に入った後も、足に引っかかる下草や蔓の感触、上を向きすぎてクラクラしてくる感覚、そしてヒメオオが枝に付いているのを発見した瞬間の光景が、頭と体に染みついて離れません。

個人的には、結果は差し置いてヒメオオのルッキング採集はライトトラップよりも記憶に残りやすい採集と感じます。
それもあるのか、一般的には冬が近づいていき段々と寂しさを感じる時期ですが、自分は益々採集意欲が増してきています。
まだまだヒメオオを探しに行きたい場所は残っていますし、残り少ない今シーズンの採集予定をどう組むか、今も悩み続けています。




 ただ、その前に大事なことを反省しなければいけませんな(苦笑)





寝坊しすぎだろ!!!!






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