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2022年写真館 [日昆 諸記]

2022年も残り1日となってしまいました。
振り返れば今年も色々ありました。世間では北京オリンピックやサッカーワールドカップの開催と云ったスポーツイベントに沸いたりもしましたが、ロシアのウクライナ侵攻、安倍晋三元首相の銃撃事件からの旧統一教会といった、早晩に解決できそうもない問題も国内外で勃発しましたね。青森県内で個人的に気になる話としては、全国的規模でその賛否が議論されている「風力発電施設建設事業」についてこの青森県がどこまで国に態度を示せるか、それは今もこれからも関心は失わない事でしょう。
また、今年も驚くような有名人の訃報も相次ぎましたが、個人的に一番驚いたのがつい最近亡くなられたばかりの山口進氏です。クワガタ好きならば誰でもその名を知っている昆虫撮影の大ベテランですが、こうして段々と時代を作ってきた人達が亡くなっていくと、何故だか自分だけ時代に置いていかれているような焦燥に見舞われます。

さて、今回ですが、
久しぶりに写真館と銘打った1年振り返りの記事を書いてみます。

とは言っても、起こった全ての出来事を不足なく書いていくワケではなく、個人的に書きたい話や載せたい写真を独断で偏重してまとめるだけの回です。

また、以前は思い入れの順位でもってランキング形式で並べていましたが、今回は話の順序がややこしくなるので「第〇位!」とかはやりません。



その1 大雨災害

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むつ市・風間浦村で去年あった土石流災害がまだ記憶に新しいですが、今年の夏も青森県内各地で大雨による河川の氾濫・土石流災害が多発しましたね。

この件は夏の採集記事でも一度書いたのですが、
特に採集シーズン中だったこともあって、自分も県内各地の有名河川の状況をこの目で見て恐怖を覚えました。
津軽平野の岩木川沿いのりんご園が水没するなどの産業的被害もそうですし、鯵ヶ沢は住宅地が浸水、そして全県的に山中へ続く河川沿いの道路の崩壊はこれまでに無いくらい多数に及びました。

その影響は、復旧工事が行なえなくなる冬期に入っても残ったままで、来年も開通予定が無い山道も例年以上に多いです。
「被害云々言ってんのに結局採集の話がしたいのかよ!」と言われたらまぁ不謹慎ながらその通りでございますが、来年青森県で採集しようと考えている県外の方は、まず事前に道路状況を調べることをおすすめします。




その2 発電機増設

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2017年にハイワットクラスのライトトラップをはじめて以降、車で進めない場所でトラップを焚く為にクソ重い機材を抱えてヒィヒィゼェゼェ汗を垂らして運ぶ事が何度も何度も何度もありました。
特に、電源がクソ重いオープンのガソリン式発電機(乾燥重量30kg超+燃料類)で、これを抱えて砂利道やらヌタ場やら足元の悪い急坂なんかを往復しないといけないもんだから、
精神力 >>>>>> 体力の無謀採集が毎シーズン何度かあって、帰り道の体力ゼロで車を運転したり翌日身体壊したりなんてことも頻発していたんですね。

貧乏人なりに年々機材のラインナップも進めていたんですが、手持ちの光源にもバラエティさが出てきたところで「いよいよ電源の方も選択肢を持っておこう」と云う段階まで来たのが今年の話。
この手のライトトラップ機材の中で、金銭的に最も手が出し辛いのが電源と言って間違いないでしょう。今回導入したのは2台目の電源となりまして、1台目と比較して持ち運びの容易な軽量型の発電機(写真)を仕入れました。
この手のタイプは各メーカーからほぼ同様の規格の製品が出ているのですが、微妙な性能の違い、重量、生産国、デザイン等色々悩みに悩んで赤いYAMAHAです。

なお、最近巷ではガソリン式の発電機ではなく、大容量化が進んでいるポータブル式バッテリーに関心が高まっています。
特徴を考えると利点も多そうではあるんですが難点や不安点も拭えず、特に個人的に心配なのは「夏場の日中に炎天下の車内に放置する事でリチウムイオンバッテリーの劣化や発火の危険性はどうなのか」と云う点で、平日の仕事終わりに直行で山へ行く自分としては、まだそこらへんに一抹の不安が残る手前おいそれと購入できないんですよねぇ(だからってガソリンを車内に置いとくのはいいのか?って話をされたらそれはそれで困るんですが)




その3 今年はコクワではなく…

―――いいですか、落ち着いて聞いてください、
あなたはずっと、コクワガタしか探していなかった。
それに固執していたのは・・・3年です―――


昨年まではひたすらコクワガタを集めるためだけに青森県内の市町村を奔走していたのですが、それも一段落ついてちょっと余裕が出来た今年(実際はまだコクワ集めは終わっていない)は、他の虫を狙った採集も出来るようになりました。
コクワは二の次(またはサブターゲット程度)でロケーションを選ぶことが出来たので「新規の」山や林に限らず、「毎年のように通ってたお馴染みの」山や、クワガタではなく〇〇〇〇〇を狙いに〇〇海岸へ・・・なんて日もあり、なんだか失っていた青春を取り戻しに行ってたような気分さえしたんですよ・・・

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1枚目の写真は岩手県境に位置している階上岳(階上町)なんですが、ここへは今年初めて行きました。山頂付近は国立公園の特別保護地区に指定されているのですが、そこを避けて山中をクワガタ目当てに探索しました。
結果的に、「階上岳で虫を探すものではない」ことが分かったに過ぎませんでした。

また、直接の採集に関係が無くとも、間接的に昆虫趣味の活動に関わる事で県内各地を巡ったのも思い出深いです。
ブログに既出のもので言えば、青森県産ペットボトル飲料水を集めに回ったり、日昆カレンダーの写真撮影だけを目的にドライブしたり。

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2枚目の写真は乳穂ヶ滝(西目屋村)で、結氷具合で農作物の豊凶を占う神秘的な場所でもあり、特に今年は近年珍しく上から下まで完全に凍ったと云うこともあって大変見応えがあり、夜間のライトアップなども催され観光客も多い年でした。自分は近年、冬場の長距離ドライブは事故が怖くて控えていたのですが「カレンダー用の良いネタが撮れれば」と断行、運よく他の観光客が写り込まない絶妙なタイミングで写真を撮る事が出来ました(数枚撮り終えたところで見物客が急増し滝の周りは人だらけになりました)

内容はそれぞれ違いますが、その地域へ目的を持って行った場所を数えると、今年は28市町村(青森市除く)にお邪魔したことになります。来年も色々な所へ行ってみたいところです。




その4 僅かなオオクワガタ

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コクワに固執しなくてよくなったと云うことは、数年ぶりにオオクワ採集にも意識が向けられるとも言い換えることが出来るワケで、8月の記事でも既に書いたようにライトトラップ時期は専らオオクワ探しがメインでした。狙うは自分のまだ採ったことが無い市町村ラベルなのですが、如何せん難度が非常に高い! 前年までは普通種のコクワ相手だった事もあり、いざ久しぶりにオオクワの新規or希少エリアへ赴くと、毎回空振りが続くことに対して余計に虚しさを覚えます。

そしてシーズン終盤、遂に気持ちが途切れてしまいメジャー産地へ。
ライトトラップでは未経験のポイントだったにもかかわらず、1晩目にいきなり♂が飛んで来たのは驚きましたねぇ~

結局ここでペアが揃うまでに、想定以上の時間が掛かってしまいました。しかしそのおかげで精神的均衡を保つことが出来たので、来年こそは変な寄り道無しで未記録のオオクワに迫りたいところです。




その5 ヒメオオの楽園へ再訪

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夏場のオオクワと同じく、秋のヒメオオもこの2・3年はほとんどやれてなかったので、今年は久しぶりにホームの聖域にメンバー3人で行ったり、新規の林道探索にも注力する事が出来ました。

ホームのポイントである県内某所では、久し振りだった割りに個体数がやや減っているような感触を覚えちょっとモヤモヤしましたが、林道沿いの発生木が古くなっている可能性も高いし、採集圧までは感じられなかったのでとりあえず楽しめました(飼育用にごく少数だけ持ち帰りました)
他にも既産地を何ヶ所か回ってみましたが、採れていた樹が採れなくなっていたり、いるポイントが微妙に変わっていたりと、意外にマンネリしなかったなぁと云う感想です。

新規開拓では市町村単位でポイントを変えて狙ったものの、記事にした青森市以外はどれも虚しい結果に終わりました。時期をずらして同じエリアを見て回ったり、例の大雨災害の影響で塞がってしまった長距離林道に突入した挙げ句に終点でサルに脅されてUターンするなんて事もありましたが、全部空振りです。

採れたにしろ採れなかったにしろ、ヒメオオを探していた時はオオクワの時とは違い何故かいずれも強烈な思い出として脳裏に焼き付いているのが不思議です。




その6 ルリの新産地を探して

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―――新産地、私の好きな言葉です。―――


夏のオオクワガタ、そして秋のヒメオオクワガタの季節が終わると、雪が降るまでの残り短い落葉の中でルリクワガタ採集に励んでおりました。
実はこの青森県、エリア毎に調べてみると意外にもルリクワの記録が少ないんですね(まぁ他県の記録数と比較したワケではございませんが)。分布の北限県で本属がルリ1種しかいない所為なのか分かりませんが、青森県で本種を探すクワガタ屋の人ってあまり(と言うかほとんど)いないみたいなんですよね。
そこで、今シーズンはルリクワの未記録エリアを回って記録を溜めてみようと考えたんです。

この件はまたいずれ公の目に触れる形で発表したいところですが、
今年の結果として勝率を計算してみると、7割5分・・・3勝1敗と云うところです。
その内の1敗と言うのが、実を言うと前出した階上岳だったりするんですよこれが。うわー恥ずかしい。南部衆の方々からしてみれば「あ、あんなトコロでルリ探してたのォ~!?」と指差して笑われそうな話ですが、やはり自分の目で確かめないと気が済まなかったんですよ。結果は勿論さっき書いた通りだったワケですが、残念ながら「見つからなかった」ことは転じて「いない」ことの証明にはならないのが辛いところです。
当分はあんなところへルリクワを探しに行くなんてことは無いと思いますが、あのくらいの標高なら何か面白い虫がいてくれないかと夢を見ずにはいられないのです。




その7 スマホからコンデジへ

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これまで、ブログで使う写真は一部の貰い物を除いて全て自身のケータイで撮ってきました。
時代が進むにつれてケータイ内臓カメラの性能も上がっていき、それなりに満足していたつもりですが、やはりどうにも納得のいく写真が撮れずがっかりすることも時々あります。
その最たる場面は、小さな昆虫の接写。昆虫としては大型な種の多いクワガタを相手にしていても、前出のルリクワガタやマダラクワガタのような小型種はスマホも力量不足です。それら以外であっても、身体の一部分の特徴を見るために最大ズームで妥協して撮ることはしょっちゅうありました。

そんな中、アウトドアで実用に耐え得るコンパクトデジタルカメラが生き物屋界隈で重宝されている事を教えてもらいました。OLYMPUSのTG-5、これがとても良いとのことで、バカ高い一眼カメラなんて買う気は最初から無かった自分も金銭的に目途が付けば・・・と考えていました。
そして今秋、いよいよ自分もカメラを!と腹を決めたところまではよかったのですが、件のTG-5は当初想定していた金額よりもなぜか値上がりしていて、ふとその隣を見ると最新モデルのTG-6の方が安い・・・
自分が聞いた話では、用途的にはどちらかと云うとTG-5の方が性能が上だとの話を聞いていたので迷ったのですが、予算には逆らえず、かと言って中古品を買う気も無かったので結局TG-6を購入。

使い方はまだ慣れませんが、近写は確実に向上しています。
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↑↑この写真は、スマホで最大限までズームしてピントを合わせて撮ったものですが、写真をそのまま幅500pxにリサイズするとこんな感じに(トリミングして拡大すると粗が目立ってきてしまいます)。ちなみにこれは、あの某リングライトも併用しています。
ちなみに、前出したその6の生態写真もスマホで限界まで頑張った写真です。

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↑↑対してTG-6ですが、専用のリングライトを付けて撮ってみるとこの余裕。体表の点刻も、スマホみたいにジラジラしていませんし、深度合成も出来ます。

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さらに、もっとズームすることが出来、ここまでやってくれるとカメラ代でウン万円も出てった甲斐があると云うものです。こりゃぁ楽しいわ~




その8 青森県ご当地スタンド

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―――青森県って40市町村あんねん。―――


さて最後のネタですが、青森県民のごく一部で話題となっているこの小物。
青森県内の地名をそのままアルファベットでアクリルスタンドにしたアイテムで、2021年夏頃から商品化されると、フォトジェニックなデザインとローカルなレアリティが相まってSNSを中心として(ほぼ地元のみで)話題性を集め、不定期にジワジワとラインナップ(地名)も増え続けています。
現在では青森県以外にも北海道岩手県のごく一部の地名も発売されたり、全国区のワイドショーにも取り上げられるなど、青森県外にも少しずつこの存在が知られつつあるようです。

自分がこれを知ったのは今年の秋
例の青森県産ペットボトル飲料水探しで各地の土産物屋や道の駅を駆け回っていた時、たまたまむつ市の土産物屋で目に留まったのがきっかけでした。
その後続けざまに横浜町で見つけたことから、「これってもしかして各地の市町村分あるってコト!?」と興味が湧いたのですが、調べてみると実は
全市町村揃っておらず、その地元の販売希望店の要望によって発売が決定する
生産数が少なく、既に売り切れていて再販の予定が無い地名もある
販売が局地的で、冬季休業する所やスタンド目的だけでは入りづらい店もある
常にアンテナを張って情報収集しないと新商品に気付けない
といったバカに難度の高いコレクターズアイテムである事が判明したのです。

写真の通り、いくつかの市町村は集まっている状態ですがこれでも少ない方です。現在のところ、現行市町村名の他にも特定の地区の名称もラインナップされたり(コレがまた良い所選んでるんだよナァ)、カラーバリエーションの違いがあったりして個人で集めきるのは不可能とも言えます。ロールプレイングゲームで例えたら、1件につき報酬アイテムが複数パターンある時期限定イベントに昼夜問わず年中参加するようなものです。

ただ、自分としては全部集めるつもりはありません。
本来この商品の正しい用途として、その土地のランドマークや地場産品と一緒に撮影することで、地域のPR旅行の思い出作りに役立てるものだそうです。
自分がこれを欲しいと思ったのは、「虫」の撮影に他なりません。
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急いで試し撮りしたものですが、要はこう云うこと↑↑
その土地で採った思い出深めな虫を、その地名のスタンドと一緒に撮って残しておきたいと云うワケです。・・・とは言っても、ブログの採集記でUPするかは別問題ですけど(地名がバレてほしくない虫もいますからね)。ちなみにこの写真は実際にむつ市で採集したヒメオオです。
そんな理由なものですから、販売中のスタンドがあるとしても、その地で特に撮るような虫がない(予定が無い)場合は無理して買いに行く必要もないかなと云うスタンスなのです(マニアックな市町村だとコクワ以外に採りに行く用事無いし)。収集癖の引っ込みがつかなくなって、本当にそこのスタンドを欲しがってる他の人を押しのけてまで買うってのは感心しませんからねぇ・・・

1個あたりおよそ600円前後ではあるのですが、数を揃えていくと結構馬鹿になりません。この秋冬の期間は結構夢中になって集めましたが、いやはやとんでもないものに手を出してしまったなとため息が出ます・・・







これにて今年1年振り返りは終了。
正直言って他にもまだ虫関連の話は飼育とかも含めてあったんだけど、時間的制約で断念しました。一言で済ますなら・・・
「懐かしい虫に手を出して、外産カブト幼虫は全滅!」

1年の流れとしては、
・1月から春まではコクワ論文の原稿作成・校正
・夏はオオクワ
・秋はヒメオオ
・紅葉時期はルリクワ
・秋から冬は水とアクリルスタンド探し

―――振り返れば、2022年も色々あった一年でした―――



タグ:写真館 紹介
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