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青森市のヒメオオクワガタ [日昆 採集記 【2022年】]

これまで、晩夏から秋にかけて青森県各地のヒメオオクワガタの採集及び記録をしてきました。

ヒメオオを採集できるようになって10余年が経ち、個人的県産クワガタムシ分布調査の集成度合いで言えば、コクワに次ぐ記録地点数になっています。
市町村ごとの記録で数えていくと、自分の想定している数に達するまであと少しのところまで来ています。残っているのは、「環境的にいるのは分かっているけどポイントが見つけ辛い」「それなりの標高は有しているものの生息環境があるか分からない」市町村ばかり。何度も挑んで散った市町村もあれば、生息自体疑わしくて探した事も無い市町村もあります。

しかし、一つだけそれらの事情とは別に採っていなかった市町村がありました。

近くて見えぬは睫毛、とも言うべき我が地元・青森市です。

このブログを初めてすぐの頃に自宅近くで拾った偶産個体以降、市内でヒメオオを見る機会がなかなか得られませんでした。
地元だからと言って優先順位を低かった事と、市内で探すタイミングがある際でも既産地を嫌って「ここで採れたら面白そう」と云う判断基準で開拓ポイントを選んでいた事が理由です。

 【自宅近くで拾った偶産個体】
   ⇒ 2009-7-23 『まさか近所でヒメオオって…』


今年ようやく市内産ヒメオオが採集出来たので、青森市のヒメオオについて簡単にまとめてみようと思います。


ヒメオオクワガタと青森市
ヒメオオクワガタは一般に、平地ではなく山岳部に生息しています。
幸いにも?青森市は市域の西部・南部・東部に広く山地・丘陵地を形成していて、本種の生息域もそれなりに広いものと思われます。

青森市地勢図2.png
梵珠山地
津軽半島の背骨と言える津軽山地のうち、南半分(玉清水岳から鐘撞堂山)を占める山地です。同じ津軽山地の北部(中山山地・平舘山地)と比べ、斜面も緩やかな地形で次第に大釈迦丘陵に移っていきます。
標高はピークで450~680mほどで、高標高帯はブナ・ヒバの樹相が見られますが、標高が下がるとかなりの範囲にスギの植林が広がっています。

大釈迦丘陵
梵珠山地の周囲から八甲田山地を繋ぐ位置にある、標高約100~250mほどの丘陵地です。人が住むにはあまり適した地形ではないのですが、丘陵地としては起伏が激しくなく、植林が進むなど広く開拓されていて、最近ではソーラー化の手も伸びています。
低標高ともあって森林植生はコナラなどが多いです。このエリアでブナ植生がどのくらい或るのかは未知ですが、自分が調査した限りでは確認できませんでした。どうやら、単に標高を上げればいい・奥まった所まで進めば見つかるワケではなさそうです。

八甲田火山地(八甲田山地)
青森市南部・青森県中央部に位置する高標高の山地です。大きな括りで八甲田と言っても、その成り立ちは北八甲田と南八甲田で時系列が分かれています。青森市域に属する北八甲田は、火山活動の年代が南八甲田より新しいと言われています。
北八甲田のピークは1200~1580mほどで、山腹は各種広葉樹で覆われています。しかし、私感ですが北八甲田は南八甲田と比べると単純な植生で変化が少なく、2次林も多くて樹が若い印象です。

東岳山地
青森県中央部に位置していて、八甲田山地から連続して夏泊半島(夏泊山地)に続く山地です。ピークは500~1000mほどで、起伏が激しい地形で人の手が比較的入りにくい地域でもあります。
植生は、低標高帯ではスギ植林も多いですが、非植林地だと所によってはヒバも多く、これは半島部以外では珍しい光景です。標高200m以上になるとブナが混生する広葉樹林も見られるようになります。


以上が簡単な青森市外縁の山地・丘陵地の概要です。
このように、市町村の境界に沿ってぐるっと森林に囲まれている事になるのですが(浪岡ゴメン)、一般にヒメオオが生息すると言われる「ブナ帯の分布」で見直してみると、
・梵珠山地
・八甲田山地 ‐ 東岳山地
の2つのエリアに大別する事ができます。





青森県の本種の記録を探すと、地域による偏りはあるものの決して少なくない数が報告されています。

しかし青森市のみとなると稀で、自分が見つけられた過去の記録は2件

南八甲田山地総合学術調査報告書(駒ヶ峯地区)
1992年に発行されたもので、北八甲田某所から他種の記録に並んで本種も記録されていました。

BE-KUWA No.71
2019年に刊行したこのドルクス特集にて、本種のページに青森市産の♂♀が掲載されています。
ちなみにこの♂個体、 ⇒ ファーブルハウスのホームページ【記事タイトル:ヒメオオ♂今期初ゲット】にて当時の採集エピソードが綴られています。
この記録個体は東岳山地某所で採られたもので自分もこのポイントは知っているのですが、この個体が採集された10年以上前と違って現在はまるで採れる気配が無く、ポイントとは呼べないくらい発見も稀になっている状況です。


また、疑わしい記録としてもう1件あります。
ビートル No.3
これは1974年に八戸北高校の生物部が発行した部誌なのですが、青森市の高標高域に位置する某所にて1♀のオオクワガタの記録として報告されています。しかし、現地の環境やクワガタムシに関する外見の認知度を考えると、本当にオオクワだったのか疑問が浮かぶ記録と言えます。当時は全国的にも誤同定はよくありましたし、県内でのオオクワの記録が(ほぼ)無かった当時に高校生の同定眼を完全に信用できるかと言うと・・・
また、この地において自分は過去にヒメオオの♀個体が路上で轢かれているのも確認していて、本書の記録はヒメオオ(もしくは他種)の誤同定ではないかと思えるのです。





さて、次は市内にて今年ようやく採集する事ができた2地域の記録をさらっと書いていきます。
1度目は西部の梵珠山地某所、2度目は北八甲田山地から東岳山地にかけて(←ぼかしておきます)の某所です。

〉〉青森市ヒメオオクワガタ採集記録


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