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ルリクワ単独戦! 遭難採集 [日昆 採集記 【2014年】]

前回4月6日、No.2と二人で挑んだ春の雪山でボロ雑巾になって負けて帰ってきた
ルリクワガタ採集でしたが、(2014-4-9 『春の雪山採集』参照
その日からおよそ3週間経ち、ある程度雪が融けたであろうと推測しその山へ3度目の挑戦に出かける事にしました。


  29日(火)

この日は朝から天気は晴れ。
朝に用事を済ませ、採集道具を車に積み込み自宅を出た。

時刻は大体午前11時、今回は自分一人での行程と云う事に気を抜いた所為か、
予定より随分遅い出発になってしまった。
(なんていつも通りなんだろう……)
途中車にガソリンを補給する以外に寄り道はせず、山の麓まで来たのは正午過ぎになってからだった。




【 採 集 編 】


久しぶりに宇宙大戦争のテーマを聞きながら車で山に向かう。

前々回・そして前回は、山の南斜面から突入して生体は見つける事が出来ず産卵痕すら拝む事が出来たのはたったの1本だったという大変苦しく報われない結果となったため、今回は場所を替えて山の東側からアプローチする事にした。
とは言っても、東側に決めたのは「読み」があったわけではない…
ただ単に、地図で見た限り他の斜面より広い範囲に渡って広葉樹が広がっているように感じたと言うだけの理由である。
広葉樹林帯が広いのは良いのではあるが、その代わりこの山は頂上から東の方面に向かっては、南を含む他の方角の斜面より傾斜がなだらかになっていて、一定の標高まで上がるためには前回の南斜面の時と比べてやや距離を歩かなければならないと云う面もある。



山の東側には着いたものの、さて車でどこまで行けて停められるだろうと言う事を今調べなければいけない。入山場所を決めて車を停めたのは結局昼の12時半頃だった。
周囲を見渡してみると、平地(標高230m付近)だけあってさすがに雪は見当たらない。
そりゃそうだなって感じではあるが、行きの道中に山の近くまで来た時、山の中腹に当初の予想よりまだまだ残雪がある事を目視していたのでその時点で「あらら…まだやっぱ早かったかな…」と心配にはなっていた。

舗装路から未舗装路に突入、
ほどなくして道は倒れた木の枝に塞がれ車の進入は終わった。
ここから先を徒歩で向かう。

服装は肌着上下の上につなぎ、首にはタオル、手には手袋長靴を履き、
前回の採集からほとんどそのまま中身を変えていないリュックにはかんじきを突っ込み
水分補給用にヘルシアウォーター1リットルも積み込む。
この時リュックの中身を確認していかなかった事を、後々激しく激し~く後悔する事に……

車の鍵を掛けた後、真上よりやや西に傾きかけた陽に照らされつつ山に入った。


………………………………………………………………………


ほとんど進まない内に未舗装の山道は消え失せ、
早春の気配漂うただの林を進む事になった。

サクラマツミズナラなど様々な種類の木が入り混じる林の中を、
まだ枯れ草や枯れ葉ばかりが積み重なっているだけの地面をワシャワシャ踏みしめて歩いていく。
たまに近く遠くにまあまあな太さの枯れ木が立っていたり倒れていたりするが、ほぼ無視してダラダラ歩き続ける。
本当は少しコクワガタの新成虫なんか採りたいなぁぁなどと思ったりするのだが、
今回は標高を上げるためには前回よりも長い距離を歩かなければいけないのでブナ帯に入る前から余計な道草を食っていられない…と、ただひたすら灌木を右に左にかわしながら西に進んだ。

斜面になったり平坦になったりを小さく繰り返しながら、少しずつ山を登っていく。


……………………………………………………………………


いつまで歩いても樹相が変わらず針葉樹ばかりで、ほぼ無心で歩いていてふと顔を上げると、
それまで全く見なかったのにいきなり一面の残雪地帯に出くわした。
ようやく山に入ったって感じになってきた~…ふぅ~

まだ雪面から生えているのは針葉樹ばかりだったが、ひとまず目に見えて自分が進めているのと、雪の上が歩き易かったのは嬉しい。

雪はかたまっていてまだかんじきを履く必要もない、
どこからか聞こえるおそらくスズメバチの羽音にも度々出くわしながら、見晴らしのいい緩やかな斜面を登っていく。
途中で気付いたのは、山に入って直ぐの頃は汗をダラダラ垂らしてタオルで顔を拭いつつ息も荒くして歩いていたのが、いつの間にか汗の量も減り呼吸も楽になっていたことだ。
この行を続けていけばもっと山慣れしてくるんだろうなぁ…と実感しつつ、
ケータイの地図アプリを確認すると、まだ目的の標高まで遠くて、違う意味で汗が出る…


……………………………………………………………


しばらく歩いているとようやく針葉樹林帯を脱したのだが、
今度は、ミズナラやブナなどの沢山の幼木の枝が手前に向かって真横に伸びている所為でスムーズに前進できない…(つまり自分の歩く方向と真逆に枝が伸びているワケ)
登りで歩くためについつい足元を見ていると、
突き出た枝に不意に突き刺されることがしばしば(苦笑)
CA3I1670.JPG
この時、なぜか『忍び返し』と云う表現を思いつく(確かにそんな感じには思いませんか?)

この『忍び返し』に手間取っている時点で、時刻は既に午後2時を回っていた。
これらの灌木が並んで生えている内は、まだ周囲には身綺麗(?)な成木ばかりしかなく、
枯れて美味しそうな木は全く無い。
標高にして450m付近だろうか…


………………………………………………………………


木人の攻撃に耐えながら進むジャッキー・チェンの如く『忍び返し』と格闘しながら山を登る事しばらくして、ようやく灌木の付き出る地帯を脱した。

いよいよと云った感じで周りの風景が変わった。
木の種類もブナミズナラが主体となり、所々にサクラカンバが混じる。
どの木も幹の太さが20~30cm以上はあり、
所々に立ち枯れや折れた枯れ枝が見えるようになってきた。
枯れたものは大体カワラタケの類のものが生えている、
「コクワはいねがぁ~?」と手頃な落ち枝をバラしてみるが、……食痕しかなかった…

カワラタケで朽ちた白枯れならあるのだが、
ルリが入りそうな朽ち方をした木がまだ見受けられず、進む足はまだまだ止まらない…

この地帯に突入する辺りから、山の傾斜が次第に急になってくる。
しかし足元の雪は依然固いまま、時たまリュックからヘルシアを取り出して水分補給する際
かんじきがリュックの中でつっかえて邪魔に感じる。


…………………………………………


日も傾き、逆光となって西日が目に痛い時間になってきた。
同じ景色を歩き続け……………………………いや、少し変わってきた。


徐々に見る枯れ木見える枯れ木が平均的に太くなってきてる。

そしてさっきまで(ほぼ)全く無かったツリガネタケで朽ちたブナの立ち枯れが増えてきた。
少し尾根から下り、雪で斜面にずり落ちたブナの立ち枯れの折れ口を見てみると、
細かい目の詰まった食痕が… ヒメオオ…!!!!

少し斧を入れてみたが、やはりカッタい[あせあせ(飛び散る汗)]
これでは本命に辿りつく前に体力ゼロになってしまう……
おまけに斧で刃を入れる度に振動で木が斜面をずり落ちていく(オイオイ!)

(これで変に意地になって没頭しちゃう奴がギャンブルで落ちるタイプなんだろうなぁ…)

尾根筋に戻り依然として周囲を見ながら傾斜を登る。


……………………………………


標高はおよそ700mを過ぎたあたりから、ようやく次の段階にやってきた。

産卵痕の発見。

長かった~~~(・)

時刻は既に午後の4時を回っている。





早速表面を削ってみるがスカ。
周囲にもボコボコ「綺麗な」穴が空いている上、
削っている途中にも憎たらしいコメツキの新成虫が出てくる。
(持って帰ればよかっただろうか…?)

産卵痕を見つけてからがまた長いんだよな~~~~(←本体に出会うまで)



しかし、それから次の産卵痕を見つけるに至るまではそう時間はかからない。


………


否 それどころでは収まらない。


















CA3I1671.JPG

!!!!

(↑↑居たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! …と言ったいや正確には叫んでいないが…










尾根の北側の急斜面を眼前にして見つけたその立ち枯れは、
目線より少し上の位置に産卵痕が疎らに付いていて木の表面は縦横に薄くひび割れていた。

あまり期待せずに斧を入れてみると(いや斧を入れると云う事は期待はしているんだよな?)
ひびに沿ってパキッと剥がれた表面の木片の下には茶黒くなった幼虫の食痕で埋め尽くされていて、今までに無い良い予感がした。
斧で剥がし、また手でも摘まんで剥がすこと数度、
剥がした木片と一緒に外に弾き飛ばされる事無く運良くその場に居残った1cm大の小さな虫に、
自分の体はその虫と同じようにして固まった。

裏返って一瞬腹部側しか見えない状況で、「コメツキか!?」と疑ったが

いやいやいやいやこれこそルリではないか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


青いではないか!!!!!!



取り敢えず↑↑の写真を撮った後、中途半端に取りこぼしそうな目線の位置にいるため
慎重にケースを虫の居る場所の下にあてがい、そっとケースの中に弾き入れる………

  カラン・・・    よし…入った…

少しミスったら根開き穴の奥に落ちてしまうかも知れなかったが無事ケースの中に入った。


CA3I1672.JPG

よく見ると青く見える黒色系の

いやぁぁ~~採るつもりでは来たけど、やっぱり採れると驚くわ~そして嬉しい!



CA3I1673.JPG
食痕はまだ周囲に広がっているようで、続けて慎重に割り広げていく。


すると、またまた(※Chelus fimbriatus出てきた新成虫!!!!!!!!!!!
うわぁあぁあぁあぁあ!!!!!!![ぴかぴか(新しい)]


マタマタ(※Chelus fimbriatusでてきた新成虫!!!!!!!
うわぁぉおぉおぉ!!!!!![ぴかぴか(新しい)]


立て続けに♀が出る!

♂も出てくれないか!!!!!!
と願い割り広げていくことしばらくして………












!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!














!!!!!!!!!!!!!!!!(汗)











手が届かない・・・





下の方の食痕から20~30cmぐらい上までは割れたのだが、
下の方を割るだけでも背丈ギリギリで手を伸ばしてやっていたので
それより上の方までどうにも手が届かない。一面食痕地帯はまだ上に伸びているのだが…

※ちなみに、木と足場と産卵痕の場所の高さについてだが、
産卵痕の付いている高さは積もった雪の足元から1.5~1.6mより上に付いていて当然食痕もそれより上に広がっており、足元の雪も地面から約2m積もっているので地上からはおよそ3.5m以上の位置だった計算になる。
さらに、木の周りには根開き穴が開いており木の際から一歩引いて作業していた。


上の方に手を伸ばして作業していく内に何度か穴に(俺が)落ちたので、
潔く膝丈の高さの幹の不朽部を加工し足を掛ける場を作り
木にしがみついて作業を再開した。


『たとえ山の中町の中』の図↓↓
CA3I1679.JPG


………………




…………………………




………………………………





少しして




………………………………………くッ…………………プルプル





CA3I1674.JPG
よぉォーシ…………プルプル…………♀出てきたぁ…………!!!!!!!![あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]プルプル

ケータイを見ると、地図アプリも使い過ぎていた所為か
電池の残り残量が減ってきていた。




そして更に!!!!!!!! プルプル



♀が出てきた!!!!!!!





……………………~~~んッ…ッ…………ぐッ……プルプル…………






そして遂に・・・!!!!!!!









    食痕が全て出尽くした…。




「あれ…ふゥッ…ふゥッ……♂は…????






出てきた♀は全て黒色系。
荷物をリュックにしまう頃には時刻は午後5時

空は雲で覆われていなかったが曇ったように感じる。
空の明るさがいつの間にか濁っている。


   時間だな。




それ以上山を登るのは諦め、
踵を返し下山する事にした。(登るときは西に向かっていたので今度は東に向かう事になる)
電池の残り容量も結構少なくなってきたケータイの地図アプリで現在地を確認し、
地形図と照らし合わせ標高を確認してみると、大体そこは800m付近だった。

CA3I1675.JPG
周囲を改めて見渡すと生えている木の96~97%はブナであった。

山を下りつつも、まだ♂を見つけていないので引き続きルリ材の探索も並行していく。

登るときは広い尾根の右側(つまり北寄りの側)を通ってきたので、
あまり道を外れるのは良くないが少しルートをずらして、
尾根の左側(南寄りの側)を歩いて別のルリ材がないか探しながら下りていくことにした。


……………………………………………


尾根の右側がほとんどブナだったのに、こちらの左側を歩いていると逆にミズナラばかりだ。

嬉しい事に、ブナ帯の時よりもこちらの方が更にルリの産卵痕が付いている立ち枯れが多い。
とはいえ、大体が木の表面が荒れていて(過去の採集痕も)
居るのが期待できないのが大半。
産卵痕の発見数は多いが、歩き進むペースはさほど変わっていなかった(と…思うよ)




そんな中、大体スルーしていたルリ材の中一つだけ妙にそれっぽい木を見て足が止まる。




CA3I1676.JPG
下の方に産卵痕、上の方にはカワラタケが生えている。
なんか良さげな………♪♪

当然叩いてみる。…………と、そこには!!!!!!!!!!











CA3I1677.JPG
居た居た!!!!!!!! 別色♀!!!!!!

この山は必ずしも青い個体ばかりではないんだな…

それもいいんだけどそれじゃあ今度は♂新成虫も……




・・・この木もその1♀で終了した。




少しずつ日差しを感じなくなってきたが、未だこの一帯を抜け出してはいなかった。


……………………………


続けて、ミズナラの立ち枯れを発見。
CA3I1678.JPG
剥がれて浮いた樹皮の裏を見ると、びっしりと綺麗に産卵痕が付いている。

真新しい木肌と産卵痕にちょっと今までとは違う雰囲気を感じつつ斧を入れると、
出てきたには出てきたのだが、幼虫だった。

そんな気がしたが、木に付いているどの産卵痕もまだ1年目のものだ…
新成虫が入っている2年目の材ではないと分かったので、
作業を中断しその立ち枯れを後にした。(だんだん感覚的に分かってきた)


……………………………………………


時刻は既に午後6時をとうに過ぎていた。
ケータイの時計を確認しながら、粘り過ぎたと反省しつつ
ミズナラ林を下っていった。
「今日のところはこれで終わりかぁ・・・
  ♂は採れなかったけど、無事に採集出来て良かったぁ~~~」














否。
これで終わりではない、
本当に大変なのはここからだった・・・







〉〉【採集編】終了 ⇒ 【〇〇編】へ…


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